映画『流浪の月』について

どう見まSYO! #4 連休は映画三昧!ゴールデンウィーク映画特集

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SYO:『流浪の月』という作品は、『怒り』とか『悪人』の李相日監督の新作で、女子小学生と男子大学生が誘拐犯とその被害者とされるんですけど、実際は違っているというところから話がスタートするんですね。とある事情を抱えて行き場所がない2人が一緒に過ごしてたんだけど、世間はそれを誘拐と言って逮捕されてしまうと。それは松坂(桃李)さんと白鳥玉季さんという方が演じてて、それが15年後に再会したときに白鳥さんの今が広瀬すずさんにかわる。15年後に再会した2人を待ち受ける運命、みたいな話ですね。そこに横浜流星さんとか多部未華子さんが絡んでくるんですけど、凄い映画だと思います。

『怒り』とか『悪人』をご覧になっている方が期待するものがちゃんと全部入っているということと、あとは、演技が凄まじいです。広瀬さん含め、松坂さんは、原作が線が細いというキャラクターなので、そこにするためにもとにかく体を絞って。

『空白』のプロモーションのときの松坂さんはちょうど役作りを始めたタイミングだったのかな。どんどん痩せていかれたというのは、原作に近づけるために絞って絞ってということでもあるんですけど。

あと、横浜流星さんがびっくりすると思います。こんな演技をしてくれるんだという。代表作になると思いますけどね。ちょっとびっくりすると思います。これはぜひ劇場で観てもらって。すばらしい役者さんがさらに上に進んだというところを見れるんじゃないかなと思います。

広瀬さんは最高ですよ。個人的な感覚ですけど、よく憑依演技と言うじゃないですか。つまり、母体に降ろすという演技だと思うんですけど、母体の主軸自体が役に変わる感じというか。広瀬さんが感じたことが劇中の更紗というキャラクターになるぐらいのレベルまでいってるという。ある種すごい心身に負担をかける演じ方だと思うんですけど、そこに果敢に飛び込んでいく広瀬さんの凄さというか。

2016年公開の『怒り』という映画で李監督と組んでいて、6年ぶりにもう一回組んでというところで、より進化した2人のコラボレーションを見れると思います。まあ、凄いですね。

たぶん、作品のクオリティ的にはトップ・オブ・トップだと思うんですけれども、話の内容が、その人物たちがする行動に対して拒否反応を示してしまう方もいると思うんですよ。そういう意味で、ある種の社会的なというか、問題提起を投げかける話――原作も含めて――だと思うので、そういった作品に果敢に取り組まれる役者さんだなというのも思いますしね。広瀬さん、松坂さんもそうだし、横浜さんもそうだと思いますし。

これは、観てほしいし、観た後、いろんな意見が出ると思うんですけど、それも個人的には、ある種映画として非常に健全だなというか。ホワイトウォッシュされて、こういう映画こそが正解だということとはまたちょっと違う作品ですから。と思いますね。