岩井さんが二十歳(はたち)の頃の話

 

ハライチのターン! 2021年1月7日

 

岩井勇気:アニメとかゲーム好きなんでね、そういう仕事をいろいろやってんですけどね、今はね。2021年に新しく出るゲームの宣伝番組が始まりましてね、『ファンタシー スターオンライン2 ニュージェネシス』というゲームの番組なんですけど、ゲーム自体は、宇宙が舞台で、SFオンラインRPGみたいな感じなんてすよね。で、『ファンタシースター』というゲームのシリーズで言ったら、もう30年近くあんのかな。

澤部佑:えっ? めちゃくちゃ人気じゃない。

岩井:ずっとやってんですよ。セガのゲームなんだけど、それの最新作ですよね。一応MCやらせてもらってまして、アシスタントが日向坂の丹生明里ちゃん?

澤部:ニブちゃん。

岩井:ニブちゃん。フワッとした感じの子ですけどね。ああいう子を俺甘やかすのが結構好きなんです。

澤部:(笑)ああ、意外と厳しくじゃなく、甘やかす。

岩井:そう。とにかくああいう子は甘やかすのが好きなんで、ちょっと推してみようかななんてね、思ってますけどね。

澤部:ああ、ヤバい!(笑)怖い(笑)。

岩井:(笑)思っちゃいますけどね。

澤部:大丈夫ですか?

岩井:一緒に番組なんてしてると。

澤部:大丈夫ですか? まあまあ、いいや別に(笑)。

岩井:(笑)デス推し発動しないといいですけど。

澤部:ああ怖い! 絶好調なんだから! 日向坂(笑)。やめてあげてよ。

岩井:こっちのデス推しも、絶好調。

澤部:絶好調らしいね。

岩井:うん。

澤部:やめてあげてよ。

岩井:両方なんですけどね。

で、このゲームなんですけど、実は俺が二十歳ぐらいの頃に、パソコンで『ファンタシースターユニバース イルミナスの野望』というオンラインゲームを、俺はめちゃくちゃやってたの。その頃なんか仕事なかったしさ、ゲームして、寝て、バイト行って、帰ってきてゲームして、ちょっと寝て、みたいな感じの日を繰り返してたのね。

で、そのゲーム、あんまり進め方も自分でやってるとわかんなくて。困って、当時、mixiで、全盛期だったから、そのコミュニティというのがあったのね。

澤部:コミュニティありましたね。

岩井:「何をやったらいいのかわからないです」みたいのを書き込んだら、「教えますよ」っていう人が現れたの。

澤部:おー!

岩井:その人とやりとりしながら、ゲーム内で一緒にログインして、いろいろ連れていってもらったりしてて進めてもらってたの。

澤部:へえ~!

岩井:そしたら、その人が入ってるギルドっていうグループみたいのがあるんだけど。

澤部:ゲーム内の。

岩井:ゲーム内のグループっていうのが。入れてくれて、その中のグループの中の人たちも仲よくなって、より強くなってハマってってたのよ。

そのグループで夜な夜な、スカイプってあるじゃん。音声チャットしながら、5~6人でしゃべりながら敵倒しに行ったりしてたんだけど、スカイプでしゃべってる感じ、女の人もたぶん1人いたけど、あとは全員男だったんだよ。でも、ゲーム上はほぼ全員女のキャラみたいな。自分で作って使うんだけど。

澤部:そうか、自分で作れるやつね。

岩井:俺も背の低いツインテールの女の子のサイボーグ使ってたんだけど(笑)。

澤部:それ、考えられないんだけど。俺、ゲームやる時絶対イヤなんだけど。

岩井:えっ?なんで?なんで?(笑)

澤部:俺はかっこいい男のキャラがいいの。俺は絶対(笑)。

岩井:ツインテールの女の子のキャラにでかい武器持たすのすげぇやってた(笑)。

澤部:いや、いるけど。トゲトゲの鉄球とか持たすみたいな?(笑)

岩井:みたいな(笑)。そう。でっかい斧とか持たすのすげぇいいんだけど。

澤部:いや、わかるけど。

岩井:半年ぐらいそんな感じで遊んでたある日、「オフ会しようよ」みたいな

澤部:おおー!

