映画『流浪の月』 李相日監督インタビュー

 

澤本・権八のすぐに終わりますから。 2022年5月22日

 

――李相日監督の20秒CM

李相日:前作『怒り』より6年ぶりに映画を撮りました。6年、和すられてしまうぎりぎりで、今回『流浪の月』という、広瀬すず松坂桃李W主演の映画を皆さんにお届けしたいと思います。李相日です!

 

――どんな内容なのか教えていただけますか?

李相日:昨年、本屋大賞をとりました凪良ゆうさん原作の『流浪の月』をベースに映画にしているんですけれども、子どもの頃の少女、広瀬すずさんは大人になってからなんですけど、更紗という10歳の少女が公園で1人でいるところに、大学生の桃李くんと出会いまして、2人はある事情があって、一緒に彼の家に行くことなるんですけど、それは結局誘拐事件ということになってしまって、2人は離ればなれになるんですけど、それから15年後に再会してまか運命の歯車が動き出すという、今の生きづらさとか、SNSとかでいろんな誤解を浴びながら、2人の絆というか、つながりを深めていくという物語ですね。

 

――この映画を今つくる理由

李相日:僕も今、ストーリーを解説するということになって、どうストーリーを解説していいかわからない。何しゃべっているんだろうなと思いながら。観終わってすぐ感想が出るというタイプでもないし、今日は、逆に言うと、広告のプロの皆さんにどうやって説明したらいいですかね?という。

決してものすごく難しい感情を描いたつもりはないんですよね。たぶん、ある程度の方が何か思い当たったり、あれ?とか、共感までいかなくても、何か共鳴するみたいなものを描いているんですけど、なかなか説明が難しくて。だから僕は映画なんだと思ったりもして。

小説を読んだときも、自分が日ごろ抱いている違和感とか、まさに思い当たることとかが鋭い視点でいろいろ描かれているんですけど、片一方でこの2人のつながりって、小説の中でも何度も「言葉で説明できない」からこそ、何か映像で追求したいと思わせるものがあったなと思うんですけどね。

――多かれ少なかれ、みんないろんな思いを抱えながら生きていて。つくる以上は、監督は世の中に何かを投げかけたいはずで、生きづらさみたいなものを日々抱えながら、でも何とか頑張って生きている人に向かって何かおっしゃりたいというか、描きたいものがあるのかな、とか。僕が言うことじゃないですけど。

李相日:僕もどっちかというと、知らずにこの事件に接したときに、真実を本当に見ようと一生懸命になるかというと、結構断片を集めて判断する側の一人でもある気がしているんですよね。そうやって一個一個処理していっちゃうというか。でも、処理された側には、そこにだけ真実があって。でも、それが一生ついて回るじゃないですか。周りは処理すれば済むけど。でも、そこでずっと苦しみ続けなきゃいけないということに、どこか立ち止まる必要がある気が自分でもしているといいますかね。そこをすくい上げようとか、世の中に強く訴えて、完全に排除することとか批判することはだめなんだとか、訴えようということじゃないんですけどね。立ち止まりたいというか。

 

――今回の『流浪の月』で言うと、元誘拐犯とその被害女児。松坂桃李さんと広瀬すずさんの2人の関係性、客観的に見ると誘拐犯という犯罪者みたいなレッテルになってしまうんだけど、そうじゃなくて、単純な善悪では判断できないものが描かれているという感じなんですかね。

李相日:まさにそうです(笑)。

――(笑)

 

――今、監督がおっしゃっていたけど、感想としての一個は、真実に見えているものは、真実が何だかよくわからないことはいっぱいあるんだなと思って。今、(中村)洋基君が言っていた「元誘拐犯」と言うけど、誘拐犯なんだろうかということすらわからないじゃない。

――そうそうそう。

――本当に僕らが外から見ていると、今起こっているいろんな世の中のことに対しても、こうだと情報で決めつけていて、今、僕らが当たり前だと思っていて、その人たちについてすごく批判の目を向けたりしていることって、実は全然内面は違っていることとかもいっぱいあるかもしれないなというのを、うわ、そうなのかも……ということに気がつくという点では、それは既に気がついているじゃない。それがいっぱいあの映画の中にあると思ったのよ。中には、これは自分も本当はそうなんじゃないかと思ったりするような事象もいっぱいあるし。それが次々と襲ってくる映画で。

 

――それは、テーマの切り取り方とか描き方が、目をそむけられないというか。完璧じゃないですか、映像が。完璧だなと僕は思ったんですけど。何がすごいって、どの役者さんもみんな凄くなかったですか?

――すごかった。すごかった。

――それぞれみんな素晴らしかった。ごめんなさい。本当におべっかじゃなくて、みんな凄かった。僕が知っている松坂桃李さん、僕が知ってるすずちゃん、流星くん、多部未華子ちゃん、全部、超えてくると言うとおこがましいんだけど、監督が広瀬すずの代表作をつくろうと思ったみたいなね。舞台挨拶で。

李相日:勢いで言っちゃった(笑)。

――そうかなと思ったんですけど(笑)。でも、役者さんの引き出し方というのかな。どうやってああやってみんなポテンシャルを引き出しているのかというか。

李相日:ねえ。

――(笑)

李相日:秘密は何もないんですよ。会話していくしかないというか。会話というか、沈黙も含めての会話というか。たぶんそんなにはっきり正解。こうしたらこうなるよね、これは。このキャラクターは、こういう性格だからこう動くよねという、簡単に断定できない生身感なので、「どういう人なんだろうね?」という質問を投げかけて、数十分沈黙しながら、うーん……て言いながら、ぽつぽつと何か思ったことがお互い出てきたり。一人一人そういったやりとりを経て、今度、役者さん同士また合わせて、例えば、すずと流星くんなら、3人でまた問答を始めるというんですかね。

しゃべっているだけで何も解決しなければ、ちょっと動いてみたりとか。それはその場によるんですけど。答えを確認するというより、何について悩むかを共有する、みたいなことの時間を持つようにはしてますかね。

――それは撮影に入る前?

李相日:入る前ですね。だから、いわゆるリハーサルというのもやるんですけど、台本読んだりとかもやるんですけど、それよりかは、書いていない部分というんですかね。

例えば、すずと流星くんが最初に会ったのは、あの2人が同棲して1年とか2年たっている設定なんですけど、最初に声かけたのはどっち? 最初にどこでどう声かけて、例えば、飲み会の帰りに2人で一緒になったときに、駅までの道、どういう会話をしたのか、そこから始めてみよう、みたいな。掘っていくというんですかね。役として出る会話をヒントにしながら、こっちからも何か足したり、こんな話題にしてみようかとか。そういうのをやっていると、その精度をどんどん上げていくというか。

今度は、よくあるシチュエーションですけど、ホームで反対と反対になったときに、電車が来るまでどうしようかとか、次の約束を流星くん(亮)はどう取り付けようとするんだとか、そういう感じに段階を経て、最初の出会いをまずは埋めていってみる、みたいなことはやったりしましたね。それをいろんな局面で、いろんな俳優さんと一つずつ埋めていくというか。

――カメラを回して撮影を始める前のプロセスが監督が役者を引き出す秘訣になっているんじゃないかという感じですかね。

李相日:引き出すのか、それぞれが何かつかんでいくヒントというか。ヒントを探す時間を設けますかね。

 

 

 

映画『流浪の月』 広瀬すず・松坂桃李インタビュー

 

on-air with TACTY IN THE MORNING(9時台) 2022年5月12日

 

松坂桃李:皆さんはじめまして。松坂桃李です。

広瀬すず:おはようございます。広瀬すずです。

――よろしくお願いいたします。

松坂桃李広瀬すず:よろしくお願いします。

――朝番組でゲストでお迎えしているという形なんですけど、朝、松坂さん得意でしょう?

松坂桃李:得意? そうですね、仕事柄、朝起きるのは得意というか、慣れてるといいますかね。朝5時台とか4時台に起きることもあったりとかするので、ここはもはや慣れの領域にきているかもしれないですね。

――朝起きたら何かやるとか、モーニングルーティーンはあるんですか?

松坂桃李:いつもの時間よりちょっと早めに起きてコーヒーを淹れて、飲んでから出かけるという。自分の中でバタバタしない時間というのをなるべくつくるというか。

――それは大事かも。心を落ち着けて整えるということですもんね。

松坂桃李:そうですね。

――それは大事かもしれませんね。コーヒー、これは重要なんですよ。今日お話しするのに。

松坂桃李広瀬すず:(笑)

――広瀬さんはどうでしょうね。どちらかという夜のほうが長い。どうでしょう?

広瀬すず:どちらかというそうですけど、私、寝るのも早くて、何もないと9時とか10時には寝たいタイプなので

松坂桃李:素晴らしい!

広瀬すず:寝て。だから、5時とかに起きても、ちゃんと寝てるから起きれるというか(笑)。でも、わりと朝、私、バタバタしちゃうので。でも、休みの日は普通に12時間とか10時間とか、すごい寝るので、7時間、8時間だけだと、朝ダメです。

――ちゃんと睡眠しっかりとらないと。

広瀬すず:しっかりとりたいです。

――集中につながりますもんね。

広瀬すず:そうですね。

――モーニングルーティーンはあります?

広瀬すず:私も最近、朝、飲むで言ったら、白湯を飲むように。ほんとこの1カ月くらい飲むようになったんですけど、私は朝バタバタしてるので、急ぎながら飲んでます。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:白湯一気飲みみたいな(笑)。

松坂桃李:すごいね(笑)。

――そうなっちゃうんですね?(笑)

広瀬すず:そうなっちゃうんですよ(笑)。

――コーヒーの淹れ方、松坂さん変わりました? 今回の作品で。どうでしょうか。

松坂桃李:本当にちゃんと一からコーヒーを営んでいる方からしっかりと教わって、それこそ豆を煎るところからやらせてもらったりとかしたので、コーヒーについては、知れば知るほど奥が深いなと思いましたね。

――やっぱりそうなんですね。僕は、今もその映画の世界にいるんです。実は、明日、いよいよ13日公開の映画『流浪の月』。この2人、W主演で、コーヒーというのは一つキーワードですけれども、あの映画のあの世界観て、観た人は、しばらくずっとあの映画の世界にいられるぐらい強いですね。

松坂桃李:ああ、うれしいです。ありがとうございます。

広瀬すず:ありがたいです。

――ただ、僕は思った。ものすごい難しい役だったんじゃないかなと思った。広瀬さん、いでかがでした?

