ドラマチックに考えちゃいけないよね

 

爆笑問題カーボーイ 2017年11月14日

 

太田「今、一番面白いのは、井口の、ウエストランド、『ぶちラジ』。今回のあれはぜひ俺は聴いてほしいんだ。M-1落ちたんですよ、あいつら」

田中「ねえ。準々決勝ね」

太田「準々決勝で落ちたの。去年も、あの直後の『ぶちラジ』、人間が追い詰められるとこうなるんだという放送が聴けたんですよ」

田中「はいはい、言ってましたよね」

太田「号泣議員だったんです、ほとんど。「一生懸命やったのにー!」そういう放送だったんです。今年はどうなのかなと思ったら、相変わらず、どうなってんのか、今年はもっとショックがでかいみたいで。井口はね。とにかく、会場ですごいウケたっていうんです」

田中「らしいね」

太田「ウケて、周りの芸人なんかもみんな言ってるんだって」

田中「アルピーだなんだ、みんなね」

太田「「あれはウエストランドが落ちるのはおかしい」。井口もすっかり受かったつもりだったら、当日、合格者の発表の中に書いてなかった。したらもう、さすがにショックが大き過ぎちゃって、今回の放送は完全に混乱した人になってるんです」(笑)

田中「はぁはぁ」

太田「クルクルクルクル回っちゃってる感じなんです。びっくりしたの。クルクルクルクル回っちゃってる感じなんです。井口が、今回ね、ウケたんですよつって。ウケたんですけど、みんなでウケた、ウケたって。すっかり僕も威風堂々として帰ってきて握手とかしちゃって、そして、当日になって発表になった時に、誰からも連絡ないな。あ、これは待てよ、前もそうだったから、自分で確かめようと思ったら、ないってなった時に。はぁはぁはぁはぁってなっちゃって、ちょっと、ちょっと、ちょっとみたいになって、そこから、でも、その後にいろいろツイッターとか見てたら、みんなあそこにいた人たちが「あれはおかしい」。要は、何を言っているかというと、すげぇウケたのに落ちたのはおかしいっていうことを言いたい」

田中「まぁまぁまぁね」

 

(太田さんによる『ぶちラジ』の井口さんの再現が延々と続く)

 

田中「でも、ほんといろんな気持ちになってるんだろうね」

太田「あれ聴いてほしい。その後、「では始めます」ってもう20分ぐらい過ぎてて、30分番組だよ。始まったらさ、ソルジャーって、あいつらのリスナーからの手紙もさ、「悔しいです!」みたいな手紙がくるわけ。「僕らに再生は任せてといてください」「ほんとにありがたいです ね。さあ、次は……」」

田中「はははは(笑)」

太田「お前らさ、少しは笑いにしろ!お前M-1の2回戦ぐらいの話だよ」

田中「ハーァはははは(笑)」

太田「何をシリアスに。ナーバスになり過ぎ」

田中「いや、凄いわ」

太田「酷いわ」

田中「凄いな。でも、まぁま、わかんなくはないけどね。凄ぇ自信あったんだろうね」

太田「俺、ちょっとよくないと思う。こういう傾向。お笑いで、今、NHKでも『笑あがき』という番組が始まって、パンクブーブーと品川が弟子とって、若手にやってく。そこをドキュメンタリーで追ってくわけ。一生懸命苦労して、貧乏生活の中から、壁に向かってネタ練習してみたいなさ、そういうの延々追ってく」

田中「はいはい」

太田「確かに、そういう傾向ってだんだん」

田中「ありますね」

太田「最近、感動路線みたいな?」

田中「はいはいはい」

太田「それって、『火花』のあれもそうだったじゃない。たけしさんの古くは『キッズ・リターン』とかもそうで、若者の青春群像みたいになりがちじゃない、今。それはそれで作品としてはありだけど」

