李相日監督インタビュー

 

ななにー インテリゴロウ 2022年5月1日

 

稲垣吾郎:今作の原作者、凪良(ゆう)さんは映画化に関してどのようにおっしゃっていたんですか?

李相日:原作は、映像化の人気がすごく高くて、十何社から争奪になっていたらしい。僕もお手紙を書いてお送りして、僕の映画もちゃんと観ていただいてて、「原作をそのままなぞるんじゃなくて、李監督の『流浪の月』を見せてください」ということをおっしゃっていただいて。

稲垣吾郎:ああ、そうなんだ。でも、わかる気がする。全く印象が違いますよね。読んだ後の印象、映画を観た後の印象が。原作者はどう思われてるのかなと気になってたんです。違うものになってたから。少し清々しいさわやかな印象が小説を読んだ後にはあったけど、映画を観終わった後には、僕は心臓を鷲掴みにされて、今日、監督に会うのが怖いですよ。

 

――広瀬すず松坂桃李を主演に抜擢した理由は?

李相日:どこか、現状よりもっとこうなりたいとか、何か新しいものを探してたりすると、お互い発想が伸びていくというか。

稲垣吾郎:渇望感。なるほどね。

李相日:広瀬すずさんに関しては、『怒り』との出会いがあったんで、『流浪の月』を読んで、「彼女にやってほしいな」って最初に思ったんですね。

稲垣吾郎:『流浪の月』に関してはキャスティングは監督が。

李相日:そうですね。台本も何もない段階で、この原作で彼女でいきたいと思います。どうですか?ということをお伝えしたという。

稲垣吾郎:松坂さんも今回すごい素晴らしかったです。

李相日:桃李くんも、原作の段階でお願いしに行って。本当に、“透明感“というきれいな言葉の意味じゃなくて、透明な感じしません?

稲垣吾郎:うん、わかる。なんでしょうね、あのピュアな感じ。

李相日:濁ってないというか。

稲垣吾郎:きれいなお水みたいな。何だろう、松坂さんのあの感じ。

李相日:不思議ですよね。

 

――映画を撮る上で一番大切にしていることは?

李相日:俳優さんがどう映るかが映画の生命線だなというのは、たぶんずっと追いかけていくんでしょうね。

 

――監督が松坂桃李さんに課したある制限とは?

李相日:体のシルエットが大事な役なので、撮影の3~4カ月ぐらい前から、トレーナーさんについていただいて、食事を徹底的に改善して、ただ痩せるということより、筋肉を落としたかったんですよ。ちょっと中性的な。

稲垣吾郎:わかる。すごくびっくりした。何かご褒美とかはあったのかな?

李相日:終盤のシーンがあるじゃないですか。そのシーンを撮り終えた夜に、松本市内の洋食屋さんに連れていって、「何でも食べたいものを」ということでメニューをずっと桃李くんが見てて、言葉に出たのが「雑炊ありますか?」っていう。

稲垣吾郎:〆じゃん。

李相日:急にいろいろ食べると、胃に刺激が行き過ぎちゃうんで、それをうまそうに幸せそうに食べるというか。

稲垣吾郎:そこ撮りたくなっちゃうやつだ。

李相日:『情熱大陸』があったら、ここだなっていう。

稲垣吾郎:撮りたい。それ、ドキュメンタリーとして押さえたいとこだよね、一番。

 

稲垣吾郎:撮影監督が超大物なんですね。

李相日:そうですね。アメリカのアカデミー賞も獲った『パラサイト(-半地下の家族-)』のカメラマン。ポン・ジュノさんとソン・ガンホさんもここに来られましたよね。

稲垣吾郎:はい。そう。来てくださって。

李相日:「吾郎さんの番組に出た」みたいな話をされてて。僕が『パラサイト』の現場に見学に行って、そのときにホンさんがカメラマンだった現場にいて、ご挨拶して、次やるときはちょっとオファーしたいなと思っていたんで、それで、今回、ポン・ジュノさんに聞いたら、「聞いてみたらいいんじゃない?」ってことで。

稲垣吾郎:機材とかも全然違うんですか? 普通のものとは。

李相日:レンズが、当時、日本にないレンズで、『パラサイト』でも使っているレンズを取り寄せて使いました。

 

――そんな最新のレンズを使用し撮影した、監督も驚愕したというシーンとは?

李相日:ファーストカットですよね。

稲垣吾郎:ブランコの音から。ああ、あそこ印象的なんだよな。揺らぎみたいなものが。

李相日:はい。このスロー、ハイスピード、ハイスピード、スロー。このシャッタースピードがホンさんならではかな。

稲垣吾郎:そうなんですね。カメラとくっついてるのか、ブランコに。

李相日:ブランコにくっつけるためのパイプとかいろいろ這わせて。ブランコと一体で一緒に動いてますね。

どこまで言っていいかわからないですけど、あれ、本当はファーストカットじゃなかったんですよね。

稲垣吾郎:あ、そうなんだ。結構苦しいですよね。カットするのも。

李相日:そうですね。『流浪の月』も完成尺2時間半なんですけど、一番最初に普通につないだやつは4時間です。

稲垣吾郎:えっ、うそー! 4時間もあるんですか?! それを2時間半になってるんですか?

李相日:2時間半になってます。

稲垣吾郎:それ、普通に観たいですよね。映画ってみんなそういうものなんですかね? そんなこともないですか?

李相日:「そんなことない」って怒られますね。(笑)

 

――さらに、映画にも書かせない小道具にも監督のこだわりが

李相日:財布は、映る、映らないに限らず、メインキャラクター全員、財布は選ぶんですよね。普段身につけているものは何なのかというのはやりますよね。

稲垣吾郎:ほかにありますか? 何か特に印象に残っている小道具というか。

李相日:2人が何気なく読んでいる本をどう選んでいくかというのは結構。

稲垣吾郎:へー、そうなんだ。

李相日:本の数とか、どんな本。どんな作家さんにするか。

稲垣吾郎:あの本棚も全部、一冊一冊。

李相日:一冊一冊まではあれですけど、どのあたりのジャンルを読んでるかとか。

稲垣吾郎:だけど、ピントがきてない。

李相日:はい。全部許諾とれないんで、ピントこなくていい(笑)。

稲垣吾郎:何の本があるんだろう。例えば……。

李相日:このときはまだ学生のときだったんで、古典をメインにしたんですよね。

稲垣吾郎:でもね、こういうの、俳優ってセットに入ってすごく見る。

李相日:見ますよね。

稲垣吾郎:僕、すごく本棚見る。美術さん、めちゃくちゃこだわる人いるじゃないですか。大好きな人。これ、俳優さん、間違いなく、みんな本棚見てますよ。俳優さんも台本に書かれてないところで、そういう監督とかスタッフの努力によって引っ張られていくって絶対あると思う。やっぱり2回、3回観なきゃね。

 

 

映画『流浪の月』インスタライブ

 
 
 
 
 
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 2022年4月13日

 

松坂桃李:始まった?

横浜流星広瀬すず:始まりました。

松坂桃李:始まりましたよ。始まったね。これ、もうしゃべっていいんですか?

広瀬すず:私でした。ごめんなさい(笑)。

松坂桃李:えっ? 私?……(笑)

広瀬すず:完成披露試写会があと30分ぐらいで始まるということで、特別にライブ配信開催となります。

松坂桃李:イェーイ!(拍手)

なかなかない4人なので、まずは、すずちゃんのほうからご挨拶をお願いいたします。

広瀬すず広瀬すずです。

松坂桃李松坂桃李です。

横浜流星横浜流星です。

多部未華子多部未華子です。

松坂桃李:ということでね、事前に……(笑)インスタライブって初めてやるから、すいません、皆さん。

ということで、事前にご覧の皆さんからいろんな質問がきているので、4日間でたくさんの質問が届いたということで、ありがとうございます。

広瀬すず:ありがとうございます。

松坂桃李:一部になりますが、この4人で答えていきたいなと思っております。イベントまで時間はわずかなんですけれども、どんどんテンポよく、リズムよく答えていくんで、やっていきましょう。

横浜流星:はい!

