武道館に行ったお話

 

ヨブンのこと 2019年3月17日

 

朝井リョウ:オードリーのオールナイトニッポンの武道館に行ったというお話をさせていただきたく。

(中略)

冨山さんとオードリーの武道館のお話をしたいと思いまして。

まず、めっちゃ楽しかったんですよ。アホみたいな感想ですけど、めちゃくちゃ楽しくて。

(中略)

武道館て、アーティストもたぶんそうだと思うんですけど、ちょっと観客も緊張するというか。

高橋みなみ:そうだね。ちょっと特殊な空間だよね。

朝井:ついに上り詰めましたよ、みたいな感じがあるので。特にオードリーも、5年前5012人入るキャパシティのフォーラムAでやられて、今回、地方を回っての武道館だったので、より上り詰めた感がありまして、ちょっと勝手に緊張するじゃないですか。DJ(松永)と同じことを言うんですが、若林さんが第一声で、マネージャーの岡田さんのお話を通常放送でもよくするんですけど、満員の武道館。360度武道館だったから。

冨山雄一:1万2000人。

朝井:一番入るやつですよね。

(中略)

高橋:あれ、一番お客さんが入る形ですからね。

朝井:しかも大変なんでしょ?裏の人が。東西南北がわかりづらくて。

高橋:むちゃくちゃ難しいですよ。どっち向いているのかもわからないしね。

朝井:そこでオードリーさんも出てきて、勝手に緊張していたら、岡田さんの失敗談みたいな話を通常放送でするんですけど、それと同じようにやってくれて、ハッと肩の力が抜けて、しかも、その話でそこにいる1万2000人の人も同じタイミングで笑ったりとか。

高橋:わあ、いい。いい空間。

朝井:すごく文脈のある言葉があっという間に共有されていて、よかったですよね、冨山さん。

冨山:本当よかったですね。ちょっとグッときましたね、あれは。一言目、グッときましたよね。

(中略)

朝井:いつもの2時間が始まる、みたいな。オープニングトークあって、フリートークあって、いつもどおり楽しませてもらえるんだ、みたいな感じがすごいよくて、構成が普段の番組にのっとってたんですよ。オープニングトークやって、若林さんフリートークやって、春日さんフリートーク

高橋:へえ。

朝井:春日さんフリートークやって、コーナーやってみたいなのがあったんですけど、フリートークがそれぞれめっちゃ珠玉のね、冨山さん。

冨山:もうこのために用意した。

(中略)

朝井:本当に普段の放送でやったら神回と呼ばれるようなフリートークをどっちも。

冨山:AKBとかって、オープニング喋って、5分ぐらいで曲いって、CMいって、メール読んで、とかじゃないですか。オードリーって45分から46分ぐらいオープニング喋って、あと1時台CMなんです。

朝井:曲も流さないんですよ。

冨山:2時台は若林さんの1週間のフリートーク20分、春日さんの20分、コーナー、エンディングなんですよ。すごいストロングスタイル。

朝井:生放送だけど、メールも読まないし、曲も流さない。本当に喋るだけなんですよ。

高橋:めちゃめちゃ密度濃いね。

朝井:そうです。それを10年間やってんのよね。今回のフリートークは、しかもすごい対照的だったのが面白くて。家族って人数が増えたり減ったりしながら変わっていくじゃないですか。若林さんはその減るタイミングのお話をして、春日さんがご家族が増えそうなというか、今後増えるんだろうな、みたいな話をして、死生観がすごいこう(笑)。2人もたぶん、はからずも、たまたま2人のらしさがすごい出た話で、めっちゃ面白かったんですよ。しかも、2人ともすっごいプライベートな話だったわけ。それをさ、人のすごいプライベートな話で、ライブビューイングもあったからさ。

冨山:1万人。41館、全国。

朝井:すごくない?計2万2000人が、人のすごいプライベートな話を聴いて笑ってるってすごい状況じゃない?

高橋:すごい。あんまり想像できないわ。

朝井:すごい感動的でさ、2人のトークが終わって、ゲスト枠があったんですけど、ゲスト枠が梅沢富美男さんと松本明子さんが出られてて。

高橋:キャラ濃い(笑)。

朝井:それも文脈があるんですよ。番組を聴いていれば、この2人が出てくるの、盛り上がる文脈が用意されてて、2人ともすっごいプロでしたよね?冨山さん。

冨山:あと、バー秀さんとビトたけしさんというお仲間も出てからの松本明子さんが出て、すごかったですよね。

朝井:松本明子さんびっくりしたんですけど、ずっと歌の仕事をしている人の声の出方。1曲歌ってくれたんですよ。『♂×♀×Kiss』という曲を。たまに、昔歌手やってましたという人が歌番組に出ると、やっぱ声。ね?

