悪夢

 

問題カーボーイ 2019年10月22日

 

太田:この間、俺、久しぶりに夢見てね、はっきりとした夢なの。明確な。しかも悪夢!

田中:悪夢。

太田:ものすごい悪夢で。

田中:どんなの?どんなの?悪夢って。

太田:それで、俺、辛くて目が覚めたんだぜ。

田中:あ、そう。なかなかないね。

太田:絶望して目が覚めたんだぜ、俺。

田中:じゃ、夢だった時、うれしかったでしょう。「わぁ、よかった」。

太田:しばらく、起きてからも落ち込んでたぐらい。

田中:あ、そんなに?

太田:1分ぐらいはわかってないから、「ああ、もうこれで俺終わったな」と思って。

田中:えっ?何?何?どんな悪夢なの?それ。

太田:まずね、ぼんやり始まる…ぼんやり始まるんだ、ドリームなんてよぉ! アイ・ハブ・ア・ドリーム!って。

田中:違う違う。夢、夢。普通の夢ね。

太田:キング牧師

田中:はいはい。

太田:パッと始まった時に、なんかどっかアパートの、それこそ昔学生時代に泊まってたような友達の家の6畳のアパート。雑然としてるんだよ。そこで、なぜか、それは夢だからあれだけど、俺が靴履いてんだな。そこに、ピカピカピカッみたいな、靴の電飾みたいのが、多分なんか、この先に売り出されるのかわかんないけど、夜走る人のための電飾みたいなので、ピカピカピカピカッて靴が光ってんだよ。靴が光ってて、靴がピカピカピッて順番に点滅するみたいになってるわけ。それがピシピシッてショートしちゃうんだよ。ショートしちゃう。火花散っちゃうの。座敷だからさ、その辺に紙とかいっぱい置いてあるわけ。そこ、燃えちゃう。

田中:あらあら。

太田:燃え移っちゃうのね。だけど、その向こうを見たら、俺のノートパソコンが――今ノートパソコン調子悪いんだよ。あれ、アップル何とかしてくんないかな。キーボードが。

田中:ダメ? 高崎でもダメ?

太田:ダメなんだよ。高崎も「ちょっとダメですね」みたいな感じで。「T」って押すと「っっっっっっ」ってなっちゃう。

田中:ティーティーティーティーティティーだ、まさに。ハハハハ

太田:まさにじゃねぇーよ!

田中:だって、T、T、Tってなるんでしょう? TTTTってなるんじゃなくて?

太田:っっっっっ。ちっちゃい「っ」。

田中:ちっゃい「っ」か、なんだ。

太田:TTTはならないの。それは英語入力、英語にすればなんのかもしれないけど。

田中:ちょっとやってみて、TT兄弟。

太田:うーん、やりたくないな。

田中:ハハハハ

太田:やりたくないね。

田中:あ、そう。それで?それで?

太田:ノートパソコンが向こうにあるわけ。火がもう燃えてて、何人かでいるんだよ。誰だかわかんないんだけど、ま、仲間だよね。で、「あ、ヤベェ」と思うんだけど、俺、小説がもう書き上がりそうなのね、今。実際の話。で、あそこに水掛けると、要はパソコンが水浸しになっちゃ嫌だなと思って、「バーカ、大丈夫だよそんなもん」つって、そうしたら周りもちょっと「太田さん…」みたいな感じになるわけ。「いいんだ、いいんだ、そんなの」って言ったら。

田中:火消さなきゃみたいな雰囲気だけど。

太田:そうそう。なるんだけど。「めやろ!パソコンがダメになる」って言って、ちょっとふざけつつやってるんだけど、さすがにもうダメで、しょうがないから、ペットボトルの水かなんかをバーッとかけるんだよ。パソコンが水浸しになってさ、うーわ、せっかくこれ、2年か3年ぐらいかけて書いたやつ、これ、ハードディスクとかどうなっているんだろう?とか思って、一応火はおさまるんだけど、うわぁ…と思うわけ。

で、ヤベェ、これ、もうしょうがないかと思うんだけど、俺はちょっと不機嫌になってさ、なんだかんだブーブーみんなに文句言ってるんだけど、それが消し切れてなくて、その後もう一回火が出ちゃうんだよ。

田中:あら!

