東日本大震災から10年

 

佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO) 2021年3月10日

 

明けて3月11日。3月11日ということは、東日本大震災からちょうど10年ですね。いやあ、なんかね、やっと10年という感じがする。なんでかっていうと、まだ全然、俺は時々やっぱ地元に帰るから、みんな平静な振りしてるけど、癒えてる感じはしないし、そんな穴とかは癒えることないなというのはすごい思うんだよね。これは地元に帰るたんびに思う。お袋と話してても思うし、地元に住んでる友達とかと話してもそう。

それは、「時間で傷が癒える」って言うけど、決定的に癒えないものもあるなっていうふうに思ってるし。だから、俺たちができることは、ここからまた10年、日常を繰り返していくことだなと思うんだけど。だから、一つずつ思い出を積み重ねたりしながら、日常を緩やかにもう一回取り戻していくこと。

10年で取り戻せたものと、まだ残ってるものを埋めていく作業だと思うんだけど、その横に、やっぱり必要になるのが、俺は“不要不急”って言われてるけど、やっぱエンタメだと思ってて、これはコロナの時にも思ってたんだけど。

俺、この10年、地元の友達とか、そういう人たちと接してても、エンタメって、すごい辛い時には役に立たないかもしんないけど、そっから立ち上がる時のちょっとした力になると思うし、そういう意味で言うと、ラジオってそこに一番寄り添えるメディアの一つだと思うから、一緒に生きていきながら、その心がちょっと楽になるようなエンタメを作っていきたいなと思うし、それの一つがこのラジオだったら嬉しいな、なんて思いなから、ここからやっていきたいと思います。

そして、みんな、ちゃんと災害には備えましょう。

 

 

書きとめておきたかったこと

 

今泉力哉監督&大下ヒロトさんのインスタライブ 2021年2月24日

 

これは、俺がいつもやろうとしてることなんですけど、どこまでがセリフで、どこからがアドリブかをわかんなくしたいというのをずっと言ってて。

 

群像劇って、主人公で始めて、主人公でガンガンいくと、主人公のために周りの人が存在している世界になっちゃうんです。群像劇は主人公じゃない人から始めると、主人公もその世界の住人になるし、周りにいるただの人も生き物になるというのは、別に誰も言ってないですけど、いっぱいつくっている中で結構俺はやってて。という意識下にありますね。だから、違う人から始めれるというのはいいんですよね。

 

太賀さんの役、目立つし、ドラマチックだし、山場も何もかもあるから。土下座しかり。太賀さん主役だとか、太賀さんの映画だとか、目立つと言われてるけど、いやいや、主人公って目立つのが主人公じゃないんで。明らかに松坂さんがあんだけ受け入れて真ん中にいるから成り立ってるってことは、わかっている人はわかっているだろうし、言う必要もないし。(中略)全然俺の中ではコズミンの映画だというふうになっていない自信が全然あったので。そのぐらい俺は松坂さんの芝居とか劔っていうのは信用してましたし。

あと、一方で、成長する、しない話があるんですよ。主人公は成長しなきゃいけないとか、何か変化して大人にならなきゃいけないとか、俺、それがあんま興味なくて、それじゃなくても主人公たり得るんじゃないかとずっと思ってて。だから、別に、成長とかして経験を積むことはあっても、何かを乗り越えたり、変化したり、すごく成長しなきゃいけない、主人公はそうあるものだというのは、俺はないので。そういう映画もつくりますけど、でも、しなくていいと思っちゃうというので、明らかに劔主人公の物語だと思ってますね。

でも、原作もそうなんですけど、原作者の劔さんも言ってましたけど、自分の話じゃなくて、これは自分の周りにいた仲間との時間の話なので、主人公は劔で、主人公は時間と仲間たちと共有したものとかなのかなと思うので。難しいんですよね。一人称で語る、語らないみたいなのもあって。だから、コズミンの時間がちょいちょいあるのも、一本筋を通したほうで観たい人としてはノイズだし、コズミンが強くなり過ぎた要素だと思うんです。

 

 

 

週刊映画時評『あの頃。』

 

アフター6 ジャンクション ムービーウォッチメン 2021年2月26日

 

山本匠晃アナウンサー:ここからは宇多丸さんが劇場の最新映画を評論する週刊映画時評ムービーウォッチメン。今夜扱うのは、松坂桃李主演、ハロプロを愛した男たちの青春物語『あの頃。』です。では、宇多丸さんお願いします。

 

ライムスター宇多丸:さあ、ここから、私、宇多丸がランダムに決まった最新映画を自腹で観賞し評論する週刊映画時評ムービーウォッチメン。今夜扱うのは、2月19日から劇場公開されているこちらの作品。『あの頃。』

