スター誕生の予選

 

伊集院光とらじおと 2019年8月21日

 

伊集院光:(デビューのきっかけ)そもそも最初は何ですか?

岩崎宏美:最初は、小学校2年生から歌のお稽古を始めていて、歌はちょっと得意だったんですけれども、でも、同い年の森昌子さんが中学1年生でデビューされたのを観た時に「えー子どもでも歌手になれるんだ!」と思ったのがすごく素直な思いで、昌子ちゃんは本当に普通のお嬢さんだったから、じゃあ、私にもチャンスがあるのかなと思って、中学3年生の時に『スター誕生』を受けました。

伊集院:『スター誕生』は、予選からなんですか?

岩崎:予選からです。ハガキを出して。

伊集院:ハガキをまず出して、ハガキ選考があって。

岩崎:ハガキ選考はないです。

伊集院:みんな来るの?

岩崎:子どもは少なかった。まだその当時は。大人の人で歌手になりたい人がたくさんいたので、その中に子どもたちもいましたけれども。

伊集院:それ一緒くたで予選になるわけですか?

岩崎:そうです。そごうデパートだったところ。よみうりホール?

伊集院:はい、はい。

岩崎:あそこで。

伊集院:それをまだ10代前半、中盤の岩崎宏美はどう思うんですか? 楽勝と思うんですか? ヤベェと思うんですか?

岩崎:横森良三さんが、みんなが持ってった、各自が持ってった歌本をピアノのとこに山積みになっていて、ワンフレーズしか歌えないんですよ。その時でも560人ぐらいいて。

伊集院:560(笑)横森さんもすげぇな、560人。

岩崎:それで、その中から午前中でその五百何人を終えて、午後の2時か3時ぐらいに発表があって、それで30人ぐらいに決まって、そこからワンコーラスずつ歌えるんです。そこから7名選ばれて、テレビに行ける。

伊集院:じゃ、本当にちょっとさわりを歌って、はい次、はい次になっていくんだ。

岩崎:はい。

伊集院:その五百何十人はそごうでお買い物して、さようならだ。よみうりホールから。

岩崎:そうです。

伊集院:でもね、五百何十人やると、相当短いフレーズで最初いかれちゃうでしょ?

岩崎:そうです。私は『あなた』という歌を歌ったので、「もしも~私が家を建てたな~ら~小さな家を建てたでしょう♪」「ブー」って鳴らされる。

伊集院:そこで終わり?

岩崎:それで終わり。

伊集院:ちょっと「暖炉」もなし? 暖炉の計画も聴いてないのに?

岩崎:ないない、ないのよ。

伊集院:だって、ある意味見せ所としては最後の「あなた~♪」じゃないですか。前で歌うの恥ずかしいわ! そこで歌い切ってドヤ、じゃないですか。もうそこで?

岩崎:そこで終わりなんですよ。でも、たぶん雰囲気も見てるんでしょうね。私、その時に受かって、テレビに出ることになって、私を面接してくださったスタッフの方が、私、その時おでこを出してたんですよ。それでね(笑)まず一言目が「お前、顔でかいなぁ」って言われたんです。

伊集院:酷いよ(笑)。

岩崎:いや、ほんと酷いんですよ。

伊集院:お年頃の。

岩崎:これね、モリシタっていうスタッフなんですけどね(笑)モリシタさんという人が「顔でかいなぁ」って言ったんですね。私、すごいショックで、中学生でしょ? 私、テレビの予選の時に前髪切っておかっぱにして出たんですよ。それが始まりなんです。

伊集院:へー!

岩崎:だから、あの時モリシタさんに「顔がでかい」って言われなかったら、たぶんおでこ出して出てたと思う(笑)。

伊集院:あの感じにはなってなかったんだ。

岩崎:なってなかったと思います。なにしろ「顔半分隠さなきゃ」っていうことで。私はおでこ広いので(笑)。

伊集院:ハッハッハッハッ でも、プロがある意味、大人も子どももいる中で、プロとしてのアドバイスですよね。

岩崎:はい。

伊集院:可愛いね、可愛いね、歌って思い出作って帰ろうね、じゃなくて、言うわけですよね。

岩崎:うん。そんなこと言ってくれる人は誰もいなかった。

伊集院:誰一人いないんだ。

岩崎:はい。

伊集院:緊張しました?

岩崎:すごい緊張しました。でも、その当時、私、字も汚いし、そこで何かいろいろ書かされるんですけど、後にスタ誕が本を出したんですよ。その時に文字としてそのまま出てるの(笑)。それ、どうなの?と思いましたけど(笑)。

伊集院:本人がおかしいのは、俺たちが想像すると違うところにショックを受けてくんですね。あれ? 人が見るものなの? 世の中に出るものならもっと一生懸命書いたのにっていう。

岩崎:ほんとそうですよ。

伊集院:自分は歌のことで頭いっぱいで「書いて」と言われたやつが出版されたほうをびっくりしたんだ(笑)。

岩崎:驚きました。