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親子鷹

 

オードリーのオールナイトニッポン 2010年6月12日

 

若「この間、また実家に久しぶりに帰りまして」

春「へい」

若「親父と喋ったりしたんですけどね」

春「ほお」

若「今でこそね、うちの親父は、今度やるライブの言語遊戯王のチケットをとってくれなんて言ってきますよ」

春「ほうほう」

若「でも、年取って思うんだけど」

春「イエス」

若「子どもの時は、親父っていうのは自分の親父しか知らないけど、みんな子どもできたりして、そういう話とか聞いてると、自分の親父の普通の部分とちょっとおかしいなと思う部分がわかってくるもんだなと思って」

春「ああ、まあそうかもわからんですな。年齢も近づきますからな。その当時の親父と」

若「そうそうそう。ちょっとね、うちの親父はスポ根的な部分が昔からちょっとあったなと思って」

春「熱い男」

若「うん。ていう感じのとこがちょっとあって」

春「ほう」

若「僕、中学ん時ラグビーの試合やってて、左の足首の靭帯を捻挫して伸ばしちゃってて、テーピングでぐるぐる巻きにして、痛み止めの注射を打って試合に出てたのよ。公式戦に。ボールを蹴った時に、捻挫したほうの足1本で支える形になって、その足にタックルされて」

春「アター!」

若「したら、また足首やっちゃったのよ」

春「アター!」

若「春日さん、自分の足怪我した時のこと思い出してるかもしれないですけどね」

春「それはアター!だね」(笑)

若「アターと僕も思って、グラウンドで足首を押さえて、痛さに耐えてたんですよ」

春「そうなりますよ」

若「したら、担架とかヤカンに水持ってきて、それこそ入って、コールドスプレーとか。したら「気合入れろー!」っていう声が、僕寝ころがって足首押さえてうずくまって耐えてたんですけど、自分の真上から「気合入れろー!」っていう声が聞こえて、監督かなと思ってチラッと見てみたら、グラウンドの真ん中まで親父が入ってきてた(笑)。俺に「気合入れろー!」って大声で言って」

春「関係者ではないしね」

若「審判に追い出されてたんですよ」

春「ははははは(笑)あー、それは恥ずかしいなぁ」

若「それから「グラウンドに入ってきちゃう親父でしょ」なんつってね、結構ラグビー部でイジられちゃって」

春「ああ、それはイジられる対象になりますよ。うんうんうん」

若「そういうこともあったんだけど」

春「なるほどね、熱いですな」

若「そうそう。そいで、もっといろいろ思い出してたらさ、小学校の4年生から少年野球チームに入れるっていうチームだったんですよ。うちの中央区の築地のチーム」

春「はいはいはいはい」

若「幼稚園の年長ぐらいから小学校3年生までは野球チームに入れませんけども、うちの親父は野球が凄い好きなの。大の阪神ファンで。で、毎週日曜日に2人でずっと4年間野球の練習してたのよ」

春「ああ、そうかね」

若「その時は普通だと思ってたんだけど、今思うとちょっとおかしいなと思うことがいろいろ親父と喋ってて蘇ってきて。朝ね、日曜日は6時起きなのよ」

春「早いなずいぶんとこれ!」

若「叩き起こされるのよ。だから、俺『キン肉マン』見たことないんだよね。大好きだったんだけど」

春「あれは10時ぐらいからだったもんな」

若「野球の練習してたから。ガンガン」

春「え、6時から結構な時間やるわけ?何時間も」

若「6時に起きて、6時半までに準備が整ってなかったら超怒られるんですよ」

春「わ~お」

若「必ず6時に起きて、6時半までに用意済ませて、あんまご飯は食べちゃいけないことになってたんですよね」

春「厳しいね」

若「そうそう。そいで、親父は自転車で、俺は自転車の後ろに乗ってさ、行くんですよ。グラウンドにね2人だけですよ。2人だけなんすけど、親父がマウンドの所に行って「集合!」って言うんですよ。2人しかいないんすけど」