 

松坂桃李:まず最初の質問。「クランクインと完成披露、どちらが緊張しますか?

広瀬すず:私はクランクインです。

松坂桃李:クランクインです。

横浜流星:どちらがとかないです。どっちも。

多部未華子:クランクインです。

 

松坂桃李:「精神的にも大変な撮影だったと思いますが、撮影が終わったら、まずこれがしたいと思っていたことはありますか?

広瀬すず:私は、すぐラーメンが食べたくて、ラーメン食べました。

松坂桃李:出た! 『情熱大陸』で食べまくってたもんね。

広瀬すず:(笑)スープまで。

松坂桃李:ガツガツ食ってたから。

広瀬すず:(笑)

松坂桃李:何かありますか?……あ、これ、我々だけ? すいません。インスタライブ初めてなもんで、すいません、ちょっと戸惑っておりますが。

広瀬すず多部未華子:(笑)

松坂桃李:僕は体重制限とかコントロールとかしてたんで、とにかく焼き肉とか、ありとあらゆる固形物を食べたいなと思ってました。

 

松坂桃李:続いて、これは広瀬さん、横浜さんへの質問ですかね。「李監督と『流浪の月』でご一緒されて、“すごい”とか“よかった”と感じた点があったら教えてください。

広瀬すず:“すごい”は、いろんな意味含めても、李監督はすごくないですか?

横浜流星:すごい。

松坂桃李:そうね。

広瀬すず:自分の役の味方でいてくれたり、私自身の味方でいてくださる監督なので。私は2度目だったので、もう一度ご一緒できてよかったなと改めて感じてました。

松坂桃李:流星くんは?

横浜流星:あるシーンで何度もテイク重ねたときに、僕が頭を抱えちゃったんです。


松坂桃李:うん。どうすりゃいいんだっていう。

横浜流星:どうしよう……みたいな。そのときに、監督もこうなってたんです。


松坂桃李:一緒に?(笑)

広瀬すず多部未華子:(笑)

松坂桃李:あぁ…って。リンクしてるね。

横浜流星:そのときに、それこそワンカット、ワンカットに命をかけてるんじゃないかっていうぐらい、すごく込めているし、同じ気持ちになれた感じもしたし、すずちゃんもさっき言ってたけど、すごい寄り添ってくれる方で。

松坂桃李:そうだね。

横浜流星:味方でいてくれるので、その姿を見たときに、ついていきたいというか。

松坂桃李:確かに。

横浜流星:僕もそれに応えなければというふうに思えた瞬間というか。そのときだったんですけど。

松坂桃李:なんか信頼が生まれる瞬間ですよね。

 

松坂桃李:続いて、松坂さん、多部さんへの質問でございます。「『流浪の月』一番のお気に入りシーンを教えてください。

多部未華子:私は、文と小さい更紗がピザを食べるシーン。

松坂桃李:ああ。

多部未華子:すごく好きでした。

松坂桃李:ありますね。あのときは結構幸せな時間でした。

多部未華子:うん、そんな感じでした。

広瀬すず:感じました。

松坂桃李:僕も、確かにそういうことで言うと、一緒にアイス食べるところとかは。

横浜流星:ああ!

広瀬すず:大好き!あそこ。

横浜流星:よかったですね。

松坂桃李:そうですか?(笑)

横浜流星:はい。

広瀬すず:大好きです。

松坂桃李:あそこは幸せの絶頂な感じでしたね。

広瀬すず:(笑)へえ。

 

松坂桃李:続いて、ポンポンいきますよ。時間ないですからね。松坂さん、横浜さんへの質問でございます。「広瀬すずさんはどんな人? 一言で。

横浜流星:何だろう。一言か。自由さもありつつ……。

松坂桃李:一言ですよ!

広瀬すず:二言目いこうとしてる(笑)。

横浜流星:じゃ、自由。

松坂桃李:自由。確かにね。

横浜流星:その後、本当はついているんですけど。

松坂桃李:自由。一言だから、うーん、……ファイター。

横浜流星:(笑)わかります。

多部未華子:なるほど。

広瀬すず:(笑)

 

広瀬すず:私と多部さんへ。「松坂桃李さんはどんな人? 一言で。

多部未華子:穏やか。

松坂桃李:おー。

広瀬すず:おじいちゃん。

松坂桃李:(笑)

横浜流星多部未華子:(うなずく)

広瀬すず:いい意味で。

松坂桃李:いい意味で。ありがとうございます。

 

松坂桃李:これは松坂さん、多部さんへの質問ですかね。「長野県でのロケで印象に残っていることはありますか?

多部未華子:私、どこにも行ってない。

松坂桃李:行けなかったよね。

多部未華子:皆さんは行ったんですか?

松坂桃李:僕は、お蕎麦食べました。

広瀬すず:私もお蕎麦と、ご飯はちょくちょく行ったり。クランクイン前に関係性をつくるのに……。

横浜流星:松本回って。

広瀬すず:回りましたね。

横浜流星:で、そこでお蕎麦食べたりとかはしました。

松坂桃李:なるほど。コミュニケーションとることを含めてってことか。でも、長野いいところですよね。

広瀬すず:うん。気持ちよかった。

松坂桃李:松本、また行きたいですね。

 

松坂桃李:続いては、松坂さん、横浜さんへの質問です。「桃李くんと流星くんは久しぶりの共演だと思いますが、お互いの印象、前回と今作で変わりましたか?

横浜流星:いや、あのときのまんまです。

松坂桃李:(笑)

横浜流星:穏やかで。もちろん、文でいたときは全然話しかけられなかったし、本当は話したいなというふうに思ってたんですけど、そこのもどかしさがあったりとかしていたんですけど、こうやって会うと、穏やかで、優しく包み込んでくれるような方なので、それはあのときと変わってないです。

松坂桃李:いやいや、とんでもない。ありがとうございます。

僕は、『キセキ(-あの日のソビト-)』…『キセキ』以来か。

横浜流星:そうですね。

松坂桃李:そうですね、共演は。それから流星くんの作品、何本か見てはいるんですけれど、どんどんどんどん自分のやっていきたいこととか、ここから先、こういう積み重ね方をしていきたいっていうのが画面を通してすごく伝わってきていて、ここから先、5年後、10年後とか、どんな横浜流星になっているんだろうっていう楽しみな感じが増した気がします。

横浜流星:ありがとうございます。

松坂桃李:ありがとうございます。

 

松坂桃李:続いて、広瀬さん、横浜さんへの質問です。「完成した作品を初めて観たとき、客観的に観られましたか?

広瀬すず:いや。たぶん今後も観れることがないだろうなと思います。客観的に。

松坂桃李:この作品においてということですか?

広瀬すず:うん。ま、でも、自分のやったやつ、あんまり客観的に観たことないかもしれない。観れない。

松坂桃李:なんか反省会始まるね。

広瀬すず:やってた感情が結構蘇ってきちゃうタイプなんで、あんまり観られないけど、特に観られない代表かもしれない。『流浪の月』(笑)。

松坂桃李:確かに。

横浜さんは?

横浜流星:逆に、観られる人いるんですか? (多部さんに)観られますか?

多部未華子:ううん、観られない。基本は。

松坂桃李:できれば観たくないしね(笑)。

横浜流星:そうですね。

松坂桃李:できればね。難しいね。自分が出てるのってね。

横浜流星:難しいです。

 

松坂桃李:じゃ、続いて、広瀬さん、多部さんへの質問です。「作品にちなんで、月を見上げたくなるときはありますか? また、それはどんなときですか?

広瀬すず:意識的に月を見ようっていうわけではないですけど、お仕事の帰り道の車の窓から見る夜の空というか月は好きで、ポーッと現実逃避ができる感じはよくあります。車から見る空の月のあの感じとか好きです。

松坂桃李:ああ。高速とか乗ってるときとか?

