今年、アホになります。

 

星野源オールナイトニッポン 2024年2月6日

 

単純に、苦しかったというのは、コロナ禍がずっと3年ぐらいあって、そこで踏ん張ってた、いろんな気持ちでグーっと踏ん張ってたのが、いろんな規制が解除になったという去年の1月のタイミング辺りから、たぶんホッとしたのか、ポキッと折れたんですね。心が。ホッとすると風邪ひいたりするじゃない? そういう感じで心がポキッといきまして、そこから前向きな気持ちになかなかなれない、みたいな。そういうのが続いてたんで。あと、世の中がどんどんどんどん大変なことになっていくっていうか。ああ、いや、これ大変だわ、みたいなのにも当てられながらね。だから、なかなか楽しいとか、明るいみたいな感じの時間が少なめではあったんですよ。

で、ていうのもあって、今年、俺、決めたんすよね。この間、アメリカへちょっと行ってたという話をしたじゃないですか。1月。その行く飛行機の中で決めたんすよ。飛行機ってさ、逃げ場ないじゃん。逃げ場なくて、例えば、人と話したりも、ビジネスクラスに乗ってると、隣とも、マネージャーさんとも、衝立みたいのもあるし、あと、あんまり話さないでくださいみたいのあるじゃん。会話しないでください、みたいな。多分変なことが起きないように、みたいな見たいなさ。だから、話せないし。

例えば、本を読んだりとか、iPadにネットフリックスでダウンロードしてきたアニメ観たりとか、ドラマ観たりとか、そういうのしかないから、寝ましょうってなった時の、考えることいろいろあるっていうか。いろいろ考えるんだけど、気の逸らし方が全然ないのよ。行くとしてもトイレ行くぐらいしかできないからさ。だから、そこで向き合わざるを得なかったわけ。自分と。向き合って、向き合って、で、もう辛い! ああ、向き合ってるの辛い! でも、向き合うしかない。ああ、辛い! あー! あーーーー!
 で、出た結論が、「アホになろう」でした(笑)。俺は今年、アホになります(笑)。

俺、本当考えたの。一番幸せな人って何だろう?って考えたの。気づかない人だなと思ったの。気づかないって本当に幸せだなと思うんです。いろんなこと、世の中の問題に気づかない、自分の問題に気づかない、自分の辛さに気づかない、みたいな。そういうのってなくしていこうって、みんな当たり前だけど言うじゃん。世の中のよくないことは正していきたいし、何か自分で問題があるんだったら聞きたいし、直したいしって思うじゃん。俺もずっとそうしようと思って、なるべくそうしたいと思って頑張ってきたんだけど、世の中見て、「すげえ幸せそう」って層って思う人って、気づいてない人なのよ。圧倒的に。お前、ふざけんなよ!と思う人ほど幸せそうなの。ずるいな、みたいな。でも、かといって、俺、気づいちゃってるというか。『MIU404』のセリフでもありましたけど、気づいたら戻れないんですよ。

だから、大事なのは、気づいてるし、世の中も大変だし、もちろん何とかしなきゃいけないのはわかる。自分もまだ、こうしたほうがいいよねとかいうこともある。自分も人も傷つけないほうがいいし、一番いい方法を探りたいよねって常に思ってる。わかってる。でも、アホになろう!っていうこの感じ。今、アホにならせてとか、いろいろあるけど、まあちょっとアホになっとこう、今は。みたいなのが多分必要だな、俺にはと思ってる。

僕、起きてる時間、ずっと頭の中で誰かが喋ってるんですよ。ずーっと喋ってるの。何かが。俺も喋ってるし、音楽もずっと鳴ってるし。あれをこうして、こうして、こうなったらこうなるから、あれがこうですよね。みたいなことをずーーっと言ってるから、それは生まれ持ったあれだからいいんだけど、そこでわりと心配性というか、何か、例えば、仕事の計画がポンとあったら、そこから、これについてこれがああなったらこうなるから、こうなって、こうなって、こうなって、みたいなシミュレーションがガーっと始まるの。頭の中で。それは別に仕事に役立つからいいんだけど、それが、例えば、悩みとか、こんなことが起きたらどうしよう、怖いとか、心配、不安、不安みたいなのがワーッとネガティブ方面が膨れてきたら、アーーみたいな、バカになるというか。何とかなるんじゃない?みたいな、すごいアホになるというのは、僕は今年決めました。

なので、ラジオをやってる時ももしかしたらそういうのが出てくるかもしれない。星野源どうした?みたいな。急に、いつもの星野源と違う、みたいなのが出てくるかもしれないですけど、そういう時は、「あ、アホになってるんだな」って思ってもらえればいいかなと思います。そんな感じなんですよね。今年はそういこう。

急にアホみたいな曲作るかもしれない。次のニューシングル、めちゃくちゃアホみたいな…。今、アホみたいなたとえの曲のタイトルを言おうとしたけど、やめます(笑)。それはよくない気がしたので。よくないというか、俺にとってはマイナスなことじゃないんだけど、世間にとってはこれはディスになってしまうというか、受け取るバカがいるかもしれないのでやめましょうね。
そういう感じでいこうと思います。