太田:それで、いいよいいよ、もう燃えろ燃えろ!みたいな。俺もそういう態度になってるわけ。

田中:ヤケになっちゃって。はいはいはい。ありそうだよね。

太田:燃えろ燃えろ!って、「これ、消さなきゃダメでしょう」って、結構燃えちゃって、部屋中。ハッハッハッハッ

田中:はいはいはい、ダメじゃん、火事だからね。

太田:それで、消火器でみんなで消すんだよ。

田中:なんだよ、早くしろよ!(笑)

太田:ハッハッハッハッ

田中:バカだな、2回も。夢の中とはいえ。

太田:ハッハッハッハッ

それでね、あーあと思って、部屋ダメになっちゃったと思って、それでさ、したら、ハギがいるんだよな、なんだか。そこで気がつくんだけど、ハギがさ「太田さん大丈夫ですよ。もしこれで芸能界で食えなくなっても、別に食ってく方法は幾らでもありますし、僕を見てください」みたいなことを言うんだよ。「バカかお前!」つってハギにね「お前さ、ボヤになって、今消しただろう! こんなもんで芸能界でダメになるなんてこと、お前ほんとわかってないよな、そういうこと」みたいな、すごいバーッと言うんだよ。「お前さ、芸能界にいないから、そういう感覚わかんないんだね」って。

田中:ま、部屋がボヤになったからって別に、芸能界ダメになるっていうのはね。

太田:そうそう。「ビビんなよ、そんなことで」つって、それで、俺は自分ちに帰るんだよね。

田中:ハハハハ 誰んちだったんだろうね。

太田:誰んちだったかわかんないんだよ。

田中:まあ、わかんない。夢ってそういうもんだから。

 

太田:で、帰ってった時に、ふと気がつくんだよ。若林がいた。

田中:ああ、オードリーの?

太田:部屋の中に。若林の部屋だったかな?みたいな感じで思うんだよ。で、ヤベェって思うわけ。というのは、若林、焼け死んでんの。

田中:ハハハハハ マジで?

太田:そう。

田中:それはダメだよ。芸能界終わるわ。ハッハッハッハッ

太田:でしょ? そうなんだよ。それで、俺、それをすっかり抜けてて。

田中:抜けてた? そんなことが抜けちゃう?

太田:家に帰って思い出すわけ。あ、そのことを言ってたんだ、ハギは!

田中:ハハハハハ ハギも言やぁいいじゃねぇかよなぁ。

太田:何となく俺の勢いで。

田中:負けちゃったのね?

太田:ハギは、負けたっていうよりも、「あっ!」と思ったんだって気がつくわけ。

田中:はいはい。

太田:「太田さん、これを隠そうとしてる」。

田中:隠そうとしてると思った、なるほどね。

太田:ってハギは思ったんだろうなって。

田中:なるほど、なるほど! そういうことね!

太田:それで言わなかったんだ。俺はただ…。

田中:若林(笑)。

太田:若林のことを(笑)見えてなかっただけなんだけど。

田中:えーっ、なんでかわいそうに、若林(笑)。

太田:かわいそうでしょう? 俺はヤベェと思って、なるほどこれは芸能界終わるわと思うわけ。思うんだけど、同時に、ちょっと待ってよ、今、家へ帰ってきちゃってるから、そこがすっごい嫌なんだけど、もしかしたら本当に隠せるかもしれないってちょっと思う自分がいるのよ。

田中:ちょっと思うわけね。なるほどね。まぁまぁね。

太田:で、若林のことはそれほどね、気にしてないというか。

田中:ハハハハハ 気にしろよ。

太田:若林死んじゃったけど。

田中:ハハハハハ

太田:まぁ、大丈夫なのかなとかって。

田中:大丈夫じゃねーよ!

