映画『流浪の月』 広瀬すず・松坂桃李インタビュー

 

on-air with TACTY IN THE MORNING(9時台) 2022年5月12日

 

松坂桃李:皆さんはじめまして。松坂桃李です。

広瀬すず:おはようございます。広瀬すずです。

――よろしくお願いいたします。

松坂桃李広瀬すず:よろしくお願いします。

――朝番組でゲストでお迎えしているという形なんですけど、朝、松坂さん得意でしょう?

松坂桃李:得意? そうですね、仕事柄、朝起きるのは得意というか、慣れてるといいますかね。朝5時台とか4時台に起きることもあったりとかするので、ここはもはや慣れの領域にきているかもしれないですね。

――朝起きたら何かやるとか、モーニングルーティーンはあるんですか?

松坂桃李:いつもの時間よりちょっと早めに起きてコーヒーを淹れて、飲んでから出かけるという。自分の中でバタバタしない時間というのをなるべくつくるというか。

――それは大事かも。心を落ち着けて整えるということですもんね。

松坂桃李:そうですね。

――それは大事かもしれませんね。コーヒー、これは重要なんですよ。今日お話しするのに。

松坂桃李広瀬すず:(笑)

――広瀬さんはどうでしょうね。どちらかという夜のほうが長い。どうでしょう?

広瀬すず:どちらかというそうですけど、私、寝るのも早くて、何もないと9時とか10時には寝たいタイプなので

松坂桃李:素晴らしい!

広瀬すず:寝て。だから、5時とかに起きても、ちゃんと寝てるから起きれるというか(笑)。でも、わりと朝、私、バタバタしちゃうので。でも、休みの日は普通に12時間とか10時間とか、すごい寝るので、7時間、8時間だけだと、朝ダメです。

――ちゃんと睡眠しっかりとらないと。

広瀬すず:しっかりとりたいです。

――集中につながりますもんね。

広瀬すず:そうですね。

――モーニングルーティーンはあります?

広瀬すず:私も最近、朝、飲むで言ったら、白湯を飲むように。ほんとこの1カ月くらい飲むようになったんですけど、私は朝バタバタしてるので、急ぎながら飲んでます。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:白湯一気飲みみたいな(笑)。

松坂桃李:すごいね(笑)。

――そうなっちゃうんですね?(笑)

広瀬すず:そうなっちゃうんですよ(笑)。

――コーヒーの淹れ方、松坂さん変わりました? 今回の作品で。どうでしょうか。

松坂桃李:本当にちゃんと一からコーヒーを営んでいる方からしっかりと教わって、それこそ豆を煎るところからやらせてもらったりとかしたので、コーヒーについては、知れば知るほど奥が深いなと思いましたね。

――やっぱりそうなんですね。僕は、今もその映画の世界にいるんです。実は、明日、いよいよ13日公開の映画『流浪の月』。この2人、W主演で、コーヒーというのは一つキーワードですけれども、あの映画のあの世界観て、観た人は、しばらくずっとあの映画の世界にいられるぐらい強いですね。

松坂桃李:ああ、うれしいです。ありがとうございます。

広瀬すず:ありがたいです。

――ただ、僕は思った。ものすごい難しい役だったんじゃないかなと思った。広瀬さん、いでかがでした?

広瀬すず:そうですね。でも、今回、登場人物、みんな苦しいというか、みんな難しいだろうなと思っていて。私はわりと誰よりも肉体的にちゃんと感情を感じれるシーンが多かったんですよね。横浜流星くん演じる亮くんとのシーンもそうですし、文とのシーンもそうですし、肌と肌が触れ合ったときに糸が切れるというか、そういうシーンが多かったので、スイッチが勝手に入れられてしまう状況にいたんですけど、そういうのがあまりないというか、表に出てこない文は本当に難しかっただろうなと(笑)。客観的に見ても、頑張った共演者としても、すごい、本当お疲れさまでした(笑)と思うほど、一番難しかったのはたぶん文だと思うんですけどね。

松坂桃李:いやいや。

――でも、僕、更紗という彼女が、まさに文さんと再会するシーンがあって、ビクッとするというかね。「いらっしゃいませ」という言葉だけでパッと気づくんだけど、“びっくりした”を空気で見せるという。“ハッとした”。あれってすごいですね。

広瀬すず:本当ですか?(笑)。うれしい。

――僕がもし本当に広瀬さんだったら、びっくりした芝居しますよ。ウワーッ!みたいな。

松坂桃李:ウワーッていう?

広瀬すず:(笑)

――でも、そうじゃない。ハッという。あれって、言葉で、音で見せない芝居でしょう?

広瀬すず:あのときはなんでああいうふうになったのか。体に入ってくるというか、急に包まれたような声質をあのシーンのときに、あの日に初めて感じて、“あっ”ていう、心がふわーっとざわつくというか。

松坂桃李:ざわつく、ね。

広瀬すず:そういうのがリアルにというか、現場でもちゃんと感じれたのが大きかったですかね。

――松坂さんてすごいですよね。今もお痩せになっていますけど、さらにもっとげっそり。

松坂桃李:げっそり(笑)。

――進むにつれてげっそり。

松坂桃李:そうですね。

――で、目も、今、すごいおきれいな目をされているなと思ったんですけど。

松坂桃李:ありがとうございます(笑)。

――映画で観てたら、ほんとに心がない目、あるでしょう。どうやってるんですか?