岩井:話になったんだよ、なんか。オフ会っていうのは、オンラインじゃなくてオフラインで会を開こう、みたいなことなの。だから、リアルで会おうよ、みたいな話なんだけど。

澤部:ということなんだね、オフ会。

岩井:うん。俺やったことなかったし、そういうこと。で、みんなゲーマーだから、来ないだろうなって、どっかで。

澤部:ああ。

岩井:家にいる人たちだろうなって思ってたけど、意外とみんな「やろう、やろう」みたいな感じにとんとん拍子でなっちゃって。

澤部:へえ。めちゃくちゃ緊張する、なんか。

岩井:「じゃあ俺も行きます」って言わざるを得なくなっちゃって、行くことになったんだよ。

で、リーダー格のめちゃめちゃ強い、そのゲーム内では、男の人が「じゃ、俺の家でゲームしますか?」みたいな感じになって、ちょうどそのシリーズでPSPのソフトも出てて、「それやりましょう」みたいな。「いいね、いいね」みたいになって、日にちも決まってさ。都内にその人の家があんだけど、地方の人もいるから、飛行機で来たりなんかする人もいたりして。

澤部:そんなすごいの?オフ会って。

岩井:うん。でも5~6人なんだよ。

澤部:えー?

岩井:それで、オフ会の次の日、コミックマーケットっていう夏のコミックマーケットコミケがあるから、そのリーダーの人が「じゃあ、泊まる人は僕の家に泊まってゲームして、次の日コミケに行こう、みんなで」みたいな話になったの。あれよ決まっちゃって、行くことになって、当日、都内のリーダー格の人の家の最寄りの駅に集合したんだよ。

澤部:すげぇな、お前。

岩井:でも、みんな顔知らないから。

澤部:岩井青年、二十歳ぐらい?

岩井:そう。

澤部:はあー。

岩井:年上の人も結構いたかな。

澤部:ま、そうだよな。

岩井:ケータイのメールで連絡とりあってさ、いざ顔を合わせたら、オンライン上での知り合いだから、別にそんなのどうだっていいんだけど、めちゃくちゃオタクの見た目なんだよね、みんなね。

澤部:いわゆるこう。

岩井:うん。そう。冴えない感じのさ。俺が高校の時には絶対に友達になってなかったようなタイプの人たちがバーッているんだけど。

澤部:(笑)そんな言い方。

岩井:本当にそんな感じのさ。

澤部:岩井がイケイケグループだったからな、高校の時ね。

岩井:そうそうそうそう。リーダー格の人は、すごい巨漢で、めちゃくちゃ太ってんのね。

澤部:うん。

岩井:でかいんだけど。

澤部:うん。

岩井:1人いた女の人は、見るからにオタク女子みたいな感じで、何て言うの? キャリーバッグみたいな、ガラガラみたいな。

澤部:あ、もうコミケも行くし。

岩井:みたいな感じで来ててさ、「行きましょう」みたいなリーダー格の人が「俺の家、案内します」つって家に向かったんだよ。着いたら、めちゃくちゃ実家なわけ(笑)。

澤部:(笑)まあ、なんか、イメージ、そうか。

岩井:一軒家でさ。

澤部:どおりだな。

岩井:そう。めちゃめちゃ古い家で、ガラガラっていう引き戸の家でさ、入ったら、人んちの匂いすごいわけ。

澤部:そりゃそうよ。人んちだから。

岩井:人んちの匂いするなあって。そこのお母さんが出迎えてくれてさ、「息子が友達連れてくるなんて珍しくて」みたいな感じのこと言ってて。

澤部:ああ。ゲームばっかりなのかな、普段ね。

岩井:上がらせてもらって、「お邪魔します」なんて言って。踏みしめると軋む階段を上がってってさ。

澤部:実家感(笑)。

岩井:2階のその部屋がリーダーの部屋なんだけど、本当、パソコンとベッドがあって、簡素な棚にフィギュアとかが飾ってあるような感じだけなんだけど、あと、なんにもなくてさ。畳にみんな座ってね。