広瀬すず:そうですね。でも、今回、登場人物、みんな苦しいというか、みんな難しいだろうなと思っていて。私はわりと誰よりも肉体的にちゃんと感情を感じれるシーンが多かったんですよね。横浜流星くん演じる亮くんとのシーンもそうですし、文とのシーンもそうですし、肌と肌が触れ合ったときに糸が切れるというか、そういうシーンが多かったので、スイッチが勝手に入れられてしまう状況にいたんですけど、そういうのがあまりないというか、表に出てこない文は本当に難しかっただろうなと(笑)。客観的に見ても、頑張った共演者としても、すごい、本当お疲れさまでした(笑)と思うほど、一番難しかったのはたぶん文だと思うんですけどね。

松坂桃李:いやいや。

――でも、僕、更紗という彼女が、まさに文さんと再会するシーンがあって、ビクッとするというかね。「いらっしゃいませ」という言葉だけでパッと気づくんだけど、“びっくりした”を空気で見せるという。“ハッとした”。あれってすごいですね。

広瀬すず:本当ですか?(笑)。うれしい。

――僕がもし本当に広瀬さんだったら、びっくりした芝居しますよ。ウワーッ!みたいな。

松坂桃李:ウワーッていう?

広瀬すず:(笑)

――でも、そうじゃない。ハッという。あれって、言葉で、音で見せない芝居でしょう?

広瀬すず:あのときはなんでああいうふうになったのか。体に入ってくるというか、急に包まれたような声質をあのシーンのときに、あの日に初めて感じて、“あっ”ていう、心がふわーっとざわつくというか。

松坂桃李:ざわつく、ね。

広瀬すず:そういうのがリアルにというか、現場でもちゃんと感じれたのが大きかったですかね。

――松坂さんてすごいですよね。今もお痩せになっていますけど、さらにもっとげっそり。

松坂桃李:げっそり(笑)。

――進むにつれてげっそり。

松坂桃李:そうですね。

――で、目も、今、すごいおきれいな目をされているなと思ったんですけど。

松坂桃李:ありがとうございます(笑)。

――映画で観てたら、ほんとに心がない目、あるでしょう。どうやってるんですか?

松坂桃李:それはたぶん、照明部の方のあれなんじゃないですか?

――いや、違うでしょ!

松坂桃李:「光り消せ!」つって。

――いやいや(笑)。ぞっとするんですもん。観て。だけど、この人はいっぱいいろんなことがあったって、表情と所作で見せるというのは、本当に入っていると言ったら変ですけど、どうなっているんですか?

松坂桃李:それこそ、すずちゃんが今言ってくれたように、再会したシーンのときとかでも、最初の「いらっしゃいませ」とかも結構緊張しましたね。

広瀬すず:(笑)確かに、逆だったら私もドキドキだと思います。

松坂桃李:ドキドキするんで。

広瀬すず:確かに。確かに。

松坂桃李:しかも、結構順撮りでやってくれたので、本当にあそこが更紗と文の初の接触じゃないけど、まだお客さんと店員という関係性ではあるけど、そこの初の、お客さんから観たら、「あ、同じ空間に2人がいた」という瞬間のシーンだったので、だから、あれは本当に緊張しましたね。自分の中でも、本当に、あっと思った瞬間に、いろんな感情がぶわーっと、「いらっしゃいませ」を言う前にぐわーっと出てくるというか。いろんなことをしゃべりたい、言いたい、何か感情を何か伝えたいとか、いろんなことがあるんだけれども、そういったことも全部いろんなフィルターを通すと、「いらっしゃいませ」というあそこに行き着くというか。とにかく緊張して。

――今「いらっしゃいませ」とおっしゃいましたけど、あの「いらっしゃいませ」と違う。あの「いらっしゃいませ」はまた違いますね。本当に違います。

広瀬すず:違いますね。

松坂桃李:そうですね。すいません、今、ラジオのテンションでしゃべってます(笑)。

広瀬すず:ラジオの「いらっしゃいませ」(笑)。

松坂桃李:「いらっしゃいませ」(笑)。

――すごいんですよ。でも、僕、広瀬さんの新しいというか、こんな、言葉はなくても見せられるお芝居されるんだという、すごい次のフェーズに行かれたような気がするんですけど、松坂さんから見るとどう思われました?

松坂桃李:お幾つでしたっけ?

広瀬すず:23です。

松坂桃李:23ですよ。末恐ろしいと思います。本当に。そこに関して「すごい」の一言しかないというか。きっと、更なる現場を踏み、40に差しかかったときには、たぶん蹂躙しているんじゃないですかね。いろんなものを(笑)。

広瀬すず:いや(笑)なんで?

――でも、スーパー恐ろしいすごい役者さんと一緒に仕事して……。

広瀬すず:そうです。一番怖い人はこの方ですよ(笑)。

松坂桃李:いやいやいや(笑)。

――そうでしょう、やっぱり。それは今後のアクティングにも刺激になったんじゃないですか?

広瀬すず:かなり。なんか不思議なんですよね。何となく現場ご一緒したりとかすると、あ、こういうやり方でやられているんだとか、わりと興味深くいろんな方のやつを見てしまうんですけど、一番わからなかったです。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:脳内と心の整理、どうしてんだろうなっていうか。なのに、なぜこんな真っ直ぐ立っていられるんだろうという。本当に不思議過ぎて。なんか怖いなあ。

松坂桃李:(笑)

――文で来られると思っていたんですよ、今日。だから、すごい緊張してたんですよ。ものすごい明るい方でびっくりしたんです。

広瀬すず:そうなんですよ。

――スイッチ切り換わるんですね。

松坂桃李:スイッチですか? わりと、そうですね。現場終わったら、「お疲れっした!」みたいな感じでやってるんで。「ありがとございましたっ!」みたいな。

――李監督ならではの演出と、撮影監督も『パラサイト』でおなじみのホン・ギョンピョさんが担当されていますけれども、強い画なので、ぜひ皆さん観ていただければと思います。

いろんな作品に出てこられましたけど、相当ご自身の中で強い印象を持たれた作品になったんじゃないですか? どうですか?

広瀬すず:私は李監督とも2度目で、感性として、自分の中で迷った、血迷った瞬間とかもリセットされるというか。

松坂桃李:うーん。

広瀬すず:演じるってこういうことなんだって、前回の『怒り』のときに思い、今回も改めて、自分も変に経験とか癖とか、重ねれば重ねるほど、なんかわからなくなったときに、監督は戻してくれる方で、私は勝手な一方的な信頼感が絶大にあるんで(笑)。自分にとっても、こんなふうな形でご一緒できたことがすごく大きかったですね。

――この骨太でずっしり。だけど、先に、もしかして光があるかもしれない。そんなことも考えさせる映画であります。お2人がW主演の映画『流浪の月』。これ、明日です。5月13日金曜日に公開となります。今日は貴重な時間をありがとうございました。

松坂桃李広瀬すず:ありがとうございました。

 

 

映画『流浪の月』大阪特別試写会舞台挨拶 広瀬すず・松坂桃李

 

2022年5月2日


――皆さん、こんばんは。ようこそお越しいただきました。ありがとうございます。

さて、『流浪の月』特別試写会でございます。今日の皆様、応募数、ものすごかったんです。それに当たられた皆さんです。おめでとうございまーす!(拍手)

5月13日から公開になります『流浪の月』。これはすばらしい小説の映画化となっています。原作をお読みになった方は、一体どんなふうに映画化するんだろうと、いろいろなことを思わせてくれる小説でしたけれども、この映画は、10歳のときに誘拐事件の被害女児になった家内更紗を広瀬すずさんが、そして、その事件の加害者になってしまった青年、佐伯文を松坂桃李さんが演じています。そのほかに横浜流星さんや多部未華子さんといった豪華キャストでアンサンブル演技を皆様にご覧いただく作品です。

この主人公の2人の生きざま、そして関係性を丁寧に骨太につくり上げましたのは、6年ぶりの新作映画の公開です。『悪人』や『怒り』の李相日監督です。これが国境を超えてすばらしい撮影監督も参加をされています。韓国の映画『パラサイト 半地下の家族』。アカデミー賞を受賞しました。このホン・ギョンピョ撮影監督が参加しているということで、そのあたりもカメラアングルがどうとか、映画ファンにとってはたまらない映像がたくさん出てくると思います。

さあ、これからゲストの方をお呼びいたしまして、いろいろな映画の裏話を伺っていきたいと思っておりますが、久しぶりにこうやって大阪でも舞台挨拶が行われるようになってきました。つい興奮してしまって、キャーッとか言ってしまいたいですね。でも、大変申しわけありません。マスクをしていただいたまま、コロナ感染対策ということで、その思いを拍手にかえて応援をしていただければと思います。

それから、今日はマスコミの皆様もたくさんお見えでございます。マスコミの方以外の写真撮影、録音、録画もご遠慮いただいていますので、最後までご協力を賜りますようにお願いいたします。

さあ、それでは、皆さん、心の準備は大丈夫ですか? なんか皆さんのほうが緊張しているという感じですね。

じゃ、お呼びしたいと思います。皆さん大きな拍手でお迎えください。

広瀬すずさん、松坂桃李さん、ご登場です!(拍手)

ようこそお越しいただきました。ありがとうございます。

いま一度皆さん大きな拍手を。大阪へようこそ!(拍手)

それでは、まずは一言ずつ皆様のご挨拶をいただいてまいりたいと思います。

それでは、広瀬すずさんからお願いいたします。

広瀬すず:家内更紗役を演じさせていただきました広瀬すずです。本日はありがとうございます。久々に大阪に来れてうれしいです。ぜひ、短い時間ですが、よろしくお願いいたします。(拍手)

――よろしくお願いいたします。そして、松坂桃李さんお願いいたします。

松坂桃李:皆さん、本日は貴重な時間の中、わざわざありがとうございます。佐伯文役を演じさせていただきました松坂桃李です。すずちゃんと同じように、久しぶりに大阪へ来れてうれしいです。今日は最後までよろしくお願いします。(拍手)

――よろしくお願いいたします。

さあ、それでは、映画の話をいろいろ伺ってまいりたいと思います。

久しぶりの大阪で、興奮してしまって、皆さん思わず声が出ちゃったりという感じですが、5月13日公開。来週公開が迫ってまいりました。東京の舞台挨拶で、松坂さん、ちょっといつもの作品に比べて緊張感漂う、そんな感じもするとおっしゃっていましたが、いま、お気持ちをお聞かせいただいていいですか?

松坂桃李:そのとき言った気持ちと本当に変わらず。というのも、この作品が皆さんにどう受け取ってもらえるかというのが本当にわからなくて、演じた更紗と文の関係性、言葉にもなかなか言い表すことができない、何とも言えない強いつながりの形というものが皆さんにどう受け取ってもらえるかというのが、本当に気になるというか。本当だったら上映後に皆さんにお会いしたかったなというのが正直なところで。

――広瀬さんは、いま、どんな感じでいらっしゃいますか。

広瀬すず:どんな感じ……。すごく取材していただいたりとか、この映画についてお話しさせていただく機会がふえればふえるほど、どんどんわかんなくなってきちゃって(笑)。話したいことはいっぱいあるんだけど、思い出すと、ああだったな、こうだったなというのがどんどんふえてきて、私的には客観的にこの作品を観れなかったんですよね。感情が蘇ってくるというか。なので、今日、見る限り、結構年齢層が若い感じもするので、同世代の方だったりとか、どんなふうに伝わるのかなという、どういうふうに見えてるのかなというのが、桃李さんと同じく気になります。

――いまおっしゃったように、広瀬さんも体当たりの演技、体力的にも大変だったというふうにもお見受けいたしますけれども、李相日監督とも久しぶりにご一緒されたということで。

広瀬すず:そうですね。7年ぶり。

――前に『怒り』でご一緒されて、今回は、こうなったな、ああなったな、監督にこういうの言われたなとかって覚えていらっしゃることはありますか?