広瀬すず:うん。乗ってるとき。

松坂桃李:うんうんうんうん、わかるわ。

多部未華子:私、見上げたくなるとき、ないです。

松坂桃李広瀬すず横浜流星:(笑)

松坂桃李:ございません?

広瀬すず:最高でした。

松坂桃李:本当に申しわけない。すいません(笑)。

 

松坂桃李:続いて、松坂さん、横浜さんへの質問です。「作品にちなんで、目玉焼きにかけるのは何? 皆さんの好みが知りたいです。

目玉焼き。僕はしょう油ですかね。しょう油かな。

広瀬すず多部未華子:へー。

横浜流星しょう油です。

広瀬すず多部未華子:へー。

松坂桃李横浜流星:えっ?

横浜流星:逆にしょう油以外あるんですか?

多部未華子:塩コショウ。

広瀬すず:私も塩コショウ。

松坂桃李:おー! きれいに分かれた。

横浜流星:分かれましたね。

松坂桃李:へー。

えっ? ここで?

広瀬すず:スクショタイムです!

松坂桃李:スクショタイム?

多部未華子:初めて。

横浜流星:何すればいいの?

広瀬すず:15秒間、皆さん動かないでください。

多部未華子:15秒間じっとしてればいいの?

松坂桃李:15秒間動かないでいるの?

広瀬すず:横浜さん動かないでください。

松坂桃李:どういうこと? どうすりゃいいの?

広瀬すず:みんながスクショしてくれるんです。

多部未華子:へえ。

広瀬すず:どうぞ。

横浜流星:不思議な時間。

松坂桃李:これってどういう感情でいればいいの?

広瀬すず:写真撮ってるみたいな感じです。

松坂桃李:イエイ!みたいな?

広瀬すず:終わりました。

松坂桃李:終わったの?

広瀬すず:もう動かないと。

多部未華子:すごい緊張する。

横浜流星:不思議ですよね。

松坂桃李:すごっ。なんだスクショタイムって。すごいね。

広瀬すず多部未華子:(笑)

 

松坂桃李:ということでね、皆さん、あっと言う間の時間らしいです。

ここですずちゃんに最後、ご覧の皆さんにコメントをお願いいたします。

広瀬すず:5月13日公開、映画『流浪の月』ぜひよろしくお願いします。

松坂桃李:お願いします。

広瀬すず:そしてこの後6時15分からは完成披露試写会の模様がLINEライブでも観られるそうなので、皆さんぜひ観てみてください。

では、また。

松坂桃李:さようなら(笑)。

 

 

4人の雰囲気がとってもよくて、ずっと観ていたくなる。

写真の部分は特に微笑ましい。

 

 

ダイエットのコツは“期限”と“痩せる理由になる人物”

 

フワちゃんのオールナイトニッポン0(ZERO) 2022年4月25日

 

ダイエットのコツを発見しました。私と同じタイプの失敗をする人は参考にしてほしいんだけど、ダイエットを成功させるために絶対必要なのは、“期限”と“痩せる理由になる人物”です。意思弱弱ダイエット失敗オバカちゃんたちにとったら、この2つは絶対に不可欠だから、みんな、今からラジオは講義だと思って聴いてください。必修科目です。通年で4単位あげます。

まず、私がなんでダイエットしているのかというと、『体育会TV』で春日さんとエアロビをやってて、その大会があと1週間後なのよ。ジャンプの技もあるし、何よりリフトで春日さんが私のこと持ちあげなきゃいけないから、減量は必須なわけ。

でも、正直、今まではコーチに「痩せろ」とか言われても、春日さんが「痩せたら面白くに~」とか「フワが重いほうがトレーニングになる~」とか、ふざけて言ってんのを逃げ道に、結局お菓子食べちゃったり、実際、大会が結構先だと、明日から痩せればいいっかという思考回路になっちゃって、結局やらないというリズムだったのね。

ただ、大会が1カ月後に迫って、数字として現実的になってきてからは、1回の爆食いが「また明日から」では取り返せなくなってくる残りの日数なのよ。そうすると、1日1日集中してダイエットできるようになるから、そういう意味でも期限というのは絶対必要かなと思うのね。

ただ、期限つけてやると、めっちゃリバウンドしやすいらしいから、大会の後もハーゲンダッツは私の目の前から隠しておいてほしいんだけど。

もう一つのポイントになる“痩せる理由になる人物”ということなんだけど、私が自己啓発本が好きすぎて、“人物”とか大げさな言葉使っちゃったんだけど、要するに“誰かのためにやる”ということがモチベーションになるかなと思うのね。

私の場合はエアロビの春日さんのためなんだけど、春日さんが練習のときとかも私のことを持ちあげて、絶対重いのに、「重くに~」とか「何も持ってないのと同じ~」とか言うのよ。この間も大会1カ月前なのに新しいリフトが追加されて、私、結構焦ってたんだけど、春日さんはそのときも「綿毛を持ってるのと同じ~」とか何食わぬ顔で言うんだけど、実際、全然持ち上がってなかったのよ。可哀想、春日。「綿毛、綿毛」とか言ってるのに、全然持ち上がってなくて、このときに、これはまずいなと思って。

今までも一緒にダイエットしてるさっしーのために痩せるとか言ってたことはあったけど、実際あれは、「結局こんなに食べちゃいました」ってギャグにするという逃げ道があったのよ。でも、今回はマジで痩せなきゃ迷惑がかかるっていう、痩せる以外の道がない状態だったというのが強制的に減量できた理由だなって改めて思ったね。

でも、やっぱしんどいのよ、ダイエットって。お菓子とかもちろん食べれないし、カロリーとかも計算しなきゃいけないし、考えなくちゃいけないしっていう。

でも、そんな中でクミさんが、春日が自分で卵とブロッコリーを茹でてお弁当に詰めてる写真を送ってくれて、あれは今までで一番やる気出たね。本当かわいい。マジで赤ちゃん。

だってさ、春日さ、言ってなかったよ、私に。「カスちゃんもダイエットしてる」なんて一言も言ってなかったのね。私ってさ、ダイエットしてるとき、めちゃくちゃ言うじゃん。こんなんやりましたとか、あんなん我慢しましたとか、会った人全員に言うし、ストーリーにも書くじゃない。その点、春日は「何もやってません」みたいな態度だったのに、大会に向けて、裏でこんなんやってたんだって思ったら、マジ、尊すぎる。マジで、さすがに赤ちゃん。かわいい。クミさんも春日も春日の赤ちゃんも全員赤ちゃん。ほんとかわいい。

この間、『体育会TV』で大量に食べ物が出てくるコーナーがあって。てか、この番組のエアロビのためにダイエットしてるのに、なんで『体育会TV』で大量の食べ物が出てくるんだよ!っていう話なんだけど、そこで出てきたものが全部おいしくて、あんかけチャーハンとかオムライスカレーとか餃子とか、なんでこんなおいしいのを一口食べて我慢しなきゃいけないんだよ!っていうやつを、エアロビがあるからって無理やりこらえて、無理やり我慢したのよ。だから、今田さんとかもいるのに、半分発作みたいになりながら、「これ、目の前にあったら食べちゃうんで早く下げてください! あと、ミンティア、誰かミンティア持ってる人いませんか? ミンティアください! お口直ししないと食べちゃいます!」みたいな、スタジオでわめき散らすほど必死で、そんだけうるさい奴いたら、回りのみんなも優しいから、「フワちゃん偉いな」とか言うしかないし、勝俣さんとか宮川大輔さんとかも、「フワちゃん頑張ってんな」みたいな感じで言ってくれるというか、無理やり言わせた形にはなっちゃったんだけど、出てきた料理が本当においしくて、正直、全部食べたかったから、なんで私だけこんな我慢しなきゃいけないんだと思って、むかつきながらパッと後ろ振り返ったら、みんな完食してる中、春日だけ私と同じ量残してたのよ。ヤバくない? 私だけあんな大騒ぎしてさ、「ミンティアください!」みたいな言ってみんなに「我慢して偉いね」とか無理やりほめさせてさ、そんな中でも春日は一切文句も言わず、一粒のミンティアも食べずに、黙って残してたのよ。本当に尊すぎる。こんなんがそばにいたら、どんな人でなしでも頑張るわとも思うし。

