『モニタリング』の裏話②

 

佐藤満春in休憩室 2019年5月11日

 

オードリーの春日さんが、もうだいぶ前になりますけどもね、プロポーズをして、ご結婚ということで、たまたまなんですけども、僕が2人を結果的に引き合わせたという形になりまして、『モニタリング』という番組で、わざわざ特番を打ってくださって、2時間ですよ。もろもろVTRを作ってプロポーズするという番組が放送されまして、だいぶ反響をいただいて、私自身も本当に一から、最初の会議からプロポーズ当日まで、全てにかかわらせていただきました。いろんな方にお世話になりました。本当に、ご覧いただいた皆様もありがとうございます。

本当に感動巨編で、最後の手紙なんかもすごいよかったなと思うんですけど、まあ、よかったなあということで、いま、4月23日の収録になってますんで、大きなことは言えませんけれども、まあまあよかった…よかったちゃあよかったのか、という感じでもありますかね。

で、先週の放送でちょっとなれそめ的なことは若干話したんで、実際にこの『モニタリング』の放送があの感動巨編に向かうまで、どのようなことがあったかというのは、話せる範囲で、せっかくなんでしていこうかなと思います。

私が最初に打ち合わせをしたのが10月だか11月だか。事務所の担当者と春日さんからは、こういうことをやろうと思ってて、ぜひとも中に入ってほしいということで、「わかりました」ということをお願いされておりました。

僕がこれは関わるしかないなと思いましたし、2人の共通の友人というのが僕だけしかいないですし、春日さんは自分のおつき合いしている人のことなどは、ラジオで話せる範囲のことはしゃべってましたけど、大きく内情は誰にもしゃべってなかった。僕にしかしゃべってなかったので、本当に、結婚、プロポーズということになると、結構芯を食った話をしなきゃいけなくなるんで、僕が入るしかない。

番組として特番を打つということを『モニタリング』さんが手を上げてくださったのかな。なって、じゃあ、作家をやりますよと。もちろん。それは本業でやっていますから、放送作家として入りましょうか、中身。VTRの構成も考えます。ナレーションも書きます。何でもやりますよというスタンスで入って。

で、ふたを開けてみたら、本当に1秒ごとに、振り返るとおそろしいんですけど、春日さんは、事務所の人間にも、それまで、当然当たり前ですけど、彼女のことをしゃべってないわけじゃないですか。だから、当然『モニタリング』の担当者のところにも詳しい話が一つも入っていなかったわけですよ。

で、佐藤さん、何か、作家もやってるんだっから、よかったら中入ってくださいよ、みたいなノリで、何となく打ち合わせに行って、さて、どうしましょうかという時に、一から全部僕がしゃべんなきゃいけなかったんですよ(笑)。

いま、こういうことでこうなってて、こういう人がいて、あ、そういうことなんですかというのが、その会議でようやくわかるっていう。しかも、かなりシークレット案件で進めるから、プロデューサーとディレクターと僕か、最初は。3人で会議が始まり、その時点で、だから、チーフマネージャーと春日と5人だけだね。しか知らないという状況で話が始まって。

で、途中まで、本当に情報が漏れなかったと思うんですよ。当日まで告知なしで放送日4月18日だったと思いますけど、当日の当日まで情報漏れなかったと思うんですけど、本当に超ごく数少ない人数しか知らせずに始まったんで、僕の担当マネージャー、大森というのがいるんですけど、大森君は知らなかったんです。4月18日に春日のプロポーズがあることを。

どうしたか。僕も、放送を見ていただいたらわかると思うんですけど、仕掛け人、作家といえども、仕掛け人としてだいぶ出てたんですよ。それは、彼女を呼び出して、本当はどう考えているかという話を聞く相手と、あとは、うちの家で撮ったんだけど。

とか、あとは、彼女を呼び出して、指輪の号数を聞くとかも、やる人がいないから、作家といえども、俺がやるのかあって全部なるわけ(笑)。

で、スケジュールも、この3~4カ月、めちゃくちゃ正直とってやって、会議も含めたら。収録日、会議、あと、再現Vまで俺、自分の役を自分でやってるから、稼働としては俺が一番多かったんじゃないのかなというののスケジュールを全部大森君にとらなきゃいけないでしょ。許可とって。

