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小泉今日子のオールナイトニッポンGOLD 2017年5月12日

 

小泉「ちょっと前にね、佐藤多佳子さんの『明るい夜に出かけて』という本を読んだんですけど、これって、ラジオのリスナーっていうか、ラジオがすごいメインになってて、それこそオールナイトニッポンアルコ&ピースさんの話がすごい出てきて、ワクワクしながら読んだんですけど、若い、接触恐怖症みたいな、人とふれ合うとか、人と目を見て話す、みたいなのが苦手な男の子がいて、それで、ちょっとしたトラブルが起こっちゃって大学を休学して、ちょっと東京から離れたところの海が見えるようなまちに住んで、アパートに住んで、夜中のコンビニでアルバイトをして、でも、そこのコンビニでも、夜の商売の女の人とかですごいいい人がいるんだけど、その人が不意にその子の手を触っちゃったら、思いがけず力が入っちゃって倒しちゃって、なんていう事件もあって、でも、みんな優しく受けとめてくれたりとかしていて。

そこにちょっと風変わりな女の子が来て、すごい懐っこいわけよね。でも、なんかリュックに、ラジオのリスナーの、ハガキ職人のいっぱいいい作品を作った人しかもらえないキーホルダーみたいのがついてて、あれ?と思って、実はその男の子もかつてはそういうハガキ職人だった、みたいな話から、バイト仲間の、今度はネットで歌手をやってる子とか、高校時代の友達みたいな、でも、みんなわりと、どっかそうやって今の社会の中で生きていくのがちょっと上手じゃない、みたいな子たちが何となく会うようになって、絆とまではいかないんだろうけど、外に出ていけるようになったりとかっていうような、その間にラジオがあるっていう話を読んで、ちょっと感動して。自分もオールナイトニッポンをやってた時代もあるし、さっき豊原さんたちと言ってた、聴いてた時代もあるし。

でも、そうなんだよね。夜中の放送とかって、一人で家にいて、家にいてっていうか、部屋にいたりとかして、誰ともつながってないって思うんだけど、ラジオをつけると、そうやって起きて聴いてる人が、この今もたくさんいて、なんか共有してる?秘密を共有するみたいな楽しみがあってさ、なんかそうやって一つ何かとつながるっていうことが、きっと何かのドアを開けるんだろうなっていうのが、この本を読んですごくわかりやすくて。でも、それを「今の若い子は」とかっていうんでもなく、なんかそれをひっそりと応援してるような小説で、すごい素敵だってので、今日、話ができたらなと思って、持ってきてたんだけど。

私、それを読売新聞にも、去年も夏と年末だけ、3冊ぐらい本を選んで書評するというのをやらせてもらってたんだけど、そこでも書いてて。そう、その時にはいろいろそういうあらすじも書いて、でも、そこで出会った若い子たちが、私ぐらいの年になった時に、またコンビニでビールで乾杯!ってしてたらいいなぁっていうような締めで書いたんですけど」

 

 

小泉「私はね、基本いつも辞めたいから、あんまり思わないの(笑)。逆に言えば。辞めたいぐらいが当たり前、辞めたいぐらいがちょうどいいと思ってて、あまりにも期待したりしていると、なかなか思ったようにはいかなかったりするじゃない?なので、あ~あ、今日も仕事行かなきゃいけないのかー、とか、ちょっと面倒くさい、でも、行ったら楽しいんだろうな、とか(笑)、若い時からわりとそういう感じで、でも、いいや、明日仕事なくなったら厚木に帰ってお母さんのお店手伝って、とか(笑)、そういう妄想を、それはちょっとした現実逃避だったんでしょうけれども、なんかそういうふうにね、いつも思ってるからね、本気で、もう辞める!もう泣く!とか、そういうのあんまりなかったのかもしれない。うん、そうかも。

あとは、現場ですごい悔しい時とか、頭に来ることとか、忙しい時とか、いっぱいあったけど、たくさん私の仕事場は人が働いてるから、1人面白い人を見つけて、その人を今日は観察するっていう日にするわけ。その人が可愛い女の子でもいいし、カッコいい男の子でもいいし、ちょっと面白いおじさんでもいいんだけど、今日はその人にロックオンして、その人しか見ないんだってやってると、すごい楽しくなってくるんですね(笑)。そういうことをよく若い頃はやっていましたね」