ビデオカメラで撮った話

 

オードリーのオールナイトニッポン 2020年7月4日

 

春日:この間ね、子を連れて所沢に帰ったんですよ。実家に。初めて帰るみたいなね。子がずーっとこっちで過ごしてるから。初めて帰るなんつっていって帰ったのよ。して、家着くじゃないですか。入ろうとしたらね、家に。したらうちの父親がさ、「ちょっと待て待て待て」つって、「初めて実家に帰ってくるわけだから、ちゃんと撮っといたほうがいい」ってさ。「ビデオを撮ったほうがいい」なんていって。

若林:ビデオ?

春日:ビデオ。動画よ。で、ビデオカメラを渡されて、私が撮ったほうがいいと。これからいろいろなんだかんだ成長していくのを撮るだろうから、(若林:なるほどな)そういうのは思い出に残るから、練習を兼ねて、私が撮ったほうがいいって渡されてさ、家に入るところから撮ったのよ。

パーッと撮ってて、「おかえり~」なんて言って中から家族が出てきたりとかして撮ってたんだけど、ふと思って、私。あれ? 追って撮ってたのよ。入っていくのを後ろから追って撮ってたから、全然顔が撮れてないわけ。したら、うちの父親がね「ダメだ!」つって。「ずっと後ろじゃないかよ! ロケやってんだろ?」つって(笑)。確かにそうなのよ。(若林:確かになあ)ロケなんかでお店とか入る時は、カメラマンさんが先に入ってて、待ってくれて、ガラガラガラって入って「トゥース」みたいな感じじゃない。

若林:ま、トゥースみたいなは、どうかわかんないけど。

春日:マストじゃないけどね。

若林:やったほうがいいのかどうか……。

春日:やったほうがいいだろうよ!春日が来てんだから。

若林:実家でもそうだっていう話ね。

春日:(笑)いや、実家ではトゥースとは言わないけど。

若林:もともとお父さん、だだだのカメラマンさんだから。

春日:違うわ! 普通のサラリーマンよ。

若林:フッフッフッフッ

春日:父親は、確かに一理はあったんだけど、本当に言われたの。「中に入ってなきゃダメだろ」つって。本当のプロの人みたいに。

若林:いっぱい撮ってきてるからさ。春日のことを。

春日:そう。いっぱい私とか妹を撮ってきてるから。『金スマ』でもチラッと流れたけど、私の運動会の挨拶みたいなさ。

若林:あ、撮ってた、撮ってたな。

春日:あん時、私が5とか6ぐらいでしょ。ビデオカメラなんか普通の家庭にない時代よ。私があの運動会のはじめの言葉をやるからっていうので買ったんだから、ビデオカメラを。肩に乗せるやつよ。当時は。

若林:昔はな。

春日:バック・トゥ・ザ・フューチャーのマーティが持ってるやつと全く同じやつ。赤い(笑)。

若林:へえ~。

春日:バック・トゥ・ザ・フューチャー観てて、「あれ?うちのカメラ!」と思ったもん。あの時。

 

若林:あ、そう。いや、買ったんだなあ。愛されてるなあ。

春日:なんかね、ありがたい話。当時、何十万よ。肩に乗せるんだから。そのカメラで撮って……。

無かムカツクよな、なんか。

春日:何がよ?

若林:愛されて育ってる感じが。

春日:ハハハハハ でも、そんな普段からは金を使わないのよ。

若林:それ、何? 運動会で肩に担いでんのは、春日のお父さんぐらいな感じ?

春日:ぐらい、ぐらい! 当時ね。

若林:それ、目立ったでしょ? 肩にカメラ担いでブリーフ一丁で、こうやって運動会で(笑)。

春日:なんでだよ!(笑)なんで全裸監督なんだよ! 同じくらいの時期なのかな? でも。

若林・春日:ハハハハハハ

春日:ちょうど村西監督と同じぐらいの時期なのかなあ。もしかしたら言ってかもしれない。「ナイスですよ」とか言ってたかもしれない。

若林:ハッハッハッハッ

春日:「マーベラス」とか言いながら撮ってたかもしれない。

若林:バレないしね、子どもに。そのぐらいの子どもだったら。

春日:バレないね。

若林・春日:ハハハハ

春日:で、撮ってたぐらいだから、詳しいというか、まあね、撮り方とかは何となく自分のあるみたいでさ、そんなん言って「ダメだ、ダメだ」って言われて「やり直そう」って(笑)もう一回外出てさ、テイク2よ。初めて家へ帰る。

若林:「テイク2、戻れ!」って言われて。

春日:「戻れ、戻れ」って。

若林:「ストロボ頂戴」つって。

春日:そこまでは言ってないけど。それはプロじゃん(笑)。「中入って、玄関のところで待ってるようにしなさい」って言われて、待って、ガチャッて入って。したらね、「あ、おかえり~」とか言って。みんな2回目よ。

若林:テイク2ね?