『♡桃色片想い♡』♪

宇多丸:すげぇ曲だよな、これな。

劔樹人さんの自伝的コミックエッセイ『あの頃。男子かしまし物語』を松坂桃李主演で映像化した大人の青春物語。

うだつの上がらない生活を送っていた劔は、松浦亜弥が『♡桃色片想い♡』を歌う姿を見て、ハロープロジェクトのアイドルに夢中になる。やがて、個性豊かなハロプロあべの支部の面々たちと知り合った劔は、くだらなくも愛おしい青春の日々を謳歌するのだが……ということでございます。

松坂桃李のほか、仲野太賀や山中崇若葉竜也さんなどがハロオタを熱演。あとは、ロッチのコカドさんが、後に「赤犬」のボーカルになるイトウことタカ・タカアキさんを演じられております。監督は、『愛がなんだ』などの今泉力哉さんが務めたということでございます。

この映画をもう観たよというリスナーの皆さん、ウォッチメンからの感想をいただいています。メールの量は、めちゃ多い。出ました、今年最多ということでございます。

賛否の比率、褒めの意見が7割弱。

褒める意見として多かったのは、ハロプロ好きだったので当時のことが懐かしく、またディテールの再現度にも驚いた。アイドル好きに限らず、何かに猛烈にのめり込んだ事がある人には刺さる、とか、過去を懐かしむのでなく、今を肯定するメッセージが素晴らしい。俳優陣はみんないいが、中でも仲野太賀が良かったなどがございました。絶好調ですね。

一方、ストーリーが貧弱。後半から退屈してしまった、とか、「あの頃」の日々が全然楽しそうじゃなく羨ましくもない。ホモソーシャルな描写が強すぎて抵抗があった、などの批判の声もありました。これなかなか重要な指摘もあるので、後ほどしっかり紹介しますね。

まずは良かったという方のメール。すごいいっぱい来ててちょっと紹介しきれない。

(メール紹介)

山﨑さんの首の角度とか、声の発声とか、完コピぶりもすごかったですけどね。

(メール紹介)

これ、ああ、なるほどというか、結構うなずける指摘もあるし、この作品に対していい解釈をするならば、要するに、ある人物のものすごく嫌な一面というのも、すごく嫌な人でもあるよねというような見方,というふうに響く映画でもあるっていうかね。両面がある(こと)を描いている映画ということは言えるのかもしれないですけど。でも、スルーし難い重要な指摘だと思ったのでご紹介させていただきましたと。

ということで、皆さん、メールありがとうございました。本当に熱量があるメールでございました。

私も、『あの頃。』 TOHOシネマズ六本木で2回見てまいりました。入りはまあまあといったところでしたけど、男女比、年齢分布ともに、ジャンル的に特定のしづらい感じが非常に印象的でしたけどね。

ということで、モーヲタシーンを描いた云々に関しては、番組オープニングでも話しましたので、みやーんさんの公式書き起こしもぜひそこからお願いしますという。

原作があるわけです。非常に奇妙極まりない映画企画。これがなぜ成立したのかというと、まずは劔樹人さんによる原作、漫画というのがあると。『あの頃。男子かしまし物語』というのが2014年にイースト・プレスから出ていて。これは漫画と文章が一緒になった、これは、ご本人もあとがきで書かれていますけど、杉作J太郎さんの一連の作品、特に『やぼてんとマシュマロ』とかあたりですかね。に近いスタイルですね。

実際、僕、最初に『あの頃。』という原作本を読んだときに感じたのは、これは俺らの世代にとっての『さらば、ワイルドターキーメン』なのかなという。これは、杉作さんの非常に素晴らしい青春漫画なんですけど。

今回の映画では、松坂桃李さん、男の墓場プロダクションTシャツやらバッジやら、身につけていらっしゃいましたしね。あれはたぶん劔さんの私物なんでしょうかね。というか、衣装とかグッズなど、今回の映画は実際の本物を用意しているあたり、すごくちゃんとしているあたりでございます。

とにかくその劔さん、人生非常に落ち込んでいた時期に、あややに救われ、一生の仲間たちができた、みたいなそういう話。自伝的エッセイ漫画というのが2014年に出て、この本が出たこと自体が、我々的には、えーっ?モーヲタの本を出すの? モーニングの本じゃなくてモーヲタの本出すんだ!?みたいな。ちなみに、今日は、当時はまがハロヲタという言葉はなかったので、一応、モーヲタで統一させていただきますが、非常に驚きをもって読んだわけですけれども。

ちなみに、劔さん、「あらかじめ決められた恋人たちへ」のベーシストにして、今は犬山紙子さんの旦那さんとしても非常に知られておりますが、どんな人というのを知りたければ、一番手っとり早いのは、入江悠監督、2011年の『劇場版 神聖かまってちゃん』、これ、僕、2011年5月に評しましたけど、当時、「かまってちゃん」のマネージャーだった劔さん、実質、これは主役なんで、劔さんがいかに可愛らしい人柄、あと佇まいというか、ルックスも含めてめっちゃ可愛い。ご存じない方は、ぜひご確認いただきたいんですけどね。

