ハライチのターン! 2022年10月6日
岩井:映画を観に行ってね。久々に実写。
澤部:あんまり観ないですよね?
岩井:はい。あれですよね。『川っぺりムコリッタ』っていう。
澤部:あっ。満島さんでしょ?
岩井:そう。満島ひかりさんがやってる。主人公を松山ケンイチさん。あと、ムロツヨシさんが出て。これが、バンドのたまの知久さんが出てるんですよね。これさ、前に俺がラジオでたまの話をしたときに、その後でたまのタンクトップの石川さんがメールくれたじゃん。
澤部:うん。
岩井:映画の劇伴やってます、みたいな話してたでしょ?
澤部:ああ、言ってたか。
岩井:パスカルズというユニットやってるんだけど、それの音楽使ってるみたいなメール来てたから、「これ、観に行かなきゃな」と思って。それも、パンサーの向井くんがお昼にやってる『ふらっと』で、俺、満島さんが出るから見に行ったときにも、それ、宣伝してたんだけど、それを母親が聴いてて、「あれ、面白そうだね。行きたいな」みたいな。で、「じゃあ、行こうか」みたいな話して、たまのお2人もパスカルズでやってるし。
澤部:いろいろつながりが。
岩井:それで、時間合わせて行ったんですよね。さいたま新都心のMOVIX(笑)。
澤部:(笑)なんで?
岩井:母親のほうに近いほうと思って。行ったんだけど、待ち合わせしたんですよ。映画館の待ち合わせで。したら、俺が行ったときには映画館に母親が来てて、チケット2枚とジュース2つとでっかいポップコーン持って(笑)。ウキウキでね。で、映画館入ったんですけど。
客層もほとんど年配の女の人、多いね、ああいう感じの映画は。結構入ってたね。後ろの席のほうまで埋まってたんだけど。一番後ろぐらいの席をとったんだよ。座ったら、隣の席におばさん2人組がいたの。その人たちが映画の予告始まってもずっとしゃべってて。結構な声量で。
澤部:ああ、気になるね。
岩井:ちょっと、これ大丈夫かな。始まったら大丈夫かな、みたいな。
澤部:予告のときには、もうちょっとね。
岩井:そしたら母親が「ちょっとあれ、すっごい嫌なんだけど。家じゃないんだから。非常識だね」とかずっと言ってて。聞こえるぐらいの。聞こえそうな。
澤部:仕掛けてるぐらいだ。
岩井:仕掛けてんのかな?と俺も思ったんだけど。俺もあんまりリアクションしないように。
澤部:大事にしないようにね。
岩井:大事にしないようにしてたんだけど。ついに映画始まったんだよ。その瞬間にうちの母親のケータイのアラーム鳴っちゃってね(笑)。
澤部:最悪です。最悪です。
岩井:お前じゃねーかよ! 切っとけよ。
澤部:最悪だね。その仕掛けが向こうに聞こえてたら、より最悪だよね。
岩井:最悪なんですよね。
澤部:お前かよ!みたいな。
岩井:『ダイナミックなターン!』の時間をアラームかけてるらしくて。
澤部:(笑)
岩井:忘れちゃうから。
澤部:じゃあ、お前も共犯みたいなもんだな。
岩井:俺は関係ないでしょ。
澤部:最悪だよ。
岩井:でも、お隣のおばさん2人は、映画始まったらすっごい静かなの(笑)。一言もしゃべんないんだよね。
澤部:そこはちゃんとしてた。
岩井:アラームにも何にも反応しないし、言ってこないし。
澤部:向こうは仕掛けてこない。
岩井:そう。「ごめんね」と思ってね。
で、映画、すごい面白かったんです。大事件も起こんないわけですよ。
澤部:そういう日常を。
岩井:日常の人間模様みたいなものを見せる映画でね。そもそも、そういうほうが俺も好きだしね。パスカルズの音楽もまたよくてね。あの音楽ないと成立しないぐらいのマッチした劇伴で、ほんといいなと思ってね。母親もすごい気に入ってて。映画終ったときにも「面白かったね」みたいな感じで。
澤部:あ、いいね。
岩井:で、お腹すいたななんつって。ポップコーンめちゃくちゃ食ったけどね。ポップコーンの8割を俺が食ったみたいな。
澤部:(笑)結構食ったね。
岩井:飯食おうかなって。さいたま新都心だから、MOVIXさいたま、ショッピングモールのコクーンというところにあるから、どこの店もパンパンでね。
澤部:そうか。
岩井:出たときが昼の1時ぐらいだったんだよ。もう無理だなってなって。土曜日だったから。検索したら、ちょっと離れたところにセナラという焼肉屋。
澤部:セナラ?