だから、大会まで残すところ1週間だけど、最後まで集中して、絶対ちゃんと体仕上げなきゃなと思う次第でございますよ。今なら、前みたいに急に秋元康がケーキ持ってこのブースの中に入ってきても、私、一口も食べずに追い返せるんで(笑)。ごめんね康。今のフワちゃんは前みたいに構ってあげられません。

 

 

映画『流浪の月』について

どう見まSYO! #4 連休は映画三昧!ゴールデンウィーク映画特集

www.youtube.com

 

SYO:『流浪の月』という作品は、『怒り』とか『悪人』の李相日監督の新作で、女子小学生と男子大学生が誘拐犯とその被害者とされるんですけど、実際は違っているというところから話がスタートするんですね。とある事情を抱えて行き場所がない2人が一緒に過ごしてたんだけど、世間はそれを誘拐と言って逮捕されてしまうと。それは松坂(桃李)さんと白鳥玉季さんという方が演じてて、それが15年後に再会したときに白鳥さんの今が広瀬すずさんにかわる。15年後に再会した2人を待ち受ける運命、みたいな話ですね。そこに横浜流星さんとか多部未華子さんが絡んでくるんですけど、凄い映画だと思います。

『怒り』とか『悪人』をご覧になっている方が期待するものがちゃんと全部入っているということと、あとは、演技が凄まじいです。広瀬さん含め、松坂さんは、原作が線が細いというキャラクターなので、そこにするためにもとにかく体を絞って。

『空白』のプロモーションのときの松坂さんはちょうど役作りを始めたタイミングだったのかな。どんどん痩せていかれたというのは、原作に近づけるために絞って絞ってということでもあるんですけど。

あと、横浜流星さんがびっくりすると思います。こんな演技をしてくれるんだという。代表作になると思いますけどね。ちょっとびっくりすると思います。これはぜひ劇場で観てもらって。すばらしい役者さんがさらに上に進んだというところを見れるんじゃないかなと思います。

広瀬さんは最高ですよ。個人的な感覚ですけど、よく憑依演技と言うじゃないですか。つまり、母体に降ろすという演技だと思うんですけど、母体の主軸自体が役に変わる感じというか。広瀬さんが感じたことが劇中の更紗というキャラクターになるぐらいのレベルまでいってるという。ある種すごい心身に負担をかける演じ方だと思うんですけど、そこに果敢に飛び込んでいく広瀬さんの凄さというか。

2016年公開の『怒り』という映画で李監督と組んでいて、6年ぶりにもう一回組んでというところで、より進化した2人のコラボレーションを見れると思います。まあ、凄いですね。

たぶん、作品のクオリティ的にはトップ・オブ・トップだと思うんですけれども、話の内容が、その人物たちがする行動に対して拒否反応を示してしまう方もいると思うんですよ。そういう意味で、ある種の社会的なというか、問題提起を投げかける話――原作も含めて――だと思うので、そういった作品に果敢に取り組まれる役者さんだなというのも思いますしね。広瀬さん、松坂さんもそうだし、横浜さんもそうだと思いますし。

これは、観てほしいし、観た後、いろんな意見が出ると思うんですけど、それも個人的には、ある種映画として非常に健全だなというか。ホワイトウォッシュされて、こういう映画こそが正解だということとはまたちょっと違う作品ですから。と思いますね。

 

 

流浪の月 エピソード0

 

流浪の月エピソード0

2022年4月18日 U-NEXT配信

 

ナレーション:2020年、本屋大賞を受賞した『流浪の月』。凪良ゆうによるベストセラー小説が李相日監督の手で待望の映画化を果たした。

主演に広瀬すず松坂桃李を迎え、横浜流星多部未華子、現代の日本映画界を代表する俳優が勢揃い。彼らはいかにしてこの愛よりも切ない物語を表現しようとしたのだろうか。撮影の舞台裏、そして出演者のトークやインタビューをもとに、映画『流浪の月』の真実に迫る。

 

 

松坂桃李:どうも、お久しぶりです。

広瀬すず:お久しぶりです。

松坂桃李:お久しぶりというか、初号以来な。

広瀬すず:そうですね。

松坂桃李:今回、U-NEXTさんがこのようなスペシャル対談を設けてくださり。

広瀬すず:おしゃれですね。

松坂桃李:おしゃれだよね。こんな景色のいい場所で。『流浪の月』のスペシャル対談ということで、現場の話とかプライベートの話ができればいいなという形でお送りさせていただいております。どうもよろしくお願いいたします。松坂桃李です。

広瀬すず広瀬すずです。よろしくお願いします。(笑)

 

 

Chapter:1 映画『流浪の月』に出演して

広瀬すず:そうですね……逆にどうでした?って感じですけど。

松坂桃李:まあ、もう2回目だもんね。

広瀬すず:李組というものに結構いろんな、たぶん聞いて構えてた方が多かった……。

松坂桃李:もう、俺、そっちのタイプ。

広瀬すず:本当ですか?!

松坂桃李:すっごい構えてたから。

広瀬すず:アハハ(笑)

松坂桃李:いろんな人の話を聞くからさ、もはや、それ、たぶん都市伝説なんじゃないんですか?ぐらいの話まで聞いたりとかしてたから、どんな現場なんだろう?と思ったら、えっ?すごく愛情深いじゃん、と思っちゃったけど。

広瀬すず:そうですね。

松坂桃李:2回目からすると、どうなの?それは。

広瀬すず:『怒り』という作品でご一緒させていただいたときは、自分、高校生だったので、結構ハードなシーンがあったり、役柄でもあったからこそ、だから、いろいろヒントをもらいながらやってたんですけど、今回は、ヒントもいただきつつ、結構自分の中からフツフツと熱い塊みたいなものが出るまで待ってる監督がいたので。

松坂桃李:(笑)あ、そうなんだ。

広瀬すず:うん。なんか全然『怒り』のときと監督の印象も違うし。

松坂桃李:ああ。

広瀬すず:思ったりよりあっと言う間に終わってしまったな、撮影がっていう。

松坂桃李:時間が濃密過ぎるよね。

広瀬すず:毎日ヤマ場、みたいな(笑)。

松坂桃李:毎日ヤマ場で、毎日果汁100%みたいな。それぐらい濃密だったから、確かにあっと言う間だったかもね。

広瀬すず:うん。

松坂桃李:そうね。

 

 

2021年8月6日

ナレーション:映画『流浪の月』クランクイン。

李相日、『悪人』や『怒り』などを手がけ、人間の心を鋭くえぐってきた映画監督だ。本作でも、自ら脚本を執筆し、『流浪の月』というある愛の形に挑んだ。

撮影監督は、『パラサイト 半地下の家族』のホン・ギョンピョ。美術は、日本だけでなく海外でも活躍中の種田陽平。照明は、『怒り』に続いて李組に参加した中村裕樹。音響は、李組常連の白取貢。映画を熟知しているベテランスタッフが集まった。

 

スタッフ:ご紹介いたします。家内更紗役の広瀬すずさんです。よろしくお願いします。広瀬すず:よろしくお願いします。(拍手)

 

ナレーション:広瀬すず演じる家内更紗の撮影は、バイト先での休憩シーンから始まった。

 

スタッフ:よーい、はい。

 

ナレーション:再びの李組の日々。更紗をつかみ取ろうと真摯に役に向き合う広瀬の姿があった。

 

更紗×広瀬すず

李相日監督:世の中で自分という存在を押し殺して、どうやって自分の小さい良心の殻を守っていくかということに必死な姿というのが、何か共感できたし、すずなんかも、彼女の本心というのは、もうちょっと奥の奥に存在してたりするんで、そういった、何か佇まいみたいなものが更紗と重なる部分がありましたね。

 

広瀬すず:大変ですけど、難しいですけど、監督と向き合うことで、一つずつまたヒントじゃないですけど、手がかりみたいなものが見えてくる、拾えてくるので、やりながら、わりとお話ししてやってる感じです。一緒に頑張りましょう(笑)。皆さんと。

 

 

スタッフ:佐伯文役の松坂桃李さんで。よろしくお願いいたします。(拍手)

 

ナレーション:同じく、主人公の佐伯文を演じるのは松坂桃李。撮影は、大学時代の文から順を追って行われた。

 

文×松坂桃李

李相日監督:文の魅力って、誰よりも寄り添える力、苦しみに対する共感能力の高さ。桃李くん、あれだけドラマも映画もたくさん出て、本当に濁りを感じないんですよね。そういう佇まいを感じ取れる俳優さんて本当に希有なんで、やっぱり文は、松坂桃李以外ちょっとあり得ないんじゃないかなっていうのは本当に最初の段階で思いました。

 

文:家来る?

