伊集院光とらじおと 2020年3月24日 ゲスト・成田聡子(生物学者)
伊集院光:新型コロナウイルスというのはどういう特徴を持っているウイルスだと。今のところでいいんですけど。
成田聡子:最初は謎な状態でしたよね。潜伏期間も何日なのかわからない。症状も人によってバラバラであるとか、謎は多かったんですけど、最近いろいろな論文が出てきまして、潜伏期間も平均が5日ぐらい。長い方だと14日ぐらいということもありますけれども、このウイルス、こんなに広がれたのは、生物としての戦略に長けているなという感じがありますよね。潜伏期間の長さというのも、生物というのは基本的に、自分あるいは自分の兄弟姉妹がふえればふえるほどいいわけですよ。だから、今の世界中にコロナウイルスが広がっている状況というのは、コロナウイルス側から見たら「勝ったな」という。
伊集院:大成功ですもんね。
成田:大成功という状態なんですね。というのも、このウイルスの特徴というのが、潜伏期間中は元気に外を出回ることができる。自分の宿主が。人間ですよね、宿主は。その間にどんどんうつしてくれる。そしてどんどん広がれる。
伊集院:はあ! やつらからしたら、すぐに猛毒で、かかった=亡くなるということだと広げられないわけですね。
成田:そう。広げられないですよね。
竹内香苗:インフルエンザだったら、すぐに熱が出て、外行きたくないってなるけど。
成田:無理ですよね、40度とかの熱を持って。でも、このウイルスは、若い方であれば、そんなに症状も辛くないので、微熱だったりして。友達と約束があるから行っちゃえ、みたいな感じで行っちゃったりすると、ウイルスとしてはどんどん広げてくださいという感じですので。
伊集院:「まんまと」なんだ。俺ら体力あるからあんまり気にしないんだよ、コロナなんかっていうのは、思うつぼなんですね。
成田:コロナウイルスから見たら、ありがたいという感じだと思います。
伊集院:寄生虫の話とか、広く動物の生存競争みたいな話になっていくと、皮肉なもので、人間が生存範囲を広げていって、より便利に広がるように、飛行機ができたりとか、頻繁に行き来するようになると、昔、人力では渡れなかったようなところも渡っちゃえば、連れてきちゃうわけですよね。
成田:そうです、そうです。だから、昔のようにそれぞれの国が鎖国しているような状態であれは、世界にコロナウイルスは広がれなかったと思いますし。
伊集院:皮肉な話、原始的な船で何カ月もかかっちゃうような時だったら。
成田:もう死んでます。
伊集院:亡くなっちゃう人は、その船で亡くなっちゃうから。
成田:そう。コロナはその船で終わり、みたいな感じになりますね。
伊集院:その前の段階で、人間はある意味生存競争に勝ったな、俺たち広がったなと思っていたところに、今度乗っかってくる。
成田:そこに乗っかりましたよね。今の私たちのライフスタイルにものすごくフィットしている。
伊集院:やつは。そういうことか。
成田:ええ。いいところに乗っかっていますね。
竹内:だからこそ、勝つには、家にいるとか、人と接触しない。
伊集院:ちょっとライフスタイルを変えるということにももしかしたら。
成田:全世界一斉に3週間誰にも会わずに、部屋に人類がいることができたら、多分勝ちますね。一気に。(伊集院:それがなかなかできないよね)そうしたらウイルスは不活化しますし、新たな感染源を見つけない限り、自分で分裂することはできませんので。人間が作ってあげているんですよ、今、ウイルスを。
伊集院:環境を。ウイルスを。
成田:そうなんです。
伊集院:なんかあんまり希望にはつながらなかった。でも、それぐらいまんまと利用されているんだよという。自分が表へ行こうと思った時に、もちろん不要不急(じゃない)の人は本当にしょうがないんだけれども、ちょっと家の中で楽しめることを俺たちが見つけたほうがやつらには都合が悪いんだということは、ちょっとわかっていていいかもしれないですね。
成田:はい。
【伊集院光とらじおと】放送中◆10時 ゲストは、新刊『#えげつない寄生生物』の著者 #生物学者 の #成田聡子 さん◆10時40分頃 ご飯の友スカウトキャラバン!#ij954 #tbsradio #お休み中はラジオを聴こう https://t.co/Fyav1N7D1R pic.twitter.com/hUCUUyrSfq
— TBSラジオ FM90.5&AM954 (@TBSR_PR) 2020年3月24日