映画『流浪の月』 李相日監督インタビュー(後編)

 

澤本・権八のすぐに終わりますから。 2022年5月29日

 

――松坂くんがいいというのはパーンと思ってたんですか?

李:そうですね。すずと桃李くんに関しては最初に。桃李くんに最初にお会いしたときに、全然何やるかわかってなかったんです。渡してなかったんで。一度お会いさせてくださいということで、ただ会って、人となりを聞いたりとか、雑談ですよね。雑談しながらこっちは様子を見ているんですけど、前もって彼しかいないなと思ったんですけど、2人で向かい合って正面から彼の姿とか見てるときに、やっぱり間違いないなっていう感じは受けたんですよね。その後に改めて小説を渡して、この役ですということで後日、本人が読んだときに、むっちゃヤバいと思ったっていう。これは大変だというところから始まったんですね。

――どういうところを、普段の松坂さんにこの小説の文の要素というか、何を見ているんですか?監督は。

李:何ですかねぇ。ほんとに説明できないことばっかりで申しわけない(笑)。何ですかね。ほかの人が何かしゃべっているのを聞いているときの感じとか。自分が直接話してないで、隣の人の話を「うんうん」てうなずいたりしてるときの空気感みたいな。何ですかね。わざとらしさもなければ、何ですかね。何ですかしか言ってないんですけど(笑)。何だろうな、ちょっとどこかドラえもんのように浮いてるようにも見えるというか。土臭さがない。でも、ちゃんとあったかみがあるっていうか。