人の役に立ちたい

 

オードリーのオールナイトニッポン 2019年5月18日

 

若林:雑誌のインタビューがあるじゃないですか。お仕事でたまに。

春日:うん。

若林:(昔は)聞かれることがめちゃくちゃうれしくて、春日を遮ってもしゃべりたかったんですよ。

春日:(笑)

若林:ハハハハ ライブとか漫才のこととか聞かれると、「あの漫才は」とか言われると。

春日:うん。

若林:1~2年前ぐらいから始まったのかな。本当にもう億劫でしょうがないんだよね、インタビューでしゃべるのが。それは天狗じゃないですか。でも、お仕事だから一生懸命やろうと思うんですよ。だから、ほんと仕事っていいなと思う。それで、思い出せないんだよね。どういう気持ちでしたか?とか。向こうもかわいそうだよ。そんなオードリー好きじゃないのに、会社でたらい回しにされて「おまえ、DVD観てインタビュー行け」って言われてんだから。

春日:いやいや、そうとは限らないだろう(笑)。

若林:ほんとかわいそうだよ。向こうも。

春日:そういう人もいるかもね。

若林:仕事だから、そこは一生懸命やるじゃない。

春日:まあ、そうだね。

若林:お互いね。ありがたいよ。

春日:聞きたくて聞いてるわけじゃない人も。

若林:聞きたくて聞いてるわけじゃないよ、そんな、問題起こした奴とね。ハッハッハッハッ

春日:そんなふうには思ってないだろう、別に。思ってないと思うよ。

若林:怖いよ、同じ空間にいるのが、きっと。

春日:いや、そこまでは思ってないと思うよ(笑)。

若林:思い出すことがすごく大変なのね。

春日:昔のこととか?

若林:やってみてどうでしたか?とか、漫才がこうでしたか?とかが。

春日:はいはいはいはい。

若林:だから、ちょっとそれを不思議…何でなんだろうなと思ったの。昔は春日を遮ってでもしゃべりたかったのに。ハハハハ

春日:なんだ、それ。ハハハ

若林:春日しゃべってくんねぇーかな、みたいな。

春日:今は。

若林:今は。

春日:ハハハ

若林:なんかおかしいな、ぐらい。でも、昔と違うのは、気持ちよく帰ってもらいたいから、なるべく間があかないようにしてんだけど。

春日:はいはいはいはい。

若林:で、この間、なるほどなぁと思ったことがあって、『セブンルール』という番組やってて、ドキュメンタリーなんだけど、大きくざっくり分けると2タイプの人がいて、“私のセンスどや”っていう人と、“私の実力どや”っていう人と、学校の先生で生徒のためにガーッといろいろやったりとか、まだ開発されていない医療技術、これがあったら助かる人めっちゃ多いからとかの人と、“私のこのセンスどや”。若い人はいいのよ、上がっていかなきゃいけないからさ。かき分けてさ。だから、ある程度年長者の人で“私のセンスどや”、“私、最先端でしょ、“私こんなスタンスでやってます。どや”感が匂うと、ちょっと観てらんないんですよ。

春日:ハハハ

若林:利他的な役に立とうという人はすごく感動する傾向にあるなぁ、なんて思って。若い人はいいんだよ、本当に、自分のこれどや。これでいくしかないし。

春日:自分で出てかなっきゃないからね。

若林:そうそうそう。

(中略)

若林:そんな話をサトミツとしててさ、近いことかなぁ、みたいなことを言ってたのが、サトミツは、奥さんと子どもがいるから、すごく忙しくて寝れなくても頑張れる理由があるんだよって言うの。

春日:なるほどね。

若林:自分がセンスがあるとか、能力高いというのがないから、それを見せたいという気持ち。だから家族がいてよかったんだよね、俺は。家族いなくて、今、1人で、昔アパート行ったり来たりしてたところに(春日:風呂なしのね)住んでたと思ったら、俺は本当怖いよって言うのよ。

春日:クッハハハ まぁ、そうだろうね。

若林:よく独身者の前でそれを言えるなと思うんだけど、2人でお茶してるからさ。ハハハハ それはいいんだよ。それは全然いいんだけど。

春日:そうね。

若林:自分のツッコミのたとえツッコミ、これどう!という感じよりも、自分がMC台にいたとして、パネラーの人がいて、このパネラーの人が面白いことを言った。自分のツッコミのワードで落ちるんだけど、押し込め、そのコメントの後に敵対しそうな人に「今の聞きました?どう思いました?」って振る。ちょいかみつく、ウケる、で、そのくだりが終わる、みたいなのが、なんか好きになってんだよね。