だから、松坂桃李さんがあのキュートさをちゃんと再現できるのかっていうところがポイントだったんですけれども、松坂さんも見事なものでございましたけれどもね。

とにかく劔さんの自伝的原作。インタビューなどによれば、2015年ぐらいから既に映画化の話が出ていたということで。

人脈的に考えると、これを映画化するという時は、劇中にも出てきたロビンさんとか、あと、今回、映画版では完全にオミットされていましたけど、リシュウさんとか、して、後にタカ・タカアキさんと、要するに、「赤犬」の新ボーカルとなっていくイトウさんというキャラクターであるとか、要するに、「赤犬」という素晴らしいバンドがいて、「赤犬」ともつながりが深い山下敦弘さんあたりが、映画化なら適任なのかな、順当なのかなと、実は勝手に僕想像していたんですけど、実際に監督として白羽の矢が立ったのは、山下敦弘さんのさらに下の世代というか、山下さんに師事したこともありますよね。2019年、ご存知『愛がなんだ』で本格大ヒットを飛ばしました今泉力哉さんでございます。

当番組的には、昨年5月26日に映画の音声ガイド特集に松田高加子さん、黒澤美花さんと共にリモートでご出演いただきました。公園でリモートしてますとおっしゃってましたけど。

確かに今泉監督、南波一海さんが寄稿されているコラムでも南波さんがおっしゃられているように、要は、「好き」という得体の知れない情動。理屈では割り切れないもの、それが巻き起こす日常の中の人と人との間のざわめきというのを見事に掬い取る名手であって、その意味で、ハロプロという「好き」を見つけたことで人生が輝き出した人々。その一個一個は実にたわいもない、なんならしょうもないエピソードの連なりから、何かかけがえのない人生のある一時期のようなものが浮かび上がるという、劔さん原作の本質とすごい合っているわけですね。今泉さんのモチーフというか、スタンスみたいのが。

あと、今泉さんは、“恋愛映画の名手”みたいな言い方をされるけども、一方で、コミュニケーション下手な挙動不審男子というか、褒められたもんじゃない男性性も含めた挙動不審男子。そういう男の機微みたいなものを切り取るのも実はめちゃめちゃ上手くて、例えば、2013年の『サッドティー』であるとか、2017の『退屈な日々にさようならを』とか、このあたりにもそういう要素があったりするんだけど、この後4月にようやく公開となる『街の上で』という作品。こちらは、今回、西野さん役を熱演しておりました若葉竜也さん主演。あと、萩原みのりさんがまたまたピリリと印象を残す好演ぶりを残しておりますが、この『街の上で』、これがなかなかの傑作っていうか、僕はこれ、既に大好きな1本になっちゃっているので、これは公開タイミングでガチャをぜひ当てたいな、当たるといいなと思いますけど。

『街の上で』と今回の『あの頃。』は、特に今泉監督の、さっきも言ったように、コミュニケーション下手、下手したら、傍から見たら挙動不審、ボンクラ男子の右往左往を何とも愛おしく切り取った、一種の連作的な共通性も感じさせるような2作になっているかなというふうに思います。

というわけで、『あの頃。』映画化。実は非常にドンピシャになっている今泉力哉監督というのと、さらに今回、座組的に面白いのは、冨永昌敬監督ですね。『乱暴と待機』とか、僕大好きな『ローリング』とかが、冨永さんが珍しく脚本のみで参加してると。冨永さんご自身の監督作で言えば、2018年の『素敵なダイナマイトスキャンダル』。末井さんの実在の人物、事象が多数登場する自伝的群像劇であり、それぞれは散文的なエピソードの連なりを一本の映画として再構築して見せるその作品として、今回の『あの頃。』に通じるのがあるのは、この『素敵なダイナマイトスキャンダル』かなと思います。

いずれにせよ、今回の脚本冨永昌敬さんにせよ、監督の今泉力哉さんにせよ、これ、さっきのメールにもあったとおり、劔さんとか、後に「恋愛研究会。」と名乗っていくあの面々であるとか、あるいはその当時のモーヲタシーンというものに対していい意味で距離があるからこそ、距離があるからこそ敬意を持ってきっちり取材などを重ねて作品に落とし込んでいくということもしている一方で、過度のセンチメンタリズムとか、逆に、自意識過剰の照れによる露悪などに陥ることなく、言っちゃえば結構フェアな視点というか、フラットの視点というのを本作に対しては保つことができているというあたりがプラスかなというふうに思います。