太田:思うんだよ。

田中:まぁまぁね、夢の中でそう思うと。

太田:思うんだよ。思うんだけど、次の瞬間に「ダメだ!」って思って急に落ち込むの。それはなんでかというと、若林が死んだってことは、オードリーが終わったっていうことだと思うわけ。

田中:(笑)まぁまぁそうだよね。

太田:そしたら、急にとんでもないことをした!

田中:あ、そこで急になるんだ。

太田:気づくわけ。オードリーの漫才がもう見れない!と思ったら、うわ、俺、なんてことしちゃったんだ、みたいな。

田中:(笑)まぁまぁ、それはそうだけどね。

太田:その急に罪悪感というか、すっごいいたたまれなくなるわけ。これはもう、俺は芸能界に残ろうとか、もうそういうレベルの話じゃない。

田中:レベルじゃないよね。

太田:「オードリーを消しちゃった」と思うわけだよ。

田中:はぁ、もう春日が泣きながら「春日のここ空いてます」って(笑)。

太田:そう。その画も浮かぶわけ。

田中:ほんとに空いちゃった、みたいな。

太田:そう。で、春日がどんだけ悲しむだろうと思うわけ。すっごい、その時点で本当に辛いんだよ。

田中:ハッハッハッハッ

太田:で、俺、すぐ自首しなきゃ。自首っていうかさ。って思うんだけど、そこでまたふとさ、待てよ、もし若林を殺した犯人が俺だってわかった時に、春日はどれだけの気持ちになるのかなって思うわけ。むしろ、不慮の…

田中:のほうがまし、ぐらいなね。

太田:春日と俺の関係もあんじゃん。

田中:ハッハッハッハッ

太田:俺、春日と、俺が燃やした、若林を燃やしたって知ってる春日と、俺、今後どんな顔して話せばいいのかなと思うと、春日とも、あれ?もしかして春日も辞めちゃうかもしんないじゃん、みたいなさ。

田中:まぁまぁそうだね。

太田:そしたら、俺どんな…もうほんとにどうしようもなんないって思うんだよね。で、すげぇヤベェって落ち込むんだよ。で、自分のいつもの部屋に入ると、みんながネタ作りしてんだよな。

田中:はいはい。

太田:ライブ近いんだよね。

田中:うんうん。

太田:こいつらネタ作りとかやってるけど、もうダメなんだよ!

田中:まぁま、俺ら知らないわけでしょう?

太田:知らないんだよ。

田中:知らないんでしょ?俺らは。

太田:知らないの。

田中:みんなね。

太田:だから、そんなネタ無駄だぜ、みたいに思うんだけど。

田中:まぁそうだろうね。

太田:だって俺ライブ出れないんだもん。

田中:まぁそうだね。ハッハッハッハッ

太田:そしたら、言うんだよ、俺一応。これこれこうで「もうダメだ、爆笑問題は」って言ったら、高橋さんもなぜか居る。

田中:なぜか居るのね?

太田:したら高橋さん「やっぱり?」って言う。

田中:「やっぱり」じゃねぇ(笑)。なんで知ってたみたいな。

太田:「やっぱり太田君だったの?」みたいな。

田中:ハッハッハッハッ なんで知ってんだよ。

太田:なんか、でも、「ああ、高橋さんやっぱり知ってたんだ」って俺は思うわけ。

田中:知ってたんだと思うわけね、そこでね。

太田:やっぱり知らずに言わずにいてくれたんだ。

田中:いてくれたんだ。やっぱりと。

太田:「ああ、やっぱり」。

田中:ありそうだね、確かにね。

太田:「でもね、昔ハリウッドの俳優で、同じような状況が…」。

田中:映画だよ。映画バカはすぐ映画で例えるから。ハハハハハハ

太田:言うんだよ、高橋さんが。

田中:ありそう(笑)。

太田:ありそうだろ?「昔ハリウッドのナントカカントカっていう俳優で」。

田中:あ~うるせぇな、関係ねぇんだよな~(笑)。

太田:「同じように事件を起こして共演者を殺しちゃった人がいる。その人、懲役15年ぐらいで出てきて、そっからの映画が素晴らしいんだよ!素晴らしいんだよ!」とか言うわけ。