春日:なるほどね。うんうんうんうん。

若林:半々で、自分で落としたほうがいいとこもあるからさ、時と場合によって、人にやってもらって盛り上がると、なんか楽しいなぁ、みたいな感じぐらいなんだけど。そういう、不思議に思ってたけど、別に深く考えてなくて、でも、頑張るエネルギーは欲しいじゃない。

春日:うん。

若林:だけど、2人の、俺と春日が熱かった時代があるじゃない。10年前とかさ。息巻いてたじゃない。春日なんか口癖で「俺たちの世代が」っていうのを言ってたし。

春日:ダセェな!

若林:それが『ミレニアムズ』にもつながったしさ。

春日:失敗してんじゃねぇーか!

若林:俺は失敗とは思わないけど。

春日:いやいやいやいや(笑)

若林:そういうエネルギー?

春日:モチベーションみたいなことね。

若林:が必要だと思って、1人だし、買い物とかかなぁと思うのよ。自分に何か買うとか。

春日:なるほどね。ご褒美にこれとか、これを買うために頑張ろうとか思えるものがあるかもしれないと。

若林:そうそうそう。で、中野のブロードウェイ行ってさ、高いじゃない、ああいうのって。自分の好きな。

春日:フィギュアとか、昔のものとかね、プレミアついたりとかして。

若林:懐かしいなぁ、みたいに、ガラスケースの中見てたら、泣けてきてさ。

春日:泣けてくる?

若林:悲しくなって。眺めてたら。

春日:何がよ?

若林:全然欲しくないんだよね。

春日:ハハハハ

若林:休みの日、1人で行ったし、なんか泣けてきて。

春日:これにも心動かされないのかと。

若林:「これを買うために頑張ろう」っていうのは無理だなと思って。それで、財布なくしたこともあって、デパートでブランドもの見ても、これ、いい年して着て、みんなにおしゃれって言われようとする奴の気が知れねぇーなと思ったの。

春日:キャハハハ

若林:それで頑張れる奴の気が知れねぇーなと思って。

春日:そういうタイプじゃないと。

若林:そうそう。で、もう泣けてきて。

春日:じゃ、何があるんだと。

若林:何のために。

春日:ハハハハ 自分には。

若林:自分のこれ、腕、“どや”がない今、何を燃料に走ればいいんだつって。サトミツは、サンマルクで強烈なマウンティングしてくるし。俺は奥さんと子どもがいるからつって。

春日:なるほどね。「お前にはないけどな」ってことね?

若林:うん? それ、でも、お前が言っちゃダメじゃない?

春日:いやいやいや(笑)サトミツの。

若林:独身の奴が言うならいいんだよ。お前が言っちゃダメだろう。

春日:違う違う違う、サトミツの声を代弁したのよ。「若林君にはないけども、自分にはあるんだよ」ということを言ってきたということでしょ?

若林:というように感じて。

春日:言ってはいないだろうけど。

若林:それで、だから、一番怖いのは、宿題を喫茶店とかで仕事の後やって、家帰って、風呂入って、風呂から出て寝るまでの間。この時間怖い。もう怖いね。

春日:怖い?

若林:うん。

春日:何が怖いの?

若林:何考えるかわかんない。自分が。ろくなこと考え始めないから、ゲーム。これは絶対眠くなるまでゲームなの。

春日:なるほどね。変な方向に飛んでいっちゃうかもしれないと。考えが。

若林:そうそう。RPGなんかやってると、自分のことよりも、人に何かしたいっていう気持ちが強くなってるから、武器とか防具とか、パーティの自分じゃない奴にすごい強いのを買い与えるわけ。それが嬉しいのよ。買ってあげた感があって。戦うと勇者が先に死ぬみたいなことが、一番大したやつ使っていないからさ、その分レベルは高いんだけど。そんなことをうっすらベース考えて生きているみたいなのね。じゃあ、猫飼おうかな、みたいな。

春日:猫飼おう。ああ。

若林:そういうために猫飼っちゃいけないっていうのも、動物番組をやっている身として知ってるし。

春日:(笑)まあまあまあ、でも、猫のためにっていうのも悪くはないと思うけどね。

若林:別にお前がどう思おうと別々の人生だから関係ないんだけど。

春日:じゃあ、もう何も言えないだろ!そうしたら。私だって押しつけてるわけじゃない、そうしろって言ってるわけじゃないんだ!猫飼えと言ってたらそう言うのはわかるよ!

