舞台を観に行った話

 

星野源オールナイトニッポン 2016年8月29日

 

廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)』の千秋楽(第三部)を見に行ったの。勘九郎さんのお芝居も最高だったし、七之助君の女形の芝居も最高で、本当に美しくて、話もすごく面白かったし、演出も素晴らしかったし、セットもすごかった。だってセリから家が一個ドンて出てくるんだよ。それが回って違うセットになったりとか本当にすごくて、演出から何から全て素晴らしくて。

僕の斜め前にタモリさんと鶴瓶さんが見てたの。二人でたまにちっちゃく話しながら見てて、同級生が、友達がにこにこしながら見てるみたいな感じなの。それが本当に友達同士で来てるみたいな感じで。

タモリさんはグレーのジャケットに白いホワイトジーンズにベージュのハットをかぶって、上演中はもちろん帽子を外しているんだけど、すごくかっこいい姿で、鶴瓶さんは半ズボンだったんだけど、すごい可愛くて。その後ろ姿を見ながら見るというのもすごく気持ちよくて。本当に感動して。

会場の熱気もすごかったの。すごく面白いものを見ているという感覚が充満してるわけ。客席じゅうに。花魁の話なんですよ。花魁がすごくきらびやかな服を着て練り歩くところで終わるんだけど。(略)すごく感動したところで終わる。拍手が鳴りやまなくて、俺もめちゃくちゃ力いっぱい拍手して。

そしたら、歌舞伎って普通カーテンコールないんだけど、幕が開いてカーテンコールがあったのよ。みんな自然とスタンディングオベーションで、俺も立ってずっと拍手してて、目の前で鶴瓶さんもタモリさんも立って拍手してたの。

普段カーテンコールってしないから、勘九郎さんも七之助さんもあまりしゃべらなくて、どうしよう…みたいな空気の中、係の方がタモリさんと鶴瓶さんを呼びに来たの。それで、ええ!?じゃあと、鶴瓶さんとタモリさんが靴を脱いで花道を通って舞台に上がったの。

タモリさんが『ブラタモリ』で吉原を特集した時に調べ物をしていて、この話のもとになった実話を見つけて、鶴瓶さんに落語と講談の間ぐらいでやってくれとリクエストを『いいとも』の楽屋でしたの。「じゃあワシやるで」と新作落語をしたのをたまたま勘九郎さんが見て歌舞伎になったという話をしてたの。

この話の中で、花魁に小さい女の子が付き人でつくんです。その女の子のことを禿(かむろ)と言うんだけど、禿に「ついてきて」と言う時に「あーいー」と返事をするというシーンがあって、それがお話の中でギャグになってて、男の人たちが「あーいー」と真似してワーッと笑いになるくだりがあったの。

カーテンコールでタモリさんも鶴瓶さんも初めてこの舞台に上がるし、生声で「ありがとうございました。自分の考えたものとかタモリさんが言ってくれたことが歌舞伎になると思っていなかった」と言って、一瞬間(ま)があいて。誰も喋らないから。

そしたら鶴瓶さんが「おい、どうしたらええねん。なあ」ってタモリさんに言ったら、タモリさんが「あーいー」って言ったところで幕が閉まったのよ! もう、その間(ま)! ドカーンと爆笑した中で。いやあ、あの間のよさ、素晴らしかった。本当に一生に一回のものを見ました。ありがとう。

 

 

昔のツイートを探していた時に見つけたもの。当時はまだこのブログを始めておらず、長い書き起こしもツイッターにだらだら上げていたのだ。結局、このすぐ後に、源さんの言葉をどうしても書きとめておきたくて始めたのだけど。