 

ナレーション:ある雨の日に出会った更紗と文。2人の穏やかな日々は、2カ月後、「女児誘拐事件」と呼ばれるように。それから15年、更紗と文は、カフェで偶然再会を果たしてしまう。

 

 

Chapter:2 更紗と文の物語

広瀬すず:私はやることが決まってから原作を読んだので、自分が信じるものは文だけだっていう感覚からたぶん入ってるから、準備っていうよりも、文を信じてたら大丈夫な気がするっていうか、そういう感覚でした。

松坂桃李:ああ。でも、それ、俺も一緒かも。

広瀬すず:あ、ほんとですか?

松坂桃李:うん。これ、どうすればいいんだろう?っていう、まず不安というか。この佐伯文という人物をどういうふうに演じればいいのかっていう、そういう見えない不安みたいなものが襲ってくるけど、原作もそうだし、台本を読んでみてもそうだけど、やっぱり更紗の存在が文の心の中での唯一の救いみたいなものだったから、そこを頼りに生きるしかないっていうふうな感覚だったかなあ。

 

更紗と向き合った日々

広瀬すず:自分が存在することで誰かを苦しめているような自分がいるのと、周りに合わせて生きてきた時間みたいなものがどう映ったらいいのか、どう見えたらいいのかというのは、結構最初に監督とお話しして、「不意に笑ってみれば?」とか言われたりして、みんな笑ってるから私も笑っちゃってる、みたいな。

松坂桃李:心から笑ってるわけとかではなくてっていう。

広瀬すず:うん。

 

 

広瀬すずとは?

李相日監督:すず、本当にアスリートみたいじゃないですかね。瞬時に自分を一番高い精神状態まで持っていく、その集中の仕方と、スムーズさというか、力の配分というか、何かをグッと自分の中から引き出す力というのがアスリートのようだなと感じたところでもありますけどね。

 

2020年12月23日 広瀬すず・李相日 5年ぶりの再会

ナレーション:撮影の7カ月前。李相日と広瀬すずは、5年ぶりの再会を果たしていた。

 

李相日:なんか暗いね。

広瀬すず:えっ?

李相日:いや、俺が。

広瀬すず:どういうことですか?(笑) 私じゃなくて?

李相日:のっけから息の合わなさ(笑)。どう?この5年ぐらい。

広瀬すず:なんか相手が見えにくくなりました。お芝居してて。

李相日:相手が見えにくい。

広瀬すず:目合ってるのに目合ってない感じといいますか、それが抜けなくて。

李相日:この映画、それじゃダメだね。

広瀬すず:ハハハハ(笑)そうですよね。

李相日:うん、そうだね。

広瀬すず:今回、結構過去があるじゃないですか。過去とか思い出って、どうやって作ればいいんですかね?

李相日:それはキャラクターのこと?

広瀬すず:うん。そういうのは、変に気になったことがあると、あれ、なんで?と疑問に思うことがあるじゃないですか。

李相日:でも、そこからやらないと始まらないもんね。全くあのキャラクターと同じ過去を何か探さなきゃってことではないから、一番根っこの孤独感とか、誰でもいいから、絶対的な何か求めるモノ…モノというより人か、感覚みたいな、そういうのは探していかないと、ふわふわなっちゃうよね。

広瀬すず:うん。

 

ナレーション:こうして更紗役との向き合いの日々が始まった。

一方、松坂桃李も文になるための準備を開始。

この日は、カフェでコーヒーのいれ方を教わっていた。

 

オーナー:ゆっくり時間をかけて。

松坂桃李:なるほど。ああ、これはちょっと新たな発見ですね。

この一杯を飲んでもらうためにって思うと、全て納得のいく動作といいますか、ちゃんと理由が明確になってきたなっていう。なぜ文がコーヒー屋をやっているのかっていうのを、世の中との距離感をちょうどよく保てるところでもあるのかなぁと思いましたね。

 

2021年6月26日 少女時代の更紗役オーディション

ナレーション:松坂は、少女時代の更紗役を選考するオーディションにも参加していた。

 

李監督:このお兄さんが話しかけてきます。

子役:不審者(笑)。

李監督・松坂桃李:(笑)

 

ナレーション:クランクインが間近に迫り、文という役をつかみ取るため、松坂もあらゆることを試していた。

 

文と向き合った日々

松坂桃李:それこそ監督と最初に話したのは、撮影の順番的に文の過去の部分、10歳更紗と出会ってからの、その過ごしてる時間のところからいくからということで、「どれだけ実感できるかだよね」という話から、そっかぁと。実感まで落とし込めたかどうかまではわからないけど、そこまでなるべく落としながら初日を迎えるということに結構専念したかもね。

で、本当に大きかったのは、それこそ文と更紗が一緒にアパートで過ごしてる時間というのが、本当に自由な、すごく幸せな時間だったなって思えたのね。それが実感としてちゃんとあったからこそ、大人になった更紗と再会したときでも、その当時握ってたものというのが、「あ、握っててよかった」というふうに思えたっていうか。

 

松坂桃李とは?

李相日監督:プロですよ。プロ中のプロというか。簡単に「この役はこういう役だ」という規定をしないし、もっともっと何があるのか、わからない部分を含めて、どんどんどんどん自分の外の範囲に手を伸ばしていく、そういう貪欲さもあるので、そういう意味では非常にやりやすいですよね。どんどんどんどん求めるものが高くなっていけるといいますかね。

 

 

Chapter:3 亮と更紗

更紗:おかえり。

 

亮:もしかして怒ってる?

 

ナレーション:横浜流星演じる中瀬亮は、更紗と同棲している恋人だ。

 

亮:変だよ。らしくない。

 

ナレーション:一流企業に勤めるエリートであり、更紗の過去も受け入れていたが、文の出現で2人の関係は大きく揺らぎ始める。

 

亮:おまえらどうなってんだ!

 

 

亮×横浜流星

松坂桃李:凄かったわぁ。

広瀬すず:(笑)濃厚でしたよね。

松坂桃李:濃厚だったよね。

広瀬すず:なんかよくわかんないっていうのがたぶん(笑)。役と一番リンクしてた部分が。

はじめましてだったので。リハーサルでお会いしたのが。そこの時間も、お互いすごい人見知りと、ワーッと自分からしゃべるタイプではなかったから、だいぶ時間かかって。ちゃんと李さんに2人で、「何やってんだおまえら」みたいな。

松坂桃李:怒られて(笑)。

広瀬すず:「ちゃんとしろよ。時間ねぇんだぞ」みたいにすごい言われて「はい」とか言いながらも(笑)。

 

2021年7月12日 広瀬すず横浜流星 初顔合わせ

ナレーション:クランクインの1カ月前。広瀬と横浜はリハーサルのため、都内のスタジオに集まった。2人が会うのはこの日が初めてだ。

 

李監督:なんか話して。なんか話してみて。

横浜流星:なんか話してみて。

李監督:うん(笑)。

広瀬すず:人見知りですか?