田中:アハハハハ

太田:いやいや、今それ言われても、俺もう芸能界に復帰するつもりもないし、むしろそれ辛い、みたいに思うわけ。「ああ、そうですか」とか言いながらも、俺もそれ、ちょっと今の話で元気づけられないし、それは逆効果だなって思ってんの。

田中:はいはい。

 

太田:そうしたらそこに、俺の小説の、映画の中の小説よ。

田中:はいはい。

太田:アイデアとして思っていたロボットなんだけど、完全犯罪をするロボットってっていうのを、SF小説を書いてたんだろうね、きっと。俺の小説の中で編み出したロボット、黒い、ターミネーターじゃないけど、ああいう感じの、黒い、目がピーッて赤く光ってるような殺人ロボットだね、それがピッと、それこそ仕事人みたいに、何の痕跡も残さずに…

田中:はいはい、完全犯罪をね。

太田:完全犯罪を起こすような、(田中:殺人ロボット)3体ぐらいその部屋に来て、ピッピッピッつって、お前とか高橋とか全部殺すの。

田中:ハハハハ 俺の雑魚キャラ加減、俺の雑魚キャラ加減が半端ない(笑)、お前の夢の中で俺一言も全然(笑)いきなり(笑)なんだそれ!

太田:すっごい鮮やかに殺してくの。

田中:なんにもしゃべってねー俺。ハッハッハッハッ

太田:何にもしゃべてない。ただボーッとしてるだけなの、お前。ボーッとして様子を伺ってるだけ。そこもお前らしいんだけどね。

田中:おーい(笑)なんだそれ。アッハッハッハッ

太田:目の前でみんな倒れんの。

田中:はい。

太田:俺は、なんかその時夢ん中だから、ごっちゃになってて、「あ、この殺し方いい!」みたいに思うわけ。

田中:なんだよ!いいじゃねー!悲しめよ(笑)。

太田:いや、違うんだよ。そこはわかんなくなってるわけ。で、要するに、あ、このアイデアいい!と思うわけ。小説、これうまく、最後エンディング、こんな感じで。

田中:ダメだよ、そんなやつ(笑)。

太田:エンディングっていうか、事件の感じが、あ、このロボットを使ってどうのこうのって思うんだけど、いやいやいやってまた揺れるんだよ。いや、ダメじゃん、仲間殺しちゃった。

田中:ハハハハハ

太田:もう小説とかいうレベルの話じゃないんだから!みたいな感じになるわけ。

田中:どんだけプロだよ(笑)。小説のアイデアじゃない。

太田:もう小説なんか発表できねーよバーカ!って自分で思う。

田中:そりゃそうだよ。

太田:なんで仲間殺しちゃうんだよ。

田中:これはだってもう、若林と俺と高橋さんとアキバと野口とサルともう6人死んでっからね(笑)。

太田:ハハハハハハハ

田中:ダメだろ、これ。

太田:もうさ、す~ごい心がなんだかんだになるわけ。「あ、ダメじゃん」と思ってがっかりするのね。で、がっかりしてたら、プルーーーって電話が鳴るんだよ。それ、黒電話なんだよ、なぜかね。あ、いいな、この黒電話ってそこで思う。要するに、俺、作りたい小説、映画の感じの黒電話が鳴るっていうシーンが、「あ、これもいいんだよな」とか思って取ると、俺が考えていたキャラクターの刑事の主人公なんだけと、そいつがヒーローなのね、その小説の中では。そいつなんだよ。相手が。

田中:自分が小説で書いた架空のキャラ。

太田:そう。すっごいそれが「何やってんだお前バカヤロウ! 今からそっち行くからさ」って言いながら、っていうのは、俺の中で、すごい冗談を飛ばしながらどんどん事件を解決していく刑事っていうのを、しかもそれはすごいジョークを飛ばし続ける刑事っていうのを俺は考えてて、そいつなんだよ。「今からそっち行くから」。それは、俺の中のイメージは、『第三の男』の時のオーソン・ウェルズなんだよ。で、あの若いオーソン・ウェルズの感じなの。トレンチコートみたいの着ちゃってさ。そいつが、「あ、こいつだ!」と思って、俺は電話で「あ、こいつがいたら助かる」。そいつは全部をもう…