松坂桃李:それはたぶん、照明部の方のあれなんじゃないですか?

――いや、違うでしょ!

松坂桃李:「光り消せ!」つって。

――いやいや(笑)。ぞっとするんですもん。観て。だけど、この人はいっぱいいろんなことがあったって、表情と所作で見せるというのは、本当に入っていると言ったら変ですけど、どうなっているんですか?

松坂桃李:それこそ、すずちゃんが今言ってくれたように、再会したシーンのときとかでも、最初の「いらっしゃいませ」とかも結構緊張しましたね。

広瀬すず:(笑)確かに、逆だったら私もドキドキだと思います。

松坂桃李:ドキドキするんで。

広瀬すず:確かに。確かに。

松坂桃李:しかも、結構順撮りでやってくれたので、本当にあそこが更紗と文の初の接触じゃないけど、まだお客さんと店員という関係性ではあるけど、そこの初の、お客さんから観たら、「あ、同じ空間に2人がいた」という瞬間のシーンだったので、だから、あれは本当に緊張しましたね。自分の中でも、本当に、あっと思った瞬間に、いろんな感情がぶわーっと、「いらっしゃいませ」を言う前にぐわーっと出てくるというか。いろんなことをしゃべりたい、言いたい、何か感情を何か伝えたいとか、いろんなことがあるんだけれども、そういったことも全部いろんなフィルターを通すと、「いらっしゃいませ」というあそこに行き着くというか。とにかく緊張して。

――今「いらっしゃいませ」とおっしゃいましたけど、あの「いらっしゃいませ」と違う。あの「いらっしゃいませ」はまた違いますね。本当に違います。

広瀬すず:違いますね。

松坂桃李:そうですね。すいません、今、ラジオのテンションでしゃべってます(笑)。

広瀬すず:ラジオの「いらっしゃいませ」(笑)。

松坂桃李:「いらっしゃいませ」(笑)。

――すごいんですよ。でも、僕、広瀬さんの新しいというか、こんな、言葉はなくても見せられるお芝居されるんだという、すごい次のフェーズに行かれたような気がするんですけど、松坂さんから見るとどう思われました?

松坂桃李:お幾つでしたっけ?

広瀬すず:23です。

松坂桃李:23ですよ。末恐ろしいと思います。本当に。そこに関して「すごい」の一言しかないというか。きっと、更なる現場を踏み、40に差しかかったときには、たぶん蹂躙しているんじゃないですかね。いろんなものを(笑)。

広瀬すず:いや(笑)なんで?

――でも、スーパー恐ろしいすごい役者さんと一緒に仕事して……。

広瀬すず:そうです。一番怖い人はこの方ですよ(笑)。

松坂桃李:いやいやいや(笑)。

――そうでしょう、やっぱり。それは今後のアクティングにも刺激になったんじゃないですか?

広瀬すず:かなり。なんか不思議なんですよね。何となく現場ご一緒したりとかすると、あ、こういうやり方でやられているんだとか、わりと興味深くいろんな方のやつを見てしまうんですけど、一番わからなかったです。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:脳内と心の整理、どうしてんだろうなっていうか。なのに、なぜこんな真っ直ぐ立っていられるんだろうという。本当に不思議過ぎて。なんか怖いなあ。

松坂桃李:(笑)

――文で来られると思っていたんですよ、今日。だから、すごい緊張してたんですよ。ものすごい明るい方でびっくりしたんです。

広瀬すず:そうなんですよ。

――スイッチ切り換わるんですね。

松坂桃李:スイッチですか? わりと、そうですね。現場終わったら、「お疲れっした!」みたいな感じでやってるんで。「ありがとございましたっ!」みたいな。

――李監督ならではの演出と、撮影監督も『パラサイト』でおなじみのホン・ギョンピョさんが担当されていますけれども、強い画なので、ぜひ皆さん観ていただければと思います。

いろんな作品に出てこられましたけど、相当ご自身の中で強い印象を持たれた作品になったんじゃないですか? どうですか?

広瀬すず:私は李監督とも2度目で、感性として、自分の中で迷った、血迷った瞬間とかもリセットされるというか。

松坂桃李:うーん。

広瀬すず:演じるってこういうことなんだって、前回の『怒り』のときに思い、今回も改めて、自分も変に経験とか癖とか、重ねれば重ねるほど、なんかわからなくなったときに、監督は戻してくれる方で、私は勝手な一方的な信頼感が絶大にあるんで(笑)。自分にとっても、こんなふうな形でご一緒できたことがすごく大きかったですね。

――この骨太でずっしり。だけど、先に、もしかして光があるかもしれない。そんなことも考えさせる映画であります。お2人がW主演の映画『流浪の月』。これ、明日です。5月13日金曜日に公開となります。今日は貴重な時間をありがとうございました。

松坂桃李広瀬すず:ありがとうございました。