悩みがないのが悩み

 

伊集院光とらじおと 2017年2月22日

 

伊集院光「“ピエール瀧と年齢と”。我々50ですよ」

ピエール瀧「そう。今年ね」

伊集院「今年50になる年ですよ」

瀧「今年2017年は齢50歳になる年でちゅ(笑)」

吉井歌奈子「なんでそこで赤ちゃん語なんですか?(笑)」

伊集院「50、どうですか?」

瀧「50、どうだろうなぁ。まだなってないから何とも言えないけど」

伊集院「ショック受けそう? 俺、結構ショック受けそうなんだよ。節目、節目の年齢の前1カ月ぐらい、ちょっと俺不安定になるんだよね」

瀧「30の時はあったよね」

伊集院「あった」

瀧「30の時、いよいよ俺も30かと。思い描いていた30と違うなと思いながら、戸惑いを持ちながら30になった感じはする。40の時は、そりゃそうかっていう感じで40かな(笑)」

伊集院「でも、この時間だと70の人も80の人も聞いてるから、僕らが何言ったところで、まだまだ甘いっていう話なんだろうけど、50ってさ、ちょっとさ。さすがに100歳生きそうにないから、折返点超えてる感じしない?なんか」

瀧「まあ、するね。残りはちょっといろいろ考えながらやってったほうがいいんじゃねぇーの?っていう年かもしれないですよね」

伊集院「でも、あるべき50みたいのに漠然となってないでしょう?」

瀧「あるべき50にはなってないかなぁ。なってないような気もするね。なってない。あるべき50、50は俺イメージしたことなかったかもしれない。30とか40っていうのが、子どものさ、キッズ、ティーンエイジャーとか、そのぐらいから見ると果てしなく感じて、50は銀河系の外っていうか、そういう感じがしてたから、あまり思いを馳せてなかったかもしれないなぁ」

伊集院「たぶん、俺ら高校出て、こういう世の中で働き始めちゃったから、そうすると、親の50もあんま見てないんだよ」

瀧「あ、そうね」

伊集院「だから、たぶんイメージがちょっと薄めなのかもと思うんですけど。

年感じることある?年取ったな」

瀧「年取ったな。年取ったなはあるね。白髪が増えてきたりとかさ」

伊集院「あごひげ、白くなったもんね」

瀧「はい。下の毛もね」

伊集院「混じるね」

瀧「白いの混じってくるし」

伊集院「鼻毛もね」

瀧「鼻毛もそうだし、眉毛とかもちょっとあったりとかして」

伊集院「老眼は?」

瀧「老眼、バリバリきてる」

伊集院(笑)

瀧「バリバリよ、本当に」

伊集院「老眼、最初ショックじゃなかった?」

瀧「あ、これが老眼? 僕、裸眼だったから、ずっと」

伊集院「俺も」

瀧「裸眼で暮らしてきてたので、老眼が始まって、あ、これが老眼てやつか、プラス乱視もきちゃったから」

伊集院「全く一緒」

瀧「ダブルできて」

伊集院「全く一緒」

瀧「夜とか車運転してると、ネオンサインとかキラッキラッキラ、全部十字にピカーンてなるんですよ」

伊集院「安いカラオケのビデオみたいな」

瀧「そうそうそうそう。イルミネーションのとことか行くと、キラッキラしてるのがあるから、ファンタジー感が半端なくて、俺、こんなファンタジー?と思うぐらいのやつに、なるよね?」

伊集院「なって、それを認めたくないの。俺、だから、乱視のほうはそういうことだからっていうんで、ちょっと諦められたんだけど、老眼を認めたくなくて。これ、“老”だから。でも、ナンチャッテで老眼鏡の試しにかけるやつとかをかけると、くっきり見えるじゃない?」

瀧「すっげぇよく見える」

吉井「ああ。郵便局とかに置いてあるやつですね?」

伊集院「置いてあるやつ」

瀧「そうそうそうそう」

伊集院「で、カミさんに「老眼鏡をかけてよく見えるようになる状態のことを『老眼』って言うんだ」っていう。「認めろ」と言われて。「痔の薬を塗って治るケツの痛みは痔だろうっていうのと一緒だ」って言われて。「老眼なんだ」って思った時の、まあショックったら俺なくて」

