ネタ帳

 

オードリーのオールナイトニッポン 2014年5月10日

 

若「なんで実家に帰ったかっていうと、今まで、捨てたやつもあんだけど、今まであるネタ帳を全部提出してくれって。番組の企画で。っていうのがあって、残ってるかなぁと思って実家帰ったら、結構残ってて。これ、今、預けるんだけど、こんだけ結構」

春「あ、そんな! そんなあるの?」

若「はい」

春「ネタ帳って」

若「ネタ帳ってって、これでも半分ぐらい捨てたんですけど」

春「え、そうなの?」

若「今の家に持ってった分、だから、幡ヶ谷に住んでる時と――あ、幡ヶ谷に住んでる時って初めて言うか、これ」

春「うん」

若「ま、いいや。今のとこ住んでる時の分は、たぶん捨てちゃってんだけど、最近のは捨てちゃってんだけど、昔のはすごいあって、15冊ぐらい、20冊ぐらいかな」

春「じゃ、ホントに1年目とか」

若「1年目のがあんのよ。2000年のネタ帳ありましたよ」

春「あぁ、じゃあ、お笑い始めたぐらいの」

若「始めたばっかりの。なんか、ネタも、漫才とかコントとか、始めたてのネタも書いてて、俺と春日のボケもさ。これ、読んでたら面白くて」

春「へぇー。何書いてあるの?」

若「ついつい読んじゃって。あと、渡すの怖いよね。どこを抜かれて企画にされるかわからないし、というのもあんだけど、ものすごいいろんな人の悪口とかも書いててさ」

春「ネタ帳に?」

若「面白くないってことをさ」

春「あー、あいつは面白くないと」

若「なぜ面白くないかを書いてたりすんだよね、ちゃんと」

春「ま、ネタ以外のことも書きますわな」

若「そうそうそう、書くでしょう?」

春「考えながら、なんかね。らくがき的にね」

若「こういうことなのかな、とかね」

春「はいはいはいはい」

 

若「ネタ以外のことだと、ネタを書く前に、必ずどういうネタを書くかとかを書いてたり、思ったことを感情のままに、悩んでたりすることも書いてたりしてて」

春「へぇー」

若「2000年のネタ帳で面白かったのはね、信念みたいなことが書いてあったんですよ」

春「信念?」

若「はい」

春「ほぅ」

若「2000年のネタ帳ね。デビュー1年目。「板について、5秒で度肝を抜いて、15秒たつまでに掴んで、3分たつまでに3回大爆笑を起こす」って書いてあるんです。少ねーよ!っていう」

春「少ねー」

若「はははははは(笑)」

春「3分でさ、1分に1回じゃん。単純計算で。すげぇすべってるぞ、そいつ。ハハハハ(笑)」

若「「3回大爆笑を起こす」って書いてあるんですよ。で、その次の行に「ともあれ、俺に理想とする漫才のビジョンがない」って書いてあるんです。はははは(笑)」

春「書いちゃった、それを」

若「まず、それ作れよ!っていう話なんですけどね。

でね、ネタを、ボケを終わった後の反省みたいのが書いてあって、ネタのボケが20個ぐらい書いてあるんですよ。30個、ネタが20個ぐらいのボケが書いてあるんですけど、その横に、ライブに出た感じで、ウケた、ややウケ、すべった、ボケ1個1個に対してどういう結果だったかを書き込んでるんですよ。1年目の俺が」

春「へぇー」

若「20個ぐらいボケがあって、2個ややウケで、あと全部すべったって書いてある。ははは(笑)」

春「すべってんじゃないか、そいつ!ややウケでもないぞ、たぶん」

若「そんだけすべったなら、2個だけウケたとこ書いて、ややウケでしょ?しかも」

春「ややウケだね」

若「2個だけややウケのとこで、あと全部書かなくていいのに。ははは(笑)全部すべった、すべったって書いてあってさ」

春「ハハハ(笑)」

若「何やってんだよっていうことも書いてあるんですけどもね」

春「なんかいろいろ書いて記録しておきたい、みたいなとこなんでしょうな」

 