例えば、最大の焦点、この原作を映画化するに当たって一番の焦点は、アイドルファンというのをどう描くかというところですよね。これまでの映画化とかドラマ作品では、アイドルファンというのが出てくる時というのは、9割方というか、99%は、まあ、全く理解も敬意もない、記号的な茶化しとして出てくることがほぼほぼ全部だったわけですね。そんなのしかなかったわけですよ。

しかし、本作『あの頃。』は、さすが今泉力哉監督作と言うべきでしょうかね。「好き」という情動の発露が人生をちょっぴり、ちょっとだけ輝かせて、自分の世界を広げてくれるということを、まずはしっかり丁寧に掬い上げて見せるということですね。

例えば、先ほどオープニングでも山本さんとちらりと言いましたが、序盤、松坂桃李さん演じる劔青年の、見事に、最初、目の光り、瞳から光が消えているわけです。死んだ目なわけですよ。が、冷めきったお弁当と同じように、冷めきった目をした劔青年の目が、名曲中の名曲『♡桃色片想い♡』、松浦さんのミュージックビデオをボーッと眺めるうちに、みるみる涙でいっぱいになり、そして輝きを取り戻していく。

つまり、「好き」が生まれたことが誰かの人生に灯をともした瞬間というのを、この映画は、まさに映画だからこそ目撃して記録すべきものとして、まずは本当にじっくりと丁寧に捉えて見せる。これは、劔さんの原作でもできないことですから。それを実際その瞬間をドキュメンタリックに捉えるということは。そしてまた、それに応えてみせた松坂桃李さんの見事な演技ってことですよね。

そしてまた、そうやって心に灯った「好き」の熱が、同じ「好き」を抱えた他者によって、お前もなんか熱っぽいけど、その「好き」にお前かかっているんだろう。感知されるし、あるいはこちら側も、あ、あなたもこの熱、俺と同じ「好き」の熱だということでシンクロしていく。要は、自分の「好き」が他者と共有されたという。

これ、言っちゃえば、自分がずっと抱えてきた孤独というのが他者と共鳴した喜びという言い方すらできることであって、それによって閉じていた自分の世界がどんどん開かれて広がっていく。そんな「好き」の波及効果という面も、この作品はユーモアに包んではいるけれども、茶化したり見下すことなく見つめて見せているというふうに思います。

これは実際に当時のモーヲタシーンというのは、まるで秘密結社のように、ファイトクラブのように、本当にそこでどんどんどんどんいろいろな人が、全く立場も、例えば社会的地位も違う人同士が繋がって、それで今も友人であるというのは、全く僕らも同じですからね。

しかし、と同時に、決して過剰に美化などもしない。自分の「好き」っていうのが、でも、それは傍から見るといびつなものだったり、ドン引きされたり、社会的には肩身の狭いというか、認めがたいものだったりするということも、これは今泉力哉監督、これまでの恋愛映画とかでも冷徹に描いてきた部分ですね。お前、あなたの「好き」ちょっとおかしいよというのは。

例えば本作の主人公たち、あるいはイベントやコンサートに集まるヲタたちというのは、それぞれ間違いなく当人たちにとっては切実な「好き」というのに突き動かされた、一応純粋な熱の発露をしているんだけど、一歩引いた赤の他人の目線から見ると、やっぱりそれは引く人は引きますよねというか、それも無理からぬものですよねというようにも描いている。

というような視点も、ユーモアにはくるんでいるんだけれども、ただ、オタそのもののあり方全体を見下したりバカにするのとも違う、やっぱりある種のフェアさというのをキープしながら進んでいくわけですね。

先ほども言いましたけれども、学園祭で、例えば、モーヲタトークライブイベントを開催して大盛況であるんだけど、傍から見るとこうだぞ、みたいな。あれはちょっと僕は自分を見るようで頭を抱えてしまった瞬間ではありましたけど。

あと、本作、非常に重要なポイントは、モーヲタたちの応援スタンス。要は、疑似恋愛対象としてだけがアイドルファンのあり方ではないというかね。それが好きな人も、そういう人もいるけど、少なくとも当時2000年代初頭に盛り上がっていたモーヲタシーンというのは、劇中の彼らのように、例えば、独自でイベントを開いたり、その中でああだこうだと議論し合ったり、僕個人はどちらかと言うと贔屓の野球チームを応援するときに近い盛り上がりを見せていて、つまり、モーヲタとかアイドルファンの非疑似恋愛的側面というのをきっちり押さえているというのも、実は映像作品で描かれたアイドルファン像としては非常に画期的なものだったかなというふうにも思います。やっぱりちゃんと直接当事者にやっているだけのことはある。

というわけで、今泉力哉作品的に、「好き」というのの諸相ですね。いい面、悪い面、美しい面、変な変、みたいな、いろいろ描きつつ、今回はアイドルファン、初期モーヲタという立場を通して、時に愛らしく、そして時にグロテスクにですね。しかし、トータルでは忘れがたい人生の一局面、否定はし難い人生の一局面として描き出してみせる『あの頃。』という作品。