高橋:年齢も重なってきますし。

朝井:ちょっとあるじゃないですか。松本さん普通にやってた人みたいでしたよね?

冨山:すごかったですね。

高橋:素敵~。さすが。

朝井:すごかったのよ。梅沢さんは、1人で一番初め出てきて。

高橋:1人で?

朝井:サプライズだったんだけど、あの人、何十年も舞台でやっている人だから、掌握するんだよね。動かないのに。場を。

高橋:マイケル・ジャクソンじゃん。

朝井:でも、ほんとそうだったの。ほんとにそうだったの。途中から若林さんが入ってきてラップでチャチャ入れるみたいなのはあったんだけど、初め、本当に1人で旗立てたみたいな。その土地に。領土にしましたよね、あの人。

高橋:(笑)

朝井:ほんとにそうだったのよ。すごいなと思って。

バー秀さんたちも、5周年の時にも出てて、それは、若林さんたちがショーパブで漫才をしていた。ショーパブってお客さんが入っても100人満たないぐらいじゃないですか。それまで、お家で『小声トーク』というイベントをやって、8人とかのお客さんから。

高橋:わあ。

冨山:7人です。

朝井:7人か。ごめんなさい。さすが、プロデューサーさんです。

高橋:訂正が入りました。ありがとうございます。

朝井:7人のお客さんからショーパブになって、ラジオを続けていったら5012になって、今2万2000人というのに、ショーパブの人を呼んでるっていうところが。

高橋:うわ、いい!

朝井:粋じゃないですか。

高橋:粋!熱いね。

朝井:すごい粋なのよ。でもさ、私が難しかったのが、気抜いたら感動しちゃいそうになるというか。

高橋:いいじゃない、感動して。

朝井:でもさ、笑ってほしいわけじゃん。芸人さんたちは。当たり前だけど。

高橋:そうか。

朝井:感動させたいわけじゃないじゃん。

高橋:受け取り手たちも、なんかすごい。

朝井:そうなのよ。でもさ、やっぱ気抜くと感動しちゃいそうになるの。7人の家で、しかも、あれは春日さんのアパート?ですよね、たしか。

冨山:むつみ荘で、10人定員で『小声トークライブ』というのをやっていたんですけど、7人しか。

朝井:定員割れで。

高橋:割れたんかい、定員(笑)。

朝井:たぶんその7人さ、オードリー好きだから、たぶんいるじゃん、武道館に。

高橋:いるよ。うわあ!

冨山:AKBの最初の公演と一緒ですよね。

高橋:ありがとうございます。

(CM)

朝井:感動しちゃいけないというせめぎ合う気持ちが何となくあったけど、10年もやっているからさ、こっちは10年前から聴き…こちとら!思い出がやっぱあるじゃない。震災の後とかも漫才やってくれたんですよ。とかね、自分がいろんな辛いことがあった時とかに、私は傑作選みたいなのを録音してとっておいて聴き直したりとかしてたので、そういうことも蘇ってくるわけじゃない。

高橋:うわあ、ちょっとグッときちゃうよ、これは。

朝井:またすごかったのが、私、チケット当てたんですけど、4回目の抽選で。でも、3回本当にちゃんと落ちて、チケットぴあのチケット優先権みたいなのがあるんですよ。

高橋:自力で行ったのね?

朝井:でもね、結局、関係者席用意してもらったから、私、初めてチケットぴあのリセール機能を。

冨山:バックスタンド席ですよね。

朝井:バックスタンド席しか当たらなかったんですよ。関係者席で結局入ったんですけど、関係者席も笑ってんのよ。

高橋:いいね!なかなかないよ!

朝井:なかなかないじゃん。

高橋:関係者なんて大体死んでんだから!

朝井:誰もライト振んないじゃん、関係者席ってライブだと。

高橋:結局さ、ステージに立つ人から一番見えるのって関係者席だったりするわけ。

朝井:だから、申しわけないんだよね。そっちに向かって歌ってるのに、そこだけ暗い、みたいな。ライトがないから、みたいな。

高橋:そうなの。

朝井:なってるんだけど、関係者席もすごい笑っててさ。

高橋:いい!

朝井:また、ラジオフルでやって、コーナーとかでいろいろびっくりサプライズがたくさんあって、一番最後に漫才をすんの。

高橋:ああ、いい!

朝井:最後に漫才をやったんですよ。24分間。

高橋:24分間?

朝井:そうなんです。それがまたゲラゲラね。感動したらどうしようと思ってたんだけど、最後の漫才で、そんなこと気にせず笑わせてもらえるというね。感動とかじゃなくても、シンプルに笑わせてもらえるというので、ちょっと私はいろいろ感慨深かったんですよ。