春日:テイク2だからさ、なんかリアリティがちょっとないのよ。

若林:ああ、演技力がねぇもんな、お前んちの家族。

春日:そんなこと言うなよ!(笑)普通そうだろ! 一番父親が「お~どうしたぁ~?」。

若林:ヘボ!

春日:フフフフ 「暑かったろうー」みたいな。

若林:いや、わかるわ。お前もコント下手だから。

春日:ハッハッハッハッ

若林:できるわけねぇ。お前、あんなコントが下手な奴の親父が上手いわけねぇ。

春日:親父のことを言うな!今。

若林:裏方なんだからさ。

春日:ハハハハハ

若林:フハハハハ

春日:ま、血は引いてるわね。

若林:カメラマンなんだから(笑)。

春日:カメラマンではないよ。サラリーマンさんよ。

そんなん思いながらも私も撮っててさ、思い出に確かになるなと思って。「こういうのはいっぱい撮ったほうがいいぞ」なんつって。

そっから家へ入って、風呂入って、風呂から上がるとことか、ずーっと撮ってたのよ。

で、その日はバーベキューやりましてね。

若林:はいはいはい。

春日:バーベキューも撮ったほうがいいなんつっていってさ、三脚立てて固定にして撮ってたのよ。バーベキューをね。

若林:バーベキューしてんのを。うんうんうんうん。

春日:なんだろうな、でも、古いんだよね。父親のビデオカメラを撮るというスタイルが。ビデオを撮る……撮られるというか。「今からバーベキューをやりま~す」みたいな。フハハハ

若林:要らないよな。

春日:要らないじゃん。

若林:画(え)でわかってるからさ。

春日:今は要らないじゃん。昔はあるじゃない。

若林:そういうのあるね。「今から」とかいうの。

春日:「今日は何月何日……」フフフフ

若林:出るからなテロップで。

春日:時計見て「え~何時何分、今からみんなでバーベキューを……」ハハハハハ

若林:なんか怖いな。事件性感じるな。

春日:怖いじゃん。父親だけ不自然なのよ。

若林:言えばいいじゃん。お父さんにちゃんと。

春日:なんてよ?

若林:「古いんだよ!」って。

春日:いやいや、そんな言い方できないだろうよ(笑)。で、なんだろうな、父親が回してんのよ。

若林:それ何? 現場を?

春日:現場を。だから、みんな普通に、姪っ子とかもいるからさ、普通に何食べた~いとかなんとかって言うんだけど。

若林:なんかムカつくな。団らんな感じが。

春日:何がムカつくんだよ?(笑)

若林:平和な感じが、本当に。水ぶちまけてやりたいな。

春日:なんでだよ!

若林:バーベキューの台蹴っ飛ばして、水ぶちまけてやりたい。全員に。

春日:ハハハハハハ

若林:ハハハハハハ

春日:なんちゅうことを言うんだよ!(笑)

若林:20代の時にネタも書かずに漫画ばっか呼んでた奴が、41になって家族で団らんで、みんな調子がいい。バーベキューなんか蹴っ飛ばして、水ぶちまけてやりたい!

春日:おい、サトミツ、来てくれよ、ちょっと(笑)。また封印が解けたぞ、封印が。お札が外れたぞ、おい(笑)。

そんなん言ってさ、回してんのよ。「今から次は豚肉を焼きま~す」みたいな。

若林:わかるだろう!画で。うるせぇな!

春日:「じゃ、これ取り分けま~す」(笑)。

若林:言うなよ!

春日:「どうだい?おいしいかい?おいしい?」なんつって言って。

若林:うっせぇーな。

春日:姪っ子とかもさ、いつものじいちゃんじゃないから、すぐ答えなかったりするのよ。

若林:ちょっとなんか怖いんだろうな。絡むの。

春日:ちょっと怖い。「何それ?」みたいの言ってんの。お姉ちゃんのほうなんか言うから。

若林:お姉ちゃんすぐ言うからな。

春日:すぐ言うから。「何それ、なんか変!」みたいな。「今のはカットだな」。ハハハハハ

若林:これ、お父さん?

春日:そうね。じいさんがさ。

若林:カットもクソもないだろう。ホームビデオなんだから。

春日:そうよ、そうよ(笑)。「どうだ?」つって私も。「どうだ?うん?うまいか?」なんつって。「まあ、まあ、美味いね、美味いね」なんつってたら「そこはうましだろ!」とかね。

若林:言ってくる?

春日:言ってきて、ちょっとお酒も入ってるからさ。

若林:それはお互いに?