ネタバレしないようにある程度伏せながら話しますけど、仲野太賀さん演じるコズミン。本物はコツリンさんですけど、いかにセコい最低の人物かというのをさんざん描いておいてから、とはいえ、例えば、中盤の名シーン。先ほどもちらりと言いました。将来に不安を感じ、あややのポスターを剥がしかけるほどに、またまた落ち込んでいた松坂桃李さん演じる劔さんを励ますべくシチューを作ってあげるコツリン。そこに届く一封の封筒。そして、シチューの本当のお味とは、という。

これ、松坂さん、太賀さん、ご両者のアドリブも存分に活かされたという名シーンなどもあって、要は、本当に生きた人間として作品中に息づいている、例えばコツリン。最低だな、あいつというのを。俺も最低だけど、優しいとこもあるんだよな、みたいなことを、生きた人間として我々も感じるような。

その彼が非常に大きな人生の岐路を迎えるわけですね。その現実を目の当たりにした時の太賀さんの目の演技、すごいです。それもぜひ堪能していただきたいんですが。

とにかく、これ、下手な監督とか、あるいは志の低い作り手がやれば、目も当てられないことになりかねない、愁嘆場ばかりになっちゃいそうな後半の展開は。しかし、『あの頃。』という作品は、絶妙な距離と温度感で、いい人なんかじゃない、むしろ最低な人の人生、ドラマ、映画、なんなら我々自身も、赤の他人に対してなら、無視したり軽視したり批判したりするかもしれない、そんな人の人生の、でも、それだってかけがえないだろうという、かけがえなさ、愛おしさを、まさに目を逸らさずに差し出して見せるというか、映し出して見せるというところに価値があるかなと思います。

「好き」がある人生というのは、それだけで素敵じゃないかというようなことですね。そして、その「好き」そのものは変質したとしても、その先にある自分の人生というのも、やっぱりまた素敵じゃん、ということだと思うんですけどね。

ということで、キャスト一人一人の素晴らしさ、触れている時間がなくて申しわけないですが、やっぱりこれ、松坂桃李さんがこの役を受けたから成立した企画でしょうし、松坂さんのことは称えても称える過ぎることはないと思います。

あと、長谷川白紙さんによる劇伴。これまた適度な温度感、距離感を保ってて、非常にカッコいい上にクールで良かったと思います。

ただ、先ほどの批判メールにもあったとおり、正直、彼ら「恋愛研究会。」の、まさにホモソという感じのノリは、例えば、東京で僕らがRECとキャッキャやってたノリともまた全然違うもので、正直、あの壇上でやる、彼女を寝取ったね、寝取らないとか、そのノリは、正直、俺、もし自分らのイベントでやったら、それはやめろってことに当然なるぐらい。それは本当にどん引きする。その良し悪しをジャッジする場面でもないと思いますけどね。ただ、そこは嫌悪感のほうが先に立っちゃう人がいるのは当然だと思うし。

あと、そこも含めたイベントシーンですね。要するに、部屋でわちゃわちゃやってたシーンは、皆さん演技達者だからいいんだけど、客前にしたトークイベントというのの面白さみたいなのは、これ、劇中で再現するのは難しいところなのかな。それゆえに、構造のヤバみみたいなものだけが先に立っちゃう部分がちょっとあるのかなというのは、あ、ここは再現難しいんだ、これだけの芸達者をもってしてもというのは、ちょっと思ったりしましたね。

ということで、さっきから距離感とか温度感が素晴らしいとか言っていて、僕自身が全く距離をとれていない評で申しわけございませんでしたが、でも、僕自身は、ああ、モーヲタで自分もよかったなって思うような、RECたちとまた飲みたいなっていうふうに思うような、そんな一本でもありました。あと、劔さんとも飲みたいな、ロビンさんとも飲みたいなみたいな、西野さん元気かなとか思うような作品でもございました。

全然距離とれてなくてごめんね。ぜひぜひウォッチしてください。

 

 

こんなことしてる場合じゃないんだけど、「やっぱりこれ、松坂桃李さんがこの役を受けたから成立した企画でしょうし、松坂さんのことは称えても称える過ぎることはないと思います。」この言葉が嬉しくて、残しておきたくて、書き起こしてしまった。「好き」は強い。

 

 

 

 

映画『あの頃。』監督インタビュー

 

FRIDAY Cruisin' Map!! 2021年2月12日

 