岩井:セナラって知らない?
澤部:知らない。
岩井:えっ? 知らないか。あるのよ。ちょっといい。セナラだったと思うんだけど。ちょっと高いけど、そこ行くか、みたいな。きれいなところなんだけど。埼玉の叙々苑みたいな感じのところ。そこで昼飯食おうかって車で行って。空いてて、入れて。映画の話するんだけど。劇中にハイツ「ムコリッタ」という。
澤部:そういうことなんだ。ハイツの名前。
岩井:ちょっと世間からはみ出した、なじめなかったりした人が入ったりするアパートなんだよね。その中でいろいろそういう人たちで繰り広げられていくんだけど。そしたら俺が「ああいう人たち大変だけど、楽しそうにやってたね」みたいな感じの話で、母親が「世間に言い返せなかったりで傷ついちゃって、ああいうふうな人たちっているよね」みたいな感じの話してて。そしたら俺が、「俺は、ああやって傷ついちゃって何も言い返せない人の気持ちがちょっとわからないときあるわ」みたいな。
澤部:言えるタイプだから。
岩井:そう。結構言うタイプだから。そしたら母親が「それはそうでしょう。私がそうやって育てたんだもん」て(笑)。
澤部:(笑)はあ。
岩井:言うわけ。
澤部:強い母親。
岩井:「ああ、そうなの?」って言ったら、昔、小学校1年ぐらいなのかな。俺が母親と父親と、妹が赤ちゃんぐらいのときで、東武動物公園に行ったときに、ポニーに乗るところがあるんだよね。「乗りたい」と言って列に並んでたんだよ。そしたら、バーッて子どもが来て抜かされたんだよ。俺の前に入られちゃって。俺がめちゃくちゃ不機嫌な顔をしてたんだって。そしたら、母親がそのときに「『抜かすな』って言えばいいじゃん」て俺に言ったの。そしたら俺がムスッたれて「いや、いい」みたいな感じで言ったら、母親は「じゃあ、そんな顔すんな。言い返せないんだったらヘラヘラしてろ。そのまま乗りな」って言ったの。そしたら俺が「じゃあ、もう乗らない」って。
澤部:より拗ねるわな。
岩井:そう。「いや、それは違うでしょ」って母親が(笑)。
澤部:逃がさない。
岩井:「自分が乗りたいって言ったんだし、今の状況から逃げたいだけでしょ、それは。今言ってんのは、『抜かす』って言って乗るか、言わないでヘラヘラ乗るかなんだ、あんたは」。言われている間に列が進んでいって、結局、大泣きしてポニーに乗ったらしいんだけど(笑)。
澤部:まあ、乗れてはいるけど、嫌なゴールだな。
岩井:うん。だから、なるほど、と。「言いたいことは言う」っていう性格にそれでなってんだ。
澤部:まあ、そういうことだな。その後もほかにもいろんな場面で言われてんだろうね。
岩井:そうそうそう。我慢してというか、そこで何もアクション起こさなかったら、後々言わないという。だから、俺は今、自分が正しければ、自分が嫌な思いしないために徹底的に言ってもいいと思っちゃってんの。そういうふうに育てたらなるもんだなって。
澤部:(笑)育てられてたんだって。
岩井:完全になってるなと思って。
「あとは、みんなが欲しがるおもちゃとか、みんなが欲しがるから、みんなやっているからとかで私は買い与えなかったのよ」って。みんな持ってるからそれが欲しい、みたいな。自分が本当に欲しいかどうかをちゃんと理由を説明とか。
澤部:それは大事だね。
岩井:そう。で、自分が正しいと思わなかったら、大多数の中に入る必要がないって育てたんだって。母親が。『金スマ』にハライチ特集で出たときに、VTRの中で授業参観で「A、B、答えどっちでしょう?」と先生が質問したときに、みんながAに手を挙げてて、俺だけ1人Bに挙げてた話があって、結果、Bが成果だったというVTRが作られていたでしょう?