春「「来い」じゃダメなのかね?」

若「言葉の使い方として正しいのかなと。もっとあれだね。体育会系の「集合―!」っていう言い方」

春「ふふふふ(笑)」

若「俺は、グラウンドの中入ったら絶対敬語じゃなきゃいけなかったの。親父に言われてて」

春「へぇ。お父さんて呼んじゃいけないってこと?」

若「監督って呼ばなきゃいけないのよ」

春「監督?」

若「うん」

春「はあ」

若「監督1人と選手1人しかいない」

春「なんかそんなんあるよね。高校野球のチームとかで親子鷹みてぇなやつでしょ?」

若「そうそうそうそうそう。親子鷹って、完全に親子の(笑)」

春「(笑)そういうのあるじゃないですか」

若「チームじゃねーから親子鷹じゃないんだよね」

春「まさに親子鷹ですわな」

若「そうそう。で、「集合―!」って言われたら「はーい!」って俺が言って。小学校1年とかよ」

春「はははは(笑)」

若「帽子ポーンと取って、親父が、えー、まあ、今日の練習はね、冬に入ってます。肩壊しやすいんでね、最初の5分間キャッチボール、球は緩く投げるように。「はーい!」って俺言って」

春「それマウンド上でやってるわけ?」

若「マウンド上で2人で」

春「それはさ、移動してるチャリンコんとこで言えないもんなのかね。今日はよぉ、肩あんまやるんじゃねーぞつって」

若「いやいや、そんなことない」

春「わざわざグラウンドに「集合」って言うようなもんでもないでしょ」

若「自転車下りてグラウンドの中に入ったら、「集合」がいつかなと思ってたからね。集合かかるのが。なんか親父が軽くランニングしてたり」

春「(笑)ちょっと、「集合」ってさ、どういう距離感なわけ?「集合」っていうかさ、親父がマウンド行ったら若林君もついていけばいい話じゃない?お互いバラバラに運動してて、「集合」で集まるってどういうことなの?」

若「よく映像でさ、原監督が外野のほう走ってたりするじゃん」

春「ああ、うんうん」

若「あんな感じよ、親父は」

春「はは(笑)じゃあ、親父は、2人で同じチャリンコで来て、グラウンド来たら、もう親父は離れるんだ、あなたから」

若「そう」

春「離れて外野とかをバーッと走って、その間あなたは何をしてんの?なんか用意してんの?」

若「いや、だから親父が走ってるから、でも、俺の後ろついてこいとか何も言わないで親父が走ってるから、俺もなんか見よう見まねで、ちょっと体ほぐしてる感じで、ちょっとジョギングしてる感じ」

春「小1とかの頃」

若「そうそう。したら親父は肩とか回しながらマウンドのほう行くから、そろそろ「集合」かかるな」

春「ああ、なるほど」

若「まず、俺が凄い気使ってたのが、「集合」かかるなとは薄々気づきつつも、マウンドの近くに寄ってっちゃうと、「集合」って言われたら真ん前にいることになっちゃうのが、ちょっとあんまうまいこといかないなと思って、ちょっと離れていようっていうのは、俺、空気読んでたけどね」

春「ああ。親父に「集合」言わせてあげようっていうのは」

若「そう。だって、「集合―!」って真ん前にいたらさ、お前ちょっとなんかやれや、ちゃんと、みたいな感じになりそうじゃん(笑)」

春「何なの?その「集合」言いたいやつ」

若「小2とか小3とか」

春「はあ。でも、そうかあ。マウンド上で待ってりゃいいとちょっと思うもんね。それじゃダメなんだね」

若「なんかちょっとしっくりこないのかなっていう」

春「集合は言わない……、そっか」

若「親父が「集合」って言って、「はーい!」って帽子をとんなきゃいけない。脱帽して。先週ちょっと捕球がうまくいってなかったとこあるから、そこ、今週は重点的にいくようにって言ったら、「はーい!」って」

春「そんな本格的に練習すんの?」

若「そうだよ」

春「キャッチボールをやるとかだけじゃないんだ?」

若「キャッチボールやった後に、それこそトスバッティングやって」

春「えー!?そんな小学校低学年で?」

若「そうだよ」

春「本格的だね、どうやら」

若「やってたやってた」

春「あたしなんかもよく野球を親父さんとやりましたけど、大体キャッチボールとか。やるとしても、春日がピッチャーで、親父さんがキャッチーで、投げ込むぐらいなもんです。普通親子の野球っつうのは」