広瀬すず:ずっと心配されてました(笑)。

松坂桃李:(笑)

――どういう心配ですか?

広瀬すず:「お前大丈夫か?」みたいなことを結構頻繁によく言われていたんですけれども、どんなときも、私であり、そして更紗の味方でいてくださる監督なので、すごく心強かったですし、嘘をつくとバレるので、お芝居ってこういうものだったな、『怒り』のときもこう思ったなと、改めて再確認できる時間だったなと思いますし、だからこそ、いま、文のこの手で、この目線でガーッと心が動いたときに、「あれだね、オッケーテイクは」と後から言われたりとか。『怒り』のときは、演じるがままにやってたんですけど、そういう感情的な会話を冷静に今回はすることがふえて、ある意味新鮮でした。

――東京舞台挨拶では、監督が「広瀬すずさんの代表作をつくらなければならない」みたいなことをおっしゃっていて、広瀬さん、ちょっと照れていらっしゃるような感じ。あのときどういう感じでいらっしゃったんですか?

広瀬すず:怖~っ。

――(笑)

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:動揺が隠せなくて。すごくうれしかったのもありつつ、えっ、どういう意味? すごい考えちゃいました(笑)。

松坂桃李:ああ、その言葉の意味というかね。

広瀬すず:意味を考えちゃいました。

松坂桃李:絶対そのまんまだと思うよ。

広瀬すず:(笑)

松坂桃李:そこは素直に喜んだほうがいいと思うよ。

――これから皆さんにはご覧いただきますが、代表作になりそうですよね?

松坂桃李:間違いなくなると思います。

――松坂さんも、今回、また見たことのない松坂桃李さんの演技を見ること。毎回作品のたびに、どういうふうに変わっていくんだろうという期待があるんですけど。

松坂桃李:いやいやいや、何にもないです。本当に何にもないですから。

――李相日監督とは初めてでいらっしゃいますよね?

松坂桃李:そうですね。李さんとは今回初でしたね。

――最初、どういうお声がけがあったんですか?

松坂桃李:最初は、一回お会いしてお話ししましょうというところから言われまして、僕自身も李さんの作品を何本も見ていて、いつかご一緒したいなと思っていたので、あ、これはもしや、と思って、じゃ、ぜひお会いしてお話ししたいですということで、うちの事務所のある一室をお借りして、最初はマネージャーさんとかプロデューサーの方とかを交えての談笑じゃないですけど、トークを繰り広げ、最終的に「じゃ、あとはお2人でどうぞ」みたいな感じの空気にされ、2人きりになった瞬間、お互い終始無言、みたいな。沈黙、みたいな。ウーン。というところから始まったんですけれども。

でも、そこで、李さんの、役とか作品とかもそうですけど、対人に対しても、ものすごい真摯に向き合ってくださる、そういった熱量みたいなものもそこで改めて感じることができて、『流浪の月』という、本当にどの役も難しいんですけれども、どう乗り越えたらいいか、いまだわかっていない、僕が李さんとだったら乗り越えていける気がすると思わせてくれた、そんな方でしたね。

――私は皆さんより先に作品を拝見していますけれども、お2人もキャストの皆さんも監督への信頼がすごくある上で演技されているんじゃないかなというふうに感じたんですが、広瀬さん、そのあたりはどうですか?

広瀬すず:この作品に参加する上でも、このお仕事をする上でも、特別に私が信頼している方というか。それがたぶんすごく大きいので、「おお、李組か。明日からクランクインだ」とか思っても、諦めないでくださるので、道しるべをちゃんとつくってくださって導いてくださる、そこの独特な李さんならではの演出があったりとかもあるんですけど、それがすごく特別な感じがします。

――松坂さんはいかがでしょう。初めて現場ご一緒されて、監督の演出とか、こんな感じかと思われたことはありました?

松坂桃李:すずちゃんの言ってくれたように、最後まで見捨てないでいてくださるので、僕にとってはもう一人の文みたいな感じの――。文も優しい人間なんですけれども、監督も文のように底が見えない包み込み方で支えてくれるというか、手を差し延べてくれる感じというのは、何とも言えない、居心地のよさというか。現場へ入る前は、「すっごい厳しいよ、大変だよ、李組は。やるんだ、へー」みたいなことをいろんな方から言われたんですけど、そういった印象ではなく、実際に現場をご一緒してみると。とっても愛というか、本当に愛にあふれた方だなと思いましたね。

――そのあたりも映像の端々から皆さん感じていただけるんじゃないかなと思うんですけれども。

それにしても、お2人は今回ハードな役どころで、お2人の心の距離の縮める方法とか、何かお2人で最初にお話しされたりとかはあったんですか?

松坂桃李:縮める方法あったっけ?

広瀬すず:ありましたっけ?

松坂桃李:なかったよね。

広瀬すず:役柄的にも、現場が一緒でも、しゃべれない時間のほうが最初は多くて。

松坂桃李:多かったね。

――それは精神的にという意味ですか?

広瀬すず:シーンによって、まだちゃんとしゃべれない距離感のときが結構あったので、すごい現場の端と端にいて、挨拶以外しゃべらないみたいな(笑)。

松坂桃李:そうそうそう。

広瀬すず:という感じがちょっとあったりとかもして、どんどん感情的なシーンのときとかに、勝手に自分たち同士がというよりかは、テイクを重ねれば重ねるほど、これは別で桃李さんもおっしゃっていたんですけど、お芝居でやればやれるほど語り合っているような感覚に近かった。何かを……。

松坂桃李:したというよりかは、お互い、僕は、端と端にいたときとかでも、絶対視界に入っているんですよ。視界の端っこに。「あ、いまいるな、ここに」みたいな。必ずどこかで意識をしているというか。そのシーンも、まだお互いそんなにコミュニケーションをとらないシーンとかでも、実際、端と端で意識していることによって、それをどんどんどんどん積み重ねていくことによって、お互い、ちゃんとお芝居で会話をするときに、違和感なくそこでぶつけ合うじゃないですけど、漏れ出す感じというのは、溜めていたものというか、だから、お互い溜め合っていた感じかもしれないですね。

――なるほど。それが最後のほうにいくにしたがって、どんどんお2人が融合していくみたいな感じになっていったんですかね。

松坂桃李:はい。

――ほかにもすばらしいキャストが今回は出ておられますけれども、広瀬さんは横浜流星さんとは初めての共演でいらっしゃって、ご一緒されてみていかがでしたか? それぞれの恋人役の関係性もまたこれ大変な複雑な感じだったりもするんですけど、いかがでしたか?

広瀬すず:すごく難しかったというか。でも、私たちはもともとお互いすごく人見知りなので、はじめましてから、わりと短い期間で婚約者になってね、ちゃんととずっと監督からは言われてて、「はい」しか言えなかったんですけど、全然しゃべれなくて。その分、今日はリハです。亮くんと距離を縮めてくださいって場所を設けていただくのとはまた別に、スタッフさんが誰もいない、現地集合、現地解散で、ハウススタジオをお借りして、1日だらだら過ごしてみたり、撮影のクランクインの前日に長野を2人で回ってみたり、1日一緒に、カメラとかお仕事関係なく、とりあえず過ごしてみるというのを結構繰り返してたら、ちゃんとしゃべれるように、皮膚感覚としてすごく信用できる人にどんどん変わっていって、すごく亮くんには感情を乱されました(笑)。

――多部さんとは松坂さんは何度も共演していらっしゃいますが、今回はまたちょっと違った関係性で。

松坂桃李:そうですね。

――いかがでしたか?

松坂桃李:久しぶりの再会だったんですけれども、多部さんて、あんまり緊張を表に出さないタイプなので、今回もスッとクールな感じで「じゃあ、よろしくお願いします」みたいな感じで来るのかなと思ったら、意外と、たぶん久しぶりだったんですよね。映像の作品が。李さんということもあって、こそこそっと聞いてきて、「(声をひそめる感じで)李監督ってすごい厳しいって言われてるけど、どれぐらい厳しいの?」「いや、あのね、厳しいとかじゃないよ。一言で言うと心強い。だから大丈夫だと思う」みたいな。珍しく、今まで見たことないような緊張をまとっている感じがしたので。でも、久しぶりということもあって、しかも李さんでということで、確かにそれはわかるなという感じで。李さんもそこをくんでくれて、作品の中で文が営んでいるカフェがあるんですけれども、そこでカメラが回っていないところで実際に多部さんにコーヒーを淹れてみたりとか、そこでちょっとおしゃべりしたりとかという時間はあったりしましたね。

――ああ、なるほど。コーヒーのお話もいま出ましたけど、長野の松本で撮影されていたということで、これだけハードな撮影だったら、何か息抜きが必要だったりとか、コロナですからなかなか外に出れなかったかもしれないですけど、撮影中、合間、合間で楽しみを見つけたということはありましたか?

松坂桃李:楽しみありました?

広瀬すず:よく焼き肉を食べにいってました。

松坂桃李:出た!(笑)

――お肉好きでいらっしゃる?

広瀬すず:そうです。焼き肉食べるとなんか元気出るじゃないですか。

――出ますよね。

広瀬すず:だから、桃李さんが食事制限されたので、こっそり、よく行ってました。

松坂桃李:いやいや、全然。『情熱大陸』観てましたから。

広瀬すず:(笑)そうです。監督とも1回長野で行ったりとかして。

――松坂さんは、いまおっしゃったみたいに減量しながら。

松坂桃李:食事制限とかあったんですけれども、唯一、この日は大丈夫で、この料理だったら大丈夫だろうということで、長野なんで、お蕎麦をいただきましたね。十割蕎麦。うまかった。

――現場とかではどうなんですか? 待ち時間とか、最初、離れていらっしゃるとおっしゃってましたけど、じーっと役にずっと入り込んでいらっしゃるタイプなのか、撮影、今日終わりました。ホテル帰ります。スッと自分に戻れるタイプなのか、どういうタイプでいらっしゃいます? お2方は。

松坂桃李:たぶんどっちもスッという感じで。

――あ、普通にスッて、役はあまり引きずらない。

松坂桃李:「お疲れさまでした~」。

広瀬すず:「数時間後~」って言って(笑)。

松坂桃李:「では、また~」みたいな。

――引きずったりすると大変ですもんね。

松坂桃李:そうですね。特にこういった作品だともたない感じですよね。きっとね。

――ああ、なるほど。

実は、さっき「久しぶりの大阪で」というお話がありましたけど、今日は実は朝からずっとご取材で。

松坂桃李:はい。

――ハイヒールのリンゴさんのインタビューにお答えになったり、浜村淳さんのインタビューにお答えになったり、よ~いドン!に生出演されたり、いわゆる大阪で言うところのコテコテ全部味わっていらっしゃいましたね。

松坂桃李:あれが全部という感じですか?