瀧「まあそうだけど、「それで何とかなるんだからいいじゃない」っていう(笑)」

伊集院「そこ、俺はそこをクヨクヨするタイプ。なぜか」

瀧「ああ、そうか」

伊集院「瀧氏はわりとそこを受け入れるじん。「それだから面白い」くらいの感じになるでしょ?」

瀧「そうね。なくなっていっちゃうものはしょうがないっていうか」

伊集院「まあね」

瀧「もう、薄毛も進んできてるしさ、普通に」

伊集院「わかる、わかる、わかる(笑)」

瀧「でしょ? 「あれ?俺こんなだっけ?」って思うことあるけど、でも、しょうがないよね、なくなっちゃうもんはね(笑)。クヨクヨしててもさ」

伊集院「そこの差なんだよ、その根本的な。同い年で野球が好きだったりとか、自分は勝手に似てると思ってるとこいっぱいあるのに、根本的な差は、俺、そういう思ってもしょうがないことを延々とクヨクヨする」

瀧「もあるだろうし、たぶん、あの時がピークっていうか、あの時よかったなっていう思いがあるじゃん。体も動いたしさ。人の名前もバンバン出てくるしさ(笑)。さっきみたいな、「例は?」って言ったらすぐ出てくるような感じの脳の回転だった頃がピークだったとするとさ、あそこに戻りたいというかさ、あれがよかったなあっていうのがあると、クヨクヨしちゃうのはあると思うんだけど、まあ、でも、今も結構楽しいしね」

伊集院「そうね。それの切りかえが、悔しいけど、ピエール瀧は早いんです。僕はちょっと引きずって、やっと開き直れるから、深夜放送やってて、例えが出てこない時の、例えが出てこないエンターテイメントまで消化できると、やっと、これはこれで、出そうなものが出てこないっていうのが自分で納得いくんだけど、ピエール瀧ほど、そこ早くないんだよなぁ」

瀧「まあ、なんだろうねぇ」

吉井「あんまり悩まれないタイプ、ですよね?」

瀧「あんま悩まないっすね」

伊集院「ちょっと、“悩みと”。悩みないの?悩み」

吉井「うふふ(笑)」

瀧「悩み?」

伊集院「悩んで!」

瀧「悩もうか、じゃあ(笑)」

伊集院「悩んでよ。ここはひとつ重い腰を上げて悩んでよ」

瀧「ほんと、クソつまんないことを言うと、“悩みがないのが悩み”(笑)」

伊集院「うわーっ!うわーーーーっ!!」

吉井(笑)

瀧「つまんないんじゃん、そんなのさ」

伊集院「これは凄いね」

瀧「でしょう?」

伊集院「うん」

瀧「何だろうなあ。何だろう。悩みって何がある? 3大悩みって何だろう?」

伊集院「僕がちょっと期待したのは、家族を持ったじゃんか。家族を持った時点でさすがに悩むだろうと思ったけど、あんま?全然?」

瀧「何に対する悩み?」

伊集院「子育てとか。子どもの将来とか」

瀧「でも、自分のことを振り返ったらさ、子どもの頃、大事にしてもらったとは思いますけれども、今のここに自分が、今、ラジオブースに座るに至るまで、親の助言て別になかった(笑)からなあ。そんなに。「伸び伸びやりなさい、好きなことをやりなさい」って言ってくれたんで、うちの親は。それに従ってたら、偶然にも、運よくですよたぶん。それはなったところはあるので、子育て、うちは娘ですけれどもね、ないことはないのかもしんないですけども」

伊集院「でも、その程度だよね?」

瀧「と言ってもさ、最初の子どもなんで、「お父さんも初めてお父さんやるからしょうがなくね?」っていう」

吉井「ははは(笑)」

伊集院「こういうとこなんだよね」

吉井「うらやましい(笑)」

瀧「たぶん子どもに文句言われるじゃないですか。将来、「なんであの時あれやってなかったんだ」とか「どうして子どもの頃から家庭教師で英語の先生をつけてくれなかった。そうしたらペラペラ喋れたのに」とかって言って後でダメ出しされるじゃないですか。「そんなこと言われても、お父さんだって初めてなんだからわかんねぇーよ!」っていう」

吉井「そう返せばいいんだ」

伊集院「凄いねぇ」

瀧「しょうがなくないですか?」

伊集院「悔しいなあ」

吉井「いいこと聞いたって感じです(笑)」

伊集院「本当になんか悩んでほしいわあ。俺はずっと「もしこういう最悪のことがあったらどうしよう」を考えては、なんかうまく動けないで来たから、ピエール瀧に何か最悪のこと起こってほしいわ。その時に「俺は備えてきたけどね」って言いたいんだけど。そういうタイプはあんま起こらないよね、最悪のことはね」

瀧「そうだね。でも、たまに伊集院がさ、どこどこまでチャリで行ってるとか、休みの日に、ちょっと空いたんで、実はどこどこに来てます、遠くに来ています、みたいなやつとかをさ、ツイッターとかああいうのでやったりとかしてるじゃない。そういうの見ると、あ、その時間あるのはいいなと思う」

