オードリーのオールナイトニッポン 2018年3月4日
若林「悩んだ時期とかは一切ないってことなんですか?」
ふかわりょう「悩んでた時期があったのは、いわゆる葛藤として、今このようなキャラクターでテレビに出てるけど、これは本来の自分との乖離があると。この乖離をどうしようって思い出したのが20代後半だったんです。そこの葛藤を思いだしたら、どんどん気持ちがふくらんじゃって、破裂しそうになったんです。そこで、「ああ、もうしがみつくのはやめよう」と思ったのが30の時だったんです」
若林「へえ。じゃ、テレビ10年やって」
ふかわ「このキャラは別に嫌いじゃないけど、でも、本来の自分とは違うから、壊れちゃうから、絶対このままだともたないと。じゃあ、もうテレビの仕事なくなるかもしれないけど、一旦しがみつくのをやめて、素直な自分で、勝負っていうほど大げさじゃないけど、フラットな感じでやろうと。そうしたほうが55歳の時にもテレビには出てるだろうという」
若林「本来の自分とその時のテレビのふかわりょうさんはどういう違いがあったんですか」
ふかわ「もしかしたら、僕の潜在的な部分は共通しているのかもしれないけど、ある種自分の……、ああ、どうしよう……」
若林「急に悩みはじめた(笑)。無理しないでください!」
春日「壊れちゃわないですか、大丈夫ですか?」
ふかわ「これで「やりたいことじゃなかった」って仮に言っちゃうととんでもない発言じゃない」
若林「そうですよ。それはやめてください」
ふかわ「じゃ、やめよう」
春日「言っちゃってるけど(笑)」
ふかわ「「やりたいことじゃなかった」って言うのも、ちょっと違和感はあるんです」
若林「それも違和感あるんすよね?」
ふかわ「そう!それ違和感ある。だから、そういう小さな違和感がずっと蓄積していて、耐えられなくなったのが30の時なの」
春日「ちょっとずつ無理をしていた、みたいなことですか?頑張ってたという」
ふかわ「ええ。完全に仕事を失ったら失ったでいいやというような」
若林「限界を迎えた時は、精神的にもどういう状態だったんですか?ちょっとおかしかったですか?」
ふかわ「本当にふとした拍子にすぐ泣いちゃってた」
若林・春日「はははは(笑)」
ふかわ「ここ笑うとこじゃない。いじめっこか?お前ら」
春日「今までの蓄積で、乙女だなんだって聞いてたから(笑)」
ふかわ「乙女もあるさ。乙女が出てきちゃうんだもん。『フォレスト・ガンプ』の最初、葉っぱがヒラヒラ舞ってるのだけで泣いてたからね。すぐ泣いちゃってたから」
若林・春日「あはははは(笑)」
ふかわ「あははじゃないよ、なんだ!いじめっこ学級か!」
若林「今のテンポで、間で言われたら。みんな笑ってますよ、ほら」
ふかわ「だから、さっきの訂正するわけじゃないけど、やりたくないことではないわけ。なんか自分……」
若林「わかります、わかります」
ふかわ「このままではずっと続かないなっていう」
若林「先細っていくなっていう」
ふかわ「そうそう。感謝もするけど、僕は出川さんにはなれないっていう」
若林「そうすると、ふとした拍子に泣いちゃうんですね」
ふかわ「泣いちゃうんだよ」
若林「すごいイライラして、誰にでも強い口調になっちゃうとかだと思ったら」
春日「はいはい」
ふかわ「逆、逆。強い口調どころかほめ始める」
若林「はっはははは(笑)」
春日「ほめる?例えばどういうこと?」
ふかわ「ほめるし、感謝を伝える。「今までありがとう」みたいな」
春日(笑)
ふかわ「情緒不安定だと」
春日・若林「はあ」
若林「いや、でも、ちょっと俺ね、ちょっとぞっとしたのは、俺も最近、すげぇ感謝しちゃうんすよね。伝えちゃう。それで。死ぬのかなって思うぐらい感謝伝えちゃいますね」
春日「来てんのかもしんないよ」
若林「その時って、ふかわさんて相談する人とかっていたんすか?」
ふかわ「いないんだよ。いないからこそ、海外に体を」
若林「持ってく」
ふかわ「そうそうそう」
若林「もう一緒だ、じゃあ」
ふかわ「そこでいろんなものを吸収してくるわけよ」
若林「結構気は強いんですかね?ふかわさん。もしかしたら一番底の底で」
ふかわりょう「あのね、頑固なんだと思う。頑固で偏屈で、結局自分が思ってることを曲げられないタイプなんだと思う」
若林「はあ。いやあ、ふかわさんのそれとは違うかもしんないけど、僕も心当たりありますね」
ふかわ「自分の中で」
若林「曲げられないっすね」
ふかわ「そうそうそう。だから、自分が正しいというより、こうだと思った道しか進めない」
若林「ああ、なるほど」
ふかわ「たまたま今、そういう信念で来て、今見ている景色が本当に私にとって心地いい景色なんですよ」
若林「なりましたか?やっぱり。予想してたとおり」
ふかわ「ほんとたまたまですよ。『5時に夢中』だとかね、『ひるおび』もそうだし、いろんな仕事を、本当に自分の好きなことをやらせてもらっているので」
