深夜の音楽食堂 2022年2月2日
松重豊:舞台のお仕事もありながら、映画、テレビ、それからネット系の。すごいね。幅の広さというのは。
柄本時生:そんなことはないと思うんですけど。
松重豊:俺が言うのも嘘くさく聞こえるかもしれないけど、すごいなと思ってさ。俺らのころはネットってなかったから、そんなに。今はネットで観る環境のほうが。
柄本時生:土壌的にはそっちらしいですから。
松重豊:今後どうなっていくんですか? 時生くんたちの時代のショービジネスというか。
柄本時生:僕らの時代は怖いですね。
松重豊:何が怖いの?
柄本時生:僕らが、出る人間が言ったことが反映されやすくなってきたんだなというのはとてもよくわかる時代にはなってきたなと。
松重豊:ちょっとおもしろいこと言うね。例えば?
柄本時生:例えば、僕が何々やりたいと言ったら話が進んでしまうというか。
松重豊:たぶん、そうしないともう駒が進まなくなってきるんじゃない? ちゃんとわかってる人が、こういうビジョンがあって、こういう道筋つくりたいんだけどって言ってくれないと用意してくれないわけなんだよ。
柄本時生:そうなんですよね。たぶん、そういう時代になってしまったんだなというのはわかりましたかね。
松重豊:その年でその負担を課すのは酷だなとは思うんだけど、でも、そうやってくれないと困るね。時生くんたちの世代が、こういう方向性ですよねって。
柄本時生:言えることになんなきゃいけなくなるんだなっていう。今までは、来たものに対してどうする?を考える時代、だったような気がしているんです。だったものが、出して、どうする?の戦いになってくるような気がしてて。
松重豊:これ、誰かが考えてくれるわけじゃないんだなって思うじゃん。
柄本時生:そうです、そうです。
松重豊:これ、俺考えなきゃいけないんだって思うんだけど、でも、それやらないと、今後、若い子たちが時生くんみたいになりたいって思う人が今後出てくるような世界にならないから。
柄本時生:そうですよね。難しいと思いますね。
松重豊:そういうふうにリーダーシップとってる人たちがおもしろいことを発想して、それを実現させて、それでこの世界をよくしていかないとダメなようになってきちゃったんだと思うんだね。もう。
柄本時生:いや、思いました。
松重豊:残念ながらというか。逆に、でも、時生くんがどういうものを観てきて、どう感じて、どういうものがやりたいかということが反映されてくると思うんで、ちょっとその先のビジョンを聞かせてここを締めようかなと思いますんで。どういうのを見せてくれる?
柄本時生:どういうのを見せられるんですかね。僕はでも、僕、兄貴と二人芝居だけでもとにかく見せていきたいですかねっていう程度なんですけどね。
松重豊:演劇ではね。
柄本時生:演劇では。で、映画であったり何であったりは、ちょっと難しいですね。今はどうなのか。劇場、とにかくスクリーンでどう観てもらうか……。
松重豊:なんかポロッと言っちゃえよ。言っちゃいけないかなと思ってるかもしれないけど、ポロッと言っちゃえ。こういうのやりたいな、みたいな。言霊として。
松重豊:次郎長三国志!? ははあ。次郎長三国志。これ、前、誰かやってたよね?
柄本時生:津川さんが撮られてますかね。
松重豊:最近はやってないんだっけ。
柄本時生:今、やってないですかね。次郎長三国志、ちょっと興味あります。
松重豊:興味ありますね。私もその流れでどこかで出演することができれば、なんて思いますけれども。そういう言霊も電波に乗せてちょっと言っておけば。
柄本時生:そうですね。
松重豊:そういうことを発信するエネルギーを持たないと、この先、時生くんとか、まだこれから何十年もこの世界でいきてくわけだから、僕らは必死でついていきます。
柄本時生:いやいや、そんな。