ゲスト 岩井さん

 

すっぴん! 2019年11月6日

 

相方 澤部さんについて

藤井彩子:人物分析がすごく鋭いなと思っていて、最後に相方の澤部さんのことをめちゃくちゃ鋭く切ってるじゃないですか。

岩井勇気:澤部について、最後、一番長めに書いてます。

藤井:澤部論みたいな。今の段階で、澤部さんからのリアクションというのはあったんですか。

岩井:澤部にはあげてないんで(笑)。澤部に読んでもらってもというところもありますね。

能町みね子:読んでるんですかね。

岩井:わかんないっす。聞いたことないっすね。別に何も生み出す人間じゃないんで、澤部って。創作みたいなことをする人間じゃないんで。

能町:空っぽみたいなことを書いていますもんね。

藤井:ただ空洞だというようなお話を書いていらっしゃるんですよね。

岩井:人が求めたことをやるという概念みたいな(笑)人間なんで。

能町:それはそれでそういうプロだという話を書いてますよね。

岩井:まぁそうですね。オーダーされた時に、自分を入れずに100%できる、みたいなところってすごくないですか? なんか番組でこうやってくださいと言われた時に、俺じゃなくていいんじゃない?と思うとか、自分の要素を入れたくなるとか絶対あると思うんですけど、澤部って100%オーダーに答えることができるんで。

能町:素晴らしいですよね、タレントさんとして。

岩井:そうですね。

 

藤井:(メール)「あの漫才スタイルになったきっかけとかあるのかな」という質問です。

そういう澤部さんを見ていて、ご自分はそうじゃないほうへ行くというような概念もあるっておっしゃっていましたよね。

岩井:そうですね。ノリボケ漫才っていって、僕が澤部にフレーズを振って、澤部が乗っかるみたいなネタでテレビに出させてもらった、みたいなところはあるんですけどね。そもそも普通の漫才やってましたよ。

能町:やってたんですか?

岩井:はい。養成所時代と、あと、デビューして2年ぐらいは普通の漫才やってて、いわゆる大喜利漫才みたいな、コント大喜利みたいな、コントに入って、ちょっとやってみようってやって。

能町:例えば、ファミレス店員やりたいんだ、みたいな感じのパターン。

岩井:はい。ちょっとやってみようってなって、ボケて突っ込んで、一回戻ってみたいな、また同じシチュエーションをやって、みたいなことをやってたんですけど、これがまた僕ら、二丁拳銃さんという吉本の先輩芸人がいるんですけど、その人たちすっごい好きで、最初、養成所の時にネタ書き起こしたりしてたんですよね。

能町:二丁拳銃さんが好きだったんですね?

岩井:ええ。好きだったんですよ。すごい参考にしてて。でも、その二丁拳銃さんが、M-1グランプリに出て決勝に行ったんですね。最後の3組に残れなかったのを見て、あ、僕らが思ってる一番この漫才で面白い人たちがダメだったから、これ、ダメなんだなってなって。

能町:違うパターンやんなきゃっていう。

岩井:そうですね。

能町:へえ。面白い。目指すものって聞いてみると面白いですね。二丁拳銃さんというのはちょっと意外ですね。

岩井:だから、目指した人たちは、その時に超えられないんじゃないかって何となく思ってんですね。だから、目指す人がいないやつやったほうがいいなってなって、新しいのやろうってなりました。

藤井:新しいのったってね。

能町:すぐ思いつかないですよね。

藤井:新しいことやるほど難しいことないですよね。人がやってないやつというのは。

岩井:でも、ずっとそれ考えてましたね。最初、漫才の後ろに僕がいっぱい澤部に振って、澤部が乗っかる、みたいなのをくっつけて、半々ぐらいにしてたんです。普通の漫才と。それ最初、事務所のネタ見せでやって、「いいじゃん」みたいな感じになるんですね。そこから2年ぐらい、あまり芽出なくて、その後、M-1の準決勝まで行くんですけど、そこまでの間に、作家が「それやめたほうがいいんじゃない? 長いことやってるけど全然芽出ないじゃん」みたいな感じになったんですけど、僕はネタ見せの時にずっと相方の澤部に対応させてるんです。澤部がネタを作ってます、みたいな振りさせて、受け答え面倒くさいんで、作家の言うこととかも聞きたくない、みたいなところもあるんで(笑)。澤部に対応させてて「すいません」みたいな。「じゃ、そうします」みたいな。僕は全然聞いてないみたいなことがありつつ、2年ぐらい過ごしてM-1の準決勝行って、だから、コロッと変わりましたね。事務所の対応とかも。