横浜流星:人見知りではないけど、普段からあんま話さないタイプではあります。

広瀬すず:なるほど。

横浜流星:人見知りですか?

広瀬すず:はい。(笑)人見知りです。だんだんなくなってはきましたけど。

横浜流星:ああ。

李監督:終わり?

広瀬すず:カメラが(笑)。

横浜流星:カメラがすごい気になって。

広瀬すず:3台もいるから。

 

李監督:じゃあ、いきましょう。よーい、はい。

 

ナレーション:距離がなかなか縮まらない中、この日、そのまま初めてのリハーサルに。

 

亮を演じて

横浜流星:空手をずっとやってきていたので、男は人に弱いところを見せるなと植えつけられて十数年生きてきたので、甘えることが、かっこ悪いじゃないけど、甘えることは女性にしてはいけない、甘えさせなければいけないというふうな思いにずっとなってたんで、すごい抵抗があったんですよね。抵抗があったし、甘えようと思っても、どう甘えればいいんだろう?みたいなことがあって、すごく難しかったんですよね。

李相日監督について

横浜流星:基本、監督は、僕らに答えを出さないんですよね。ヒントを与えて、そこから僕らに考えさせるので、まあ、ずっと悩んでました。これでいいのかなっていう思いの中やっていたんですけど、でも、ずっと考えさせるようにしてくれているのかなっていうふうに思うと、すごく愛のある方だなっていうふうに思うし。

 

スタッフ:ご紹介いたします。中瀬亮役の横浜流星さんです。よろしくお願いいたします。

横浜流星:よろしくお願いします。(拍手)

 

広瀬すず:緊張してるの?

横浜流星:緊張してる。今のでもう緊張してる。

広瀬すず:アハハ(笑)

 

ナレーション:2人ともずいぶん打ち解けた様子だ。

 

李監督:自前の汗で。

(スクワットを始める横浜流星

広瀬すず:(笑)代謝いいんだもんね?

横浜流星:そう。代謝いいんです。

 

更紗:はーい。

 

ナレーション:そして本番。

 

亮:ただいま。

更紗:おかえり。

亮:もうびちょびちょ。一日じゅう汗だくよ。

更紗:はい。

亮:ありがとう。

更紗:すごい。

亮:うわ、ありがとう。おっ!晩飯カレー?

更紗:うん。

 

ナレーション:横浜は、更紗に甘える亮をすっかり体現できるようになっていた。

 

李相日監督について

横浜流星:監督自体も僕らの芝居を見ていろいろ考えてくれたりだとか、監督自体もずっと悩んでいるというか。どうしたらもっとよくなるのかというのを考えながら現場にいる姿を見たので、そこで、より監督の期待に応えられるように、亮として生きなければいけない。亮として更紗をもっともっと愛さなければいけないという思いになれたし、誰よりも監督が一番、この一瞬、一瞬、魂を込めていたので、そんな姿を見ると、僕ら、まだまだ、もっともっと追い込まなければいけないというふうな気持ちになれたので、その姿を実際に見て、(?)られたような感じにはなりましたね。

 

亮×横浜流星

李相日監督:彼は、もともとこの原作に非常にほれ込んでくれていて、何かの形で参加したいということを耳に聞こえてきてはいたんで、一度お会いしてみましょうということで、会って話をしてると、僕には亮にしか見えなくなってきて。横浜くんは子どものころから空手をやっていて、世界チャンピオンになるぐらいなので、ものすごくストイックな、子ども時代から鍛練を積んできているので、そういった意味で古風ですよね。だからこそ、どう甘えていいかわかんないっていう迷いがかえっておもしろかったというか。そういう意味では、意外性もありながら、きちんとハマってくれたときに、ものすごいいい効果になるんじゃないかなとは思いましたけど。なんか人間くさいですよ。そういう意味では。

 

 

スタッフ:谷あゆみ役の多部未華子さんです。よろしくお願いいたします。

多部未華子:よろしくお願いします。(拍手)

 

Chapter:4 谷と文

文:そういうの病院でなれてるんじゃないの?

谷:それは仕事だから。

 

ナレーション:多部未華子演じる谷あゆみは、文とつき合っている恋人だ。しかし、いつまでも一線を超えようとしない文に不安と焦燥を募らせている。

 

谷×多部未華子

松坂桃李:2人が登場するシーンというのが、わりと温度が高い状態でのシーンが結構多かったから。で、多部さんの場合、ポイントで出演するから、しかも途中参加だったし、結構本人的にも不安要素が多い中で。でも、唯一救いだったのが、お互いはじめましてじゃなかったというのが、そこが助けになって、お芝居に入る前の集中の仕方とかというのも何となく肌感でわかってたからこそ、そこは乗り越えることができたっていうか。ただ、多部さんのプレッシャーはすごかったと思う。

広瀬すず:うん。なんか見てて、ハーッてなりましたもん。ウーッて。

松坂桃李:ハーッてなった?

広瀬すず:ウワーッてなりました。

松坂桃李:谷さん、ハーッて?(笑)

広瀬すず:谷さん…ってなりました。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:すごい切ない顔っていうか。

松坂桃李:すごいよね。奥行きがあるからさ。

広瀬すず:いろんな瞬間でいろんな感情が顔から読み取れたときに。

松坂桃李:そうそうそう。

 

 

ナレーション:撮影前の休憩時間、松坂は多部のためにコーヒーをいれていた。さて、練習の成果は?

 

多部未華子:コーヒー飲んだことないからわかんない(笑)。

松坂桃李:えっ?

多部未華子:コーヒーってほとんど飲んだことないから(笑)。これ濃いのか薄いのかわかんない(笑)。

松坂桃李:あ、そうなんだ。

多部未華子:コーヒー好き?

松坂桃李:コーヒー好き。教えてもらってるやつは、ちょっと濃いめかな。濃いめだけど、酸味がそんなになくて飲みやすい感じのやつ。

多部未華子:確かに飲みやすい。酸味がすごい苦手で。

松坂桃李:ああ、なるほど。

多部未華子:飲めないんだけど、これは飲める。濃いとか薄いとかわかんないけど、おいしい。

 

多部未華子:きっと、谷さんもいつも仕事帰りに一息つける休憩の憩いの場としてコーヒーを飲みに来てるんだろうなっていう想像力を働かせながら、これから撮影どうなるんだろうっていう不安と、いろんなことを思いながら(コーヒーを)いただきました。

 

 

谷:あなたたちのことを知って、吐きそうになった。そんな人を好きになった自分にもぞっとした。

 

 

谷を演じて

多部未華子:彼との向き合い方という意味では、女性としてはすごく当たり前というか、なんで、不安に思ったり、もっと知りたいのに、なんかこう、ポンて返ってこなかったりとか、そういう葛藤というのはすごく気持ちはわかるし。ただ、それを少ないシーンの中で全部を表現するというのがなかなか難しい作業……でしたねぇ。

 

谷×多部未華子

李相日監督:どっちかというと、多部さんて、パブリックイメージ、僕のイメージも陽の方だと思うんですけど、イメージが陽の方の中にある、ちょっと陰な部分ていうのって、やっぱのぞきたくなるものですよね。多部さんの陰みたいなもの、陰の部分みたいなものを見たいと思わせる存在ですよね。

感情がついてこないけど、演技をして、それで通り過ぎようということが、多部さん自身も一切ない。ある意味、演技に対して、映画に対して、ものすごく誠実な人だったんで、そこでちゃんと、ああ、苦しんでる感じが、僕はすごく誠実に見えたし、これといって何がしてあげられるわけじゃないけど、ああ、ちゃんと信頼できる人なんだなっていうふうに思えたし、待てる限界まで待とうって思えましたけどね。

 

李相日監督について

多部未華子:愛のある監督なのかなと思いました。監督の一言一言を自分の中で解釈するというのは、難しくもあり、……ま、難しかったです(笑)。

 

 

Chapter:5 質問タイム

松坂桃李の“癒し”は?