澤部:小学校時代のエピソード。
岩井:あれ、本当にあって。そのとき母親は「怖くないんだ。この子、1人でBに挙げることが」って思ったらしいのね。でも、俺は、正しいことを正しいと思って手を挙げて正解した、みたいな気持ちじゃなかったの。
澤部:そのとき?
岩井:そのとき。
澤部:違うんだ。
岩井:そういうとき、大体そうなんだけど、俺は「バカめ。Bだと思ってても、少数派になる度胸がない奴らの集まりだな。臆病者め」みたいな思うほうになっちゃったの、俺は。
澤部:ちょっとそれは違うね。思ってたのと違うな。
岩井:「お前ら度胸ねぇだろ」みたいな感じの方向になっちゃってたの、なんか。でも、そのまま本当に大人になってるなと思って(笑)。
澤部:(笑)
岩井:そういう性格が形成されてんじゃん、と思って。だから、親が育てたまま大人になるんだなと思ってね。
澤部:それがいいか悪いかわかんないけど。
岩井:そう。で、妹は俺と結構違うのね。
澤部:あ、そう。
岩井:あんまり強めに主張したりしないし、間違っていることを間違っているとか言わない感じなんだけど。「そうだよね?」みたいに母親に言ったら、「それはね、あんたがクラスとかサッカーチームとかでポツンと1人になることが度々あって、1人でも平気そうにしてるの見て、かわいそうになっちゃって。だから、2人目はもうちょっと人に合わせるように育てようと思って育てたのよ」って。
澤部:ああ、わかるわ。
岩井:言うから、「いやいや、俺、失敗作としてやってんじゃん」て(笑)。「俺のことは失敗作としてやってんじゃん」て(笑)。
澤部:あるある、それも子育ての。それ、そうなんだよね。
岩井:失敗のホムンクルスとしちゃってんじゃん(笑)。俺のことは。
澤部:別に失敗とは言ってないから。
岩井:こいつダメだって。
澤部:失敗と言ってないでしょ?別に。
岩井:妹は俺を倒すように作った(笑)。
澤部:より高性能の岩井を作ろうと? いや、いろんなタイプがいていいから、別に。失敗じゃないけど。
岩井:そんなことを今週は思いました。
澤部:いいね。自分が育ったのを、形成されたのを思い返しながら。
岩井:言ったまんまだなと思ったね。
澤部:全然変わるもん。長女と次女で。
岩井:育て方で。
澤部:そう。うちは次女が岩井みたいに育って、1人で全然いいの。それはちょっと心配になっちゃうんだよね。
岩井:なるほどな。
澤部:それで高性能妹が生まれたんだよ(笑)。
岩井:(笑)
澤部:今、ないの? 妹と会うことは。
岩井:いや。
澤部:一人暮らししてんだよね? もう。
岩井:してるけど、実家行ったら会うし、母親と2人でうちへ来たりとかしますけどね。
澤部:あ、そう。昔、お前んち遊びに行ったときとか、毎回けんかしてたもんな。妹と。
岩井:そうだよ。
澤部:絶対。「なんだよー!」みたいな怒鳴り声とともに(笑)。
岩井:あれ、うち、全員だから。
澤部:(笑)そうか。
岩井:うん。うち、全員ああなるから。
澤部:全員怒鳴るのか、基本的に。
岩井:そう。別に何とも思ってない。
澤部:それが通常だから。
岩井:そう。
澤部:そこにたまに友達が来たりすると、
岩井:びっくりしちゃう。
澤部:友達はびっくりする(笑)。抑えろよ、友達が来たときは。
岩井:(笑)お前んち行ったときも、俺、ビビッてるからね。
澤部:えっ?
岩井:暗い家族だねって(笑)。
澤部:逆にね。確かにね(笑)。それはそれぞれの家庭でそうか。
岩井:そうですよ。