若「でね、予定とかも書いてあって、面白いのがね、2005年のある日の「今日の予定」って書いてあるんですよね」

春「ほぅほぅほぅ」

若「2005年だから27歳の年だね。「今日の予定。バイクのエンジンオイルを変える。新ネタを作る」って書いてあるんですよ。暇だなと思って(笑)」

春「暇だな、書かなくても忘れねーだろ!(笑)2つしかねぇんだから」

若「27ん時、お前暇だなと思って(笑)」

春「確かにそうだな、そんな一日だったな」

 

若「でね、2006年、28歳の時に第1回の単独ライブをモリエールでやってるんですよ。青銅さん観に来てくれてたけど。もう青銅さんとは出会ってんだね、2006年」

春「あ、そう!」

若「たぶん青銅さんと出会ったのは2005年だと思うんだよね」

春「そんな早いの?」

若「そう。だから、青銅さんとももうそろそろ10年の仲になるんだね」

春「ウソよ!」

若「変わんないね、青銅さんて」

春「会った時からおじいちゃんだったね」

若・春「ハハハハ(笑)」

若「すごいね。青銅さんとも9年の仲なんだね、俺たち」

春「そんなになる?」

 

若「「シャンプーおじさん」というタイトルの単独ライブをやったんですよね。春日がコインシャワーでシャンプー、家でして、そのまま歩いてっていう話があって」

  単独ライブタイトル候補名「ティファニーでピンクセーターを」「OJシンプソ

  ン」「劇団ピンクセーター」「ティファニーでピンクのセーターを」「シャンプー

  おじさん」の中から決定。

 

若「2006年、悩んでますね、私ね。たぶん1人でファミレスかなんかで書いてる時に、ワーッとなって感情を書いているでしょうね。2006年だから28ですね。「俺たちにはM-1もない。オンバトもない。ホープ大賞もない。笑金もない」。これ「笑う金メダル」」

春「あ、やってた。全盛か」

若「「笑金もない。エンタもない。技術がない」って書いてあるんです。ふふふ(笑)やめちまえよ」

春「救いねーな!最後になんかあるで。なんかねぇ」

若「救いねーな!」

春「救いがない。何でもいいじゃん、それは。体力があるとかでも何でもいいじゃんねー」

若「はははは(笑)」

春「救いがねーな、おい!」

若「救いねーな!っていうツッコミだよね、入るとしたらね」

春「そうか。周りがちょっとテレビとかなんかで出てたりして、我々だけだったもんね、なんも出れないっていうのが」

若「っていうのがイライラしてたんすかね」

春「そうか」

 

若「「テレビに出るための心構え」みたいのも書いてあってね、テレビに対しての考え方なのか、「俺たちは、インターホンを押してお辞儀をしてテレビに使ってもらうのではなく、突然押しかけて使ってもらう」って書いてあるんですよ。はははは(笑)」

春「いや、トンガリ過ぎだろ!」

若「はっはっはっは(笑)」

春「ちゃんと押してさ「お願いします」つって使ってもらえよ(笑)。とんがってるねぇ」

若「とんがってるんですよ。でね、やたらいろんなところにね、やたらね、「テレビに出るのが目標じゃない」って書いてある」

若・春「出たいんじゃねーか!」

若「はははは(笑)」

春「テレビのことしか書いてねーじゃねーか!出てんじゃねーか!M-1笑金もないとか言って」

若「お前、チョーテレビ出てーじゃねーか」

春「自分しか見ないネタ帳で誰に強がってんだよ!それ」

若「はははは(笑)」

春「明日の自分に強がってるんだろうね」

若「ホントだね、27ぐらいの時ですよね」

春「そうしないとやってらんないぐらいの感じだったのかなぁ」

 