春日:お互いに入ってる。「そこはうましだろう!」なんてつっていっ。

若林:そんなの、酒取り上げて頭からぶちかけてやりてぇな。

春日:フフフフ

若林:バーベキュー台を蹴飛ばして。

春日:ハハハハハ

若林:ハッハッハッハッ

春日:キャーーー!つって大惨事よ(笑)。春日家大惨事。

若林:呑気にやってんじゃねーよっていう話だよ。20代、ネタも書いてねー奴が。

春日:ハハハハハハ

若林:30代はすごいスター性でお前のおかげだったよ。ここまでありがとな。

春日:まあまあ。とんでもない。こちらこそね。

若林:20代は許さねーぞ!お前、一生。

春日:フフフフフ

若林:ハハハハハ

春日:まあま、そんなん撮っててさ、「焼きそば焼きま~す」。

若林:焼くんじゃねー!

春日:焼くだろう、焼きそばを。バーッつって焼いててさ。

若林:肉だけ食って部屋に戻れ全員!

春日:ハッハッハッハッ 「焼きそば焼きま~す」って焼いてさ。

若林:見たらわかるんだよ!そんなの。

春日:で、分けて、食べてたのよ。したらね、もうそろそろ宴もたけなわみたいになってきて、もうそろそろ終わるかあ、みたいな雰囲気よ。焼きそばだし。そんで食べてたらさ、カメラがあって、その一番奥のほうで……バーベキューの机があって、キャンプで使うみたいな。そこの両サイドに長椅子と普通のキャンプ用の椅子みたいなのがちょっとあったりとかしてて、カメラから一番離れたところ、奥のところで、うちの母親が長椅子に座って焼きそばを食べてたんですよ。みんな「おいしいね」とか言って。母親が一番奥だから、別に見てもなかったんだけど、母親の方向から急にバキッ!って音がして。

若林:あー、怖い怖い。

春日:長椅子が折れてさ。

若林:えーっ?

春日:母親がなんにも言わずに無言で後ろにひっくり返ったのよ。

若林:怖っ!

春日:なんにも言わないの。「あー!」とか言ったらわかるじゃん。バキッ、何の音?っていったら、ゆっくり母親がこうやって。

若林:怖い怖い怖い怖い。

春日:椅子が壊れただけなんだけど、焼きそばぶちまけてさ。

若林:バックドロップ的に。

春日:バックドロップみたいに。あれ、人は何も多分言わないんだろうね。リアルの時。

若林:そらそうだろうな。ドッキリとかの時もあるもんな、そういう時。

春日:息をのむというかさ。

若林:「あっ……」てなっちゃうわけだな。

春日:そうそう。我々とかだと「わー!」とか「キャー」とか言うんだったらわかるけどさ。こう倒れててさ、でもさ、私はね、ラッキーとは思わないけど、「これはハプニングだぞ」と思ってさ、三脚のカメラをバッと取ってさ、映したいじゃん。残しときたい。そんなことが起きたつって。なかなか起きない。リアルなハプニングだから。

若林:なるほどな。職業病だねぇ。

春日:ほんで、パッと取ってさ、母親のとこにこうやって行こうとしたらさ、撮ろうとしたら父親がさ「やめとけ」つって(笑)。「えっ? いやいやいや、これ撮るでしょう」「やめとけ。撮るな」「なんでよ?」つったら、「かわいそうだろ」つって(笑)。

若林:確かにな。

春日:それはかわいそうなんだと思って。

若林:それはそうだろう。

春日:でも、なんか面白い。本人は笑ってるんだよ。

若林:お母さんは。

春日:うん。「急に折れちゃって、私、重いのかな」なんていって。

若林:それはそうだけども。

春日:いや、そこはいいだろう!(笑)

若林:フフフフ お父さんからしたら、それはそうだろう? 愛してさ、社内結婚だよな?たしか。

春日:ハハハハハ

若林:社内結婚して、春日、ハワイアンベイビーだから。

春日:まあ、そう……。

若林:ハワイで愛し合って、そんな話、言う? これ、言うことじゃないけど、夜愛し合って。

春日:言わなくていいよ! この放送をお送りしたホテルで。

若林:愛して、愛した妻がだよ、孫ができて、椅子ぶち折って後ろにひっくり返って、それを息子が撮るなんて、それは愛してる奥さんがそうなったら、それは逆の立場を考えろよ。クミさん、後ろにひっくり返ってって思ったら、そうだろ?

春日:たしかにね。息子……子どもが撮ろうとしたら、「やめとけ!かわいそうだろ」。

若林:そうそう。愛してるから、お前のお父さんはお母さんを。

春日:そういうあれなのかな?

若林:それはどの旦那さんだって言うよ。

春日:言うかね?

若林:言うよ。それはお前がデリカシーがない。お前はちょっとテレビに毒され過ぎてるよ。

春日:そんなにダメなこと?(笑) でも、撮るでしょ?