能町:やっぱりこれでよかったんだと認めさせたわけですね。

岩井:そうです、そうです。

能町:いろいろ考えてそこにたどり着くわけですもんね。

岩井:そうですね。運よかったですね。思い浮かんだんで。

 

嫌なインタビューについて

能町:私、岩井さんの普通にファンであるというのもあって、相当インタビューを読んでるんですよ。インタビュー記事、相当この本の出版でされていると思うんですけど、午前中からこんな質問もあれですけど、嫌なインタビューってどんなのがありますか?

岩井:ハハハハ!(略)さっきも言いましたように、僕が高校の時とか学生時代とか、クラスで隅のほうにいた、スクールカースト底辺の。

能町:陰のキャラ。

岩井:陰のネガティブ、陰キャラだと思ってインタビューしてくるインタビューアーの、そういう人たちの代表でこうやって芸能人になられて成功されてる人から、そういう学校で端のほうにいる皆さんに一言、みたいな感じで言われると、いや、違うんだよなってなって。

能町:それは知ったこっちゃないですよね。

岩井:うん。いや、僕、めちゃくちゃ頂点のほうにいましたけど(笑)。スクールカースト頂点のほうにいましたけど、みたいな感じに言います、だから。

藤井:決めつけみたいなことなんですね?

岩井:そうですね。そういうふうに思っていらっしゃるかもしれないですけど、僕、すごい陽キャラで、リア充で、サッカー部で、ダンスもやってて、みたいなことを全部言ってから。

能町:そうなんですよね。最近、キャラ付けするじゃないですか。芸人さんでも、テレビに出る人って大体そうですけど、どんなキャラみたいなのがベースにできちゃっていて、勝手に作られて、それをもとに番組構成とかになっちゃうから、たぶん岩井さん、そこには相当な反抗心を持っているんじゃないかなと思って。

岩井:そうですね。イメージ、そういうふうに持たれているけど違うぞ、みたいな。でも、そういうインタビューアーの人何人かいたんですけど、そういう時は、クラスの隅にいる子たちに一言みたいに言われた時に、そういうふうに言われて、スクールカースト底辺みたいな感じに自分のことを思っている方は、僕らみたいな陽キャラでリア充のことをあんま知らないと思いますけど、リア充リア充で、別に『僕の人生には事件が起きない』っていう本で言ってるように、別にリア充もそんなに事件起きてないし、むしろ、キャラクターで言ったら強いのはそっちの陰キャラのほうが強いから、大事にしたほうがいいですよ、みたいなことを絞り出して言ってるんです(笑)。

能町:でも、それいいアドバイスですよね。ちゃんとしたアドバイスですよね。

岩井:それ、ちょっとドギマギしますね。

 

母親の影響

藤井:お母さまと仲よしですよね。

岩井:母親、仲いいっすね。

能町:それがすごく、それも面白いなと思ってて。そんなにそういうことを言う芸人さんもいないじゃないですか。おかんがどうのこうのと言う人はいますけど、岩井さんの場合は、一緒にライブに行くし、買い物に行くし。

岩井:そうですね。

能町:なんなら『久保みねヒャダ』という私がやってるライブにまでお母さん来てるっていう。

岩井:来てくれてますね。

能町:びっくりしましたね。

岩井:一昨日も家に来ましたよ、なんか。家に。

藤井:独り暮らしのお家に?

岩井:なんか取りに来たんだと思いますけど。

藤井:なんか取りに来るってなんですか?

岩井:デスクトップのパソコン取りに。あげるつったら。

能町:車で来るんですか?

岩井:そうですね。埼玉なんで、都内まで車で来て、みたいなところあるんですけど、いろいろ持ってきましたね。皿スパみたいなの作って持ってきたりとか。

藤井:得意料理はペスカトーレだと本に書いてありました。

岩井:ああ! そうですね。母親がなんかいろいろ冷蔵庫に入れてってくれてて。

能町:お母さんからなんか影響受けたりしたんですか?

岩井:母親…でも、どっちもなんだかんだヤンキーだったんですよね。

能町:そうなんですか?!