田中:解決する。

太田:解決してくれる奴なんだよ。で、しばらく待つと、そいつが来るわけ。「おい、何やってんだお前」つって「助かった」と思うと同時に、やっぱこの小説、こいつがこの感じ、なんかすごいいいと思って、(田中:ハッハッハッハッ)俺は、あ、この小説絶対成功だわ。このキャラクターでできた…

田中:お前の足元に俺らの死体転がってる…アハハハハハ

太田:すごい軽いタッチになるわけ。全部のシーンが急に。だから、「あ、俺、この小説いい」と思うんだけど、そいつが「お前を捕まえに来たんだよ」つって

田中:あら!

太田:俺を捕まえるわ。

田中:おー!なんかいいね。

太田:手錠をかけられちゃうの、俺。あ!そうだよ!。

田中:ハハハハハ

太田:俺、そんなこと思ってる場合じゃないんだよ、俺はー! なんで何度も間違うかな?みたいな感じで思うの。

田中:ハハハハ へえ。

太田:思うんだけど、それで、「もうダメだ」と思うの。今度こそもうダメだと思うと、テレビの中でワイドショーがやってて、社長が出てきてさ、謝罪してんだよ。

田中:ああ、まぁね。

太田:もう全部に知れ渡っちゃって。で、社長がすっごい怒ってんの。「うわぁ」とか思うの。ハハハハ

田中:怒るとかそのレベルじゃないですよ。

太田:で、被害総額とか言ってるわけ。「あ、もうこれはダメだなぁ」と思って俺は絶望するわけ、そこで。絶望して、しかも、その時になって初めて、みんなを殺してしまったことを、なんで俺は、もう取り返しつかないし、生きててもしょうがない、みたいな気持ちになるわけ。保釈をされるかもしんない、みたいなことをワイドショーで言ってるんだけど、保釈しないで即刻死刑にしてほしい、みたいなことを思うわけ。すっごい絶望的な感じで。だけど、アパートっていうか、家の前にマスコミがバーッといる。

田中:そりゃ来るね。

太田:俺はそこでもまだ、「この時どういう顔をして出ていくかな?」って思う自分と「いや、もうそんなことじゃないじゃん!いつまでお前は(田中:アハハハハ)テレビの見え方を気にしてんだよ」みたいな、すっごい嫌なの、その自分が。

田中:そんな自分がね。

太田:そう! すっごい嫌なの。本当絶望するわけ。将来もない。もう何にもなくなるわけ。で、外に出ていくとバーッとフラッシュたかれて、俺はボーッとしながら行くんだけど、その時にふと、要するに、俺はあんなことをするつもりはなかったって思ってるんだけど、ふと、なんで俺は若林のアパートにいたのかって思うわけ。

田中:そうだよね。

太田:その前の記憶がない、と思うわけ。

田中:うんうん。

太田:あれ? ちょっと待てよ。その前の記憶がないってことは、俺、結構最初っから全員に殺意持ってたのかもしんない。

田中:あ、そういうふうに思うわけ?

太田:って思うわけ。

田中:はいはいはい。

太田:そうすると急に怖くなるわけ。俺、だって、その前の記憶ない。なんで若林の家にいたのかが記憶ないってことは、もしかして、俺、これ、最初っから、自分すら騙して、計画的に殺人かもしんないって思って、それで、「これ、いいアイデアだ!」。

田中:ハッハッハッハッ

太田:その瞬間に目が覚める。

田中:すげぇな。プロだね。ハハハハ

太田:目が覚めて、「違うじゃん!」と思う。「違うじゃん、もう俺ダメじゃん」みたいな。

田中:すげえな。でも、やっぱり1分ぐらいは「どうしよう」みたいな。

太田:もうダメなんだ。これはほんとに、目覚めてんのに、これはほんとにもうダメなんだなって思って、これからどうしよう、みたいなことをちょっと寝ぼけ眼で考えるというね。しばらくして、あ、夢だよ~みたいなさ。だから、その前に夢の中でもさんざん空想と現実を行ったり来たりしてるから、もうわかんないわけよ。起きた時にも。それでもう混乱してるの。

田中:おもしろいね、でも。

太田:すごいだろ?