若林:それは勝手にさせてもらうけども。

春日:なんだその言い方!

若林:別々の人生。

春日:それはそうだろうよ!

若林:別々の人間だから。

春日:それはそうだよ!

若林:そうなのよ。

春日:だから別に押しつけてはいないだろうよ!

若林:そうなんだけど、なんかほっといてほしいっていう部分あるし。

春日:フハハハハ

若林:まあ、黙ってろって言うのかな、やっぱり。ハハハ

春日:黙ってろはおかしい。ラジオやってて。黙って聞いとけはおかしいだろ!

若林:部外者だから。ハハハ

春日:部外者っていうか、まあ、そうだね。本人じゃないからね。

若林:本音はよ、本音は「中継出ててほしいな」って思うんですよ(笑)。

春日:どういうことなんだよ! どこ行くんだよ!

若林:ハハハハ

春日:何にもない有楽町の駅前行ってもしょうがないだろうよ。誰もいない。

若林:それで、そんなことを考えてて、これだって思うゲームを今やってて。

春日:ほう! いいのがあった。

若林:それは好きなゲームのクリエイターの人を辿ってったら、そのゲームにぶち当たったんだけど。『ICO』というゲームがあって。

春日:イコ。

若林:うん。どういうゲームか知ってる?

春日:いやぁ、ちょっと聞いたことないな。

若林:昔の中世みたいなイメージの城ね。誰もいないのよ。誰もいないからいいんだけど、言葉も通じない女性がいるのよ。

春日:はあ。

若林:俺は主人公で、女性の手を握るの。ボタン押したら手握るの。手握って、城をとにかく脱出していくゲームなのよ。

春日:へえ。

若林:それはホントにその女性のためなのね。

春日:その人を逃がす、みたいな。

若林:そうそう。で、高い塀から飛び下りると、ボタン押すと、その女の子の名前を呼ぶんだけど、降りてこいと。

春日:なるほど。

若林:呼ぶと、首振ったりするの。無言でこうやって。塀の上で。

春日:ちょっと怖くて降りられない、みたいな?

若林:うん。俺はゲームやりながら、「あー、飛び下りれねぇーか、しょうがねぇーなぁ」って言いながら、樽とかを運んで、ちょっと段差をなくする。

春日:下りやすいようね。

若林:そしてまた名前を呼ぶと、ようやく飛び下りてきたりする。また手を握って、ずうっと「しょうがねぇーな」って言いながら。

春日:フッ おお。まあ、そういうゲームなんだね(笑)。

若林:そうそうそう。それで、泳いだりするところとかも沈まないように何か持ってきたりしたりして、自分が最初にすごい高い谷をジャンプして、橋を架けてきたりして「しょうがねぇーなぁ」とか言いながら。

春日:うん(笑)。

若林:今、だから、その女性のために生きてるようなもんで、クリアしたくないんだよねっていう話なんだよね。

春日:ハハハハハ クリアしちゃったらもう何もなくなって、どうしていいかわかんなくなっちゃう?(笑)

若林:そう(笑)。だから、すっごいゆっくり進めてんの、そのゲーム。

春日:ハハハハハ

若林:なんかね、人の役に立ちたい(笑)。

春日:なるほどね(笑)。クリアするまでに何かほかに見つかるといいけどね。

若林:そういう気持ちの延長線上で言ってんのよ、人の役に立ちたいっていうのの延長線上で言ってんの。だから、自分のためにフィギュアを買ったり、ブランドものの何かを買うよりも、俺は今、春日とクミさんの結婚指輪を買いたい。

春日:キャハハハハ いやいや、それもおかしな話よ。

若林:何でかというと、2人のおかげで俺の人生は楽しいからさ。

春日:嘘をつくなよ! 最後、嘘じゃねぇーかよ!