若「それはタメ口で喋ってキャッチボールやってんの?」

春「(笑)まあ、タメ口というか、いつもの親子の会話だよ。タメ口なのかな」

若「全然親子鷹じゃねーな」

春「「お父さん行くよー」ぐらいの感じですよ」

若「お前そんなのぶっ叩かれるよ、俺そんなことやったら」

春「「ボール!」「いや、ちょっと今の入ってたんじゃないの?」」

若「あー、全然そんなんじゃないね」

春(笑)

若「そんな楽しく野球やってなかった俺は」

春「どんな?」

若「ビクビクビクビクしながら(笑)」

春(笑)

若「「監督」って呼んでたから」

春「毎週日曜に」

若「そうそう」

春「はあー」

若「それでトスバッティングやって、バッティングやって、あと、走塁もやりましたし」

春「走塁?」

若「ノックもやりましたね」

春「リードの仕方とか?」

若「ノックは、ガンガン千本ノック的なノックされて、あと、捕球からスローイングまで誰もいないファーストベースに向かって投げてたからね」

春「ボールどうすんの?」

若「ボールは30個ぐらいあったよ。籠に入って」

春「ああ、そう」

若「それを拾いに行くの俺が」

春「ポンポンポンポン投げちゃって、ファーストに向けて。ボールなくなったら拾いに行く」

若「そうそうそうそう」

春「親父さんはそういうのをやってたんですか?どっかのチームのコーチというか」

若「野球はずっとやってたけど、野球部だったことはないような気もするけどなぁ」

春「じゃ、見よう見まねでコーチングしてるっていうことですか」

若「うーん、野球はでもずっとやってたよ」

春「ま、上手いは上手いわけですな」

若「上手いね。草野球でも4番打ってましたよ。よく見に行ってました。もっと小さい時に。完全にバースのフォームパクってたけどね」

春「ふはははは(笑)」

若「ははははは(笑)」

春「草野球っていうのはそういうもんだろうからね、きっと。ま、いいんじゃないですか、その辺は」

若「それで、練習が終わったら、また親父が「集合」って言うのよ。で、「集合」つって集まって、今日の総括をするのね。こことここがダメだった。で、反省点を言うの、俺も。反省点言ってみろつって。ここができなかったです、みたいな。来週までに何とかする」

春「(笑)来週までに何とかする」

若「そうそうそう」

春「何とかするってどういうことだよ(笑)」

若「「解散!」って言われるの。「解散」て言われたら、ちょっと離れるんだけど、またすぐ自転車に2人で乗る(笑)」

春「そうだよね。2人で来たわけだからね」

若「一緒に帰るんだけどね。「解散」て言われて(笑)。で、グラウンド出る時に「ありがとうございました」ってグラウンドに挨拶して帰ってくんだよね。脱帽して、お辞儀して。したら、そっからはもう親子。ずっと親子なんだけど」

春「それは、もう「お父さん」つって普通にタメ口で話していいわけ?」

若「でも、ちょっと監督の感じが残るから、カン、あ、お、お父さんさ、みたいな感じにはなった」

春「切りかえがね、すんなりいかない」

若「で、2人で帰ってって、いっつもね、コンビニに寄るんですけどね、練習した後はコーラとファンタグレープ飲んでいいからなって言われんのよ」

春(笑)

若「何でかっていうと、糖分を摂っていいからなって言われる。それを毎週言うな、この人と思って。あははははは(笑)」

春「それはだから、お父さんにとってのアメのとこなんじゃないですか。練習でガンガンムチ打って、アメの部分」

若「そんなに結構、ポカリぐらいいきたいなっていう感じの日も無理してコーラ飲んでたりしたからね(笑)」

春「なるほどね」

若「で、まあ、とにかくさスポ根でさ、あと阪神が好きだからさ、当時さ、俺らが小学校低学年、まあ、高学年ぐらいまで、とにかく今より全然野球が数字、視聴率取る頃で、あと、阪神の試合っていうのがケーブルテレビとかBSとかないから、巨人の試合ばっかりやってたのね」

春「まあ、そう。あんまり阪神の試合見たことないね。巨人-阪神ぐらいだったから」

若「でも、親父はとんでもない阪神ファンだから。巨人のことのほうが覚えちゃうんだよね。学校でも話題は巨人だし、巨人の試合ばっかり見るから」

春「あー、まあそうだね」

若「でね、親父がたまに抜き打ちテストしてくんのよ。食卓で」

春「何のよ?」

若「阪神の打順ちょっと言ってみろつって」

春「ほうほうほうほう」

若「1から9まで。ま、9はその日によって変えてたけど、1から9まで言えないと、なんかちょっと変な空気になるのね。家庭が」

春(笑)