伊集院「ああ、そうか」

瀧「昔は自分もそのタイプでさ、朝起きてどこ行こうつって、じゃあ沖縄だなんて、沖縄ピューなんて行けちゃったりとかして」

伊集院「いきなり京都行った時あったよね」

瀧「そうそう。伊集院とね」

吉井「いつですか?」

伊集院「なんか「クイズ番組で旅行券をもらった」っていう話をしてたら、急に「今日暇になったから、その旅行券で京都行こうぜ」って。「えっ!?俺のだけど。俺のだけど、その旅行券は」と思ったけど、そのままなんか行ったよね?」

瀧「京都行ったよね。そうそう」

吉井「思いついたときが吉日みたいな」

瀧「そうそう」

伊集院「理由もなく行ったよね、京都ね」

瀧「『伊集院と京都』っていうセットが面白かったんだろうね」

伊集院「そう。しかも急にっていうのが何となく面白かったんだろうね」

瀧「何したか俺全然覚えてないんだけど」

伊集院「俺も覚えてない」

瀧「京都で何したか全然覚えてないんだけど(笑)」

伊集院「一個だけ覚えてるのは、家に写真があって」

瀧「その時の?」

伊集院「そう。瀧氏が、龍の口から水の出てる、なんか水の出るやつから直、水を飲んでる京都らしい絵が」

瀧「はははははは(笑)」

伊集院「の写真が家にあるんだ。俺、今、急にそれを思い出したけど、京都行ったっていうのも、まあ、十何年ぶりに思い出したわ。行ったね」

瀧「そういうフットワークの軽さっていうか、自分のオフは自分のためだけに使えるじゃない。それがほぼない。家族が優先になったりするので。でも、その分、そっちのそこの時間はたぶんつくれてるだろうからっていうのはあるけどね」

 

吉井「役者さんとして大活躍されているじゃないですか。役者として悩むことってないんですか?」

伊集院「ないんだと思うけど、聞いてみようぜ(笑)。“俳優と”ですよ。役作りの悩みですよ」

瀧「役作りって、みんなお芝居をやった時に聞かれるんです。インタビュー、「役作り、どんな感じでされたんですか?」っていうんだけど、お芝居の、人に習ったことがないっていうか、こういうふうにやって、こういうふうにやるんだというのを習ったことがないので、役作りって言われると、「何ですか、それ?」っていう話に今だになっちゃうんだよね。そういう部分とか(笑)」

伊集院「悩めよ~!」

吉井(笑)

伊集院「もう、ナントカ賞とかもらう俳優とかがさ、リハーサルの段階で台本全部入れてきてさ」

瀧「らしいよね。やってる、やってる、みんな。おお!すげぇーな!と思うもん」

伊集院「その役に合わせて太ったり痩せたりとかさ、下手したら、その恐ろしい役に飲み込まれて心を少し病んだりとかしながらするわけでしょうよ」

瀧「あー、はいはいはい。そうだよね」

吉井(笑)

瀧「聞くところによるとそうらしいよね」

伊集院「そういうのは?(笑)」

瀧「別にね、言っちゃうと、真剣にやってない感じに聞こえます。まぁ、一応一生懸命やってますよ。こうだろうなっていう思いでやってはいるんですけど、それはだけど、しょうがないよね。素養がないというか」

伊集院「俺、そこでずっと共通しているのは、『一生懸命やったにもかかわらずできないことに関してはしょうがない』っていう」

瀧「そうそうそうそう」

伊集院「できないことに関して、年齢戻れないんだからしょうがないとか」

瀧「しょうがないです」

伊集院「子どもは普通育つんだからしょうがないっていうか」

瀧「しょうがない」

伊集院「そこなんだね、やっぱね」

瀧「だって、そんな呼ばれたって、よく知らない奴に頼んだほうが悪くない?」

吉井(笑)

瀧「電気グルーヴじゃん、だって俺」

伊集院「そうだよね。一回も「やれる」って言ってないもんね」

瀧「電気グルーヴでしょ?だって」

伊集院「そうだよね」

瀧「じゃない?」

伊集院「一回でもウソでも「自分は役作りやれる」って言ってないんだもんね」

瀧「そうそうそう。それ頼んだほうが、できなかったら、「なんでお前できないんだ?」って。「お前調べたか?この野郎!」っていう話になるよ、こっちは」

吉井(笑)

瀧「知らないよ!っていう」

伊集院「こっちもやるだけはやるけどもっていう(笑)」

瀧「やるだけは、言われたからやりますけどもって」

伊集院「なんか悔しいまま一度CMいきます」

 

 

オードリーがテレビに出始めた頃、春日氏は瀧氏に似ているというのをよく見かけたので、何となく気になる人。

 

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