澤部:(笑)いいね。

岩井:PSP出して。

澤部:すごいね。

岩井:『ファンタシースター』やってさ、駅からリーダーの家へ行くぐらいまで、顔を合わせて「どうも」みたいな話はしたんだけど、なかなかあんまり会話なかったんだよ。

澤部:まあまあね。

岩井:でも、PSPでパーティで一緒にゲームし出したぐらいから、瞬間的にいつものみんなのキャラになる。スカイプでやってるみんなのキャラに戻る、みたいな。

澤部:はあ、すごいね、ゲームって。

岩井:そう。「はい、俺前行くから、後ろ頼むね」みたいな。「盾やりまーす」みたいな。

澤部:ハッハッハッハッハッ へえ。おもしろっ。

岩井:「生きてるよ~。気をつけてね~」みたいなのを言いながら、戻ったな、なんつって。やっぱゲームでつながってんだな、みたいな。

澤部:そういうことだね。

岩井:で、さんざんゲームやって、そこんちのお母さんが作った夜飯、みんなでリビングみたいなほうで、茶の間みたいなところで食べてさ。

澤部:楽しいね。

岩井:その時、そこのお母さん、ちょっと泣きそうになってんの。なんか。「こんな日が来るなんて」みたいな(笑)。

澤部:ああ、そう。

岩井:ああ、そういう感じの子なんだな、リーダーって、みたいな。

俺は埼玉に住んでたから、その日は泊まらなかったんだよ。帰れるから、俺は。地方から来た人はそのリーダーの家に泊まったわけ。次の日、朝早くからコミケ行って。早朝集合して行ったんだけど。

澤部:岩井も埼玉からまた行ってるわけだね、コミケ

岩井:うん。朝の始発ぐらいで行ったんだよ。今でも覚えてんだけど、あれが俺の初のコミケだったわけ。

澤部:はあ!

岩井:行ったことなかったから。夏のコミケだったんだけど、とんでもない暑くて。ビッグサイトか、あそこの。汗だくだくになってさ、死ぬかと思うぐらいでさ。コミケよくわかってなかったんだけど、俺は。どうしたらいいんだろうなと思ってたら、リーダーが「好きなアニメとかあるの?」って聞いてきて、「俺、このアニメとかこのアニメが好きで」って言ったら、「じゃ、そのアニメの同人誌だったらあの辺だから、そこのルート入れてみんなで回ろうよ」みたいな。

澤部:すげぇ、かっけー(笑)。

岩井:そん時のリーダーね、すごくかっこよく見えた(笑)。

澤部:(笑)そうか。見せたいね、お母さんにその姿。

岩井:(笑)めちゃめちゃ頼りがいあったね。で、クタクタになるまで回って、そのまま夕方、秋葉原に行って。コミケからアキバへ行くっていうルートが王道ルートなんだけど。

澤部:なるほど!

岩井:そう。アキバのマックでみんなでPSPのゲームするわけ。『ファンタシースター』の。

澤部:いいなあ。

岩井:その頃にはリアルで会ってても普通にしゃべってるような感じになってたんだけど。

澤部:ああ、打ち解けて。

岩井:夜までゲームして、そしたら、5~6人の俺以外がさ、「明日もコミケ行こうか」みたいな感じになったの。でも、俺は初のコミケだったから、ちょっと明日はしんどい。

澤部:ちょっとね。人すごいし。

岩井:いやあと思っちゃって、別に次の日も用事なかったんだけど、「俺、明日ちょっと用事あってさ、ちょっとコミケは行けないわ」みたいな言って断ったんだよ。ほかのメンバーは、またリーダーんちに泊まって行くことにしてたっぽいんだけど。