田中:そこまではっきり覚えてることが。

太田:はっきり覚えてる。

 

田中:俺も一昨日、俺、矢作と買い物行ってる夢見た(笑)。

太田:ハッハッハッハッ

田中:なんで矢作と買い物してるかとか、何にも前後覚えてないもん。断片的に、矢作となぜかしんないけど買い物2人で行ってんだよね。行ったことないけどね。そんぐらいの。

太田:そうだね。そんなもんじゃん。

田中:そのぐらいだよ、夢の記憶なんて。

太田:俺はもう苦しかったから。ほんと苦しんでんだよ、夢の中で。なおかつ自分への…

田中:自己嫌悪的にね。

太田:自己嫌悪感なんだよね。

田中:なんかあんのね?

太田:うん。

田中:あるんだね、なんかね、その辺が。

太田:辛かったぁ…。

田中:(笑)いや辛いね。その夢は多分、でも、見たら、でも、やっぱ夢だと思った時の安心感ね。

 

太田:その時ね、ちょっと、それこそヒノと、新しいマネージャーのヒノと、帰りの車の中でササイが、ヒノが今まで観た映画の中で一番面白かったのって『雨に唄えば』なんだって。

田中:ほう。

太田:なかなか渋いじゃん、みたいな話をしてて、ササイと俺とでさ「ほかに何観たの?」みたいな話をしてて、「『雨に唄えば』何がそんなに面白かったの?」つったら、それまでミュージカルって僕観たことなかったんです。タモリさんが「ミュージカルって突然歌いだすのが不自然過ぎる」って言ってたじゃないですか。

田中:まぁまぁね。

太田:「だからね、僕は観なかったんですけど、『雨に唄えば』を観たら、全然それが不自然じゃないんですよ。素晴らしい映画ですね、あれは」。

田中:ハッハッハッハッ

太田:「あれはね、雨の中で歌いだすんですけどね」、延々言うわけ。「へー」て言ってて、「じゃ、お前結構映画通みたいなこと言ってっけど、そんなにお前偉そうに俺に教えてっけど、俺も『雨に唄えば』観たことあるから」って言ってて、「いや、でも、僕は結構観てますよ」って言うわけ。

田中:はい(笑)。

太田:はあ?みたいな感じで、お前何?「結構子どもの頃から映画はかなり、ほとんど観てます」みたいなことを言うわけ。

田中:ほとんど観て、すごいね。

太田:「ほとんど観てんのお前?映画を」。

田中:すごいよね。ライムスター宇多丸かっつんだよ。

太田:「ほとんど観てる。知ってる映画はほとんど観てます」って言うの。

田中:ハッハッハッハッ

太田:そりゃ、知ってる映画はほとんど観てる、ま、よくわかんないけども、そうやって言ってて、「じゃどのぐらい観たの?生涯で」。「100本は超えてます」。

田中:ハハハハハ

太田:「いやいや、お前100? 高橋さんは年間300ぐらい観るよ」みたいな話をしてて、「100はそれはお前、どっちかというと少ないほうかもしんないよ」。

田中:まぁね。約30年近い人生で。

太田:「いやいや、150は観てます」って言うわけ。

田中:知らないけど。

太田:150でも変わんないってそれはつって。「いや、でも金曜ロードショーとかも観てますし」。

田中:(笑)負けねぇんだ、そこ。

太田:言うわけ。俺、ゲラゲラ笑ってたんだけど、ほかに何か。「この間『ジョーカー』観ました」っつんだよ。「どうだった?」つったら、「うーん、まぁ、なんというか、よくない映画…よくない、ですね、あれは。とってもよくない」。

田中:それ、道徳的にってこと?(笑)

太田:「つまんなかったってこと?」つったら「いや、僕はそういう“よくない映画”が好きなんです」。

田中:どっちだよ! 好きで、よかったんだね?