藤井:(笑)どっちもって?

岩井:父親、母親。

藤井:両親ともに。

岩井:はい。

能町:お父さんもですか?

岩井:うん。その感じはあったかもしれないですね。

能町:その感じがあって、今、そんな感じなんですか?

岩井:なんか自分が正しいと思ったら、いくらでも喧嘩してこい、みたいな感じだったので(笑)。

藤井:マインドが。ヤンキーマインドがある。

能町:ちょっと武闘派な感じ。

岩井:みたいな感じでしたね。

能町:へえ。

岩井:小学生の頃、喧嘩すごいしてて。

能町:お母さんが?

岩井:いや、僕が同級生とすごい喧嘩してて、大体泣かして帰ってきちゃったりしてて。そうしたら、先生が母親のことを呼び出したらしいんですよ。で、「やめてくれませんか」って言ったら、「喧嘩なんだからどっちも悪いのに、なんでうちのせいなんだ」みたいにぶちギレて帰ってきたみたいな(笑)。

能町:おー

能町・藤井:強い!

能町:強いなぁ。

岩井:こともあったっぽいっすね。

能町:へえ。それでいてスピッツが好きなんですよね?

藤井:それでいてって何?

能町:なんかスピッツのイメージと違わないですか?

藤井:ヤンキーマインドとスピッツとの整合性。

能町:ヤンキーマインドとスピッツのライブに行く感じ。

岩井:そうですね。昔からずっと車の中で流してたんですよ、母親が。それずっと聴いてて、あ、いい曲だなと思って、いろんなアルバムとか聴き出すようになったんですけど。

能町:じゃ、お母さんからきてスピッツが好きになったんですか?

岩井:そうですね。母親の影響ですね。なんか後付けですけど、本当にスピッツ好きですけど、この感じでスピッツ好きだと、なんかそれだけで全部救われるような感じしないですか?(笑)

藤井:(笑)

岩井:そういうために好きなわけじゃないけど、客観的に見たら、あ、この人スピッツ好きなんだ、じゃ、いい人かも(笑)。

能町:スピッツ好きは確かに。スピッツ好きであんまり悪いイメージないですもんね。

岩井:ないっすよね。でも、本当に好きですよ。

能町:スピッツ意外だなぁ。

岩井:どんな悪人もスピッツ好きだったら、いい人なのかも。

藤井:それはわかりますよ。

能町:なんとなくはわかりますね。不思議ですね。

岩井:それだけで、地獄行ってもクモの糸出してもらえるような。あ、スピッツ好きなんだっていって出してもらえるような感じありそう。

能町:そう。ほかのバンドが悪いわけじゃないけど、なんかスピッツっていうのは、なんかそういうちょうどその辺にいますね。なんだろう、不思議。

岩井:で、音楽ちゃんと聴いてんだなっていう感じ。

能町:そう。なんかその辺もあるし。

岩井:もあるし。

藤井:声の美しさとか、そういうのが多分いい人感を演出するのかもしれないですね。

能町:浄化されるものがあるんですかね。

岩井:演出するために好きなわけじゃないですけど(笑)。

藤井:それって、そういう感じにしかもう聞こえなくなってくるっていう。

岩井:いや、めちゃめちゃ聴いてますよ。

藤井:では、スピッツの曲をリクエストいただいておりますので、ここでおかけしましょう。ご紹介をお願いいたします。

岩井:はい。ありがとうございます。

スピッツで『YM71D』♪

藤井:今日のすっぴんインタビューのゲスト、岩井勇気さんからのリクエストの曲で、スピッツの『YM71D』をお送りしています。

岩井:ありがとうございます。

藤井:この曲を選曲した理由は何ですか?

岩井:新しいアルバム『見っけ』というアルバムをスピッツが出されて、すごい聴いてる中で、すごいおしゃれで。なんか新しい感じも取り入れてるんですよね。毎回、スピッツって「スピッツってこういう曲だよね」みたいのがなくて、毎回アルバムごとに更新されていくみたいなところがあるんですよね。

能町:ああ、そうですよね。なんか新しいことをしますし。でも、この声がやっぱり変わんないですね。

岩井:ええ。この年でこんな若い、今の現代の音楽取り入れた曲あるんだ!みたいに思うと楽しいですよね。