田中「ありだけどね」

太田「本気でそうなっちゃうとさ」

田中「本気でそうなるときついんだよね」

太田「もうそれはお笑いが気持ち悪いことになるだろう、きっと」

田中「そうなんだよねぇ」

太田「M-1というのはちょっとそれに一役買っちゃってるとこあんじゃん」

田中「うん」

太田「だから、そういう、なんか、すっかり忘れかけてたものをとかさ、井口ごときが。お前さ、忘れかけるも何も、お前のことを覚えてねぇよっていう話だよ」

田中「はははは(笑)」

太田「俺たちが忘れかけてたもの」

田中「俺らが目指したあの時、みたいなね」

太田「俺たちは所詮違ったんだ、みたいな、ちょっと違うところに行っていた、みたいな反省しちゃったりなんかしてるんだけど、それもさ、ちょっとさ、なんかさ、あるじゃん、やりようが」

田中「まぁね」

太田「俺ら、俺なんか負けたことないからさ」

田中「あはははは(笑)」

太田「わかんないんだよね。俺とかさ、ほんと負けたこと一回もないからさ、そういうコンテストとか。ぶっちぎりの優勝しか経験してないじゃん」

田中「あはははは(笑)」

太田「ああいう奴らの感情わかんなくてさ、BOOMERならわかるのかなとか、いろいろ思ったりなんかして。よくわかんないけど、なんか追い詰められた小動物みたいな、面白い。クルクルクルクルクルクルってさ、その場をクルクルクルクルって回っちゃってんだよ。あれはすごいよ」

田中「井口はまたそれがちょっと似合うっつうかね。面白いんだけどね」

太田「あいつは追い詰めると面白いんだよ」

田中「面白いんだよ、そこがね」

太田「今回の放送も俺的には面白いんだけど、本気で感動路線みたいになっちゃうと、ちょっとイタイよな」

田中「そう。だから、そういうふうに、今またSNSとかあるからさ、そういうんで、ちょっとそういう」

太田「普段はアウェイだったファンがみんな「今回はウエストランド」みたいなさ。ちょっとあれだよな」

田中「いいんだけど」

太田「いいんだけどね。若手だからいいんだけどね」

田中「いいんだけどね。まぁ、気持ち悪いよね。はははは(笑)そういうの」

太田「ほんと気持ち悪いんだよ。笑い、やっぱりそこじゃないんだな」

田中「俺は、もう、そういう裏側を、俺は正直『情熱大陸』とかも嫌だった。本当申しわけないけど。ああいうネタ作りのとことかを。ま、それはいいよ。ネタ作りのとこを録るのはいいけど、それをナレーション、例えばちょっとね、「(低い声で)このやり方は彼がデビュー当時から続けている」みたいのとか、ネタ帳見せろとか言うじゃん」

太田「大したことない(笑)」

田中「ネタ帳見せて、「すげぇ、このネタ帳が」って。「いや、何でもねーよ!」って言いたくなるんだよ。ほんとにやめてほしいわけ」

太田「下手をすれば『情熱大陸』のスタッフの制作ノートのほうが全然凄いですよ」

田中「ほんとにそうだよ!ほんとそうだよ!」

太田「お前らのほうが凄いんだぞ」

田中「お笑いをやってるっていうことは、そういうのから逃れるためにやってるみたいなとこあるからね。誰でもあるよ、それは、ちょっと感動」

太田「あるよ、あるよ、そういう瞬間はね」

田中「誰でもあんのよ」

太田「俺ら、10週勝ち抜いた時はちょっとな」

田中「そうそうそう。あんだけど、それを隠す。隠したい人たちがお笑いをやってるっていうのがあるから、だから、それを全面的に――。ま、変わってんだよ。今の若い子たちは、将来なりたく職業に“お笑い芸人”なんていう人が多かったり、大学のサークルでお笑いのコンビを組む、みたいな、“相方”とかっていう……。うわぁヤダ。はははは(笑)そういうのが増えてんのはしょうがない。世の中の時代の変化で、流行りが変わるのはわかる。だからいいんだけど、「バンドじゃねーし!」みたいなのがあんのよ」