若林「じゃあ、ここに行き着くまでも、全然きつかったとか、全然ないんすね?」
ふかわ「うーん、ま、ま、きついっていう面はあったけど、でも、突き破るしかなかったというか」
若林「それ、でも、10年やったからかもしんないですね。そこできっちり、やっぱりちゃんと」
ふかわ「そうだね。時間はかかるなと思ったけど、あの時にしがみつくのをやめて失ったものはあったけど。でも、あのまましがみついてても、それはそれでまた別の素晴らしい景色は待ってたと思うんだけど、でも、自分の決めたほうが正解じゃない。答えじゃない」
若林「はいはいはいはい」
ふかわ「だから、そう思うしかないなと」
若林「はあ」
若林「ここから先とかはどうなる感じなんですか? 考えるタイプですか?先の未来のこととか」
ふかわ「なんか降りてきちゃうんですよ」
若林「おおー(笑)」
春日「計算とかじゃないってことなんですね? こうなっていこう、ああなっていこう、みたいな」
ふかわ「じゃあね、ああ、でも、これは言ったらまずいかなあ……」
若林「気をつけてください。俺ら責任持てない。すぐネットニュースになりますよ。この番組は」
ふかわ「じゃあダメだ」
春日「ハハハハ(笑)」
若林「やめましょう」
ふかわ「もう、さんざん」
若林「さんざん、なりましたか?」
ふかわ「さんざんそういうの書かれたから、危険だな」
若林「やめましょう。そういうの言っちゃうタイプですか? 結構ラジオやってたり、テレビの中でも」
ふかわ「まあ、やっぱり正直に思ったことは言ってたけど、でも、ちょっと変な色をつけて記事になったりするからさ。真実が伝わらなかったりするんだけど、だから、テレビを観てて、ああ、こういう笑いのとり方はなくなるといいなっていう思いはあります」
若林「ああ、思い?」
ふかわ「うん。でも、思いは思いとして抱いて、僕はああいう笑いのとり方はしないっていう信念で、いま活動しています」
春日「ああ、そう」
若林「その笑いのとり方っていうのはどういうのか聞いてもいいですか?」
春日「種類というかパターンということですよね?」
若林「それはまずいですか?」
ふかわ「まずいだろうね」
若林「はははは(笑)」
ふかわ「はははは(笑)」
春日「まずいんだ」
若林「まずそうでしたもんね」
ふかわ「うん(笑)」
若林「いやあ、そうかあ」
春日「何とか、何とかこう」
若林「聞きたいなあ」
ふかわ「私の中で、それは今信じてること」
若林「そうなるんじゃないかと」
ふかわ「今、世の中はそういうものは求めてない」
若林「でも、ちょっとね、おこがましいですけど、あっち方面の話じゃないかなっていうのがあるけど、言えないですね、それは」
ふかわ「言えない、言えない(笑)。笑いってさ、いろんな笑いがあるけど、テレビで表現できる笑いのストライクゾーンは、もうそっちじゃないほうに行ってるなと」
若林「おおー!」
ふかわ「私が今信じてるほうがストライクゾーンになってほしいなっていう思いで、毎日『5時夢』をやらせてもらってますね」
若林「ああ、そうか」
ふかわ「もしかすると、コトコト煮込んでできたおいしい食べごろの時、55ぐらいの時にそうなってるんじゃないかと」
若林「なるほど! 55。ああ」
ふかわ「私が信じてる味が、世の中の人にもおいしいと思ってくれている時期がその頃なのかな」
若林「はいはいはいはい。じゃ、結構かかりますね? 全体的に変わってくるのがね」
ふかわ「うん、そう、全体がね」
若林「ふかわさんは、中の、一番奥のふかわさんて怖いんですか?怖くないんですか? 例えば、変な、愛のない、わけわかんないいじり方してくる奴、いるとするじゃないですか。したら、口調として、一番奥の。「やめてほしいな」ぐらいか、「うるせぇな!」、どっちぐらいの感じなんですか?」
ふかわ「どっちかで言うと後者だけど、「うるせぇな」っていうワードはない」
若林「心の中にない?」
ふかわ「うん」
若林「どういう」
ふかわ「「お前、やがて消えるよ」っていう」
春日「怖っ」
若林「怖い。はははは(笑)」
ふかわ「それ、呪いじゃないよ。呪いじゃないよ!」
若林「呪いじゃないよってなんすか?はははは(笑)」
ふかわ「(笑)私の呪いで消すっていう意味じゃないよ」
若林「いずれ」
ふかわ「そのセンスは誰も求めなくなりますよ、価値はなくなりますよっていう。あなたの未来はいい未来じゃないですよっていう意味ね。だから、うるせぇなとか、そこで感情は」
若林「感情じゃないんだ」
ふかわ「そう。そいつに感情は使わない」
春日「ハハハハ(笑)いや、怖、ま、そうか」
若林「一番怖い人のあれかもしんない」
ふかわ「はははは(笑)」
春日「一番怖い。バッサリ!」
ふかわ「やめてよ!」
若林「あはははは(笑)」
春日「バッサリ斬るっていうことですね」