飯室大吾:この収録が始まる前に今泉監督のプロフィールを僕がいろいろ見ていたら、昔、NSCにいらっしゃったというのを見つけまして。

今泉力哉:そうですね。通ってましたね。大学を卒業した後、ちょうど1年間だけいて、また映画のほうに戻ったという感じです。

飯室:その時の同期の人たちが、今やすごい、ね。

今泉:かまいたち天竺鼠藤崎マーケット、和牛もそうですか。

飯室:すごいですね。ただ、NSCの頃に、やっぱり自分は映画だということで映画の世界に戻られて、今に至るわけですよね。

今泉:そうですね。放送作家とかいろいろな先生がいるんですけど、「お笑いじゃなくてお話がやりたいんでしょう」と言われたんですよ。結構。

飯室:じゃ、講師の方々は見抜いていたというか。

今泉:というか、演じ手としてのセンスがなさ過ぎたというのがありますね。

飯室:いやいや。でも、それで映画の世界に道に入っていらっしゃらなかったら、今までの数々の映画も存在しないわけですからね。

そんな今泉監督の最新作というのが、来週公開となります映画『あの頃。』ですね。

今泉:はい。ハロプロのオタクの方たちの映画というか、実際に実在の人たちの話なんですけど、登場人物の方たちが本当に大阪の阿倍野区で過ごしていたという物語になります。

飯室:原作者が劔樹人さんの自伝的なコミックエッセイで、劔さんというのは漫画家であり、バンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」、「あら恋」ですね。でベースを弾いてたり。アーティストのマネジメントというところでいくと、僕は劔さんという方を一番最初に知ったのは、神聖かまってちゃんのマネージャーとして非常に有名な方だったので、そこで知りましてという。そんな劔さんが阿倍野で暮らしていた頃に、ハロープロジェクト、アイドルプロジェクト「ハロプロ」ですよね。出会って、のめり込んでいって駆け抜けていく、その青春、みたいな。

今泉:そうですね。今、「推し」という言葉もありますけど、もちろんアイドルがそこにいたということもそうなんですけど、好きなものを通じて知り合った仲間ができていって、みたいな部分が、すごくこの映画の一つのいい部分というか、見せ所だと思ってました。本当に夢中になれるものみたいな、自分にはそこまでのものがないというか、ハマったことがなかったので、本当にうらやましいという感覚で見ながら、あ、こういう仲間がいるってすごい幸せだよなというのを思いながら作ってましたね。

飯室:例えば、僕、監督だったら、それが映画ということになるのかなとか思っていたんですけど、またそれとは違うものなんですね?

今泉:映画がそうかもなんですけど、とはいえ、本当にこう、映画を好きな人って、本当に毎日観てたりとか、1年間に300本、400本観てる、みたいな人ほどの映画愛が自分にあるかというと、そこまでのめり込んでもないので、その熱量ってすばらしいなと思いますね。

飯室:なるほど。

今回の映画を描くに当たって、リアリティというところを相当重視されたんじゃないかなと思ったんですね。ライナーノーツなんかを読ませていただいて、実際に「恋愛研究会。」という劔さんの仲間になる人たちが当時着ていたものを好意で貸してもらったりとか、あとは、スタッフの皆さんが徹底的なハロプロの時代考察とかを徹底してやったという、それ、僕すごいなと思ったんですけど。

今泉:一番本当に好きな人たちが観る時に、ウソがあると突っ込まれるんで、そこはやっぱり気をつけてやってたり、原作者の劔さんがすごい協力的に近くにいてくださったので、それこそ当時行った時のチケットの半券とかを持ってくれてて、それをもとにデザインして作ったりとかしてて。当選の時に届く封筒が青いのがあってとか、そういうのも美術部と協力して作ったりしてたんで、予告編の時点でファンの方たちが、あの青い封筒とか、あのチケットに書いてある番号は正しい番号だとか、もしかしたら俺も気づいてないけど、ちゃんと再現(?)くれてたんだ、みたいな。

飯室:この原作に描かれている時間、その時間そのものを完全再現という感じがしますね。

今泉:そうですね(笑)。

あと、本当に実在するので、あのメンバーの方たちが。その方たちが観てイヤなものにならないといいなと思ってたんですけど、「豪華すぎる再現映像だ」みたいなことを言ってくださったりとか、本人たちもその空気をおかしくないと見てくれているのはすごい嬉しかったですね。

飯室:劔さんが、主演の、つまり、自分を演じるのが松坂桃李さんだと聞いて、いや、その松坂じゃないだろう、みたいな(笑)にわかには信じられなかったそうですけれども。

今泉:最初に「松坂さん」とだけ聞いて、松坂って誰かいたかな?といろいろ考えたって言ってて。自分も最初に「松坂桃李さんどうですか?」と言われた時、「いや、やらないでしょ!」って言っちゃったし(笑)。でも、松坂さん真ん中だったら周りどうします?みたいな、いろいろ楽しみながら作っていきました。