若「ネタ帳1冊1冊に、私も自意識過剰で、今で言う中二病なんすかね。タイトルをつけてるんすね」

春「え?ネタ帳1とかじゃなくて?」

若「今のインターホンのくだりが書いてある時のネタ帳には「インサイド」っていうタイトル」

春「フッハハハ(笑)どういう意味なのよ?どういうこと?」

若「いや、俺も忘れてるよ」

春「内角って?何なのそれ?インサイドって何?」

若「わかんない」

春「えぐりこんで打つとか?どういうこと?何なのそれ?」

若「よくわかんないっす。「インサイド」って書いてある。その時の俺に聞いてください」

春「なんだ?インサイド」

若「お前なんだ?インサイドってよ!って俺聞く。顔近づけて。ははは(笑)」

春「ネタ帳5とかでいいだろ!ナンバー5とかでいいだろ!つって。ハハハ(笑)」

 

若「「枯渇」っていうタイトルを書いてるのもある」

春「なんだよそれ(笑)」

若「それにはね、あと100回舞台に立って、やめるって決めてるんですよ」

春「ほぅほぅ」

若「カウントダウンされてるんですよ」

春「あと何回」

若「100、99、98。舞台、キサラも1舞台。100回舞台やってる最中に結果を残せなかったらやめる、みたいなことでつけてるんでしょうけど、ゼロになったらもうやめちゃうということなんだろうね。それまでに」

春「なるほど、なるほど。それまでに何か起きなかったら」

若「起きなかったら。タイトルは「枯渇」っていうノートだったんですけど、枯渇さそうっていうことなんでしょうね。最後の最後まで」

春「なるほど」

若「ゼロになるまでの今日の舞台の結果が書いてあるんですけど」

春「全部出し切ってやめようと」

若「面白かった。ズーッと見てたら、ゼロを通り越して、マイナス24までいってたんです」

春「やめてねーじゃねーか!」

若「はははははは(笑)」

春「やめろよ!ゼロで」

若「あーはっはっはっはっ(笑)」

春「なんでやめねぇの?お前!」

若「やめろバカヤロ!あはははは(笑)」

春「枯れ果ててんじゃねーかよ!つって。既に(笑)」

若「ははははは(笑)124回舞台に立ってるんですねぇ」

 

若「でね、3部作になってるネタ帳がありまして」

春「ネタ帳が?」

若「3部作の1つずつのタイトル言いますよ。まず最初が「種」、次が「茎」、3部作最後が「花」っていうタイトルのネタ帳があったんですよ」

春「クークククク(笑)」

若「でね、「茎」の時が2005年10月ぐらいになんのよね。ネタ帳によると。2005年10月に初めてズレ漫才やってる。はっきりしたね、年表が。2005年10月に一発目のズレ漫才やって、2006年の5月にもうデートのネタ作ってるんですって」

春「へぇ~」

若「それが「茎」でした。「花」で『ぐるナイ』に出てました」

春「あ~咲いたじゃない!」

若「咲いてました」

春「それはいいんじゃない?その3部作」

若「いいかもしれませんね」

春「結果が出てる。ようやく」

若「でね、これのノートは「インサイド」」

春「あ、「インサイド」だ。「土」って書いてある。なんだそれ?」

若「「土」ってなんすか? あっ、「種」の1個前のやつです」

春「4部作だったんだ!」

若「4部作でした。「土」「種」「茎」「花」でした」

春「なるほど」

若「2つあるんだけどね、タイトルが」

春「どっちだよそれ!」

 

