今この時代に10代だったら何をすべきか

 

禁じられた遊び 2018年5月14日

 

林 修「僕、10代から本当に麻雀とパチンコに明け暮れましたからね」

若林 正恭「学生時代からということですか?」

林「学生時代からですね。でも、10代の自分に言うことと言えば「勉強しろ」しかないですね」

若林「やっぱり」

林「勉強がどう考えても一番投資効率が高いですね」

平野 啓一郎「その勉強は、受験勉強とすべき勉強はどれぐらい合致しているんですか? 今の受験勉強の内容が、本当に人生で勉強すべき内容と」

林「僕の場合で言うと、受験勉強の時に培った方法論が一生ずっと生きているので、その面では一直線上にある。直接使えること、僕の場合には予備校講師という特殊な仕事をしているので」

帝都 久利寿「どんどん世の中、構築(?)するようになってきているじゃないですか。先ほどのブラックチェーンとかAIとか、そういった話にもなっているし、基本的に全部そういう環境になるんじゃないかなと思いつつ、プログラマになったほうがいいんじゃないかとか。プログラミング、なるかどうか(は別にして)、勉強するぐらい、勉強をしたほうがいいと思いますね」

尾原 和啓「プログラムの本質って、問題の構造をどういうふうに分解して、問題を小分けにして、この小分けにした問題は、これを使うと放っておいても解決してくれるという、解決する仕組みを作ることがプログラムなんですね。

そういう意味で、さっきの平野さんの3Dプリンターだったりとか、世の中のものが自分たちで、ハードとか鉄砲すら自分で作れるようになるかもしれない時代だから、ものを作るときに、どうやってものを分解してものを作っていけるかという考え方は理解しておいたほうがいいと思いますね。

僕、特に思うのは、今の10代にもしアドバイスするとすると、林さんの話みたいな話で、勉強の仕方を勉強することが一番大事で、逆に英語とかどうでもよくなるんですよ。だって、あと10年たったらAIが全部自動翻訳してくれますから、あらゆる国の最先端の知識を得ることができるんですね」

平野「僕は今の話はほとんど同意なんですけど、結構これ難しいなと思ってさっきから考えていて、でも、やっぱり自分が好きなことにとにかくひたすら没頭するというのが、さっきの没頭じゃないですけど、大事だと思っていて。

というのは、僕、若い頃は音楽が好きだったんですよね。音楽に没頭するということは、将来、ミュージシャンにならないと没頭していることの意味がないような気がしていたんですよね。単なる趣味で終わるんだったら趣味じゃん、と思っていて。

だけど、大人になって、結局ミュージシャンにはなっていないですけど、その頃に物凄く音楽に没頭したということが、コミュニケーションの上で物凄く僕の社会生活を円滑にしてくれたんですよね。「うなじ」の話じゃないけど、同じ音楽を聴いていたとか、バンドをやっていたとか、そのことで気が合うと、それで初対面の人ともすごく仲よくなるとか。

だから、僕の考えは、10代、若い時はとにかく好きなことに没頭する。で、職業を選ぶ時は得意なことを職業にしたほうがいいと思います。僕は音楽が好きだったけど、結局、文章を書くほうが得意っちゃ得意だったんですよね。やっぱり得意なことを職業にすると人からも評価されるし、だんだんそれを好きになっていくんです。好きだけど、好きなことを、得意じゃないことを仕事にしちゃうと、結構嫌になることもあるし」

尾原「没頭力がある人の特徴って、一回没頭の井戸を深く掘った経験がある人って、もう一回井戸を掘れるんですよ。没頭ってほかの人と違うことをやる行為だから、怖いんですよね。でも、一回井戸を掘って何か自分で新しいものを見つけたとか仲間を見つけたという喜びがあると、次、没頭できるようになるんです。こういう力を「グリット」という言い方をして、やり続けれる力がある人が成功するんじゃないかということも言われていて」

林「「やりたいこととできること」というのは、僕も講演会でもよく話すことなんですけど、僕も自分のできる、得意な「教える」という仕事を選んで、それで30年以上何とかやってきて。ただ、平野さんと決定的に違うのは、いつまでたっても教える仕事は嫌いですね」(笑)

平野「そうですか?」

若林「得意だけど嫌いなんですか?」

林「全然生きがいとかそういうのは。ただ、やっぱりできるし、他者から評価されるので、それをずっとやってはきましたけど、やりたいことは僕は趣味の領域でやると。仕事は別という考え方なんで、途中まで一緒でも、分かれるのもまた面白いなと」

若林「林先生、教えるの嫌いですか?」

林「うん」

尾原「僕、よく言っているのが、「ライスワークとライフワークを分けよう」と(「おおー!」)言っていて、要は、お米を稼ぐためのことはライスワークなんだけど、日本人てライスワークをなんかライフワークにしたがる悪い癖があって。いいんですよ、ライスワークはライスワークで。でも、ライフワークは持っておかないと、これ、お金を稼がなくてもいいから、自分の熱情とか、自分はこれをやっている時に自分らしく感じるというものはあったほうがよくて。これが一致すれば一致するでいいし、一致しないんだったら一致しないで、割り切ってやればいいし」

林「もう一つ、今の10代が我々に比べて本当に申し訳ないなと思うのは、やっぱり人口バランスが悪過ぎるんです。老人が背中に乗っかり過ぎている。僕が普段授業で言うことは、「皆さんの背中には3人のおばあちゃんと1人のおじいちゃんが乗っかっているよ」という。これは僕らにとって気の毒だなと。だって、社会保障費が120兆というのはちょっと異常で、50年前の社会保障費は3~4兆ですからね」

平野「あと、人口ピラミッドがこうなっていると、若い人が尖ったことをやったのをマーケットが下支えしてくれるんですよね。だけど、人口ピラミッドがこうなると、若い人が尖ったことをやってもマーケットがそれを支え切れなくて、保守的なことをやっていることのほうがカルチャーの中心になっていってしまう可能性があるんですよね」

若林「俺、今10代だったら、絶対芸人にならないですもん。俺、こんなに上の人に好かれなきゃいけないと思わなかったです、芸人が」(笑)

林「そういう世界なんですか?」

若林「そうですよ! 主婦に昼間の番組、嫌われちゃいけないですもん。嫌われてるだろうけど」

尾原「でも、それって結局、お笑いというのが人を笑わせることがライフワークなんだけど、ライスワークとしてテレビの司会をやらなきゃいけないということだからですよね」

若林「ライスワークでマジで食リポで飯食ってるんですよ」(笑)「俺らが10代の時に見てた笑いは違かったから。カウンター。社会に対する。それに憧れたけど、こんなトップダウンの言うこと聞かなきゃいけないと思わなかったですもんね」(笑)

 

 

オードリーが芸人をやっている時代に間に合ってよかった。