飯室:俳優陣の皆さんも、とにかく自分が演じる人に自分がどう近づけていくか。そこに徹底した演技の演出のようだったのかなと思っているんですけど、どうですかね。

今泉:モノマネになるのも違うんですけど、例えば、猫背の空気感だったり、ある種オーラみたいなものを消すということだったりとか。

あと、根本の話ですけど、松坂さんが意外とゲームとかすごいやってたりとか。『遊戯王』とか有名なんですけど、そういうオタク気質は本人の中にもあったりとか、全く自分にないものをやってるということでもない部分もあったりしたと思うので、好きなものを公に言える仲間がいるっていうことについてすごく肯定的に語ってくださったりしているので、気持ちはすごいわかってくれてるのかな。

あとは、本当に役者さんたちはみんなすごく巧みだし、達者な人たちがいて、あと、チーム感もすごいよかったなと思っています。

飯室:「中学10年生を今やっているんだ」というそのセリフが一番印象に残っていて、大人になっても卒業できないモノやコトって誰しもあると思うんですが、かといって、一方では、あんたいい年していつまでアイドルなんか追っかけてるの? あんたいい年していつまでフィギュアなんか集めてんの?って言われちゃう世の中もあるわけですよね。ただ、幾つになっても大人になりきれない大人たちを、この映画が肯定してくれてるような、そんなものも感じるんですけど。

今泉:劇中で何度も象徴的に出てくる、「あの頃」とか、昔、学生時代が一番楽しかったというような大人の人よりも、今を一番楽しんでいるみたいなことって、すごく人生としても豊かだし、魅力的だなと思うんですけど。例えば、すごいお金がいっぱいあれば幸せとか、大きい会社に入れば安心、みたいなこともどんどん、世の中的にそれが本当の幸せなのか、みたいなものがどんどん変わっている中で、夢中になれるものがあったり、それを一緒に楽しめる仲間がいる、みたいなことのほうが全然豊かだったり、そっちのほうが幸せなんじゃないか、みたいな部分はあると思うので、一般的に言われている価値みたいなことよりも、個々人の中にある幸せみたいなことは、この映画とかを観ると気づけるのかなということと、あと、やっぱりそれって「世間の目」みたいな話だと思うんですよ。いい年してとか、この年齢になってこういうことをしてていいのかな、みたいな。でも、それって実は実態がないものだったりするので、気にしないで、もっとみんなが自分の好きなことを普通に楽しんだら、別に、ちゃんと仕事をしたりしながらだったら、別にいいのかなと思いますし、もっと堂々とそれが言えるようになってったり、選択肢が広がるということはすごいいいことなのかなと思いますね。

飯室:本当に「恋愛研究会。」のメンバーの皆さん、めちゃくちゃいい顔してはりますもんね。

今泉:そうですね(笑)。あと、俳優さんたちも結構、いろんな現場、ヒリヒリするような現場とかもある中で、「この現場はすごい楽しかった」ってみんなおっしゃってくださってて。

飯室:いやあ、素晴らしい。本当にぜひ観ていただきたいと思います。

では、最後に、監督のほうから、この映画『あの頃。』いよいよ来週公開となります。楽しみにしているというリスナーの皆さんに最後にメッセージをいただけますでしょうか。

今泉:この映画は、本当に好きなもの、“推し”というものができて、それに出会うことで、さらにそれを好きな仲間に出会ってというような、ちょっと遅れてきた青春ものみたいになっています。出会いとか、別れとか、いろいろあるんですけど、基本的には、その瞬間、その瞬間というか、今を楽しんでいる、みたいな人たちの物語になるので、何か夢中になれるものとかがある人は、アイドルとかハロプロとかに興味がなくても全然楽しめる映画になっていると思うので、ぜひご覧いただければと思います。

 

 歌う劔@桃李 pic.twitter.com/F55gCeA1uG

 

ゲストのお知らせ

 

菅田将暉オールナイトニッポン 2021年2月8日

 

お知らせです。来週2月15日の放送にはゲストが来ます。松坂桃李!(渇いた~叫びが~♪)パチパチパチ

桃李くん来てくださいます。年イチくらいで遊びに来る事務所の先輩です。去年のアカデミーです。その前の前のアカデミーが菅田です。

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去年は電話で出演してくれましたね。なんといっても、今、結構注目度の高い俳優。今ね、すごい、何かとね、何かと注目度の高い俳優ですよ。だから、今こそ松坂桃李徹底解剖の時期なんじゃないかなと。今までもたくさん来てくださってますけどね。今回「ショートシャンクの空に」の特別編として、「アカデミーvsアカデミー 最強演技力バトル」というのをやるらしいです。ハハハハ

バッチバチよ! もうバッチバチ、それはもう。それはもうバッチバチですよ。「vs」ついてますし。だって、アカデミー賞というのは、作品での評価ですからね。僕らはいろんな人の力を借りてあの場に立ってるわけですから。衣装、メイク、脚本、演出を経て、僕らはあそこに立ってますけども、今回はその場での対決ですからね。身一つでの。マイク1本での勝負なわけですから、2人でショートシャンクのネタを読むだけなんですけど。ハハハハ まあまあ、そういうパッケージでやらせてもらえるかなとは思ってますけどね。演技力バトルです。