太田:「だけど、社会への影響とかを考えると、非常に心配です」。

田中:当たり前だろ、『ジョーカー』(笑)。

太田:って言ってたよ。

田中:ハッハッハッハッ

太田:「あ、そう」つって。「ほかには?」つったら、それのつながりで言いますと『時計じかけのオレンジ』って言うわけ。

田中:ああ、キューブリック

太田:おお、観てんだなと思って、『時計じかけのオレンジ』では、『雨に(唄えば)』、シンギング・ザ・レインの言いながら人をさ、こう。

田中:ああ、ああ。

太田:ああいうのを細かく覚えてんだよ。で、あ、そういうのを覚えてんだなぁと思って。俺は後ろでもうその時は聞いてて、ササイとのやりとり。ササイはほら、『時計じかけのオレンジ』わかんないから、「それ、誰が出てんの?」つったら、「ナントカです」って言うんだけど、それは役名なんだよね。『雨に唄えば』の時も全部役名なの。普通、ジーン・ケリーとか言うじゃん(笑)。

田中:はいはい。誰が出てんの?って言われたらね。

太田:役名でしか言わないのよ。ハッハッハッハッ

田中:『スター・ウォーズ』にハン・ソロが出てましたって、そういうことね?

太田:それでね、「じゃ、ちょっと調べます」つって、ケータイかなんかで調べて「あ、スタンリー・キューブリックですね」って言うから、さすがに俺も我慢できなくて「それ監督だよ!」つって。

田中:ハッハッハッハッ

太田:「監督だよ!」って言ったんだよ。「あ、そうですね。役者はナントカカントカ」って言うんだよ。ササイが水買いにコンビニに行ってた間に、お前、結構センスは…『時計じかけのオレンジ』とか観てんだと。意外だったから。「キューブリック、例えばほかの映画とか何か観てんの?」「そうですね」、ケータイ見ながら「『2001年』観ました」っつうから、おーと思って「『2001年』どうだった?」「非常に考えさせられました」。

田中:ハッハッハッハッ

太田:ハッハッハッハッ

田中:薄っい(笑)薄っい。

太田:「非常に考えさせられましたねぇ」。

田中:何考えたんだよ。

太田:言ってて、「『フルメタル・ジャケット』観た?」つったら、「観ました」っつうから、「お前キューブリックファンじゃねーか!」みたいな話。

田中:なんでそれでキューブリックを知らなかった。

太田:それで、そこで、あ、こいつ、結構イジられるようにわざとバカな振りしてんだなと思って、俺はもうそれから一切…。

田中:ハハハハハ

太田:こいつさ、100とか言って、150ですとか言ってんのも、全部、こいつキャラ作り始めてるわと思って、もうさ、すごい。

田中:興ざめしちゃったの?

太田:興ざめしちゃった。興ざめしちゃってさ。でも、言わなかったけどね。その後、「お前『スター・ウォーズ』は観た?」つったら「観ました」っつうからさ、「どれが一番好きだった?」って聞いたら、「エピソード幾つ」って。「それ、なんていうやつ?」「ヨーダさんが亡くなる…」。

田中:ヨーダさんが亡くなっちゃった(笑)。

太田:ヨーダさんてことはねぇだろ。

田中:ヨーダさん亡くなっちゃった。

太田:ハッハッハッハッ だから、そういうのがあって、たぶん映画の夢。『時計じかけ』とかも。

田中:はいはい。『時計じかけ』とか『ジョーカー』とか何となくね。

太田:なんかそういう断片で見たんだと思うんだよな。

田中:なるほどね。若林のご冥福を祈るよね。

太田:ハッハッハッハッ ごめんな若林!悲しみもしないで。

田中:春日も大変だよ、これから。

太田:お前のこともみ消そうしちゃったから、俺。

田中:予知夢にならないといいですけど。

太田:予知夢にはならないですけど。

田中:俺も高橋さんもアキバも今日が最後の『カーボーイ』になっちゃうから。

太田:ハッハッハッハッ

田中:大変だよ、ほんとに。