――あれ、ほとんどですね、皆さん。

松坂桃李:フルコースみたいな感じなんですね?

――フルコースですよ、今日。

広瀬すず:すごいうなずいてます。

松坂桃李:ありがとうございます。

――(笑)みんなすごいうなずいていますけど。

松坂桃李:そうなんですね。

――大阪というと、どういうイメージがありますか?

松坂桃李:僕は朝ドラで大阪に住んでいた時期が一時期あって、そのときに、これは僕が見たわけではないんですけど、一緒に共演していた濱田岳という男が、朝、撮影で集まったときに「ねえ、ちょっと桃李ちゃん、桃李ちゃん」、僕のこと「桃李ちゃん」て言うんですけど、「今日さ、すごい人見たよ」「何?」「信号待ちしてたらさ、信号の向かいにピンクの下着姿のおばちゃんがずっと俺のこと見てんの。大阪ってすごいね」みたいな。「へえ、そういう場所なんだ」みたいな。

――そういう場所だったりします。

松坂桃李:違うと思うんですけど(笑)、そんな方もいらっしゃるんだなっていう、そこは結構衝撃でしたね。

――松坂さんご自身が何か関西人に、うわ、びっくりしたというようなこととかありましたか?

松坂桃李:今日とかも浜村淳さんのラジオを一緒にやらせていただいたんですけど、お話が上手過ぎて、映画の解説を僕ら2人とも聞き入っちゃうぐらい、お客さん側みたいな感じで聞き入ってしまうぐらい、滑らかなトークで、出演した側のはずなのに、えー、ああ、そうなんですね、それで、それで? ぐらいの軽快なトークというか、そこは本当に関西の方ならではの乗せ方と言うんですかね、すごい心地よかったですね。

――そうですか。じゃあ、なかなかしゃべりしろがなくて大変だったという……(笑)。

松坂桃李:いえいえ、そんなこともなくて、気づいたら終わってた、みたいな。

――広瀬さんはいかがですか?

広瀬すず:それで言うと、今日、リンゴさんに取材していただいたときに、東京ではなかなかないなと思ったのは、最後に聞かれましたね。「逆に何聞かれたい?」って言われて(笑)。

――逆インタビューですか?

広瀬すず:そうです。

松坂桃李:逆逆インタビュー。

広瀬すず:桃李さん考えちゃって、ずっとお鼻をこうやってやってて(笑)。これ、なかなかないなと思って、ちょっと変化球のある質問が多いですね。

松坂桃李:ねえ、多い。

広瀬すず:楽しいです。

松坂桃李:楽しい。

――ありがとうございます。

ほかに何か食べたものとかは。いつも大阪にお越しになったらこういうことをするとかってあったりしますか?

松坂桃李:今日とかは、スタッフさんがカレーを差し入れてくださったんですけど、そのカレーが出汁をかけて食べるカレーだったんですよ。それが恐ろしくおいしくて。また次大阪来たときに、店舗に行ってみたいなと思ったんですけど。

――出汁というのは、日本のお出汁ですか?

松坂桃李:お出汁ですね。

広瀬すず:とろみのある感じでしたよね。

松坂桃李:とろみのある感じで、鰹節をかけて出汁をかける。

――それ、カレーっぽくないですね。

松坂桃李:それがめちゃくちゃおいしかったんですよね。

――松坂さんのおすすめと言えば、明日から行列ができますね。

松坂桃李:ただ、何と言う名前だったか、いま思い出せなくて。しゃべりながら、ずっと思い出そうとしてるんですけど、出てこないんですよ。なんだったかなあ。

――言うと大変なことになるから、思い出されないほうがいいかも(笑)。

松坂桃李:いいですかね。

広瀬すず:行けなくなっちゃうかも。

――広瀬さんはどうですか?

広瀬すず:私は、大阪に来たら絶対に行く串揚げ屋さんがあって、昨日行ってきました。

――行きつけが。

広瀬すず:すごい早くこっちに来て。

――それを食べるために。

広瀬すず:食べるために。行ってきました。

――すばらしい! やっぱり大阪はおいしいですか?

広瀬すず:おいしいです、そこの串揚げ屋さんが。串揚げはもともと大好きなので、どこへ行ってもおいしいんですけど、そこのは特に好きで。舞台で大阪に来たときに、劇場の方にサラッと教えてもらったところだったんですけど、来たら、毎回行っちゃいます。久々に行けてうれしかったです。

――よかったです。ありがとうございます。

まだまだお話を伺いたいところではありますが、上映時間が迫っておりまして、この後、フォトセッションを撮らせていただこうと思いますが、最後に、まずは締めのご挨拶をいただいて、フォトセッションに入りたいと思います。

それでは松坂さんからお願いいたします。

松坂桃李:この作品は、形のないつながりというものを李さんがしっかりと原作の世界観を受け継いで映画化にしました。あとは、皆さんの感想を添えていただいて、ようやくこの映画が完成すると思うので、ぜひ、観終わったら、SNSなどを駆使していただいて、皆さんの協力を得たいなと思っております。最後まで映画楽しんでいって帰ってください。今日はありがとうございました。(拍手)

――ありがとうございます。

では、広瀬すずさんお願いします。

広瀬すず:スタッフさんと全員で丁寧に丁寧に、文と更紗のように丁寧に紡いでいった映画なので、ぜひ1人でも多くの方にいろんなものを感じ取っていただき、SNSですかね?(笑)

松坂桃李SNSですね(笑)。

広瀬すず:この2人の真実と事実と、ずっとレッテルを貼られて生きてきた2人の苦しさであったりとかもどかしさを、どうか皆さんに解消してほしいなっていう思いがあります。ぜひ余韻にたっぷり浸ってください。今日はありがとうございました。(拍手)

――ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

映画『流浪の月』 李相日監督インタビュー

 

SWEET!! ラジオ日本 2022年5月9日

 

 

――『流浪の月』を映画化しようと思った理由

李監督:本屋大賞を『流浪の月』が受賞する前に読むことができて、『怒り』以来、しばらく時間もあいてしまっていたので。ただ、自分の心の針に何が触れるか、読んでみないと、いろんなものを読んだり、見てみたりしないとわからないじゃないですか。その中で『流浪の月』というのは自分の中に刺さるものが幾つかあって、なかなか答えが出せないというのも一つあると思うんですけど、今の僕らが聞いている現代社会の空気感みたいなものもすごく映していますし、2人の、絆という言葉はあまり安易に使いたくはないですけど、2人の形容しがたい関係性みたいなものの確かさというものに自分の心の針が振れたんだと思うんですよね。

――映像化するのは難しくなかったですか?

李監督:よく、原作の中でも「名前がつけられない関係」と言っていますし、よく「生きづらさ」とか「不寛容の時代」とか言われるじゃないですか。そういったことって映像になったときにどういった表現がふさわしいのか。どうしたら今の人に実感としてきちんと届くのかというのはなかなか難しい作業でしたね。

――すごく難しそうだな、大変そうだな、表現するのは大変だったんじゃないかなと思って見ていましたけど。

李監督:わかりやすく、腹が立ったりとか、楽しかったりとか、悲しかったりとか、そういった説明できる感情ならわかるんですけど、ずっと渦の中にいるといいますかね。でも、表から見たら何が起きているかわからない。でも、普段、日常ってそうじゃないですか。みんな感情が表に出ているわけじゃないんで、外から見たときには何が起きているのかわからないけど、その人の中ではものすごくいろんなことが渦巻いている。ただ、何もしないと何も感じ取れないし、あまり渦巻かせ過ぎると見えるしという、その調整と言うんですかね。でも、それが日常だから、その空気感というものをどう捕まえていくのかというのがたぶん難しかったんだと思いますね。

――広瀬さんのポスターの表情一個でも、すごい微妙。今までの彼女に見たことのないような微妙な表情がにじみ出てる感じがして、それがまた役ならではというところなのかなと思っていましたけど。

李監督:そうですね。どんな表情って説明できないですね。でも、見たら何かが伝わるという気もしているんですけど。

――『流浪の月』での広瀬すずさんの印象はどうでしたか?

李監督:僕は『怒り』でご一緒したのは、彼女は17歳で、演じるということの入り口に立っていたかどうかというところだったんです。それこそ手取り足取りじゃないですけど、いろいろ細かく指摘したり話したりしたんですけど、今回は5~6年のキャリアもあるし、あの世代の中で突出した存在でもあるので、どちらかというと彼女からわき上がってくるものを僕はなるべくじっくり待つというか、自分で何か道を見つけていくちょっと手助けをするみたいな感じでしたけどね。

――広瀬さんのドキュメンタリーを観ていたときに、「この映画壊す気?」と監督がおっしゃっていたシーンがあって、私も一緒にはぁ~と思っていて、そこでも食らいついていく彼女がかっこいいなと思って見てて。

李監督:負けん気がすごいですからね。特にそのときは。あの負けん気の強さは(笑)。いま、だいぶ負けん気というか、何に勝つのかみたいなところは、もうちょっと違う考え方というんですかね。とにかくあの当時は、いろんなものに負けないみたいな強さがあったんですけど、もうちょっと熟成してきたのか、もう少し敵とかそういうことじゃない、もうちょっと自分との何かやりとりがふえたんじゃないかなという気はしますけどね。

――「自分の中からわき出す感情を監督は待ってくれた」というふうに話してましたもんね。

李監督:何か彼女の中でわき出るものと役との感情がつながったときの強さといいますか、そうしたときのエネルギーって、やっぱり特殊なものを感じますよね、端で見てても。

――松坂桃李さん、文役。どういった理由からキャスティングされたんですか?