(中略)

桃李くんは“バトル”という意味ではね(笑)あるところでは“キング”と呼ばれてる人ですから、バトル系は強いでしょうけど、また違うところなんでね。

最近何してんやろ。何してんのやろなぁ。何を喋ろうかなぁ。今話題なのもあるけれども、ほんとに僕らラジオでしか喋んないんで。たまに事務所ですれ違ったりとかするんですよ。

とか、あと、俺が松坂桃李くんを感じる瞬間は、たまに事務所車の交換というのがあるの。交換というか、例えば、僕が乗ってる車を洗車に出しますという時とかに、桃李くんがその日使ってなかったら、その車をお借りして俺が移動する、みたいな。そういう時とかは、何となく桃李くんの匂いというのがあるから。車の中に。なんとなく、なんか。あれなんやろね。なんかあるんやろな。別に香水とか、体臭とか、そういうことでもないんやけど、車内の中の、普段使ってるものとかが置かれてるからさ。その匂いっていうのがたまに。

この間、ちょっとそんなのがあって、「あ、桃李くんの匂いすんなぁ」とか思いながら。ハハハハ「なんかちょっとキモいなぁ」とか思いながら。「ああ」みたいな。「ちょっと窓開けよっかなぁ」臭いとかじゃないんよ。なんかね、匂いってあんねんなぁ。そのへん、個人的には桃李くんに聞きたいんすけどね。俺の事務所車を乗ることもあるやろうから、その時に何を思うんかなぁ。俺、全然使ってない団扇とか置いてんねんけど、そういうの気づいたり(?)すんのかなぁ。

来週もぜひよろしくお願いします。

 

 

匂いで桃李くんを感じるって……。

 

 

 

 

にっき

 

 

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公の場で口にしてはいけない名前

 

有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER 2021年1月17日

 

有吉:昨日、松坂桃李くんと仕事してさ。あそこの事務所(トップコート)のタレントって、みんな性格いいっていうか、そういうふうな教育があるのか、性格のいい人を集めてんのか知らないけど、なんか結構みんな気さくで、話しやすい人たちが多いのよ。松坂桃李菅田将暉佐々木希、あの辺のメンバーですか。あと、杏さんでしたっけ。違ったっけ。

安田:同じ事務所なんですか。

有吉:うん。松坂桃李くんは役者なんだけど、結構しゃべりやすいから、こっちも突っ込みやすいっていうか。だから、俺、松坂くんのことは「童貞」って呼んでんだけど。

安田:ハハハハハハハハハハハ

有吉:童貞っぽいじゃない。結婚したんだけどね。結婚したばっかりなんだけど、でも、やっぱ「童貞くさいな、コイツ」と思ってんの、俺。

安田:ああ、そうですか。

有吉:だから「童貞」って。チェリーボーイ……ゴールデンの時は「チェリーボーイ」って呼んでるけど。使いやすいようにね。童貞坊やなんだけど、ちょっと話してる途中にポロッと松坂くんが「いや、それで、サンドリの時の有吉さんが……」って言ったのよ。

安田:はあ。

有吉:ちょっとこれ、どっかでたまに聴いてんじゃないかな。

安田:(笑)そのワードが出てきたってことは。

有吉:ってことはそうでしょう。「ラジオの」じゃないのよ。「サンドリの」って言ったからさ、俺、また顔真っ赤になっちゃってさ。

安田:なんでよ? いいじゃない、別に(笑)。

有吉:ラジオ……(笑)

安田:なんでよ?

有吉:公の場で言っちゃいけないのよ、「サンドリ」って。

安田:ああ、そうなの?(笑)

有吉:ダメだよ。俺、ボルデモードと一緒で、決して口にしてはいけない名前だって言ってるだろうと。

安田:まあまあ、言ってるね。確かに言ってますね。

有吉:だから、サンドリ……ラジオたまにどっかで聴いてるんだとしたら、俺が「じゃぶじゃぶの卵にすき焼きつけて食べてんだ」って思われてんだと思うとさ、そこに尊敬がなくなるじゃない。「コイツ、今日、スーツ着てMCやってるけど、すき焼き、じゃぶじゃぶの卵で食ってんだろう」と思ってんだろうなと思ったらさ、こっちの「童貞」っていうツッコミも効いてこないんだよね。

安田:効いてこないでしょうね(笑)。

有吉:コイツには響いてない。余裕で流してるだろうなと思って(笑)。だから、有名人の人が聴いてるの、ちょっと恥ずかしいなと思いながら。

安田:ああ、そうですか(笑)。

有吉:だから、あんまりこのラジオで悪口言わないようにしようかな(笑)。

安田:でも、絶対聴いてるでしょうね。