若林:それはダメだよ。もしも……。俺なんかまだヒヤヒヤしてるよ。お母さん大丈夫だったかなって。

春日:だから、大丈夫だったから撮る。

若林:もしそんなことが後半で起きるなら、「水ぶちまける」とか言わなけりゃよかったと思う。今。

春日:ハハハハハハハ それは別にいいよ。

若林:申しわけないなと思ってるもん。

春日:別にそれはいいのよ。大惨事じゃないから。面白ハプニング。ちょっとしたね。

若林:俺はちょっとそれは心配よ。後ろに転ぶっていうのは。

春日:いや、でも、そんな頭打つとかじゃなくて、本人も笑ってるし。

若林:俺は本当信じらんない。お前がカメラ持って。それ何? お父さん「やめとけ」って言って実際やめたのね?

春日:ちょっとは撮ったけど。

若林:撮ってんじゃねーか!

春日:(笑)でも、こうやって行っちゃったから撮ってたけど、そんなグーッと寄ったりとか。

若林:そんな、お前、お母さんひっくり返って、いつもしてる薄紫のサングラスに焼きそばの麺が全部バーッと引っかかってる。

春日:ハッハッハッハッ

若林:ニンジンが目みたいにピタッて、半月切りしたニンジンが目みたいにサングラスに張り付いてるとこ撮ったらかわいそうだろ?

春日:それ絶対撮らなきゃダメだろ!(笑) そこまで面白くなってなかったからね、私も無理して撮らなかったけど。そんなんやってたら絶対撮るべきだろ、それは。

若林:ハッハッハッハッ

春日:残す貴重な映像だよ、それは。

若林:髪の毛がパーマみたいに、焼きそばの麺が頭にぶっさってて、ニンジンの半切りしたやつが目みたいになってるの。かわいそうだろ、お前(笑)。

春日:そこまでいってたら撮らなきゃダメだよ。逆にね。

若林:フフフフフ

春日:そこまでいってなかったら止められたのかもしれないけどね。「ダメだ、かわいそうだから」つって、「お母さんも大丈夫か?」「大丈夫だ」と。「下行ってお風呂でも入ってきなさい」なんつって言って、母親がはけたのよ。別に雰囲気は悪くはなってないけど、ちょっとしたハプニングがあってそんな感じになったから、もう終わりかなと思ったら、父親がさ「さあ、じゃあ、締めのチャーハン作りま~す」ってさ、もう一回ビデオのほうに戻ったからさ、怖いなあと思ってさ。

若林:焼きそばの後チャーハン?

春日:焼きそばの後チャーハン。

若林:変わったバーベキューだね。

春日:フフフフフ そこはいいじゃない、別に。そんなに焼きそばも量がなかったからね。残った焼き飯みたいになるじゃない。鉄板に味がついてるから。そんなんあって、撮ってさ、終わったというね。

若林:……チャーハンの部分何だよお前!

春日:ハッハッハッハッ 作ったんだからいいだろ!

若林:チャーハンの部分が何だったの?(笑)最後、コースとしても余計だし、トークとしても余計だわ。余計チャーハンだわ!

春日:なんだ、余計チャーハン(笑)。

若林:フフフフフ

春日:そんなんあっても続いたという話よ。

若林:あ、そう?(笑)焼きそばぶちまけるとこが最高に面白かったからさ。チャーハン予定だったのか。

春日:そうよ。

若林:まだ撮るんかい!ってことね?

春日:そうそう。まだ撮るんかいっていうね。

若林:これ、お前大変だぞ。もう一人ひっくり返らないと、お父さんチャーハン持ったままひっくり返らないと終わらないぞ、この話。

春日:ハハハハハ

若林:ちょっと頼むよ。ジングル打つために、チャーハンひっくり返した話。

春日:チャーハンをみんなで食べてて、それぞれ分けてさ、また同じように撮ってたのよ。したら、義理の、妹の旦那がさ、「あーっ!」って言ってさ、キャンプ用の椅子がね、背もたれが逆に折れちゃってさ。

若林:妹の旦那じゃないのよ!

春日:誰よ?誰なのよ?

若林:(笑)妹の旦那は結構俺からも遠くて笑いにくい。俺はそういうの気にするから。

春日:いや、いいよ別に。

若林:妹の旦那はイジりたくないよねぇ。子どもたちと。

春日:子どもはダメなのね? じゃあ、父親だな。

若林:そうだね(笑)。

春日:父親がチャーハン持ったまま後ろにひっくり返った。んで、私がチャンスだと思って撮りにいったら、「これは撮っていいぞ」つって。

若林:ヒャハハハハ

春日: 「お前はいいんかい!」つっていって。

若林:ああ、いいねぇ(笑)。余計チャーハンじゃないね。

春日:サトミツ! 正解はこれだったよ。

若林:オチチャーハンね(笑)。