李監督:理由がないのが理由、ぐらいに、本当に彼しか思い浮かばないというか。桃李くんて本当にたくさん作品に出つつも、いろんな役柄を、作品ごとに顔が違うというか。でも、Aという作品があって、その印象で次のBを観たときに、Aを引きずっているかというと、引きずっていないんですよね。浄化されて、次、次と、いい意味で残し過ぎないというか。だから、捕まえ切れないんですよね。でも、すごく、たぶん桃李くん本人の中には、印象ですけど、常にきれいな水が流れてる、じゃないですけど、そういった揺るがなさと清廉さみたいなものが、彼のイメージというか、彼の持っている人間性もあると思うんですけどね、が、文にたぶんぴったり過ぎるというか。

――文もよく怒らないなとか、これ、普通嫌じゃないのかなと思いながら観ていて。文の中にもきれいな水が通っていたんですかね。

李監督:でも、ちゃんとその奥底にマグマもあると思うんですよね。その感じは映画の中でも最終的にはマグマみたいなものを見せてはくれるので、ただ澄んでいるだけじゃない、その奥底には、ものすごく彼なりに溜めているものがあるという表現は秀逸でしたね。

――私、文の匂いさえも感じられるんじゃないかと思いながら。

李監督:匂いのしない匂いですよね。

――匂いまで透明感じゃないですけど。

李監督:そうですね。

――今までの横浜流星さんとはちょっとイメージが違いましたね。

李監督:ちょっとどころかというところですかね。彼自身も役者として飛躍したいという意欲がすごく強いタイミングで出会えましたかね。だから、自分が今までやったことないこととか、自分のイメージを突き破りたいという意思がすごい強かったので、そういう意味で、一番、言ってしまうと嫌われてしまうというか、誤解されることも多い役なんですけど、よくぞその役の中に深く入ってくれた印象ですけどね。

――でも、まっすぐさは失われていない気がします。

李監督:そうですね。彼自身の持っている不器用さみたいな真っ直ぐさは存分に生かされていたと思いますね。

映画って俳優さんの人生との出会いでもあったりするんで、どのタイミングで出会うかというのも結構作品に反映しますよね。結果的には。

――監督と出会うと自分の役の幅も広がりそうですね。

李監督:そうですね。

――広瀬さんだと父と娘のようで、横浜さんだと父と息子のようにも見えたんですけど。

李監督:実は年齢差の意識はそんなになくて。同じ目線。撮影を一歩離れると、僕も年の近い娘がいたりするので、こんなところが娘っぽいのかなと思ったりしますけど、撮影中は世代をあまり感じないというか。それは、例えば、柄本(明)さんとご一緒しているときでも、向こうも年下で息子みたいな感じでと思っていないと思うんですよね。そこは目線が一緒というか。それは、今回、更紗の子ども時代を演じてくれた白鳥玉季ちゃんにしても、もっと子どもよりもっと下ですけど、あんまり子どもだからという印象はないですね。同じ目線で会話している感じがしますよね。

――特に印象に残っているシーンは?

李監督:今回、カメラマンを今回、韓国から撮影チームに来ていただいて、日本映画を初めてやっていただいたので、『パラサイト 半地下の家族』『バーニング』を撮られた(ホン・ギョンピョ監督)。なので、日本の風景の捉え方が、僕が当たり前と思っていたものと見方がちょっと違ったりもして、何気ない役者の背景に入ってくる夕暮れだとか、湖の水面の波紋だとか、ちょっとしたことなんですけど、それがただ映像がきれいとか美しいだけではなくて、どこか俳優というか、役の登場人物の心証とすごく重なり合ってくるというんですかね。美しくもあり、役者のキャラクターの心を代弁しているようにも感じる、その厚みというのは、印象に残っていますね。

――カーテンが揺れるシーンでも2人の雰囲気が感じられるとか、あと、私が印象的だったのは湖のシーン。それぞれに湖に行くじゃないですか。湖のシーンと言えばそれだけなんですけど、そこで彼はこういうふうに思っているのかなとか、彼女はこういう気持ちなのかなとか、自然との感情の融合が素敵だなというのも感じました。

李監督:今回、なるべく水を意識して、水という存在が更紗と文の記憶につながったりとか、2人をつなげるものなのか、2人を包み込むものなのか、何かそういったメタファーとして所々でこっそり入れては(いる)。雨も水と言えば水ですし、文がいるカフェの隣には川が流れていたりとか、2回見ていただくと、そこまで気づくかもしれないなという(笑)。

――作品に込めた李監督の思い。

李監督:いま見ていただきたい。というのは、いま、生きづらさとか不寛容が自分たちの隣にあるときに、どうしても自分の常識でものを判断してしまったり、どこか人を批判してしまったりすることというのは、気がつかないうちにあったりもするので、そういった自分の常識をちょっと疑ってみるというか、そういった揺らぎも、この映画を見ることで何か気づきになるといいかなと思っています。

本当の真実って当事者にしかわからないですもんね。あとはみんな解釈があるだけなので、そういったところに踏み込んで、この2人をどう自分なら見るかという意識で見ていただければ。わかりやすく感動したということもいいんですけれども、そういったものをちょっと超えて、共鳴してもらえるとうれしいですね。

俳優と映像がすばらしいと思うので、劇場でご覧ください。

 

 

映画『流浪の月』 広瀬すず・松坂桃李インタビュー

 

BRIGHT MORNING FM802 2022年5月6日

funky802.com

 

内田絢子:FM802から内田絢子がお送りしているBRIGHT MORNING。ここからの時間は、来週5月13日公開の映画『流浪の月』主演のこのお2人にお話をお伺いします。

こんにちは。お一人ずつお声を聞かせてください。

広瀬すず:こんにちは! はじめまして。広瀬すずです。

松坂桃李:こんにちは。はじめまして。松坂桃李です。

内田絢子:よろしくお願いいたします。

広瀬すず松坂桃李:よろしくお願いいたします。

内田絢子:映画『流浪の月』は、2020年に本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの小説が原作の作品。広瀬さんと松坂さんのほかにも横浜流星さんや多部未華子さんなど豪華キャストが出演。そして、監督・脚本を『悪人』や『怒り』を手がけた李相日さん、撮影監督を『パラサイト 半地下の家族』を手がけたホン・ギョンピョさんが担当されています。

それでは、まずは映画のストーリー、お話しいただいてもよろしいですか。

松坂桃李:はい。映画はですね、女児誘拐犯とされた(佐伯)文と、そしてその被害者の(家内)更紗、この2人が15年ぶりに再会をして、世間から貼られたレッテルの中で生きてきた2人が再会することによって、その2人が抱えている真実と世間から見た事実というものの中で、2人が見つけた唯一のつながりというものをしっかりと、本当に美しく、そして強く、李さんが演出を手がけて映像化されている作品でございます。

内田絢子:松坂さんは佐伯文という青年を演じていらっしゃいますけれども、言葉ではなく、目や表情で感情を伝えていくという、非常に難しい役だったと思うんですが、どんなことを意識しながら演じていかれましたか?

松坂桃李:台本には書かれていない余白の部分といいますか、文が子どものころ、どうやって生きてきて、どういう家庭の中で育ってきながら、抱えてきたものと向き合ってきたのかとか、そういったことを考えつつ、そこの先で出会った更紗との衝撃的な出会いといいますか、そこは文にとっては宝物のような時間で、それがある事件がきっかけでお互い離ればなれになってしまって、そこの空白の15年間というものも自分の中で李さんと話をしつつ埋めながら、そして15年ぶりに再会した更紗に出会ったとき、その瞬間とかも、すずちゃんと一緒にお芝居をさせてもらっている中で、今まで自分が実感としてちゃんと積み上げてきたものをすずちゃんに預けながらというか、こういうふうに自分は思ってきたとか、わからないですけど、そこは言葉で説明とかというよりかは、お芝居をしていく中でお互いが腹の底でつながっている感じをたぐり寄せながらやっていくというか、そういった感じでしたね。

内田絢子:更紗と、そして文と、2人が一緒にいるからこそのできる呼吸というのがあったりとか、物語はとても緊張した状態で進んでいくけれども、信頼するところから生まれる強い絆みたいなものは、作品からとても伝わってきて、更紗という女性は、ファミリーレストランのアルバイトの中では、とても周りの空気に溶け込みながらも、大切な人を守るためには感情を露わにして闘っていくという姿が、すごく人間らしくて愛おしいなと私は思ったんですが、いろんな感情に揺り動かされる中で、演じていてすごい大変だなと思ったこととかはありますか?

広瀬すず:更紗が一番普通に生きようとしているというか、溶け込むのに、癖のようにみんなと笑ったりとか。でも、不意に、すごく違う角度から物を見られたりとか、自分を見られたときに出る目線であったり、そのときの笑顔であったりとか、そういうのが最初私の案はなくて、自分の道を歩んでいけば楽だなと思ってしまった私の更紗像と、監督には「ずっと笑ってたらいいんじゃない?」って言われて、「もっとふわっとしてて、明るくていいよ」って言われて、ああ、そうかと思ってから、溶け込む……自分を、いるけどいないようにしてもらえる生き方なんだなというのを途中で気づいてから、作り笑いじゃないけど、癖のように笑顔が出てきてしまうというのは、すごく意識していたかもしれないです。

内田絢子:そこは松坂さんも、いま、非常にうなずいていらっしゃいますが。

松坂桃李:表面で出てくるものと心の中で感じているものの違いというか時差みたいな、そういったものが更紗からは感じ取れますよね。

内田絢子:気持ちを隠しながらというところと露わになるところのその広瀬すずさん演じる更紗というのも皆さんにぜひご覧いただきたいですし、物語のキーとなるカフェcalico。これ、すごく素敵な佇まいでしたけれども、お2人にとってこの場所というのはどんな空間ですか?

松坂桃李:何ですかね。鎧がとれる場所というか、鎧をとる場所みたいな、わからないですけど、お互い、それぞれcalicoで感情がむき出しになるところが2つそれぞれあるんですよね。だから、ある種、まとっていた、体に周りについていた雪の塊みたいなものをドサドサドサッと落とす感じというか。外で溜まってきたものを。そういった場所でもあったりするのかなあと思いましたね。

内田絢子:松坂さんが淹れるコーヒーがとてもおいしそうでした(笑)。

松坂桃李:本当ですか? ありがとうございます(笑)。

内田絢子:広瀬さんにとってはcalicoはどんな場所でしたか?

広瀬すず:昔、誘拐されてるって世間に出るときって、更紗は文のお家にいて、その2人が共有できる場所みたいなものが、大人になっても、それがcalicoになってるというか。文の家と同じ感覚で、更紗も来やすいんだろうなというか、それこそ脱ぎやすいというか。文の家は、私自身は現場に行ってなくて、見てなかったので、わからないんですけど、「あ、文と2人の空間ができた!」みたいな、ある意味うれしいというか。

内田絢子:2人にとっての新しい場所がまたここに見つかったという、そのcalicoの光の感じとか、空気がピーンと張りつめる感じというのもすごく素敵な空間でした。

李監督とはいろいろコミュニケーションをとりながら、この言葉はちょっと強烈に印象に残っているなとか、そんな出来事とかありましたか?

松坂桃李:いっぱいありますけどね。あり過ぎてちょっとなあ……。いっぱいあり過ぎて、本当にどれかわからないですけど、いろんなことを、ラジオだからある程度オブラートに包みつつ集約して言うとするなら、李さんに言われて結構ズーンてきたのは「一回外の空気吸ってこよっか」。

広瀬すず:(笑)言う。言う。

内田絢子:いま、その重みをすごい感じました(笑)。

松坂桃李:「はい……」みたいな。

広瀬すず:言います。でも、時期的に、ある意味ごまかされてたのは、私、前回の『怒り』という映画でご一緒したときもそういうのあったんです。「一回一人で考えてくれば」って。今回は、「うん、換気しよっか」。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:すごい言われて、ああ、優しい言葉。

松坂桃李:ニュアンスがちょっと変わったんだ。

広瀬すず:「考えてこい」は私のための時間になっちゃうけど、「換気しよっか」は、しなきゃいけないから、そこの間で考えれるでしょ、みたいな感じで私は言われました。

松坂桃李:すごいね。

内田絢子:いろんな意味の込められた監督からの一言。

でも、本当にすごい撮影期間だったと思うんですが、原作を読んだときも感じましたが、この作品に出会えてよかったなというのを、映画を観た後もすごく思ったんですね。

お2人は完成した作品を観た後って、どんなことを思ったんだろうというのを最後にお聞かせいただきたいです。

松坂桃李:どう思ったか。

内田絢子:はい。

松坂桃李:本当この2人のことがすごく僕は愛おしく思ったし。もちろん、ほかの亮君だったり谷さんも、やっぱり気持ちがわかる分、辛くて、その2人ももはや愛しいし、何より、更紗と文が、新しい、自分たちにしかないつながりというものをちゃんと見せてくれたことによって、言葉には括ることができないつながりというものをちゃんと見せてくれたことによって、ある種のこれは希望のような、そういったことにもつながったなと思いましたね。

内田絢子:広瀬さんはいかがですか?