広瀬すず:(手を挙げて)はい!

松坂桃李:はい。

広瀬すず:一番癒しの時間て何ですか?

松坂桃李:癒し?

広瀬すず:うん。

松坂桃李:一番の癒し?

広瀬すず:一番の癒しの時間。

松坂桃李:一番の癒しかぁ。家に帰ったときに、うち、犬2匹いるんですけど、犬2匹が出迎えてくれて、ウワーッてなったとき。

広瀬すず:(笑)私もペットいるんで、めっちゃわかります。

松坂桃李:ワーッとなる。

広瀬すず:ああ、でも、意外。

松坂桃李:あ、ほんと?

広瀬すず:はい。

松坂桃李:ちょっと癒されるねぇ。

広瀬すず:ハハハ(笑)へえ。

松坂桃李:いま思うと一番の癒し。

 

広瀬すずにとっての“信頼・信用”とは?

松坂桃李:今の温度とちょっと、ちょっとというか、全然違うんですけど、人や物事に対しての信用とか信頼ってあるんですか?

広瀬すず:(笑)えっ?どういうふうに見られてるんですか?

松坂桃李:いや、いい意味で。

広瀬すず:李さんにも、人を信じるっていうか、信じることにすごい慎重ってたぶん思われてて。でも、それはそうだと思います。

松坂桃李:ああ。やっぱそうなんだね。でも、俺もちょっとそういうところがあって、勝手だけど、あ、なんかちょっと似てる部分があるかも、みたいな。

広瀬すず:(小声で)思ってました。

松坂桃李:(小声で)思ってました?

広瀬すず:だから、なんか話せるんですよ(笑)。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:そうなんです。慎重なんだと思います。

松坂桃李:そうね。

広瀬すず:自分の中のルールでもないけど、たぶんリズムがあるんだと思うんです。それがちょっと人と違うだけなんだなって思います。

松坂桃李:ああ、なるほどね。

広瀬すず:でも、あるはある。あります。

 

ターニングポイントになった出演作は?

広瀬すず:一番最初は、『海街diary』(2015年)っていう是枝(裕和)さんの映画は一番大きかった気がします。作品にがっつり参加するというのも初めてだったので。そして、1年かけて点々と撮ってたんで。

松坂桃李:あれ、1年だったんだ。

広瀬すず:そうです、そうです。

松坂桃李:すごいわ。

広瀬すず:1年かけて映画を撮ったのが、今のところ、最初で最後だったから、あんな贅沢で、あんな景色を見れたのは、貴重だったっていうか、すごい自分の感覚を変えてくれた作品が『海街diary』かな。

松坂桃李:へえ。

広瀬すず:何ですか?

松坂桃李:(笑)ターニングポイントですか?

広瀬すず:ターニングポイント。

松坂桃李:ターニングポイント。一番最初は、『僕たちは世界を変えることができない。』(2011年)っていう、向井理さん主演の、柄本佑さんと窪田正孝くんと俺の4人の男の子が主役で、ボランティアでカンボジアに学校を建てようというお話なんだけど、それが映画初出演だったのね。何にもほとんどわかんない状態だったんだけど、カンボジアに行っての撮影の撮り方が、その4人をただひたすら追っかけるみたいな、ただ追いかけていくドキュメンタリーチックに撮っていくのが、すごく自分の中で新鮮で楽しくて、あ、映画っていいな、もっとやってみたい、興味があるっていうふうに初めて思えたっていうか。

 

 

文と更紗の湖のシーンのロケ風景

アパートのロケ風景

 

 

Chapter:6 二度目の共演

広瀬すず×松坂桃李 二度目の共演

松坂桃李:二度目って感じしないんだよね。

広瀬すず:しないですよ(笑)。

松坂桃李:なんでだろうね。

広瀬すず:極端に言うと、初めてか、ずっと何回もやってるか、くらいの。

松坂桃李:やってるかっていう。

広瀬すず:結構、今回は感情をむき出しにするシーン、お互いにあるじゃないですか。

松坂桃李:そうそうそうそうそうそうそう。

広瀬すず:やっぱそれが、ここまでお互いがむき出しになると、すごい一気に濃密になるし。

松坂桃李:お互いのはらわたを見せながら、なんかこう(笑)。

広瀬すず:(笑)

松坂桃李:ぶつかる、みたいなっていうのがあったからなのかなぁとは、ちょっと思うね。

広瀬すず:うん。

 

 

「まさかとは思いますが、昔、自分を誘拐した犯人とつき合ったり、してないですよね?」

 

ナレーション:追い詰められてゆく更紗と文。許されぬ2人に待ち受ける運命とは?

 

 

『流浪の月』を観た感想

広瀬すず:私、なんかすごい泣きそうになったのは、文が一緒にアイスを床で食べてくれるところが。

松坂桃李:ああ、あそこ?(笑)

広瀬すず:ヤバッ。

松坂桃李:あ、そう(笑)。

広瀬すず:自分がいないシーンだったから、台本だけは知っていたけど、こんなにも報われていたんだって、映画観たらすごい思っちゃって、アイスのとこ、ヤバくないですか?

松坂桃李:ヤバかったんだ(笑)。

広瀬すず:うん。

松坂桃李:全然そんな感じしなかったけど。

広瀬すず:結構……。

松坂桃李:あ、そう。

広瀬すず:うん。

松坂桃李:あのときはね、アイス死ぬほど食わされて。

広瀬すず:ハハハハ(笑)

 

『流浪の月』を観た感想

松坂桃李:正直言うと、自分の出てるところは客観的に観れなかったし。だから、自分の出てないところで言うと、亮くんとのシーンていうのが、見ちゃいけないものを見ちゃった感じというか。だから、一瞬、スタートしたときに、あっ、あっていう、ちょっと(笑)。

広瀬すず:(笑)

松坂桃李:パッ……いや、でも、これ、(広瀬すず:わかります)観ないとだめだもんなと思って、パッと観たけど、それはね、随所でありましたね。

広瀬すず:ありました。私もありました。

松坂桃李:ありました?

広瀬すず:文は文の人生があるんだなって、突きつけられた感じ(笑)。

 

 

2021年10月20日

スタッフ:文役、松坂桃李さん、全編終了です。お疲れさまでした。(拍手)

(李監督から花束と抱擁)

松坂桃李:ありがとうございます(笑)。

李監督:あ、もう痩せてる。骨しかない。ご苦労さま。

松坂桃李:(笑)

 

スタッフ:家内更紗役、広瀬すずさん、全編終了です。お疲れさまでした。(拍手)

(李監督から花束)

李監督:ご苦労さまでした。

広瀬すず:(笑)

 

ナレーション:映画『流浪の月』、2カ月半に及んだ広瀬と松坂の向き合いの日々が終わった。

 

 

Chapter:7 『流浪の月』で得たもの

広瀬すず:やっぱり、感情を包み隠さず出す演じるって、こういうことだったなって改めて思った。これが一番大事なんだろうなというか、嘘がないというのが。

松坂桃李:そうね。でも、それって俺もあって、また違う現場行ったときに、言い方を恐れずに言うと、すごく楽になれたっていうか。

広瀬すず:ああ。

松坂桃李:ふっと力を抜くことができる自分がいるっていうか。大事なものを教えてもらったからこそ、落ちついていろんな作品とか役と向き合うことができる。

広瀬すず:大人ですね。

松坂桃李:大人?