で、「すいません、ちょっと春日の件で」というふうにずっとスケジュールをもらってたのよ。「な、なんすか?」って。でも、オードリーと俺の関係を知ってるから、なんかあるんだと思って、ずっと不審がられながら、「ちょっと春日の件でこの日も1日ください」つって。

で、俺もさ、これ、意外と言われるんだけど、たぶんすごい暇だと思われてんだよね。それは大森君にじゃなくてね。世の中的に。

世の中の人ってさ、テレビに出てる人が忙しいと思うじゃん。これ、まだ全然言えないんだけど、子ども向けの動画コンテンツ、結構でかめな案件の締め切りを、俺、この4カ月ちょうど抱えてて、みんなはテレビに出てないから暇なんでしょと思うみたいなんだけど、全然、全然時間ないんですよ。口内炎を8個ぐらい作りながら、その内情をマネージャーにも言えない(笑)。脚本の仕事もある、みたいな。そのぐらい、シークレットに進んでて、だから、最初、4~5人の会議から始まって、全部を僕が説明して、本当に3~4回に1回、春日が打ち合わせに来て、どうする、どうするなんつって。

 

もともとこの企画が破綻してるのは、春日っていう男は、超秘密主義な男なわけですよ。超秘密主義な男が自分の気持ちを口にできない。自分が変わるのが怖いと思っていると。それはまあわかる。当然、今の状況から、何か、結婚をしたりするとか、節目を作っちゃうことでいろんなことが変わるとか、あと、大変なこともあるだろうし。あれだけ人気者だと。

なるべくシームレスに、はい、結婚してません、はい、いま結婚しましたって、何にもざわつかないでいくんだったら、絶対それがよかったはずなんですよ。だけど、立場上そうもいかないから、だったらど派手にドンとやるしかないぐらい何か大きなことがないと自分は結婚に向かえないということを本人的に自己分析をして、おそらく事務所に相談をして、事務所が手を上げてくれる番組を探してたどり着いたんだと思うのね。

だから、本人としては恥ずかしくてしょうがないわけじゃん。こんなのをテレビでやらなきゃいけないって。本音の本音の奥の奥はね。春日俊彰さん、40歳としては。だけど、オードリー春日としては、あのスターの春日のプロポーズを『モニタリング』君にやらせてあげようというスタンスになるわけじゃないですか。大きい仕事として。この2個が1人の人間に共存したまま打ち合わせをするから、進むわけないよね(笑)。

本音の本音で、こんなの恥ずかしいって思ってるけど、でも、結婚するのは本音側のほうの人間だから、混乱するかもしれないけど、オードリー春日としてある程度ショーにした上で、包んで春日俊彰の結婚をお届けしないことには、女性側にも10年待たせて申しわけないし、事務所側にも申しわけないし、やんなきゃいけないということが本人的にもだいぶ葛藤がおそらくあったと思うんですよ。

だから、打ち合わせに行っても、話が要領を得ない話も多かったしね。これ、いま、どっちでどう言ってるんだろうな、みたいな。だから、話を聞けば聞くほどわかんなくなるし、ある程度こっちで線引きもしてあげないといけないわけよ。それは別に全然いいんですけど。その気持ちもわかるし。

 

だから、ある程度ラインを決めて、これはこうしようというのをやってさ。でも、基本的にはハッピーな話だから、春日もそうだし、お相手の女性もそうだし、観ている人もそうだし、観てて楽しい気持ちになって、驚いてもらえれば、全員がハッピーでいいじゃない、ということでやっているから、進めていったんだけど。

そういう意味では、一個ずつ、これは春日さんどう思うかなとか、こうなっちゃうとちょっとあれかなとか、女子はこれどうなのかなとか、なるわけじゃないですか。だから、配慮しなきゃいけないポイントが多い。かつ、すごいシークレットな案件だから、おおっぴらにもできないっていうことを抱えて、毎日のように『モニタリング』のディレクターさんとやりとりをして、これは春日にこういう言い方をしておきますねとか、逆に、これはちょっと番組さんでこれは何とかできないですか、みたいなことのバランスをとる仕事も。なんか俺は多いね、生きててそういう仕事が。調整するとか、バランスをとるとか。補助する、みたいな案件が多いね。