広瀬すず:私は、どうしたってたぶん一生客観的に見れることはないので、現場でもそうだったんですけど、完成を見れば見るほど、文の優しさに気づき過ぎちゃって。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:このとき、こうだったんだとか、この2人がとか、あの2人も切ないなとかじゃなく、最後のほう、眼中は文しか(笑)。文で世界が成り立って生きれてたみたいな更紗の感情が、試写を観て蘇ってきちゃってから。

松坂桃李:ああ。

広瀬すず:でも、亮くんのことも好きだったよ、みたいな(笑)、いろんなことに反論したくなるし、ああ、ここで文はこんなに優しい手を差し延べてくれてたんだとか、そういうことに気づき過ぎて、2回観てるんですけど、2回目が一番しみました。

松坂桃李:(笑)でも、わかるかも。2回目、一番食らうよね。

広瀬すず:一番食らいました。だから、そうだ、1回じゃ、こんな、これ、わかんないよ、自分でもって

松坂桃李:そうね。

広瀬すず:ちょっと思って、もう一回観れるかなと思って、「データありますか?」って言っちゃったりしたくらい、本当に観れば観るほど、いろんな人の切なさと、優しさと、情と、狂い方に、グサグサグサグサ、心をやられてて。だから、ああでした、こうでしたって何も言えなくて、監督に、観終わった後は「あ、ごぶさたしてます」っていうのだけ言って、逃げるように帰りました。言葉を求められたら、たぶん文を思い出して泣いちゃうかもと思って(笑)

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:だめでした。

内田絢子:でも、いまそうやってお話ししてくださった、お互いを思う愛おしさというのが、まさにこの作品を観終わった後の一番あふれてくる感情だと思うので、ぜひ皆さんも劇場でご覧いただきたいなと思います。

松坂桃李:はい。

広瀬すず:ぜひ。

内田絢子:この時間は、来週5月13日公開の映画『流浪の月』主演の広瀬すずさんと松坂桃李さんにお話をお伺いしました。いろんなエピソードをありがとうございました。

広瀬すず松坂桃李:ありがとうございました。

 

 

内田絢子:今日ご紹介した映画『流浪の月』は、更紗と文が出会った、とある夏から始まるストーリーです。今日は主演の広瀬すずさん、松坂桃李さんのインタビューをお届けしましたが、この作品に向き合った時間、そして更紗と文、それぞれが2人の心の中に今もいろんな感情を届けてくれているんだなというのが、お話を聞きながらも思いました。

松坂さんが、そういえば、台風が撮影中に来て、でも、その台風の雲が一瞬切れた瞬間に撮影した橋の上のシーンもすごくきれいで大好きです、というのをおっしゃっていて、よかったらそんなシーンもぜひ見つけてみてください。

「事実と真実は違う」ということを何度も何度も突きつけてくる、そんな映画でもあります。いろんなことを考えさせられるし、そして、とても美しい映像にも注目してご覧いただきたいです。

来週5月13日金曜日から映画『流浪の月』公開となります。

 

 

心にしみわたる、とても素敵なインタビューでした。

 

 

ディアフレンズ ゲスト 松坂桃李

 

ディアフレンズ TOKYO FM 2022年5月4日

www.tfm.co.jp

 

坂本美雨ゴールデンウィークですね。皆さん、どんなふうにお過ごしですか?

さあ、本日のゲストは、こんなお休みの日にぴったりなこの方、俳優の松坂桃李さんです。

松坂桃李:どうも。松坂桃李です。皆さんよろしくお願いします。

坂本美雨:よろしくお願いします。はじめまして。

松坂桃李:はじめまして(笑)。

坂本美雨:桃李さんとラジオというと、もう、あの話、『遊☆戯☆王』の話なんじゃないかと(笑)ファンの皆さんは思っていらっしゃるかもしれないんですけれども。

松坂桃李:そんなに有名なんですかね(笑)。

坂本美雨:そうですよ。ネットニュースとかで(笑)見ました。

松坂桃李:いやあ、申しわけない(笑)。

坂本美雨:今日は映画のお話をメインにお伺いできればと思うんですけれども。

改めまして、はじめましてなので、ちょっとおさらいをさせていただきますと、桃李さん、現在33歳でいらっしゃいます。2009年に『侍戦隊シンケンジャー』でデビュー。「殿」と呼ばれております。その後、皆さんご存じのとおり、引っ張りだこです。本当、さまざまなドラマ、映画もそうですし、舞台でも体当たりの演技を(笑)。

松坂桃李:そうですね。やらせていただきました。

坂本美雨:私は『孤狼の血』がやっぱり衝撃でしたし

松坂桃李:ああ、ありがとうございます。

坂本美雨:『新聞記者』はもちろんですけど。

松坂桃李:ああ、すごい。

坂本美雨:この番組でも劔樹人さんを

松坂桃李:ああ、劔さん!

坂本美雨:お迎えしまして、『あの頃。』のときにいっぱいお話を伺ったんです。

松坂桃李:そうだったんですね(笑)。

坂本美雨:コンサートに一緒に行かれたり、ヲタ活を一緒にしたという。

松坂桃李:『あの頃。』の作品が決まったときに、役作りの一環として「じゃあ、観にいきましょう」ということで一緒に観にいって。そうしたら、ちょうど観にいったときに週刊誌に撮られたんですよね。「松坂桃李、実はハロプロのヲタクだった!」みたいな書かれ方をして、役作りで行ったんですけど、後々これはいい番宣になるから、そのままでいいかということで(笑)。そんな話もありましたね。

坂本美雨:そうでしたか。本当に劔さんのTシャツとかジャケットとか私物を使われていたそうですね。

松坂桃李:そうなんですよ。だから、羽織ったときに、ちょっと劔さんの匂いがするんですよ。

坂本美雨:(笑)

松坂桃李:積み重ねた匂いといいますかね。その香りをまとって演じさせていただきましたね。

坂本美雨:さあ、今月5月13日から公開される映画『流浪の月』では、桃李さん、また新境地に行かれましたね。

松坂桃李:いやいやいや、とんでもない。

坂本美雨広瀬すずさん、松坂桃李さんのW主演。原作は、一昨年、本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの作品です。監督は『フラガール』とか『悪人』『怒り』でメガホンをとり、日本アカデミー賞の常連でもある李相日監督です。

少し物語に触れていきたいと思うんですけれども、広瀬すずさんが演じる更紗ちゃんが10歳のときに、当時19歳だった、桃李さん演じる文に、雨が降る夕方の公園で出会います。更紗ちゃんが「お家に帰りたくない」ってぽつりと言ったら、「うち くる?」と誘って。でも、今、現代の感覚で言うと、知らない男の人が声をかけるという危ないシーンのはずなのに、すごく切ないような、純粋なシーンから始まったなあ、という印象です。

松坂桃李:ありがとうございます。そう思っていただけると。

坂本美雨:文と更紗はその後本当に純粋な関係性をはぐくんで、でも、文が逮捕されてしまって、本当にいろいろ大変な目に遭ってしまうんですけれども、この文という男性を演じるにあたって、桃李さん、まずはどんなことに取り組まれたんでしょうか。

松坂桃李:まず原作を読ませていただいたときに、文の抱えている真実というものを監督と一緒にディスカッションをして、これはどういうところからアプローチしていったらいいかというところから入りまして。これはネタバレにつながることなので、気をつけてしゃべっていきたいんですけど、文の抱えている真実というものから、体のシルエットはちょっと落としたほうがいいよねというところから始まっていって、そこからだんだんだんだん文の内面に迫っていくんですけど、佐伯文という人物は、掘っても掘ってもずっと霧の中にいるような、深い広い湖の中を潜っても潜っても底が見えないような、そういった大きな闇といいますか、黒いものを抱えている人物だなと僕は思っていて。

その彼と向き合うにあたって、本当にいろんな役作りのアプローチというんでしょうかね、ことをやらせていただいて、監督の提案で「文が実際に撮影で使うアパートで寝泊まりしてみたら?」という提案があったので、「じゃあ、そうさせていただきます」ということで、そこで寝泊まりしてみたり、文として日記を書いてみたりとか、あとは、今回、コーヒーを営んでいるので、ひたすらコーヒーを淹れてみたりとか、更紗に対してどういう思いで佐伯文という人物は、更紗と今回再会するところも描かれているので、幼少期の更紗から大人になった更紗の出会うまでの空白の15年間をどう自分の中で埋めようかということもあったので、そこに対して文字に起こしてみたりとか、思いつく限りのことを結構やってみましたね。

坂本美雨:体はどのぐらい絞られたんですか?

松坂桃李:大体7~8キロぐらいとかですかね。撮影のときは大体59キロとか、それぐらいでしたね。

坂本美雨:ひゃあ、そうですかぁ。

松坂桃李:はい。

坂本美雨:先ほど「闇」とおっしゃいましたけれども、佐伯文さんに対して、怖い種類の狂気は全然感じなくて、そこがすごく澄んでいるというか。それって、桃李さんのもともと持っていらっしゃる素質なのか、それとも、何かを意識してそうされたのか。

松坂桃李:その闇というものが、人に対して向ける闇じゃなく、自分の中に対して向ける闇といいますか、文が抱えている真実というものが、世間が見る事実と文が抱えている真実の間でかえって板挟みになって揺れているというか。本当はこの真実を明かせばすごく楽なんでしょうけど、楽になった瞬間に、後ろからものすごい恐怖というか、怖いものが迫り来る感じというんでしょうかね、なんかそういうものがあって、だからこそ、この真実を打ち明けることがなかなかできないというか。そこから来る闇みたいなものが彼の中にはあるんじゃないかなと僕は思うんですよね。

坂本美雨:なるほど。防波堤になってるような、ぎりぎりのところで穴をふさいでいるような。必死に。感じなんですかねぇ。

松坂桃李:そうですね。コップ1杯のお水に、たくさん水が満杯の状態で、あと表面張力で、ちょっとの刺激でこぼれそうな、それぐらいのぎりぎりなところをずっと渡り歩いてきているような人といいますか。

坂本美雨:その危うさと美しさの両方、本当に胸を打ちました。

松坂桃李:ありがとうございます。

坂本美雨:そして、子役。子役とは言えないぐらいなんですけれども、更紗ちゃんの子ども時代を演じられた白鳥玉季さん。撮影当時は11歳でいらっしゃいましたけれども、んやあ、すごい演技ですね。

松坂桃李:いやあ、すばらしいですよねぇ。

坂本美雨:彼女とのコミュニケーションはいかがでしたか?

