BAY STORM 2021年11月21日
二宮和也:(メール)二宮くんが考える個性とは何ですか? 私は現在、演劇部に所属しているのですが、自分の個性、色がわからず、日々悩んでいます。個性は見つけるものですか? 作るものですか?
ちょっとわからないので、誰かに聞いてもらって。違う番組に送っていただきたい……。
板橋:いやいや、BAY STORMの二宮和也様宛てにきてるんですよ。個性とは?
二宮:何ですか?だって。逆に「個性とは」って調べたら何が出てくるんですか?
板橋:国語的に?
二宮:そう。
板橋:ほかの人と違ったその人特有の性質とか性格とか特性みたいな、その人らしさみたいなことですね。
二宮:個性は見つけるものですか、作るものですか、だって。難しいですよね。これはもうなんか、半永久的に繰り返される。しかも悩みどころじゃないですか。ガラスの10代のこの時期って。多感なお年頃だし。
板橋:さらに、こういうことをされているわけですからね。
二宮:そうなんですよ。ほかの人たちを見てると、なんか見えてくるものがあるから。
板橋:これ、たぶん相当真剣な質問だと思うんですよ。
二宮:ふざけちゃだめなんですね。そっか。一切遊びのない。
板橋:真剣に悩んでいらっしゃるなら、いいかげんにお答えできませんよ。ただ、本当に難しいですよね、これは。
二宮:難しいですよね。一長一短ですよね、これね。個性は必要としていないタイプの人間なんで、僕は。
板橋:ほう。
二宮:個性に価値があると思う人とは真っ向勝負するんで、僕は。難しいですけどね。
板橋:でも、そういうご意見はまた新鮮に聞いていただけるんじゃないですか? この方には。
二宮:あと、わりと、ロジカル的にいっちゃうと危ないとこなんで、あんまり触らないほうがいいんですよ。よくドラマとか映画をやってる時に、キャラクターの性格が「おっちょこちょいなんだけど、決める時は決める、そんな魅力的なキャラクターです」みたいな。例えば、二十の役をやる時に、二十までの20年間で、そんな簡単な感じで言えちゃう性格の人生って面白くないなと思って動いてるタイプなんで、僕は。だから、この人にとってはすごいいい人だけど、この人にとっては悪い人で、この人にとっては尊敬するけど、この人にとってはライバルでとかって、いろんな面があるはずなのに、「おっちょこちょいだけど決める時は決める、そんな魅力的なキャラクターです」って。言えないことが絶対的に深みなわけじゃないですか。
板橋:簡単に言葉で言い表すことができないことこそがその人の味であるという。
二宮:そう。昼眠たい人もいれば、夜眠たい人もいるわけじゃないですか。もっと言うと、今日の昼は眠たかったけど、明日の昼は眠たくないかもしれないじゃないですか。でも、そこをわりと交通整理していっちゃうじゃないですか。だから、夜は眠たい。朝早く起きると眠たいとかって、わかりやすくなっていっちゃうから、難しいんですよ。それをしなきゃいけない、みたいな。だから、朝起きた時に「眠たいよ~まだ朝4時半だ、眠たい」とかってなっちゃうじゃないですか(笑)。
板橋:わかりやすいお芝居としたらね。ひな型じゃないけど。
二宮:そうなっていっちゃうんですよ。でも、もしかしたら自分の価値観としたら「4時半なんてギンギンだぜ」みたいな(笑)。
板橋:そうですよね。人によっては一番活発な時間かもしれないですものね。
二宮:そう捉えている人もいるじゃないですか、4時半を。でも、そんなんで、ガーンとか起きて、走って顔を洗いに行ったりとかすると、ちょちょっとごめんなさい、ごめんなさい、みたいな。
板橋:なりますわね。
二宮:猟奇的だな、みたいな(笑)。
板橋:怖い、怖い(笑)。
二宮:怖いな、みたいな。もしかしてそれが正解かもしれないのに、正解じゃなくて、あるあるやってもらいたいみたいな。妥協じゃないですよ、言ってるのは。
板橋:はい、はい。わかります。
二宮:共感させとく時期は共感させといて、あとは裏切るのか、ちゃんとそのまま王道でいくのか。それは、作品のオチだったり性質だったりとかで決めればいい、みたいなものだったりするので、あんまり個性とか必要ないんですよ。
板橋:あるあるね。それはすごくわかりやすかったです。
二宮:だから、個性がないほうが裏切れるし、そのままもできるし、本当はいいんですけど、でも、不安ですよね、個性ないとね。
板橋:特に今すごく学んでいらっしゃる中途にいらっしゃる方だから、悩むんでしょうね。
二宮:「あなたの個性は何ですか?」とかって聞かれるのかな。
板橋:そういう授業とかありそうじゃないですか。
二宮:何だろう、俺。人をバカにすることかな(笑)。絶対受からないよね?
板橋:でも、今の二宮さんが仮にそう言ったら、それは一つ価値のあることですから。だけど、生徒さんなり研究生とかで「人をバカにすることです」って言ったら「帰りたまえ」と言われるかもしれないですね。
二宮:わかりやすくなっていっちゃうから辛いんだよね。でも、言い表さないほうが魅力的なんですよ。
板橋:素敵なお言葉頂戴しましたね、今日は。いいお話ですよ。
二宮:(櫻井)翔ちゃんだって、見る人から見たら、オリンピック何大会もやってるキャスターとして見てる人もいるし、ニュースをやってるキャスターとして見てる人もいるだろうし、俳優さんとして感銘を受けてる人もいるだろうし、いろんな顔があの人の中で存在するのに、それを、キャスターも俳優も音楽活動もやっています、みたいな。
板橋:一言できれいに言えちゃうほうがというのは、それはすごく説得力のある言葉ですね。
二宮:見てる人の分あるわけだからね。でも、10代だから。
板橋:とてもいいお話を伺えたんじゃないでしょうか。
二宮:ガラスの10代、難しいんだよ。わかるなあ。
板橋:ありがとうございます。