広瀬すず:私は『怒り』のとき、李組終わったら、次の現場が不安になっちゃって、これで大丈夫かな、みたいな(笑)。

松坂桃李:(笑)

広瀬すず:そうか、楽かぁ。素敵ですね。

松坂桃李:そうなんだよね。若干、この辺(胸の辺り)とかに棲みついてる感じ。

広瀬すず:ハハハハ(笑)

 

 

李相日監督:僕はどこかで“映画って俳優のものだ”と思ってる部分があって、観客は俳優を通して、その人だったり、物語を見ていくんで、そこに真実が宿ってるかどうかで観客の印象って全く変わってしまうと思うんですよね。そういった意味では、今回、すず、桃李くん、横浜くん、多部さん、この4人を筆頭に、全ての俳優さんたち、誰一人残さず、本当に真実を体現してくれたと思うんですよ。そこに誰もあきらめず向かい合ってやり遂げてくれたというのは、この作品の核になっていると思いますね。

 

 

これがDVDに入るのであれば、書き起こす必要はないかなと思ったけど、 今の段階ではわからないから、どうしても残したかった。

 

 

 

『流浪の月』に関するインタビュー

婦人画報』5月号

辛酸なめ子:『流浪の月』の松坂(桃李)さんや横浜(流星)さんとのお芝居で刺激を受けた部分はあるのでしょうか?

広瀬すずさん:さっきまでわちゃわちゃしてたのに、現場に入ると顔が変わり、知らない流星君が目の前にいて刺激的でした。桃李さんは、会ったときから役そのもので、刺激ではなく、「何、すご過ぎて怖いかも」って思ってしまいました。

『松坂桃李のオールナイトニッポン』の面白さについて

 

星野源オールナイトニッポン 2022年3月29日

 

今週もイレギュラーではありますが、慣れつつある状況の中で、菅田くんが本当は昨日でオールナイトニッポンを卒業だったんですけれども、体調を悪くされて、1週お休みで、来週が最終回となるということで、そんな話にもなるかなと思って、昨日の松坂桃李くんがピンチヒッターでオールナイトニッポンをやられていたのを、今日、タイムフリーでちょっと聴こうかなと思って聴いたんですよ。

みんな聴いた? めちゃくちゃ面白くない?(笑)

本当にちょっとだけ聴こうと思って、感じだけを何となく聴かせてもらって、こんな感じがあったんだなというのだけ一応意識しておいたほうがいいかなと思って。そしたら、仕事しながらではあったんですけど、全部聴いちゃって。あまりに面白くて。

最初からよかったんだよね。『松坂桃李オールナイトニッポン』って、俳優さんなわけで、いわゆるバラエティにたくさん出ている方でもないし、フリートークをされる方ではないじゃないですか。

でも、前もやったんだよね? 前もやったりとか、菅田くんのオールナイトニッポンのゲストに出られてて、でも、僕、前のは聴いてなかったんですよ。桃李くんのオールナイトニッポン。昨日のを初めて聴いて、フリートークというか、トークを初めてちゃんと聴いたんだけども、「オールナイトニッポン」の言い方って、普通、俳優さんだったら、「オールナイトニッポン」とか言って、テーテテ、テーテテテ♪って、それ普通じゃん。全然、気取ってるとかでもなく、本当普通のことだと思うんだけど、「オールナイトニッポーン!」みたいな、ちょっとギアを上げてやってくれる感じとか。それが、なんて言えばいいんだろうな、ウソをついてる感じでもないんだけど、通常でもない、みたいな独特のライン、道筋をずっと辿ってて、しゃべることも、本人の言葉なんだよ。どこまでも。なんだけど、いわゆる日常ではこういうことはなかなか話さないだろうなということをずっと、でも無理してない、みたいな。ラジオっぽいみたいなことを無理やりやろうとしてない、みたいな。そのラインずっと行く?みたいな。

僕ね、数えたんだけど、2時間、聴きながら作業とかしてたんですけど、その間、「バカじゃないの?」って20回言いました(笑)。あまりにも面白くて。勝手に「バカじゃないの!」「何それ!」「バーカ!」とかずっと言ってて、こんな面白いんだ、と思って。

菅田くんへの愛も感じたし。

あと、遊戯王をやられてるみたいな話を、前から何となく知ってはいたんだけども、助走ゼロで『遊戯王』の話に行くから、すごい置いてかれるんですよ。(寺坂:笑)僕が『遊戯王』が全然わかんなくて本当申しわけない。わかんないんだけど、その置いてかれる感じがめちゃくちゃ面白くて、わかんないけどわかる、みたいな感じの独特なテンションなんですよ。

でも、そのわからないであろう、きっとご本人からしたらマニアックなことではなくて、日常の、本当に大好きなものの日常のことなんだろうけど、きっと、伝わる人は、本当にやっている方しか伝わらないような、説明なし。基本的にあんまないんですよ。でも、どう考えても『遊戯王』のことであるというのはわかる、みたいな。

その『遊戯王』のトークに突入して、例えとかも『遊戯王』でするんだけども、やってる中で、「横ドロー」という言葉が出てきて、それに対して、「わかります?」とか「知ってます?」とか、時々歩み寄ってくるんだけど、そこまでの説明が圧倒的にないから、「いや、わかりません」しか言えない。「全然わかんない、全然わかんないです」みたいな。

その感じが、すっごい、スタスタスタって先を行かれて、でも、本人はずっと僕としゃべってると思ってて、たまに後ろを振り返って「そうだよね?」って言われてる感じっていうか。その感じが本当にラジオならではというか、ラジオでしか生まれない空間になってて、あ、こんなに面白いんだと、聴き続けちゃう、みたいな。うまく言葉で表現できない魅力みたいなもの。

ラジオって、なんか型できてくるじゃん。いわゆる芸人さんでコンビだったらこの形とか、あとは、芸人さんもピンだったらこの感じとか、ミュージシャンの人だったらこの感じ、ミュージシャンもグループだったらこんな感じ、みたいに大体分かれてくるんだけど、そのどこにも属さない、松坂桃李キングのラジオみたいなのが、すげぇ面白かったですね。

あと、たまに急にぶち切れて「はあ?」とか言ったりするんだけど(寺坂:笑)それが快感なんだよ。聴いてて超面白いと思って。

遊戯王』も本当に大好きなんだなっていうのが伝わってくる。

で、何となく想像するっていうかさ。戸田恵梨香さんとご結婚されてて、家でもきっとやられてると思うんだ。『遊戯王』をやってる間の戸田さんの感じ、どうなんだろうなとか、そういうの、きっと微笑ましい空間なんだろうな、みたいな。そういう話はされないんだけど、勝手に想像して、すごいほっこりした気持ちになったりとか。

なんかね、すごい面白かったです。なかなかお忙しい方だし、やられないと思うんですけど、またラジオとかやっていただけたら、勝手にですけど、うれしいなあ、なんて思いましたね。

(中略)

(メール)松坂桃李さんですが、数年前、初めて菅田さんのオールナイトニッポンにゲストに来た時、その翌週も「予定が空いていたから」という理由で勝手にスタジオにやってきたという歴史もある、とても変な人です。

ハハハハ(笑)そんな? そんなこと? 凄いね。90年代のオールナイトニッポンみたい。「ちょっと来ちゃった」みたいな、とんねるずさんとかの乱入的なノリじゃないですか。それをいわゆる乱入とかじゃないマインドでやるわけでしょう? ラジオの申し子なんじゃないの? そうですか。やっぱ面白い。

僕は『いだてん』という作品でご一緒させていただいた時にちょこっとだけお話しできて、ゲームが好きだというお話をされて。

そうそう、昨日の放送でも、やっぱそうだよねと思ったのが、野球の新庄(剛志)さんが「ビッグボス」という名前になったじゃないですか。「ビッグボス」となると、僕は自動的に『メタルギアソリッド』なんですよ。だから、ニュースとかで「ビッグボス」ってなるたびに、大塚明夫さんの声がサーッとくるので、「ああ、メタルギアやりたい、『メタルギア3』&『5』やりたい、ビッグボス!」みたいな気持ちになるんです。本当に。「ザ・ボスとビッグボスだ、あー!」みたいな、すごい切ない気持ちになるんです。

『いだてん』の撮影の時もメタルギアの話をさせてもらって、すごい楽しかったという思い出がありますね。いつかこの番組にも来てもらえたらいいな。桃李くんね。お願いしますよ。