松坂桃李:彼女とのコミュニケーションがあったからこそ、僕の佐伯文という役は仕上がったんだなと思いました。それぐらい、おっしゃっていただいたように、子役とは思えないような現場での立ち姿といいますか。子役の子だったら、お家できっとこの台詞いっぱい練習してきたんだろうなっていうのって結構あると思うんです。全然それは悪いことじゃなくて。

白鳥玉季ちゃんは、どれとも違う、現場に参加してるからこその責任みたいなものをもう既に一人で背負っているような、プロとしての自覚みたいなものをもう持ち始めている感じ。でも、だからといって大人過ぎてはなかったりするし、ものすごく無邪気に監督とカメラマンさんのホン(・ギョンピョ)さんとかとおしゃべりする瞬間もあったりするんですけど、カメラの前だったり、ちょっとした本番前のいい緊張感の状態のときの彼女の立ち姿というものが、一人の役者さんとしての責任をまとってる空気感みたいなものがありましたね。

坂本美雨:2人の関係性をどう描いていこうというのは、彼女とお話しされたりもしたんですか?

松坂桃李:どう描いていこうというよりか、李監督が大切にしてくれたのは「更紗と文の関係性だからこそ、コミュニケーションたくさんとっておいて」ということだったので、リハーサルのときとかも、台詞の読み合わせとかではなくて、本当にたわいもない話。自分は学生時代こうだったよとか、今ハマってるものとかという話から、だんだんだんだん友達づき合いの話とか、普段周りにはあんまり言ったことないような話とかをお互いしたりとかして、そこで戦友とも言えない、何とも言えない、強いつながりみたいなものを2人で構築していくというか。

坂本美雨:それこそ文と更紗の関係ですよね。徐々に

松坂桃李:そうですね。みたいな。

坂本美雨:心の内をポロッと言える相手になるっていう。

松坂桃李:そうなんですよね。彼女も僕が話したからこそ打ち明けてくれた部分もあったりとかしたので、そこの信頼関係は強かったのかなと思いますね。

坂本美雨広瀬すずさん、松坂桃李さんのほかにも、横浜流星さん、多部未華子さん、さらに内田也哉子さん、三浦貴大さん。柄本明さんも圧倒的な存在感でしたね。

松坂桃李:すごい面々の方々が。

坂本美雨:そして、劇中の音楽を担当されたのは、以前、ディアフレンズでもお迎えした音楽家の原摩利彦さんです。それでは、『流浪の月』サウンドトラックから1曲おかけしましょう。

原摩利彦さんで映画『流浪の月』サウンドトラックより「メインテーマ」♪

坂本美雨:映画『流浪の月』サウンドトラックより、原摩利彦さんが作曲された「メインテーマ」をお送りしています。

坂本美雨のディアフレンズ、今日は俳優の松坂桃李さんをお迎えしています。

お知らせの後、松坂さんのプライベートにもちょっと迫らせてください(笑)。

松坂桃李:はい(笑)。

(CM)

坂本美雨:今日のディアフレンズは、出張ディアフレンズをしまして、俳優の松坂桃李さんに会いに来ています。引き続きよろしくお願いします。

松坂桃李:よろしくお願いします。

坂本美雨:さあ、桃李さんのプライベート、見てもいいんですか?

松坂桃李:はい。もちろんです(笑)。

坂本美雨:それでは、質問ボックスから1枚質問を引いてください。

松坂桃李:わかりました。1枚ですね。じゃ、ここから引かせていただきます。僕が読み上げさせていただきます。質問はこちらです。「あまり人には伝えていない特技や趣味は?」

あまり伝えていない特技や趣味。そうですねぇ、特技、うーん、匂いに敏感(笑)。

例えば、料理とかでも、いろんな調味料だったりとか、味付けがされてる料理が出されてたときに、かいで、これ、このスパイス入ってるかも、とか、こういう香辛料入ってるんじゃないか、とかというのはたいてい当たるというのはありますね。これはたぶん言ってない。この特技は言ってないですね。

坂本美雨:そうですか。それ、昔から?

松坂桃李:今思うと昔からだったのかなと思います。匂いに敏感というか。友達のお家に遊びに行ったときに、自分の家と違う匂いってあるじゃないですか。

坂本美雨:はい。

松坂桃李:それをすごい敏感に、ああ、この家はこういう匂いなんだ、とか、ああ、この家は結構木の匂いがするな、とか、そういうことを思っていた時期はありましたね。

坂本美雨:どんな香りが好きですか?

松坂桃李:一番いいのは無味無臭なんですけど、香りがあるとしたら、レモングラスの匂いがほんのり香るぐらい。ほんのりですけど。ほんのり香るぐらい。

坂本美雨:さわやか系?

松坂桃李:なのかな。

坂本美雨:でも、ご自身ではあまりつけない。

松坂桃李:つけないですね。香水とかというのはあまりつけないですけど。

坂本美雨:じゃあ、劔さんのTシャツの匂いがね(笑)敏感に。

松坂桃李:あの匂いは敏感に。やっぱ役者さんによって、役によって香水を変える人とかいますからね。

坂本美雨:確かに。

松坂桃李:だから、匂いって結構重要だったりするんだなと思うんですね。人の、例えば劔さんだったら、今この場に、あのジャケットから香る匂いが劔さんのことを思い出したりするじゃないですか。それぐらい匂いって脳を刺激するといいますかね。

坂本美雨:そうですよねぇ。

桃李さんの新しい役、文さんは、佐伯文はどんな匂いなんだろう(笑)。

松坂桃李:アイロンかけたての匂いに近いかもしれないですね。

坂本美雨:あ、そうだ。いい匂い(笑)。あとコーヒーと。

松坂桃李:コーヒーと混ざったような匂いですね。

坂本美雨:さあ、映画『流浪の月』、今月5月13日からいよいよ公開となりますけれども、この映画の映像も本当に美しくて、『パラサイト 半地下の家族』も手がけられた撮影監督ホン・ギョンピョさんです。これ、観終わってから知りまして。『パラサイト』の人だったんだというのを。印象的な、水とか青っぽい色合いとか美しかったですね。

松坂桃李:現場でもどう撮られているかわからないんですよね。こういうことを言うのは変かもしれないんですけど、たいてい、カメラアングルって、こう撮ったら、きっとこういう画になって、こういうふうに編集されて、こういうシーンになるんだろうなって、ある程度大枠みたいなものがわかるんですけど、ホンさんの場合、カメラアングルが自分の左側にあるとしたら、1回テストをやって、じゃあ、これでいくんだろうなと思ったら、「はい、本番」というときには、カメラが自分の右斜め前にあったりとか、本当にフレキシブルに現場でカメラの位置が変わっていくので、現場自体が生き物みたいな感じというか。

あとは、「雲の形がよくないから今日はこのシーン撮らないね」みたいなのが平気であったりとか、逆に、ものすごい、台風なのにもかかわらず、今日は撮影ないだろうなと思ったら、「いい雲だね。撮ろう!」みたいな(笑)。本当ですか?みたいな。冒頭シーンとか、ちょうど台風が来てるときに撮ってるんですよ。

坂本美雨:はあ。リアル嵐というか。

松坂桃李:嵐なんですよね。だから、雨降らしじゃなくて本当に降っているんですよ(笑)。なので、だから、役者陣もどういう仕上がりになるか全くわからなくて。実際につながった映像を見させてもらったら、本当に一人一人の登場人物の表情といいますか、ニュアンスをしっかり細かく捉えていて、こんなふうに撮られてたなんて思わなかった、というのが衝撃でしたね。

坂本美雨:鳥が印象的で。

松坂桃李:あ、そうですね。

坂本美雨:パーッと飛んでいったり、電線にびっしり鳥が並んでいたりしていて。

松坂桃李:鳥待ちとかありました。

坂本美雨:ほんと? そうなんだ(笑)。

松坂桃李:(笑)

坂本美雨:そういうのも象徴的に意味があるのかな。

松坂桃李:そうですね。ホンさんの中でも、この作品のテーマみたいなものが何個かあったので、それをしっかりとカメラの中におさめるまでは妥協しないっていう。

坂本美雨:そうかあ。いやあ、すごかった。

さあ、ここで1曲、桃李さんのリクエストをおかけしたいと思います。

BUMP OF CHICKENで『クロノスタシス』♪

坂本美雨:UMP OF CHICKENで『クロノスタシス』、松坂桃李さんのリクエストでおかけしていますけれども、この曲を選ばれたのは?

松坂桃李:理由としては「バンプの新曲だから」というのが一番の大きな理由で、もともと僕はBUMP OF CHICKENが大好きで、ラジオに出させてもらうときに、わりとバンプさんの曲ってかけたいなって思うことが結構あるんですよね。なので、今回このタイミングでちょうどバンプさんの新曲が出たので、もうこれしかない!と思ったので、この曲を選曲させていただきました。

坂本美雨坂本美雨のディアフレンズ、今日は俳優の松坂桃李さんとお送りしています。

(CM)

坂本美雨:今日は俳優の松坂桃李さんをお迎えしました。どうもありがとうございました。

松坂桃李:ありがとうございました。

坂本美雨広瀬すずさんと松坂桃李さんW主演の映画『流浪の月』は5月13日金曜日から全国公開されます。そのほか桃李さんの最新情報などは、オフィシャルサイトやSNSをごらんください。

今日は駆け足でお話ししていただく時間が足りなかったんですけれども、また来ていただけますか?

松坂桃李:もちろんですよ。番宣じゃなくてもぜひ(笑)。

坂本美雨:言いましたね?(笑)

松坂桃李:全然。もちろん、もちろん。

坂本美雨:ぜひお願いします。

松坂桃李:お願いします。

坂本美雨:今日はどうもありがとうございました。

松坂桃李:どうもありがとうございました。

坂本美雨:ここまでのお相手は坂本美雨でした。それでは、皆さん、よい祝日を。

 

 

『流浪の月』広瀬すず・松坂桃李インタビュー

 

ありがとう浜村淳です MBSラジオ 2022年5月3日

 

浜村淳:5月13日から『流浪の月』という映画が全国で公開されます。この映画に主演しました松坂桃李さんと広瀬すずさんが昨日フラッとこのスタジオへやってきましたので、いろんな話を聞きました。その模様を聞いていただきます。

浜村淳:まず、松坂さん。

松坂桃李:はい。

浜村淳:来てほしかった映画、今までにたくさんあったんですよ。例えば『新聞記者』。よかったね、あれは。

松坂桃李:ありがとうございます。

浜村淳:何遍も頼んだんですけど、「だめです。スケジュールとれません」と言われて。すずちゃんも『ラストレター』。あのときも来てほしかったんです。

広瀬すず:ありがたいです。

浜村淳:それもスケジュールがとれませんて。ようやく今日になったんですが、お2人の共演は初めてですか?