若「でね、これ、面白いですよ。僕が25の時ですね」

春「うんうんうん」

若「「将来やりたいこととやりたくないこと」って書いてあるんですよ」

春「へぇ。25ということは10年前」

若「10年前だ」

春「「インサイド」は10年前だ」

若「やりたいこと。「帯のラジオパーソナリティ」。将来やりたいこと。「深夜のラジオ番組」」

春「おー!やれてるじゃないですか」

若「「モンゴルやインドなどに行くドキュメンタリー番組に出演」」

春「(笑)」

若「ははははは(笑)」

春「それ、10年前にやりたいことだったの?ドキュメンタリー」

若「はーはーはー(笑)」

春「はぁ~」

若「「ネタで人前に出続ける。ライブに出続ける」」

春「うんうんうん」

若「「本を出版する」」

春「あー!やってるじゃないですか。叶ってる」

若「「MC」」

春「叶ってる」

若「この後が恥ずかしいですよ。「MC(いとうせいこうさん的な)」って書いてある。はははは(笑)」

春「そこは叶ってないなぁ」

若「おい!笑ってんじゃねーぞ芳樹!はははは(笑)」

春「それは叶ってないね」

若「最後に、「春ボーイと漫才をやり続ける」」

春「クッ(笑)春ボーイか、当時、私」

若「2005年、ほら見て。「春ボーイ」」

春「ハハ(笑)しっかりと書いてある「春ボーイ」って。すごいね」

若「これ、面白いですよ~。やりたくないこと」

春「あ、そっちも。そっち知りたいね」

若「やりたくないこと。「料理番組で料理を食うこと」」

春「クー(笑)」

若「ははははははは(笑)」

春「結構ガッツリやってますよ」

若「とんがってんなーおい!はははは(笑)」

 

(エンディング)

若「私、ネタ帳の話させてもらったんですけど、チェック表みたいのがあって、なんだろう?と思ったら、ネタを作り終わった時に、そのことをクリアできてるかをチェックするチェック表があったんですよ」

春「へぇ~」

若「それがちょっと面白いんすけど、まず最初、「春日の服装の髪型は面白いか」っていうチェック項目があるんですよ(笑)」

春「それは何?いつの時代の?何年?」

若「2006年か2007年」

春「じゃあ、ボケとツッコミも変わってる時か。なるほど」

若「あとね、「動きを入れているか」「ピークを作っているか」「漫才の入りはやわらかいか」ふふふ(笑)」

春「やわらかい?」

若「「5分前後のネタにボケが30個以上入ってるか」「演技は全身全霊でインステップできているか」って書いてあるんです」

春「ちょっとわかりづらい」

若「最後が「自由で楽しくできているか」」

春「いや、そこまでチェックされてたら自由にできないでしょ」

若「くくく(笑)」

春「インステップなんだ言われて~」

若「そうですね。よくわかんないですね、当時考えてたことは」

春「当時は大事だったのかね」

若「あとね、なんか自信がつくように、「自信ノート」っていうのが入ってたんです」

春「自信ノート?はぁ」

若「やめるかどうか考えてるから、なんかないと耐えられないんでしょうね」

春「なるほど、落ち込んだ時に読む用のノートだ。「大丈夫だよ」っていうやつね」

若「それに書いてあるんです。2007年ぐらいね。「渡辺正行さんにM-1の決勝に行ける漫才だと言われた」」

春「ああ、言われた。言われたことある」

若「「カンフーさんに(春「作家さんね」)M-1を視野に入れて決勝に行くために頑張れと言われた」「東京ダイナマイトの松田さんが面白いと言ってくれた」」

春「クー(笑)」

若「「どうよのケンキさんが面白いと言ってくれた」」

春「あぁ、ありがたいね」

若「「鶴光師匠に誰もやっていない漫才だと言われた」」

春「まさにニッポン放送で」

若「「ペナルティのヒデさんが面白いと言ってくれているらしい」(笑)」

春「それは噂だ、噂。噂まで書くほど、だいぶもう極限状態だったということだね」

若「「矢作さんが面白いと言ってくれているらしい」」

若・春「ハハハハハ(笑)」

春「噂だめよ、書いちゃ」

若「「自信ノート」って書いてあって、副題が書いてあって、「自信ノート-楽しい30代を送るために-」って書いてある」

若・春「はははは(笑)」