太田「それでね、お前に1ついい話」

田中「何?」

太田「井口が『ぶちラジ』の中で、「だけどね、僕は思ったんですよ。ミスチルのコンサートに行ったんですよ」。ミスチルの桜井さんが売れない時代に、売れないかなぁと思って勝手にタイアップ曲を、ドラマの主題歌とか、そういうのを勝手に、話もきてないのに勝手に作ってた。これで何とかして売れないかなと思っていたというトークをしてたんだって。コンサートで。それを聞いた時に井口は、「これって別に、一見不純な動機で作ってる歌みたいに感じるかもしれないけど、それって違うんですよ!」って井口が言うわけ。「歌を歌い続けるためには売れなきゃいけない。歌を愛してる人間は、歌を歌い続けたいから、だからこそそれをやったわけで、僕らも笑いを続けるためにはM-1に勝たなきゃいけないんですよ!」」

田中「はははははは(笑)」

太田「おいおい! 全然お前、桜井と違うよお前は!」

太田・田中「はははは(笑)」

田中「もうホントに、しっかりしろよー」

太田「しっかりしろーーー!見失ってるぞーーー!」

田中「まぁ、俺らの頃とは違うんだろうけどね。M-1とかの決勝に行くとか、そこで優勝するなんてことは」

太田「栄誉だからね」

田中「それで全く人生変わるからな」

太田「変わるからな」

田中「ま、そうなのわかるけど、それを出さないようにしないと、だよねぇ。いかに」

太田「そうだね。大物になってから。例えば、たけしさんみたいに『浅草キッド』」

田中「あぁ、まぁね。『浅草キッド』まさにそのとおり!そうなのよ!」

太田「あそこまで行った人が振り返った時に、あそこっていう」

田中「『浅草キッド』で感動すんのは、それを全部やってこなかったたけしさん、そういうのをずっとバカにして、世の中で売れてきたたけしさんが」

太田「たけしさんが、あれをやった!」

田中「実はあれを歌ったことがいいの!バカヤロー!最初っからあれをやろうと思った奴はお笑いなんかやるな!」

太田「2回戦!2回戦!3回戦!2回戦!」(?)

田中「そんな奴はお笑いには向いてません!本当に。最初から『浅草キッド』を思っちゃダメ!」

太田「ダメ!ほんとダメ!」

田中「揃いのスーツ、カッコイイとかじゃねぇんだよ!バカヤロー!」

太田「靴だけ買えなかったじゃねー!」

田中「買えない。いいの!あれはビートたけしだから」

太田「しかも、ツービートなんかネタやってないんだから、今(笑)」

田中「たけしさんの罪深いとこもあるんだよね(笑)」

太田「きよしさんのことも考えろ」

太田・田中「ははははは(笑)」

田中「あれも憧れ……それこそ『火花』とかさ、そういうのね」

太田「それは又吉上手いんだよ」

田中「青春的な感じと、あるんだけど」

太田「それは確かに又吉の文才の上手さがあるから、あれ、読ますもん。読ますけど」

田中「そこでほんとは」

太田「俺もあれ読んでて、あ、俺たちってこういう職業をやってんだなって、わりと嬉しく、自分の仕事を誇りに思える文章だったもん。『火花』。でも、やっぱりそれはさ、違うよな」

田中「違うんだよね」

太田「そこはドラマチックに考えちゃいけないよね、自分たちをね」

田中「そうなんだよ。ね。そうだよ」 

田中「気持ちはわかるけど、俺は個人的にはそこは隠してほしい」

太田「最後は議員の土下座みたいになっちゃうんだよ、井口は。「最後のお願いに参りました」みたいな感じになっちゃう」

田中「ははははは(笑)」

 

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太田さんによる『ぶちラジ』の井口さんの再現に、初めは笑って聴いていたけど、長々と再現するそのことに、なぜかジーンとしてしまった。そして、何々論的なものを語ることがあまりない田中さんが熱く語っていたのもとても印象的だった。