松坂桃李:2回目です。

広瀬すず:2回目ですね。

浜村淳:何がありましたっけ?

松坂桃李広瀬すず:『いのちの停車場』。

浜村淳:すずちゃんにはほかに『三度目の殺人』というのがあったでしょう。あのときも来てほしいとずいぶん依頼したんです。

広瀬すず:ずっしりめの映画がお好きなんですね(笑)。

浜村淳:そう。今回もずしっと。『流浪の月』はずっしりしてますよ。

松坂桃李広瀬すず:(笑)

浜村淳:でも、おもしろいストーリーですね。

松坂桃李:ありがとうございます。

浜村淳:映画始まると、いきなり友達と公園で遊んで、友達みんな帰った後、すずちゃん(子どもの更紗:白鳥玉季ちゃん)が1人で本を読んでる。あれ、『赤毛のアン』でしたっけ?

広瀬すず:そうです。『赤毛のアン』です。

浜村淳:読んでるとき、雨が降ってきて、本の上にポツッポツッと雨の雫が落ちる。ああ、どうしようかと思ってると、誰かが傘を差しかけてきて、「うちへ来るかい?」と言うでしょう。これが松坂桃李さんで。

松坂桃李:はい。

浜村淳:19歳くらいですか? あのとき。

松坂桃李:そうですね。設定的には。

浜村淳:そうして、結局すずちゃんは「行きます」言うてついていくじゃないですか。それから2カ月、この19歳の大学生と家内更紗ちゃん、2人の生活が始まる。でも、世間的にはこれは若い男の少女誘拐やと思われるんですが、そうじゃない。更紗のすずちゃん、ものすごくうれしいんですね。家庭的にいろんなことがあって、ましておばさんの家に預けられたら、そこの息子が本当にイヤらしい奴なんですよね。本当は死にたい、この家飛び出したい、思っているけれども、行くところがないし、お父さん、お母さんいないし、それで、大学生の松坂さんとずいぶん自由に伸び伸びと楽しく過ごしますね。

松坂桃李広瀬すず:はい。

浜村淳:更紗ちゃんの生活ぶりがだんだん松坂さんの佐伯文くんに移っていくじゃないですか。

松坂桃李:はい、はい、はい。

浜村淳:晩御飯にアイスクリーム食うとかね。

広瀬すず:奔放な(笑)。

松坂桃李:そうですね。

浜村淳:ついに松坂さんは少女誘拐事件で逮捕されると。それで、その逮捕されるとき、湖の突き出た桟橋の上で警察に捕まるでしょう。

松坂桃李:はい。

浜村淳:そしたら、すずちゃんと松坂さんが手を握りあったまま離さない。「手を離せ!」なんて私服の警官、怒鳴りますね。しかし、松坂さんはすずちゃんに向かって「更紗ちゃんは更紗ちゃんでいるんだよ」。人を好きになって、あるいは「好きにさせてはいけないよ」って最後の言葉を残して手を離して警察に連行されていく。

話してよいのはここまでなんです。

広瀬すず:(笑)

松坂桃李:すごい詳細に言ってくださるんで、このまま最後まで聞き入ろうかなという。

広瀬すず:そんな映画だったんですか?っていう反応をしちゃいそうでした(笑)。

浜村淳:違います。映画会社は詳細に話してはいけないと言うんですよ。今の話のそこから先を話すと(笑)。

松坂桃李:最後まで聞きたかったなあ、今。

広瀬すず:(笑)

浜村淳:いやいやいや。

すずちゃん、松坂さんをどういうふうに感じました? 2回の共演で。

広瀬すず:前回、『いのちの停車場』という映画でご一緒したときは、すごく情熱的な男性で、今回、本当に植物のような、心というものがあまり感じれない、出さないようにしている役柄でもあったので、正反対の役で、こんなにも一瞬で空気を変えるというか、まとえるものを、こんなに繊細に、そして敏感に表現される方っていうのを、何となくすごい方なんだなというのはわかってはいたのに

松坂桃李:いやいやいや(笑)。

広瀬すず:想像をはるかに(笑)。

浜村淳:すずちゃんの言うとおりなんです。松坂さん、『居眠り磐音』でこの番組に来たときに、本木(克英)監督と私と2人で松坂さんを「上手い!」言うてずいぶんほめたんですよ。あれは打ち合わせしてほめたんじゃなくて、僕が「松坂さん、いい芝居しますね」言うたら、監督が「そのとおり。上手いんですよ、この人は」言うて、声合わせてくれた覚えがございます。

松坂桃李:いやいやいやいや、とんでもない。

浜村淳:今回、『流浪の月』でも、非常に悩みのある人なんですね。ある原因があって。そのことを絶えず心の中で葛藤しながら、苦悶しながら、それをあらわに感情として表さない。グーッと押さえて押さえて演技してるでしょう。わざと無表情にしている。物を言うときもぶっきらぼうにしか言わない。でも、その底には、彼が抱えているとんでもない悩みがにじみ出ているわけですね。更紗ちゃんと2カ月一緒に暮らして、なんにも変なことはされてない。イヤらしいことをされてない。警察で言いますよね。ずいぶん言いますね。警察官も世間もそれを信用しない。まして、週刊誌は面白おかしく書くでしょう。でも、そうじゃないところに、「ああ、そうやったのか」という、一種ため息が出る思いがしますね。

松坂桃李:ああ、ありがとうございます。

浜村淳:このお2人については、ほめ尽くしてもいいくらい、いい芝居してくれました。

松坂桃李:いやいやいや。

浜村淳:すずちゃん、今回は監督の指導はあったんですか? 非常に大人っぽい一面を見せてますね。

広瀬すず:そうですね。それも一つ、自分が小さいときに文と一緒にいたときとはまた違う感覚の愛情表現と言うんですかね、そういうものを表現する一つに、更紗も更紗なりにいろいろ思いながら、感じながら、そうすることである意味感情を押し殺せるというか、紛らわすことができるという。ああいうのも、私の今までやってきた作品の中ではすごく新鮮だったんですけど。そこでより、相手役の亮くんを演じた横浜流星くんと一気に、お芝居としてもすごく信用できるというか、そこからお互いに、特にあのシーンから全部放つように一緒にお芝居できたので、年齢を重ねると表現できることもあるんだなというのをすごい実感して楽しかったです。

浜村淳:すずちゃんの顔がアップで映るたんびに、あっ、大人になったな、『海街diary』のとき、かわいいね、かわいい中に憐れさ出しましたね、あの役は。そうでしょ?

松坂桃李:全然違いますよね、『海街』からね。

広瀬すず:恥ずかしい(笑)。

浜村淳:松坂さんは、反対にあの役、難しいな思いませんでしたか? 『流浪の月』のとき。

松坂桃李:僕が演じた文ですか?

浜村淳:そうです、佐伯文。

松坂桃李:そうですね。本当に深い湖の中にいるぐらい、それぐらい潜っても潜っても底が見えないというか。潜り続けていくと、どんどんどんどん深い闇のほうに染まっていくといいますかね。それぐらい、彼の中での壮絶な真実を抱えながら事実と向き合っていかなきゃいけないという、その辛さといったものを自分がどれだけ味わえるかなだな、みたいなところでしたね。

浜村淳:感情を押さえて、押さえて、押さえて、芝居しなくちゃならないでしょう、あれは。

松坂桃李:そうですね。だから、言葉よりかは、体の内側、内の部分でグツグツとマグマが燃えているようなといいますか、そういったものが常にあった感じですかね。

浜村淳:松坂さんから見て、2回目の共演ですが、すずちゃんはどういうふうに感じ取れましたか?

松坂桃李:『いのちの停車場』とは全然違う。もちろんなんですけど、こっちの部分がもしかしたらパーソナルなほうのすずちゃんに近いかなというぐらい、それぐらいお互い、ちゃんと底の部分でぶつからないとわかりあえない瞬間というのもあったので、これ、僕にも共通することなんですけど、人や物事に対して、あまり信用をすぐにしないというか。そういった用心深さだったりとか、そういったものも自分と似た部分も勝手に感じ取ったりしつつ、今回のすずちゃんのほうがパーソナルな部分なのかなと思ったりとかして。

浜村淳:そうですか。どうですか? すずちゃん、今の松坂さんの言葉。こっちのほうが本当のすずちゃんじゃないかという。

広瀬すず:確かに、役柄というよりも、お腹の底を見せ合いながら、お互いにぶつかり合いながら、ちゃんと吐き出し合いながらお芝居を今回やらせていただけたので、悔しいとか、不意に文に触れる瞬間て、更紗なんだけど、自分、私自身の感情もすごく動くので(笑)

松坂桃李:ああ、わかる。

広瀬すず:不意に出るものは、わりと自分の感性というか、私自身が文に思ってる行動な気も何となくしていて、でも、きっとそれは自分が今、更紗だから、そういう瞬間があってもいいやと思ってたんですけど、そういった意味では、やっぱりちょっと素は出ますよね(笑)。お芝居しながらも。

浜村淳:松坂さん、監督はいろんな注文出しましたか?

松坂桃李:注文というよりかは、そこのシーンをちゃんと向き合えるための監督なりの石の投げ方というか、導き方というか、本番前にボソッと「じゃあ、次は15年前のことを思い出してみて」というのをポーンと言ってくれたり、そういった、答えではないんですけど、何か目印、道しるべになるようなものをスッと投げてくれる。

浜村淳:そうですか。すずちゃんにもいろんな注文は出しませんでしたか? 監督。

広瀬すず:やったことに対して、今おっしゃってた、感情を一つ要素をポンとふやしていってくれるというか。それを、こういう感情というよりも、15年前を思い出したら、15年前、自分がどんな感情だったかなというのを私なりに思い出してやってみたりすると、あ、そっちの方向で、またもうちょっと滞りよくしてみてとか、もうちょっと霧がかかった感じにしてみてとか、わりとニュアンスで伝えてくださるんですけど、やればやるほど、自分で「霧?」とか、いろいろ疑問もありながらも、やっていくと、言っている意味がわかるというか。

浜村淳:いい映画でした、これは。

広瀬すず松坂桃李:ありがとうございます。

浜村淳:そうして、いよいよ今年の映画賞はこの『流浪の月』が獲るんじゃないですか?

松坂桃李:ありがとうございます!

広瀬すず:ありがとうございます! 願うしかできない(笑)。

浜村淳:演技賞は松坂桃李広瀬すず、このお2人やと思います。

松坂桃李:ありがとうございます(笑)。いやいやいやいやいや、とんでもないです。

浜村淳:本当に。大ヒットをお祈りしております。

今日はお忙しい中ありがとうございました。

広瀬すず松坂桃李:ありがとうございました。

 

 

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