若「1から9まで言うの。俺、なんなら阪神より巨人のほうが打順知ってんだけど、無理して5番で間違えたりしてたもんね。ははははは(笑)」

春(笑)

若「そうすると、まあまあいいでしょう、みたいな感じになるんですよ」

春「はあ。それは、同じように阪神愛がないといけないということなんですかね。息子も」

若「阪神のほうが好きじゃないとっていうことでしょうね。巨人よりはね」

春「なるほどね。阪神、そんなでもないんですよ、みたいなことを言ったらとんでもないことになるんでしょうね」

若「いやぁ、ありえなかったね」

春「言えない?」

若「言えない」

春「それは何?若林君だけに出すんですか?お母様だとか」

若「いやいや、俺だけによ、もちろん」

春「野球選手にしたかったのかね、じゃあね」

若「親父ビール飲んでんじゃん。ピーナッツ食べてんのよ。ピーナッツをね、野球の配置に、ナインにして、走塁で、ツーアウト1塁3塁です。お前3塁ランナー。セカンドゴロどうする?とか、ピーナッツを俺動かしてたもんね。正解!ピーナッツ1つどうぞ、みたいな」

春「はあ。ミーティングだね」

若「そうそうそうそう」

春「よくやってる、プロ野球の球団とかでやってるミー……、あ、そう」

若「それで、野球チームずっとやってきて、小6ぐらいになると結構大人じゃん。こっちも感覚的には」

春「まあまあそうだね」

若「最後の試合で負けたんですよ。親父と2人で車でグラウンドから帰る時に、何でかわかんないけど、引退です、それで少年野球チーム。オール鉄砲洲っていうチームだったんけど」

春「ふふふふん(笑)なるほどね」

若「でね、涙が流れてきたんですよ。引退が決まって。それが小6だから、悔しくて泣いてるのか、終わることが、友達と離れることが寂しくて泣いているのか、ほっとして泣いているのかっていうか、あんまわかんないのよ」

春「まあ、複雑な感情で泣いてるんでしょうね」

若「そうそう。涙が出てくるんです。で、親父が「お前なんで泣いてんだ」って言うのよ。運転しながら。わかんないから答えなかったのね。したら、車寄せて止めて「なんで泣いてんだって聞いてんだ」って言われて。俺、ちょっとわかんないから「わかんないっす」って言って」

春「(笑)うん」

若「「わかんないじゃない!お前泣いてんだ。なんで泣いてんだ言ってみろ!」つって言うのよ。したら、わかんないから黙ってたら、「お前口あんだろ!」って言われて、「言ってみろ」つって。なんか腹立ってきて。初めて」

春「まあまあ、わかんないもんはわかんないわけだからね」

若「わかんねーよ!と思ってさ。ふと思ったらさ、それ、小6でしょ?1年前の小5の時にね、2人で『フィールド・オブ・ドリームス』っていう映画観に行ったのよ。映画のエンディングでね、親父が大号泣してんのよ」

春「あらららら」

若「俺、その1回しか見たことないんだけど、大号泣してんの、親父が」

春「はいはいはい」

若「ね。親父があまりにも大号泣してて、小学校5年生にさ、『フィールド・オブ・ドリームス』って理解できないじゃん」

春「まあ、ちょっと難しいかもわからんですな」

若「あの映画難しいじゃない。で、俺は親父があまりにも泣いてるから、帰りに「お父さんなんで泣いてたの?」つったら、親父が無言で答えなかった時があんのよ。あん時無言だったくせに俺に何を、何で泣いてんのか聞いてきてんだよ、こんなアップかけてって、頭きて、「いや、お父さん」つって、「でも、『フィールド・オブ・ドリームス』ん時、凄い泣いてて、何で?って聞いたら答えてなかったじゃん」て言ったら、親父がさ、大声でさ、「あれは作り話だろ!」つって(笑)」

春「(笑)なんだその線引き。どういうこと」

若「お前は現実のほうだろ、みたいな(笑)」

春「ははははは(笑)恥ずかしかったんだろうな」

若「うん」

 

 

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