で、次の日、俺は行かなくて、その何日か後にまたゲームログインしようと思ってログインしたんだけど、珍しく何日後かの時に集まり悪くてさ。

澤部:いつもは行ったら絶対。

岩井:結構いるんだけど。その次の日も、その次も集まり悪くて、あんま集まらなかったんだよ。その時オフ会やってたメンバーの一人がいたから「なんか最近集まり悪くね?」って言ったら、「ちょっとそれがさ…」ってなって。

澤部:なに?

岩井:俺がいなかったオフ会の3日目に、実はリーダーがメンバーで1人いた女の子のことが好きだったらしくて。

澤部:ハッハッハッハッハッ うそだよ~なに?すごいじゃん!

岩井:本当にずっと好きだったらしくて、3日目の夜、告白したんだって。

澤部:すごいじゃん! ええっ?

岩井:うん。

澤部:えっ?

岩井:そう。

澤部:なに?

岩井:夜、その子も泊まったらしいんだけど。

澤部:なに?この話。

岩井:違う部屋に呼んでかわかんないけど、告白したんだって。したら、フラれちゃって。

澤部:そういうことか~(笑)。

岩井:その女の子がログインしなくちゃった(笑)。

澤部:気まずいよな。

岩井:そう。

澤部:気まずいね。

岩井:リーダーも気まずくなっちゃってログインしなくなっちゃって(笑)。

澤部:俺のせいというか、なんか、まあ。

岩井:変な感じになっちゃったんだって。

澤部:ファーッてなんかみんな。

岩井:なっちゃって、みんな来づらくなっちゃって、それで。

澤部:なんだ、この、せつない話だけど。

岩井:そっから空中分解になっちゃって、ワーッて散り散りに。

澤部:青春。なんか。

岩井:俺もさ、誰もあんまログインしなくなったもんだから、遊ばなくなっちゃったんだよね。その時にね。

澤部:そうか。

岩井:そう。あれから何の連絡もとらなくなったんだけど。

澤部:うわー。

岩井:今、『ファンタシースター』の最新作の番組やってんだけど、あんだけ、みんな俺以上に好きだった人たちだったから、番組観てんのかなあとか思ったりするね。

澤部:うわあ、なんか、なに? 青春だ。めちゃくちゃ。また会える可能性あるでしょ? ゲームの中で。

岩井:そうそうそう。ログインしてたら、もしかしたら、俺も今やってるから、当時の名前変えてなかったら、うわーってなる可能性もある。

澤部:わかるかもっていう?

岩井:覚えてる、覚えてる。

澤部:すごいね。(東京)03さんのコントみたいだもんね。

岩井:(笑)そうね。

澤部:一緒に行って、告白して。

岩井:告白して、気まずくなっちゃってっていうやつね。

澤部:気まずくなっちゃうやつね。

岩井:うん。

澤部:いやあ。

岩井:面白いんでね。

澤部:ときめいたなあ、なんか(笑)。

岩井:皆さん、そのゲームやってみてください。

澤部:お前、青春してたんだな、二十歳の頃。

岩井:そうだねぇ。

澤部:二十歳の頃だろ?

岩井:そうよ。

澤部:そんな言わなかったな、お前。

岩井:言ってないね。

澤部:終電逃して大宮駅から歩いて帰ったりしてた二十歳ぐらい、あのぐらいだろ?

岩井:そういうことだよ。

澤部:懐かしいなあ(笑)。

 

 

松坂桃李さんが演じる映画『あの頃。』(2月19日公開予定)の原作『あの頃。男子かしまし物語』をほうふつとさせるお話がとてもよくて、何度も何度も聴いた。そして、久々にラジオの書き起こしをした。