で、やり始めて、放送を観ていただいた方はわかるかもしれないですけど、結果的にめちゃくちゃすごい感動巨編のすばらしいVTRもでき上がって、放送も超よかった。さすが『モニタリング』のチームの技術、撮影の力と編集の力、ご本人の手紙のあれとかもよかったですけど、スタッフさんがとにかくすごかったなという思いがありまして。

でも、あそこの放送に至るまでに、結構な撮影というか、素材を当然撮っているわけですよね。どうなのかなあ。もう5番組ぐらいあの素材で作れと言われたら作れるぐらいの素材は撮っている。量として。だから、個人的に、あそこはカットだったかとか、あそこは尺で難しいよなという思いのあるところは全然いっぱいあるし、それは放送の尺の都合上と、あと、同じようなくだりだったから要らないだろうとか、いっぱいあって、山ほど。

あまり後からそんなことを言うのも野暮ですから、わざわざ、あそこはカットになったとか言わないですけど、唯一、5月11日の時点で、あそこがカットになったぞと思ってる、カットになったぞというか、ちょっと裏話的なところだけ、これは独占、『佐藤満春in休憩室』独占。やっぱ、これ、おもしれぇからほかで言ってるかもんしんねぇなあ(笑)。

再現VTRがあったんですよ。なれそめのところとか。再現VTRで、春日は春日役の人がいて、お相手の女性は女性役の方がいて、いわゆる再現VTRによく出ているようなお2人が出てくれて、俺の役は、絶対俺がやったほうが面白いから「やります」という話はもともとしてて、俺がやったんです。もともと誰かわかんないんだから、俺がやったほうがいいんですよ。で、やったの。

で、現場で春日役の人が、ビッチリ七三にして、ピンクのベスト着て待ってて、「おはようございます」って現場入って、「あなたがミツさんですか」「あ、そうです」つって。「春日役のナントカです」つって。名前忘れちゃったけど。「お願いします」なんつって。して、すごいのリサーチが。春日さんは普段しゃべる時どうやって言うんですかとか、本当に事細かく、超リアリティを追求したいから教えてくれと。面倒くさいと思わずにとにかく教えてくださいつって。こんな熱意もってやってくださるんであれば、「じゃあ、わかりました」と。こうこうこう言います。こういう言い方ですかね、とかつって。

いろんなスタッフさんとかの思いもあって、本当にこれは別に要らないんだけど、春日って結構オリジナルの言語を使う、通称「春日語」なんて言われますけど、クラスの気持ち悪い男同士が自分たちにしかわかんない言葉でしゃべるやつがあるじゃないですか。あれをやるの、春日って。誰とやるかったら俺なんだけど。

で、その春日語もチラッと再現Vに入れると、より、気持ち悪さも出るし、リアリティに近いんじゃないですか、みたいなことがあって、俺がトイレに行ってくるというくだりがあって、俺が「すいま千円」て言うんですよ。春日語の掛け合いで「すいま千円」て俺が言ったら、春日が「五千円」という掛け合いがあるんです。どっちかが「すいま千円」と言ったら「五千円」と言うという。

で、台本に「すいま千円」と書いてあって、春日役の人の再現Vの人に「サトミツさんが「すいま千円」と言うのは何ですか」つって。「これは春日語というか、春日がプライベートでよく言うあれで、僕が「すいま千円」と言ったら、春日が「五千円」と言うんですよ」つって。「それをぜひ言わせてくれ」とかつって。でも、そのくだりあっても視聴者はわかんないと思うからあれですけど、じゃあ、言います? どんな感じですかつって、すごい練習して、僕が「すいま千円」と言ったら「五千円」と言ってくださいつって、「わかりました」つって。

「すいま千円」「五千円」、ああ、いいですね。「すいま千円」「五千円」。あ、いいですね。そんなためないっすねぇとか言って、さんざん練習も付き合わされて。

じゃ、カメラ回しまーすつって、「ちょっと僕トイレ行ってきます。すいま千円」。シーン。全然言わないの、本番で(笑)。手見たらブルブル震えててさ、緊張してんだかなんだか知らないけど(笑)。

で、カットになったというか、放送に乗るとか乗らないとかの問題じゃなく、練習だけしてなしになった、そういうくだりがあったという(笑)。全然芯食わないこぼれ話でした。

来週、あるっちゃあるな。

ということでございました。興味ある人がいるかどうか知らないですけどね。